はじめましての人ははじめまして、ガラルのチャンピオン・ユウリです。突然ですが皆さん、推しっていますか?推しは、人生に潤いを与えてくれる生きる糧。ポケモンだったり芸能人だったり……いろんな推しがいると思うんです。
そんなわたしの推しは……
「あ、ユウリさん!いらっしゃいませ!」
このカワイイ男の子、アマネくんでーーす!!はあぁ今日も優しい笑顔がカワイイアマネくん!わたしの癒し、げんきのかたまり!
わたしがアマネくんに出会ったのはチャンピオンになったばかりの頃、ブラッシータウンでの撮影が終わった時のこと。その時はとにかく忙しくてヘロヘロ。今すぐ家に帰りたかったけど…ある看板が目に入ったんだ。
「大盛りハンバーグカレー……?」
カレー大好きなわたしは吸い込まれるように、その料理店に入っていった。そこで明るく出迎えてくれたのが。
「いらっしゃいませ!」
アマネくん!!今思い出してもかわいい。初めてやってきたわたしにも優しくメニューを教えてくれて。夜も遅かったからお客さんはわたしだけだったのもあって、色々お話をした。
「へぇ、辛いもの好きなんだ!」
「はい、辛いきのみとかいっぱい集めてます」
「だったらこれあげる、辛いきのみいっぱい!」
「えぇ、いいんですかぁ!?」
露骨に目を輝かせるアマネくん。辛いものが好きで、料理開発なんかも手伝ってるって聞いた。それからわたしは癒しを求めて、お忍びで通うようになった。
もちろん美味しい料理を食べられるところはいっぱいあるんだけど、アマネくんちのほどよい狭さと雰囲気がちょうど良くって通うことにしたんだ。
「アマネくんはさ、チャンピオンのこと…どう思う?」
「チャンピオンって、ユウリさんのことですか?」
「うん、ほら…最近なったばかりでしょ、どうなのかなーって」
あ、ちなみにわたしは変装して通ってるから別人のテイね。アマネくんにこのことを聞いたのは…単純に気になってたの。世間はわたしをもてはやすけど、実際はそんなことないんじゃって思っちゃって。
「すごいですけど…大変そうですよね」
「大変そう?」
「はい、ごはんとかちゃんと食べてるのかなって。すごく忙しそうですし」
「ふふ…アマネくんは優しいねぇ、そんなこと考えるのママくらいだよ」
「何言ってるんですか、ごはんは生きるために必要ですから!」
「うん、そうだね」
わたしはすごくびっくりした。てっきり不甲斐ないとか、そういうこと言われると思ってたから。でもその答えがすごくアマネくんらしいというか、優しいというか。とにかく嬉しかった。
もっとアマネくんとお話したい。ただ想定外だったのが。
「でも僕…バトル苦手なんですよねえ。ポケモンが傷つくのを見るのが嫌で」
そう、アマネくんはバトルが苦手。これはまずい。だってわたしが話せることといえばバトルとカレーくらいで。早速話題がなくなっちゃった。とはいえ何か繋がりがほしい。そう考えた末にわたしがやったのは。
「アマネくん、辛いきのみあげる!」
「アマネくん、お金足りてる?」
……貢ぐこと。別に変な意味じゃないよ?ただなんかわたしがプレゼントしたものでアマネくんが少しでもいい生活ができたらなーと思って。お金は断られたけど。
明るくて優しいアマネくん。彼と話すのが幸せで、楽しくて。でもある日を境に、元気がなくなっていった。ものすごく心配になって聞いてみた。そうしたら。
「実はその……トレーナーズスクールでいじめられてて」
顔が熱くなるのを感じた。アマネくんをいじめる人がいるなんて!すぐにわたしは正体を明かして、アマネくんを助けようとしたけれど。
「なんていうか…話が通じないんです。多分ユウリさんが言っても無駄だと思います」
アマネくんは顔を伏せて言った。本当に諦めてるんだろう。だったらわたしは、少しでもアマネくんが頼れるような人間になろう。そう決意した矢先だった。
チャンピオンの仕事が忙しくなって、アマネくんに会えなくなった。今まで脱出に協力してくれてたダンデさんも、これは無理かもなって苦笑いしていた。
癒しがなくなって疲れていたけど、アマネくんも頑張ってるんだと思って堪えた。そんな折に、ニュースでマホイップの新種発見を知った。発見したのはアマネくん!すごい、辛いものもマホイップも大好きなアマネくんが、マホイップのげきからフレーバーを発見したなんて。
でもアマネくんは苦しかったみたい。ポプラさんから話を聞かされた。
「メディアどもが騒いでね。うるさいったらありゃしないよ」
「そうなんですね……」
それからアマネくんには会えなかった。メディアの人が来るせいで、料理店も閉めざるを得なくなったみたい。心配でたまらない。
「ピンクの坊やかい?それならパルデアに行かせたよ。少しでも気分転換になればと思ってね」
愕然とした。いつ帰って来るかもわからないんだって。放心状態で歩いていると、いつの間にか料理店に歩いてきていた。アマネくんはいないけど、ここの料理を食べるだけならいいかな。
「あら、あなた……チャンピオンのユウリちゃんじゃない!」
「はい、こんにちは…」
「そういえば、アマネがユウリちゃんにお手紙書いたって言ってたのよ。もし今度うちに来たら渡してって言ってたけど…ほんとに来てくれるなんて!」
「え、アマネくんからお手紙!?」
アマネくんのママさんにお手紙をもらう。マホイップデザインのかわいいお手紙。中を開くと、アマネくんからのメッセージが綴られていた。
『ユウリさんへ いつも料理店に来てくれてありがとうございました 変装してるつもりだったんだろうけどバレバレすぎるのでサングラスだけはやめた方がいいと思います ユウリさんがいつも話してくれて楽しかったです ほとぼりが冷めて落ち着いたらまた来てくれたら嬉しいです アマネ』
「ぅ、うぅ……」
涙が溢れてくる。わたしは何もできなかったのに。アマネくんがいじめられてても、マスコミに追い詰められても何もしてあげられなかったのに。
アマネくんがいつ帰ってきても大丈夫なように、わたしもアマネくんのために動こう。
ユウリ
ご存知ガラルチャンプ。バトルとカレー以外で距離の詰め方を知らないので貢ぐしかできない。
アマネマミー
ユウリの変装に気付いてなかった。