「夢かぁ……」
そう呟きながら、僕は廊下を歩いた。きっかけはメロコちゃんのひと言だった。
「アマネはさ、なんか夢とかあんのか?」
そう言われて、僕は何も言えなかった。いや、何か食事関係の仕事をしたいとかは思うけど……具体的なビジョンとかは全く見えないんだよね。
「おっ、アマネじゃねえか。どうした浮かない顔して」
「ペパーくん……」
僕はペパーくんに夢の話をした。ペパーくんは真剣に話を聞いてくれた。
「なるほどなあ……でも意外だな、オマエなら料理!って即答するもんかと」
「いやあ、それはそうなんだけどさあ。でもどうしても自分に自信が持てないっていうか…」
「まあ気持ちは分かるぜ、一歩踏み出すのって勇気いるよな」
「そう!おまけに今まで夢とか考えられない状況にいたしさ…」
「ちょくちょく話聞くけどオマエ今までどんな目に遭ってきたんだよ……」
どんな目?そうだなあ、ひとつ挙げるとするならアレかなあ。
ルセちゃんが僕に目をつけ始めてすぐの頃だったかな。まだルセちゃんの本性とか知らなかったからさ、お母さんが作ってくれた辛いお弁当をルセちゃんの目の前で食べてたの。そしたら何したと思う?
「そんな体に悪そうなの食べちゃダメ。これ食べて、ね?」
どう見たって髪の毛混入してるおかずをあーんしてきたんだよ。そんで断ろうとしたら
「なんで?」
って言って、喉笛にカッターナイフ突きつけてきてね。僕がイヤイヤ食べたらすっごく嬉しそうにして、僕のお弁当の中身を捨てたんだよね。……いやあ、今思い出しても恐ろしい。
「……ゴア表現だらけだけど、聞く?」
「やめとく。それにしてもそうか、進路とかまだ考えてねえのか……なら、ひとついいか?」
「なあに?」
「オレと一緒にさ……秘伝スパイスの研究してくんね?」
「え、秘伝スパイスって…」
「そう、あのすげえ美味くてすげえ効能だらけのスパイスだ。今も一応サワロ先生とかハイダイさんとかに協力してもらってるんだけどさ、まだ分からないことだらけなんだよ。だから人手はあるだけいいんだけど…どうだ?」
「いいの!?前にペパーくんが作ってくれた秘伝からスパイス使用のサンドイッチすごく美味しかったから嬉しい!絶対手伝う!!」
「おう、決まりだな!」
こうして僕は、ペパーくんと一緒に秘伝スパイス、およびポケモンを元気にする料理について研究することになりました。
同時刻 マサラタウン
「……………」
「ああ、大変!レッドが禁断症状で震えてるわ!」
「なんのだよ」
「生のアマネよ、電話とかメールのやりとりはしてるんだけどやっぱり足りないみたい」
「……アマネも大変だ」
アマネ
ルセの髪の毛やら爪やら血やらを食わされてきた。他にもそういうエピソードにいとまがない。
ルセ
だいたいこいつのせい。
レッドさん
次回登場。