首を軽く締められる。息が出来ない……!!
「ふふ、苦しい?かわいいね…」
「ほみーっ!!」
「!! フラン……!!」
ルセちゃんにフランが飛びかかった、その瞬間。フランに何かが巻き付いた。あれは…ミロカロス!!
「……ちょうどよかった、お前にも会いたかったのよ」
ルセちゃんが僕の首から手を離す。けれどすぐにアマージョの鋭い脚が突きつけられ、動くなと言われる。
ガァン!!
ものすごい音がして。それは、ルセちゃんがフランを地面に叩きつけた音。
「考えれば、アマネはガラルにいた頃から変だったもんね。そしてあのニュース……マホミルを、お前をゲットしたからアマネはわたしに何も言わなくなった……」
「やめ……げぅっ!!」
フランの首を、ぎりぎりと締める。止めようと動くと、アマージョに腹を踏まれた。
「お前さえいなきゃ……お前がいなきゃ!!アマネはわたしだけのアマネなのに!!」
「ぁ、やめ……」
さっきの真っ赤になった顔が嘘のように、にこっと笑って、彼女はこちらを見る。
「大丈夫よ、アマネ。こいつを殺して、すぐに正気に戻してあげるから」
「………!!」
ダメだ、ダメだ。ルセちゃんの殺意は本物だ。こうなったら、腹を貫かれてでも……!!
「ギュオオーー!!」
「「!?」」
鋭い水流が、僕の前を横切った。気づくと僕の後ろに誰かとカメックスが立っていた。あれは、あの人は……
「………」
「…驚いた、リビングレジェンド・レッド……なんの用かしら」
「………!」
ピカチュウが、アマージョに突進する。その勢いでアマージョが僕から離れる。けれど、フランは変わらずルセちゃんの近くにいる。どうすれば……
「…なるほど、邪魔するのね。いくらわたしでも、ポケモンバトルで貴方に勝てるなんて思ってないわ」
「………」
「だったら。」
ルセちゃんが、またフランの首を締める。そして、ミロカロスがルセちゃんとフランを覆うような位置につく。
「命と交換でどう?退いてくれれば、このマホイップの命は保証するわ」
……さっきまで、殺そうとしていたくせに!!たとえレッドさんが退こうが、また殺そうとするんじゃ……
「オラァ!!」
「!!」
屋上から、トウコさんが飛び降りてくる。さらにNさんも!
「よ〜やく見つけたぜ、全く肝が冷える…」
「…ポケモンを、殺そうとしているのか!?キミは……」
ルセちゃんを、数人が囲む。いくら手段を選ばない彼女とはいえ、この状況では……
「……ぁ」
「?」
「ぁぁああ!!もうなんなの!?どいつもこいつも邪魔ばっかり!!わたしはアマネと一緒になりたいだけなのに!!どうしてみんな邪魔するの!!」
「…オマエが、間違ってるからだろ。オマエのやり方はどう見ても間違って…」
「わたしは間違ってない、間違ってるのは邪魔ばかりするお前たちの方!!」
「ざけんな、反吐が出るぜ」
ルセちゃんがワルビアルを、トウコさんがガマゲロゲを繰り出す。Nさんがゾロアークを繰り出すと、それに対してポリゴン2を繰り出す。
「ガマゲロゲ、ねっとう!」
「ゾロアーク、バークアウト!」
トウコさんとNさんが、ポケモンバトルを始めようとする。けれどそれは意味のないことだ。
「邪魔」
そう、ルセちゃんがどす黒い声で呟く。その瞬間、ワルビアルは大量の砂かけを、ポリゴン2ははかいこうせんを……それぞれ、トレーナーの2人に向かって放った。
「なっ……!!」
「トウコ!!」
2人とも間一髪で避けたけど、その顔には戸惑いが出ていた。当然だろう、ポケモンバトルを仕掛けたのに思いっきりそれを無視されたのだから。でもルセちゃんはこういう存在なんだ。目的のためならなんだってする。倫理なんて知らん顔で。
「邪魔、邪魔……!!やっちゃえ、ジバコイル」
ジバコイルが、体を点滅させる。まずい、あれは「フラッシュ」!!まさかあのまま逃げる気じゃ…
「ギャオオオ!!」
「!!」
リザードンが、炎を纏ってジバコイルに突っ込む。そして見ると、ルセちゃんの手からフランがいなくなっていた。
「フラン!」
「ほみ!」
どうやらリザードンと一緒に、ピカチュウが突っ込んでいっていたようだった。フランが、無事でよかった……
「………」
「……だったら、全員退かせばいいだけでしょ。アマージョ、パワーウィップ!!」
地面を割って、大量のツルがおびただしく現れる。ツルは的確に人間を狙って鞭のように蠢いている。ルセちゃんのアマージョは、特別に強い個体だ。確か、ぬしポケモンのなり損ないを拾って育てたとか言っていたな。その他の手持ちも、みんなルセちゃんの「教育」を受けているから強いけど。
「ンだこれ、パワーウィップで出していい量じゃねえだろ!!ふざけてんのか!!」
「…無理やり力を引き出されているんだ、あのアマージョは!!」
「……!!」
皆、相手に手間取っているようだった。繊細かつ的確な技。それがルセちゃんのトレーナーとしての「教育」の賜物だ。いくら炎技で焼き払っても次がやってくる。ツルを消すにはアマージョを倒すしかないけれど、そもそもツルがある限りアマージョに近づけない。最悪のコンボだ。
「さあ、邪魔者はこれでひとまず足止めできたし……アマネ、お話しましょ」
「…僕は、やっぱりきみの気持ちには応えられない」
「どうして?」
「だって、きみは僕の大切なものを大切にしてくれないから」
「………」
「僕はフランが好き。だからフランの大切なものを大切にしたい。だってそれを粗末にしたらフランが悲しむから」
「………」
「僕は恋愛とかよく分からないけど。それでも、相手を大切にする、想うってそういうことだと思う」
「……そう」
ルセちゃんがうつむく。……不気味だ。伝わった、のか?
「アマネは、そう思うのね」
「少なくとも」
「でも、わたしはそうは思わない」
「え」
「わたしはアマネが好きでアマネ以外の人間にもポケモンにも何にだって興味がないのわたしからすれば皆アマネ以外はモブ…いやそれほどの価値もないのそれを大切にする意味が分からないわたしにはアマネさえいればいいのもちろんアマネと一緒にポケモンバトルを強くなりたいとは思うけどそれはあくまで楽しむだけであって本命じゃないのあくまで大事なのはアマネがいるっていうことであってそれ以外は本当にどうでもいいのアマネにもわたし以外を見てほしくないのだって嫌でしょ?好きな人が自分以外を見ているなんて考えたくもないでしょ?世界に2人ぼっちでいいってわたしはアマネだったらそう思えるのむしろアマネ以外今すぐ消えてほしいの何もかも消えてなくなってわたしとアマネの2人きりでずっと一緒に生きて朽ちて死んでいきたいのわたしにとっての大切はアマネだけだからアマネにはわたしだけであってほしいのううんそうじゃなきゃいけないのそれがわたしにとって正しい想いであって生きる理由なのだからアマネのそれは違うのわたしにとっては違うの」
「だからそのマホイップも、アマネにとっては大切でもわたしにとっては邪魔なの。だから殺すの」
「……そう」
アマージョが飛びかかってくる。あまりに俊敏で、目で捉えるのは難しい。だから。
「…フラン、マジカルフレイム!!」
「は」
ドゴォォン
火柱が上がる。目で捉えられないなら、そこら一面を焼けばいい。フランのマジカルフレイムなら、それができる。アマージョが倒れたことでパワーウィップも消えて、皆が降りてくる。
「……そう、そんなに強いんだ、そのマホイップ」
「フランは強いよ」
「………」
「さあて、ルセとやら。まだ立つか?オマエ相手にまともなバトルが出来ねえのは分かった、今度は容赦しねえぞ」
「………!!」
「……そう」
アマージョをモンスターボールに戻して、ルセちゃんが髪をかき上げる。
「じゃあ、アマネのこと追いかけるのやめる」
「……え?」
「……信用できねえな」
「別に信じなくっていいわ、わたしのやることだもの」
「…本当に、追いかけてこないの?」
「もちろん。アマネからわたしの方に来てくれるように努力する。だから一旦アローラに帰るわ」
……正直、ルセちゃんが嘘をついたことはないから信用はしてもいいんだけど。ただあまりに不気味だ、何もせずに引き下がるなんて……
「言っとくが、アタシらの目が黒いうちはアマネに近づけると思うなよ」
「分かってるわ、だからやめるのよ」
ジバコイルを出す。リザードンの攻撃でフラフラだけど、もちろんルセちゃんにとってはお構いなしだ。
「それじゃあアマネ、」
「またね」
ルセちゃんは、ジバコイルに乗って消えていった。
アマネ
少しとはいえ立ち向かった。
ルセ
アマネ大好き。わたしにはアマネしかいらないからアマネにもわたし以外いらないよね??
トウコ・N
純粋なポケモンバトルなら勝てた。相手がおかしかった
レッド
異常な気配を察して乱入。もしあの時レッドさんが退いてたらフランは命こそ助かったが再起不能にされていた。