「プロム?」
1日の授業が終わって、僕はアオイちゃんからプロムの存在を教えられた。なんでも学年終わりに開催される行事で、友達や恋人を誘って一緒に踊るらしい。そんなイベントがあるのか……
「うん、それでね?アマネくんと一緒に踊りたいなって思うんだけど……どう、かな」
「いいよ?」
「即答!!いいの?恥ずかしくない?」
「うーん、まあ確かに人前に出るのは苦手だけどせっかくの行事だしね。それにアオイちゃんと一緒に踊るの楽しみ!」
「えっへへ、そう?じゃあ申し込んどくね!」
アオイちゃんは弾みながら帰っていった。あの明るい笑顔がいいんだよな。
それから少しして。アカデミー全体がなんだか浮き足立っているように感じる。そろそろ学年の終わり…つまりプロムが近づいているかららしい。実際、食堂でも堂々とカップルがプロムの話題を話しながらイチャイチャしているのを見たし。
「ねぇアマネくん、プロムに着ていくドレスのことなんだけど」
「ドレス?そっか、パーティみたいなものだからめいっぱいおめかししなきゃね」
「それがね……リップさんとオモダカさんが連名で見繕ってくれるって」
「……なんて?」
リップさん。ベイクタウンのジムリーダーで、自他共に認めるファッション・美容界のカリスマ。そしてオモダカさん。パルデアポケモンリーグのトップにして委員長。なぜそんなパルデアの服飾トップ2が出てくる事態に?
「プロムにアマネくんを誘うんですってオモダカさんに話したら、すごい勢いでリップさんに電話し始めて…それから30秒もしないうちにリップさんが来て、ワタシに任せればバッチグーだって…」
「それは…すごいね。とんでもなくお高いの着せられるんじゃない?」
「だよねえ。でも大丈夫!アマネくんも道連れにしたから!」
「はい?」
「アマネくんのスーツも、リップさんとオモダカさんに見繕ってもらうことにしたから!これで1人じゃない!」
「やだーーーっっ!!」
オシャレとかやだ!!僕なんて安くて着られればそれでいいのに!!あ、もちろんマホイップ絡みのファッションは別だよ?でも高いものを着る人の神経は分からない。布だよ?
プロム当日
「はぁい、アオイちゃん久しぶり〜。それから……アナタがアマネちゃん?んふふ、とってもカワイイのね…」
「あはは、どうも……」
「チャンピオン・アオイとチャンピオン・アマネのプロムとあってはこちらとしても全力で協力させていただきます。」
「ええ、オモダカちゃんのことは苦手だけどそこは全面的に同意だわ。大丈夫、2人の魅力をグンバツに引き出してあげる……!!」
「わ、わぁ……!!」
それからはすごかった。採寸が始まって、それからメイクやらが始まった。とはいえ僕たちは素材がいいから特に変える必要はないんだってさ。それでもファンデとか色々使われてすごかったけども。そして肝心のスーツとドレス。ずらりとトルソーに並べられた、見るからに高級そうな逸品の数々!!リップさんのチャーレムがエスパーパワーでどんどん着替えさせていって、もはや自分で何が似合うのかよく分からなかった。
「ふふ……これで完成。イメージは初々しい2人の青春……ね」
「素晴らしい……やはりリップさんにお願いして正解でした」
アオイちゃんは、淡いピンクのバルーンドレス。所々にあるブローチやコサージュがかわいさを際立ててる。僕は白色のスーツにマホイップモチーフのブローチ。まあ悪くないんじゃない?
「うひゃあ…ね、アマネくんどう?わたし変じゃない?」
「うん、似合ってる!アオイちゃんの明るさとかよく出てると思うよ!」
「良かった……アマネくんも似合ってる!かわいいけどかっこいい!」
「ほんと?なら良かった」
「お2人とも、準備は整いました。それでは、プロムを楽しんできてください」
「「はい!!」」
オモダカさんとリップさんに見送られて、僕たちはグラウンドの特設会場に入っていった。会場はバルーンやポケモンの技で鮮やかに飾り付けられていた。
「うわあ……すごい、キラキラしてる!」
「だね、みんな楽しそう」
「アオイー!アマネー!」
「あ、ネモ!」
「2人ともすごく似合ってる!しかもトップとリップさんが協力したんでしょ?いいなー!」
「ネモも似合ってるよ、さすが生徒会長」
「やめてよ〜、これ家にあるの持ってきただけだから!」
なんて話している間に、ダンスパーティが始まった。といっても堅苦しいものじゃなくて、気ままにゆらゆらするだけでもいいらしい。
「えへへ…緊張するけど楽しいね、わたしこういう大きなパーティとか初めて」
「僕もだよ、一緒に楽しもう」
「……うん」
それからダンスは終わって、食事パーティに移った。テーブルには様々な料理が並べられていて、とっても美味しそう!!
「ほみ、ほみ!」
「うんうん、このチキンとか辛くて美味しそうだよねえ」
「アマネくん!このテリーヌだっけ?美味しいよ!」
「おいおいアオイ、食べすぎちゃんだぜ。ドレス汚れても知らねえぞ」
「そ、それは嫌!!リップさんに怒られる!!」
「でもペパーくんもお皿いっぱいに料理取ってるじゃん、アオイちゃんのこと言えないよ」
「俺は研究のためだからいーの!」
いっぱいごはんを食べて、それからも他の生徒たちと交流して……あっという間にプロムは終わりの時間になった。校長先生のスピーチのあと、理事長のオモダカさんのスピーチに移った。
「皆さん、宝探しに普段の学修、お疲れ様でした。皆さんへの労いとしてこの場を用意しましたが、喜んでいただけたら嬉しく思います。それでは最後に……アオイさん、アマネさん。こちらへ」
「えっ?」
「な、なんだろう……」
オモダカさんに呼び出されて、僕たちはステージの上に上がった。すると、それぞれ小さな箱を渡された。開けてみてください、とオモダカさんが目線で促す。箱を開けると……そこにはキラキラしたペンダントが入っていた。
「それは、オレンジアカデミーの中でも特に優秀だった人物に贈られるペンダントです。お2人の活躍は私が直接目にしておりますので……直々に推薦させていただきました」
「ひぇ……」
「そう固くならずに。ただの飾りとして寮の自室にでも置いておいてくれればそれでいいです。それに……」
「それに?」
「これは、ずばり賄賂のようなもの。お2人にはぜひ、パルデアで輝かしい活躍をしていただきたいのです」
ふふ、と微笑むオモダカさんに、なんだか僕たちも肩の力が抜けた。一緒に笑って、プロムはお開きになった。
「すごいのもらっちゃったねえ」
「だね、何を使ってるんだろ?すごくキラキラしてるけど……」
「……ねえ、アマネくん。オモダカさん言ってたよね、パルデアで輝かしい活躍を、って」
「うん、言ってたね」
「アマネくんは…どう?パルデアに、これからもいてくれる?」
「……もちろん」
僕は、アオイちゃんに向き直る。正直まだ恋愛とかそういうのは分からないけど。
「僕は、これからもアオイちゃんと一緒にいるよ」
アオイちゃんの優しさや明るさには、ちゃんと応えたいって思うから。
アマネ
恋愛に鈍いだけで、充分アオイちゃんは大切。
アオイ
アマネと一緒にパルデア生活。
オモダカ
優秀なチャンピオンランク2人を囲う為に全力。ペンダントは数百万する代物。
パルデア永住編おしまいです。次は何にしようかな〜〜