今日も僕はレッドさんに特訓をつけてもらっていた。ほのおわざの精度を上げる特訓、攻撃を耐える特訓。それからポケモンの気持ちを理解するために走り込みとかよくわからないのもあったけど、まあ必要なんだろう。
「……今日は、おしまいかな」
「はい!ありがとうございました!」
「……汗かいたね、温泉入ろっか」
「やったあ、シロガネやまの温泉好きなんですよね〜」
シロガネやまの頂上には、まさに秘湯と言っていい温泉があるんだ。そこは本当に暖かくて癒される。自然は偉大だねえ。
「はぁ〜〜、癒される〜〜」
「………」
レッドさんも顔を緩くしてリラックスしてるみたい。それからレッドさんにもらったタマゴもここで温めてる。なんでもここの温泉はタマゴを孵すのにも効くらしい。
「そういえば、このタマゴってなんのポケモンのタマゴなんですか?」
「……内緒」
「えー、いじわる」
なんて話をしていると、レッドさんが僕の体をじっと見つめてくる。なんだ、怖いぞ。
「……その傷、どうしたの」
「これですか?まあちょっと……」
「……そっか」
そう言って、レッドさんは自分の脇腹を見つめた。よく見ると、レッドさんの脇腹にも傷痕があることに気づいた。どうしたんだろう、レッドさんのことだからポケモンと戦ってケガしたとかかな。
「……アマネくんは、さ。僕のこと、怖くないの」
「??なんでですか??」
「……だって。僕、バトルのことだと本当に鋭くなるんだ。それに無口、だし愛想も良くないし……」
「それとこれ、関係あります?レッドさんが優しい人なのはよく知ってますよ」
「……そう、かな」
「そうですよ、初対面もレッドさんが倒れてるのを見つけた感じですし。ていうかそもそも僕はレッドさんのこと知らなかったですしね〜」
「……そっか」
レッドさんははにかんだ。笑顔が下手なんだよな、この人。それから温泉を上がって、タマゴをタオルで拭いていると。何やらぴょんぴょん跳ね出した。
「うわ!?レッドさん、これ、これなんですか!!」
「……生まれる」
「へぇ!?何がですか!!いきなり攻撃されたりとかしないですよね!!ねぇ!?」
「……ンフッ」
「笑った!!今笑ったでしょレッドさん!!」
そう僕が焦っている間にも、どんどんタマゴは飛び跳ねていく。やがてタマゴの殻もひび割れていき……
パッカーーン
「ちゃーーっ!!」
…タマゴから生まれた、というか飛び出してきたのは、ピチューだった。でも左耳がギザギザしている。癖っ毛かな。
「ちゃ、ちゃーーっっ!!」
ピチューは落ち着きなくあちこちを走ったり飛び跳ねたりしている。タマゴの殻から自由になって嬉しいのかね。
「ぴ、ピチュー。危ないから一旦……」
「ちゃーーっっ!!」
「げふっ!!」
思いっきり顎に頭突きを喰らった。すんごい痛いぞ。元気なのはいいけどここまでだと心配になっちゃうから…えいっ。
「ちゃっ!?」
「……お」
レッドさんとの特訓で鍛えられた肩を使って、ピチューをモンスターボールに入れた。数回揺れて、カチッ。晴れてピチュー、ゲットだぜ!
「ちゃーー!!」
「あはは、かわいいね……もう少し落ち着いてくれればいいんだけど……」
「……僕のピカチュウの子だから、強いよ」
「そうなんですか!?」
ギザみみピチューは、ほっぺをスリスリ寄せてきた。カワイイネ!!
…それから数日。僕はピチューのお世話に振り回されていました。
アマネ
レッドさんの功績を知らなかった。知っていても多分同じ対応。
レッド
体に傷痕がある。自分に自信がない。
ピチュー
みなさんご存知ギザみみピチュー。元気いっぱい6V個体。落ち着きがない。