僕とアカマツくんが辛いものの素晴らしさについて語っていると、何やらかわいい声が響いた。
「こんにちは〜」
「!! た、タロ先輩!?!!」
タロ先輩とな。ということはアカマツくんの学校の先輩か。見るからにフェアリーって感じだ。
「ちょっとタチワキに用事があってね、せっかくならアカマツくんのお家でごはん食べていこうかなって」
「そ、そうなんだ!!」
「と こ ろ で」
ずずい、とタロさんが近づいてくる。なんだか目がぎらついているぞ。
「あなたは?」
「あ、アマネです…アカマツくんとは辛いもの好き同士仲良く……」
「そうですか…ちょっと匂いを嗅いでもいいですか?」
「何故?」
ものすごく澄んだ瞳で、ものすごく真剣な顔でぶっ飛んだことを言われた。何を言っているんだこの人は。
「いやほら…見た目がかわいいと匂い嗅ぎたくなりません?」
「なりませんけど…」
「私はなるので嗅ぎますね」
「キャーーーッッ!!」
タロさんが素早く後ろに回り込んで僕の匂いを嗅いでくる。というか…吸われているッッ!!
「これは……辛い匂いの中にふんわりと甘い香り……すんすん、いい匂いですね」
「何をしているんですか??」
「すみません、アマネさんがかわいいのでつい」
「ついでやることじゃない気が」
「ボディタッチもしていいですか?」
「良いわけないですよね??」
「しますね」
「あーー!!人の話聞かないこの人!!」
ほっぺをムニムニされ、頭をわしゃわしゃされ。さらに体をペタペタと触られる。なんだこの時間……!!
「ふう……少し落ち着きました」
「あれだけやって少し??」
「ごめんねアマネちゃん、タロ先輩はかわいいものに目がないんだ」
にしたって変態的すぎる。やはり好きなものを前にすると人は狂うのか。
「ごめんなさい、アマネさんがあまりにもかわいいから…」
「それはまあ、褒め言葉だと受け取りますけど」
「改めて…私はタロ、ブルーベリー学園の2年生です。アカマツくんとはリーグ部で仲良しなんです!ねっ!」
「あ、うん!仲良しだよっ!」
「というわけなので…私とも仲良くしてください、アマネさん」
「まあ…ほどほどになら……」
「じゃあ定期的に吸いに来てもいいですか?」
「ほどほどって言いましたよね??」
怖いなこの人。なんというか、ルセちゃんとは別方向の狂気を感じる。純粋な愛ゆえの狂気って感じだ。
「それで…2人とも何を話してたの?」
「アカマツくんのところの食堂で、辛いメニューを考案したいと思ってて。もっと親しみやすい辛い料理を作れないかなって」
「ふむふむなるほど……だったら私も協力します!辛いものは苦手だけど、そういうことなら!味覚は1番普通に近いと思いますよ!」
「えっ、ほんとに!?うわぁ……素敵すぎる…」
こうして3人で親しみやすい辛い料理開発に取りかかることになりました。アカマツくんのお家のキッチンを借りていざ、作業開始!!
「さて、まずは…アマネちゃんってさ、どれぐらい料理できるの?」
「え、辛いものならなんでも!」
「なるほど、ギャップがかわいい!」
「だったらさ、とりあえず何か辛い料理作ってみてくれない?それで大体の基準を決めよう!」
なるほど、お手並み拝見というわけか。そういうことなら喜んで。さっそく作るぞー!
「ね、アカマツくん。アカマツくんもアマネさんのことかわいいって思ってるよね?」
「へっ!?な、なに急に!」
「だって〜、見てたらわかるもん。アマネさんはふわふわピンクでかわいい、それでいて辛いもの好きのギャップ!はぁ〜、たまらない!!」
「タロ先輩も…そう思う?あんなかわいくて辛いもの好きなんて……あんな素敵な女の子がいるなんてオレ…」
「あ〜、アカマツくん、やっぱりああいう子好きなんだ!!私にもああいうかわいい反応してたもんね!!!」
「ちょっ!!や、やめてよ先輩……」
「うふふ、顔真っ赤!!そういうことなら私応援する!アカマツくんとアマネさん、絶対お似合い!!」
「え、えぇ!?まだそういうのは……」
キッチンで黙々と料理をするアマネを見ながら、2人は盛り上がる。
……念の為に言っておくが、アマネはれっきとした男である。
アマネ
またしてもなにも知らないアマネさん。
アカマツ
純粋でいい子。
タロ
かわいいもの限定の変態。