「……あの、レッドさん」
「ん?」
「近いです」
レッドさんが突然泣き出した次の日。レッドさんがやたらと距離を詰めてくるようになった。それに何かと手伝おうとしてくれる。何をするにもついてきて、まるで赤ちゃんポケモンのようだった。
「じゃあ、このジャガイモを切ってくださいね」
「………(コクリ」
今日も今日とてカレーだ。流石に毎日ってわけじゃないよ、他にもハンバーグとか作ってるから!それにレッドさんが1番カレーを美味しそうに食べているから、自然と多くなるんだよね。
「おいしいですか?」
「……うん」
レッドさん、美味しそうに食べるんだよな。ほっぺに詰め込んで、まるでホシガリスみたいだ。それに目を輝かせているんだ、何度でもおかわりさせてあげたくなっちゃう。
「てつだう」
「ありがとうございます、じゃあ、お鍋を運んでください」
「うん」
レッドさんが何かを手伝って、僕がお礼を言う。そうするとレッドさんは露骨に喜ぶんだ。目を輝かせてマジカルシャインみたいにパァっとなって。本当に子供みたいだ、何があったんだろう。
「アマネくん」
「はい?」
「だいすき」
「……あ、はは……」
そう、変わったことといえばこれだ。しょっちゅうレッドさんが、僕のことを大好きだと言ってくる。別に嫌じゃないんだよ、むしろ嬉しい。でも怖いんだよね、だって心当たりないもの。何かレッドさんを劇的に変える出来事でもあったのかしら。
「ちゃーーー!!!」
「うわ、ピチュー!」
「……相変わらず、元気だね」
「ですね」
ピチューもだいぶ僕に懐いてくれて、今も僕にだっこをせがんでいる。相変わらず落ち着きはないけれど、それでも元気ならいいやと思ってる。それに衝撃の事実があった!それは……
「ピチュー、マトマのみのすりおろしだよ〜」
「ちゃ〜〜!!」
そう、ピチューはなんと辛いもの好きだったのです!僕のバッグを漁ってマトマのみを丸かじりしているのを発見したのがきっかけ。そういうことならお任せあれ!僕は辛い料理なら大得意なのだ。といってもまだ生まれたてだからきのみのすりおろしだけどね。
「うへへ、可愛い〜」
「………」
「ね、レッドさんもそう思いますよね?」
「……うらやましい」
「へぁ?」
「僕も食べさせてほしい」
んぁーー??レッドさんほんとにどうしちゃったんだ。いきなり甘えん坊モードになっちゃった。もしかしてあれかな、本当は甘えん坊だったけど特訓のために我慢してくれてたのかな。だったら甘やかそうかな!レッドさんが食べてるとこ見るの好きだし!
「じゃあレッドさん、オッカのみどーぞ!」
「………!!(パァァ」
ボトッ。
ん?何かが聞こえたぞ。音の方向を見ると、オーバーオールの女の子が真っ青な顔で立っていた。足元にはモンスターボールが転がっている。なるほど、その音か。
「あ、レッドさんの知り合いですか?」
「………」
「………」
女の子は喋らない。というか、喋れないといった方が正しいかもしれない。顔は青ざめていて、よく見るとぶるぶる震えている。
「ぃ、いやぁぁーーーー!!!」
女の子は、悲鳴をあげてダッシュで走り去っていった。なんだったんだ……??
アマネ
レッドさん甘やかしてあげよーっと。
レッドさん
甘えん坊モード発動。
女の子
白いキャスケットにオーバーオール。ポケギアが特徴的。