『あ、そうだ。もうすぐあたしもオレンジアカデミー行くから』
「へ!?」
そう電話で唐突にゼイユに告げられたスグリは混乱した。しかしそれ以降ゼイユの口からその事について触れられることはなかったので、なにかの冗談なのだと納得した。しかし。
「というわけで、今日からゼイユさんがオレンジアカデミーに留学されます」
「ねーちゃん!?」
オレンジアカデミーの制服を着たゼイユが目の前に現れ、スグリは驚愕した。
「何よ、あたしの制服姿が美人すぎて驚いた?」
「いや、ねーちゃんなんで!?ほんとにアカデミーさ来たの!?」
「言ったじゃない!まさか聞いてなかったの?」
「ねーちゃんのことだから冗談かと…」
「バカね、あたしはいつだって本気よ。こっちのリーグ委員長から声かけられてね、補習も終わったしちょっと遅れて来たのよ」
「うへぇ……」
「スグ〜?何その生意気な態度は〜〜?」
こうしてゼイユが加わり、宝探し部はさらに賑やかになった。
「初めまして、アマネです」
「……あんたホントに男?ちょっと脱いでみなさいよ」
「嫌です!」
「いいじゃない、減るもんじゃないし!ほら!」
「やめてよねーちゃん、おれの友達に」
「ふーん、まあいいわ。あんたスグと仲良くしてやってよ」
そうぶっきらぼうに言って、ゼイユはアオイたちと話しに行った。
「ごめんなアマネ…ねーちゃんとにかく強引なんだ」
「ううん、悪い人じゃないって言うのは伝わったよ。お姉さんがいるってあんな感じかな」
「ねーちゃんがひどいだけだべ…」
それから少しして。ゼイユはスグリの自室に居座り、ポロポロとスナックの粉をこぼしながらしゃべった。
「ねえスグ、あんたアオイとの仲はどうなのよ」
「え、何急に」
「だって…同じ学校でしょ、恋愛的に進展とかしてないわけ?」
「してねえ!だいたいアオイは……」
「ん?なんかあるの?」
「アオイは…その、アマネのことさ、好きだから……」
「はぁ!?嘘でしょ、なんで!?」
「おれも詳しく聞いたわけじゃないから分からないけど…アマネと一緒にいる時のアオイ、わかりやすいもん。」
「ちょっと!!ライバルじゃないの、あんたなにチンタラしてんのよ!?」
「でも、アマネはいい子だから……友達だし…」
「ああもう、じれったい!あたしが色々探ってくるから!」
「え、ねーちゃん……」
「掃除しといて!!」
あまりにも速く出て行ったゼイユに、スグリは呆然とする他なかった。
「なによ、恋のライバルなのに何あんなにヘラヘラしてるのよ……!」
ゼイユは廊下を歩きながら、1人で考えていた。スグリにとってアオイは友人でありライバルでありそして初恋の相手だ。アオイと一緒にいる時のスグリはとても幸せそうで、多少拗れたことはあれどとても仲の良い2人だ。その2人の仲を、ゼイユはそれはもう応援していた。
「ぽっと出のやつが横から奪おうっての……?」
側から見れば余計なお世話でしかないのだが、ゼイユにそんなことを考えている余裕はなかった。