スコヴィラン。ハバネロポケモン。色の違う2つの頭からはそれぞれ違う味のハバネロエキスを出す。あまりに辛いソースは普通の人間は食べられないので薄めて使う。
「っていうポケモンで…」
「くぁ〜〜、聞けば聞くほど素敵なポケモン!ね、メロコちゃん、スコヴィランのいる場所とか、もしくはスコヴィランを連れてるトレーナーさんとか知らない!?すぐにでも会いたい!そしてそのハバネロソースを味わいたいんだ!!」
「落ち着けって!!オマエさっきとは別人みたいだな!!」
「ほみー!!」
「ああ、ごめんねフラン。もちろんフランが1番だよ」
「はぁ…しゃーねえな、そんなの分かってるからここに来たんだろ」
ここ、というのはパルデア地方の西1番エリア。セルクルタウンを抜けて坂道にやってきていた。もしやここにスコヴィランが?!
「ここにはスコヴィランの進化前、カプサイジが出るんだ。とりあえずカプサイジを捕まえて辛さを確認して、そんで進化させればいいだろ。ほのおのいしなら持ってるからさ」
「メロコちゃん……!!大好き!!!」
「んなっ……!!お、オマエな、いくら女同士だからってそういうの軽く言うもんじゃねえって…」
「ん?」
「どした?」
女同士?え、メロコちゃん、僕のこと女の子だと思ってたの?いやまあ確かにかわいいものは好きだし同年代の男の子に比べて背も低いし声も高いけど。それはなかなかにショック……
「うおおお!!逃げろ〜〜〜!!」
「んっ!?」
などと考えていると、大きい犬ポケモンを連れたお兄さんが慌てて走ってきた。なにごと?
「おい、どうしたんだよ!?その制服、アカデミーの生徒だろ?」
「オマエら、西1番エリアから離れた方がいいぜ!でっかいスコヴィランが大暴れしてんだ!!」
「でっかいスコヴィラン!??!」
「うぉビックリした、なんだオマエ!?」
「お兄さん、そのでっかいスコヴィランはどこに!?どのくらい大きいんですか!?それに大暴れってどんな感じに?!」
「こらこら、落ち着けって!質問攻めにしても意味ねーだろ!!」
おっと失礼。だがでっかいスコヴィランと聞いては興奮が治らない!!もしかしてパルデアにもダイマックスみたいなのがあるのかな?それとも突然変異??ああ、気になる!!
「なんだオマエ、スコヴィラン探してたのか?」
「スコヴィランというか、進化前のカプサイジな。こいつは辛いもの好きでさ。ひと目見たいっていうから連れてきたんだ」
「なるほど、それであんなはしゃいでたのか。でもあのスコヴィランはやべえぞ。なんてったってヌシだからな!!」
「ヌシ…?」
なんだろう、聞いたことのない言葉だ。群れとかがあるのかな?
「オレはペパー。パルデアの秘伝スパイスって言うのを研究してる料理人だ!秘伝スパイスってのはな、ペロッと舐めるだけでみるみる健康になっちまうすげえ代物なんだが……パルデアに散らばる秘伝スパイスは、ヌシっつー特別にでかいポケモンが守ってるんだ」
「秘伝スパイス…サワロセンコーの授業で聞いたな。そんで?ヌシってなんだよ?聞く感じただでかいってわけじゃないんだろ?」
「おう!ヌシっていうのは、秘伝スパイスの栄養を摂りまくってバカでかくなったポケモンのことだ。要は自分の栄養のために秘伝スパイスを守ってるんだ」
「秘伝スパイスってすごいんだね……やっぱり栄養って大事なんだなあ」
「そんでここからが本題なんだが。元々ここのヌシはオトシドリっつーポケモンだったんだ。でもオレとオレのダチで追い払ったんだよ。そっからしばらくは大人しかったんだけどよ…さっき様子を見に行ったらスコヴィランがヌシサイズになってやがった!!たぶん秘伝スパイスを隠れて食ってたんだな!」
「いいなあ、超巨大スコヴィラン……えへへ」
「おいおい、そんなかわいいもんじゃねえって!スコヴィランのやつ、エキスを撒き散らしてるから周囲への被害も酷いんだぜ?ハバネロエキスが水たまりみたいになってもう匂いで目やら鼻やらにダメージがいくんだよ!!」
目や鼻にダメージがいくハバネロエキス……想像するだけで興奮する。あぁ、せめてひと目だけでも見てみたい!!そしてあわよくばそのエキスを味わいたい!!
「ほら、あそこだよ。マジででかいから双眼鏡でも見えるぜ」
「どれどれ……」
ペパーお兄さんに双眼鏡を貸してもらって、山道の方を見る。そこには真っ赤な水たまりがいっぱいで、そこを見ていくと……いた、特大スコヴィラン!!!すごい、緑の頭からは炎を吹いて、赤い頭からはエキスを出してる!!すごいなぁ、素敵だなぁ!!
「な、やべえだろ?近づくだけでもやられるぜありゃ。アオイがいりゃ倒せたんだろうが…今はブルーベリー学園だしなぁ。」
「とは言ってもあのまま放っておくのもダメだろ。どうにかしねえと……」
ペパーお兄さんとメロコちゃんがスコヴィランの対応に頭を悩ませる。僕としてもスコヴィランにお近づきになりたいからどうにか落ち着かせたいな。待てよ、確かスコヴィランは辛いエキスの力で凶暴になってるポケモンだって聞いたな……
「ねえペパーさん、辛い食材って持ってたりしますか?」
「ん?おお、いっぱい持ってるぜ!それがどうかしたか?」
「いやですね、スコヴィランにあまりにも辛いものを食べさせたら、オーバーフローして落ち着くんじゃないかなーって……」
「「………」」
まずい、2人とも黙っちゃったぞ。でもなかなかいいアイデアだと思うんだけど…
「あのなぁ、流石にそれは…」
「いいなそれ!!オマエ天才ちゃんか!?」
「えぇ?!」
「ですよね!僕も辛いものの上限突破すると逆に寒くなるとかありますから!」
「ちょ、オマエら…」
「よし、そんじゃあ料理を考えるか!!」
「それなら思いついてます、カレーならいろんなものを入れられてかつ美味しい!」
「なるほど、大賛成だぜ!!」
「オレもう突っ込まねえからな」
こうして、ペパーお兄さんと一緒にスコヴィランを鎮めるカレーを作ることになりました。
《スコヴィランも気絶する!!獄激辛カレーの作り方》
・材料:秘伝からスパイス、フランの激辛クリーム、マトマのみ、オッカのみ、クラボのみ、チイラのみ、その他スパイス諸々
・手順
その1:きのみや材料をぶち込む
その2:スパイスをぶち込んで火加減を調整
その3:よくかき混ぜる。地獄の釜のようにかき混ぜる。(※常人の場合目や鼻、のどにダメージがいきます。アマネは常人ではないので心配無用です。)
その4:まごころをこめる。
「かんせーい!!できました、スコヴィランを鎮めるカレー、完成です、よ……」
僕が意気揚々と2人にカレー鍋を向けると。2人はそれはもう咳き込んでいた。涙を流し、むせていた。一瞬地獄かと思うほどに。
「え、2人ともどうしたの……?」
「どうしたのじゃねぇーーよ!!これやべえって!!ここにいても刺してくる!!やめろ、近づけるな!!」
「ゲホゲホ……でもこれなら、スコヴィランも倒せ、る……」
ペパーお兄さんが固まる。何やら大きな影が見える。そろーっと振り返ると……よだれを垂らしたヌシスコヴィランの姿が!!!でっかい!!!マジででっかい!!!よし、あとはこのカレーを食べさせれば………
……あれ、これどうやって食べさせるんだ?
しまったあああ!!!すっかり忘れてた!!このままじゃ僕ごと食べられちゃう!!いや、スコヴィランはまだ動いていない!!匂いを嗅いで様子を伺っている!!それなら……
「なんとかなれーーーッッ!!」
ぱくっ。
おたまでカレーをひと口食べさせる。するとスコヴィランが固まった。おっ、これは効果があったんじゃない!?なんだ、スコヴィランが震えて、だんだん小さくなって……
バターーーン!!!
……倒れた。もしかして今なら。モンスターボールをそろ〜っと近づけて。1回揺れて、2回揺れて、3回目。
カチッ⭐︎
「……やったーー!!スコヴィラン、ゲット!!」
「マジかよ!やっぱあのカレーえげつなかったんだな!!」
「あのでかいスコヴィランが一撃必殺ってどういうことだよ……」
「やったぁ、連れてきてくれたメロコちゃんも、色々手伝ってくれたペパーさんもありがとう!!お礼に2人もこのカレー食べます?」
「「絶対イヤだ」」
「そんなぁ」
その後、カレーは僕とフランで食べました。かえんほうしゃ級の辛さで奥深くて美味しかったです。まる。
アマネ
どう見たって女の子な男の娘だが自覚なし。ただかわいいものが好きなだけの男子(自認)。ただし辛いものに対しては色々おかしい。
メロコ
アマネのことは女の子だと思っていた。1人称に関しても自分がオレっ娘なので特に違和感はなかった。1番まとも。
ペパー
お兄さんだがピュアな少年心を忘れない。あのあと料理人としての探究心からひと口だけカレーを食べたが死んだ。
スコヴィラン
秘伝スパイスを食べて有り余るエネルギーで巨大化&暴走していた。でも獄激辛カレーには勝てなかった。のちにポケモンセンターに連れていったらひんしだったとか。