トキワシティ 焼肉屋にて
「ちきしょーーーー!!!」
ダァン!!
コトネは涙を流しながら、メロンソーダを浴びるように飲んでいた。当然やけ飲みである。
「おーおー、荒れてんなぁ」
「仕方ないわよ…あれだけ見せつけられちゃあね……」
「うぇ、ひっぐ……なんなんですかあれぇ……あのレッドさんが、完全にメロメロでデレデレで……」
「そんなにか?」
「そんなによ!!アンタも見たら分かるわ、あれはもう別人レベルよ!」
グリーンは実のところ、ブルーとコトネに比べて衝撃は受けていなかった。もちろんレッドにいきなりそういう存在ができたことには驚いたが、冷静に考えればレッドとて人間なのだ。確かに俗世から離れて山籠りしているようなヤツだが、ある程度は普通の感性も持っているだろう。
「…よしわかった、オレさまが見に行ってやるよ」
「やめてください!!あのイチャイチャは聞きたくありません!!」
「大丈夫だって、ちょーっと様子を見に行くだけだからよ」
「そうよ、落ち着きなさい」
「うぅ……」
コトネはブルーに任せて、早速グリーンはシロガネやまに向かった。相変わらず人間を拒むように険しいが、グリーンの実力なら登れる。麓から登ろうとすると、背後に気配を感じた。
「!!」
「あら、気づかれてもうた」
「アンタ……」
「ふふ、うちはアズキ。ここでちょっとした茶屋を営んどるお姉さんよ」
アズキの指差した方向には、確かに小洒落た茶屋があった。シロガネやまに登る者の憩いとなっているスポットだ。
「それにしても……ふふ、だいぶおもろいことになってるみたいやね」
「面白いことって……レッド絡みか?」
「そ。あんなおもろいもん、今時舞台でも観れへんわ」
「あのなぁ……こっちは真剣なんだよ、そういやアンタは何か知ってるのか?」
「何かって?」
「あの…アマネって女子だよ、アンタならいつ頃来たとか分かるんじゃねえのか?」
「……っふふ、そやなぁ、知っとるよ。もう2人でシロガネやまに来て随分経つしねぇ。特訓とは言うけれど、とっても仲良しよ」
やはり第3者から見てもレッドとそのアマネとやらは仲良しに見えるらしい。
「今なら温泉に入っとるやろうし、見に行ったらどない?」
「は、一緒に!?」
「そうよ、一緒に。仲良しやしねぇ……ってあら」
グリーンは走り出していた。いくら仲良しで大好きだとしても、一緒に温泉に入るのは余程のことだ。そこまでレッドと関係性が深いとは。
やがてシロガネやまの頂上へと辿り着き、湯気が上っているのが見えた。よく耳を澄ますと、何やら可愛らしい声が聞こえてくる。
「あはは、レッドさん上手!」
一応言っておくが、グリーンに女子の裸を見たいという欲望はない。いやないわけではないが。だが今彼の頭の中にあるのは、コトネたちの見たものを確認することだけだ。そこは間違えないでやってほしい。
「レッド!!」
「うわ、びっくりした」
「………!!」
グリーンは、硬直した。確かに温泉にはレッドと、アマネらしきピンク髪の人物が入っている。それはいい。だが。アマネとやらには、確かに
「………」
「…えーっと、グリーンさん、ですよね?」
「……いきなり、何」
「……うん、うん、そうか……」
空を仰いで、グリーンは頷く。なるほど。理解した。そして。
「うおおおお!!」
……全力で、その場を離れた。
「…なんだったんですかね?」
「さあ」
「コトネ、そろそろ飲むのやめたら?もう24杯めよ」
「まだです!こんな量じゃわたしの気持ちは洗い流せません!!」
バァン!!!
「うわ、グリーンじゃない。戻ってきたの?」
「………」
「グリーンさん…やっぱり見たんですか?」
「コトネ……」
コトネの肩をガシッと掴む。グリーンの眼差しは真剣そのものだった。
「コトネ……今から言うことでお前は傷つくかもしれない。それでも知らなきゃいけないことだ」
「え……なんですか?」
「アマネはな……男だ」
「………えぁ?」
アマネ
だが男だ。
グリーン
割とまとも。
コトネ
処理落ち。