タマゴから生まれた水色のポケモンをスマホロトムで調べるが、一向にそれらしきデータは出てこなかった。ユウキの提案で、アマネはオダマキ博士に会うことにした。
「うーん……もし僕の経験が正しければ、このポケモンはマナフィかもしれない」
「「マナフィ?」」
「シンオウに伝わる伝説……と言っても民間の伝承に近しいんだけどね、海の王子と呼ばれるポケモンが存在して、ちょうどきみたちが話してくれたようなタマゴから生まれるとされているんだ」
「でも、そんなすごいポケモンがなんで僕のところに…」
「話を聞く限り、きみにタマゴを託した女の子は…人間じゃないのかもしれないね。きみがマナフィを託すに値する人間だと判断して、接触したんじゃないのかな」
「うわあ、なんかスケールがでかい…」
「ふぃ!」
マナフィはアマネに頬擦りをしたり笑顔を向けたりと上機嫌な様子だった。
「多分、生まれてから初めて見たきみを親だと思ってるんだろうね」
「えへへ、嬉しいなぁ」
(アマネさんがママ……似合ってる!!まさに聖母!)
「とにかく!これは大発見だぞぅ、幻のポケモンが発見されるなんてね!アマネさん…きみさえよければしばらくホウエンに滞在して、マナフィの様子とかを教えてくれないかな?」
「もちろんです!ユウキくんがよければ、ですけど…」
「も、もちろん!責任を持って俺がアマネさんたちを案内するし、守りますよ!」
「それなら安心だぁ!」
オダマキ博士の元を離れ、アマネとユウキはトウカのもりでキャンプをすることにした。
「マナフィちゃん、ごはんだよ〜」
「ふぃ!」
オレンのみのすりおろしを、アマネはスプーンでマナフィに与える。側から見れば完全に母子のようで、ユウキの口角は上がるばかりだった。
「カワイイなぁ……」
「ね、マナフィちゃんかわいいよね!」
「え、あ、うん!!」
(あっぶねえ……口から本心が出ちゃったよ)
「ふぃ〜」
「あ、喉渇いた?じゃあお水飲もうね〜」
くぴくぴとマナフィは水を飲む。やがて満足したのか、マナフィは眠ってしまった。眠ったマナフィを、アマネはタオルでくるむ。
「それにしても海の王子かぁ、なんかマナフィには似合わないよなぁ」
「だよね、生まれたばかりだから想像がつかないだけかもしれないけど…もしかしたらすごいパワーを持ってたりするのかも」
「うーん、そんな小さくてかわいいポケモンがえげつないパワーかぁ……」
ユウキの中ですごいパワーを持つポケモンといえば、グラードンやカイオーガと言った見るからに強大な伝説ポケモンたちだった。なのでマナフィのようなポケモンにそういったパワーは似合わないと考えた。
「そうだ!海の王子なんだからさ、カイナシティに行くのは?」
「カイナシティ?どこ?」
「港町だよ、海の家の焼きそばが美味しいんだよ〜」
「焼きそば!いいね、それに海の家っていうロケーションがいい!」
「でしょ?じゃあ行こう!」
こうしてアマネとユウキはカイナシティに向かうことになった。
「うわぁ……綺麗な海……」
「ね、綺麗でしょ!」
「うん、ガラルはそういうの見れないから新鮮」
海や砂浜に目を輝かせるアマネを見て、ユウキは心の底からカイナシティに来て良かったと思った。
「あれ?そこの2人、デート?」
「ねえ2人とも、デート中?」
波打ち際を歩いていると、突然見るからにチャラそうな男たちに絡まれ、ユウキはアマネを庇うように前に出た。
「…なんですか、お兄さんたち」
「その女の子めっちゃかわいいじゃん!ちょっと俺らと遊ぼうよ!」
「え、あの……」
「そこの平凡そうな子と違って、俺ら色々と経験豊富だから楽しませてあげるよ?」
「おい、やめろよ!」
ユウキが声を出した、その瞬間だった。男のうちの1人が素早く回り込んで、アマネの腕を掴んだ。
「はい、美少女ゲット〜!」
「え、あっ……ちょ、離してください!」
「嫌がんなくてもいいじゃ〜ん、ほら、俺らと一緒に……」
「ふぃ……」
その時。アマネの気持ちに共鳴したのか、マナフィが体をこわばらせた。次の瞬間。
「ふぃーーーーーー!!!」
マナフィが大声を上げた、と思うと。
ザパァァン……
海から、ホエルオーたちが顔を出した。それだけではない、キバニアにメノクラゲ、どこからかペリッパーの群れまで現れていた。
「な、なんだ……?」
それらのポケモンたちは、チャラ男たちをじっと睨んでいた。
「ふぃ、ふぃい!!」
マナフィが何かを訴える。するとなんと、ポケモンたちは一斉に男たちに向かって技をチャージし始めたのだ。
「ひ、ひぃぃ!!」
男たちは腰を抜かして、情けなく逃げていく。それで満足したのか、海のポケモンたちは帰って行った。
「い、今のって……」
「ふぃ!」
マナフィがアマネに笑顔を向ける。まるで「褒めて!」と言わんばかりに。
「うん……マナフィ、ありがとうね。でもあれはやりすぎだからね」
「ふぃー?」
「あんなのやったら死んじゃうからね」
「ふぃー?(死んでも良くない?)」
一瞬マナフィの声が聞こえた気がして、ユウキは静かに頷いた。アマネを傷つけようとした野郎どもなど、死んでも構わないと思う。
ちょっとした騒ぎにはなったものの、幸い大事にはならなかった。
「うん……マナフィのパワーは本物みたいだね」
「あんなことにならないよう、僕がしっかり教えなきゃ……」
アマネ
ナンパされた。おかげで死者が出かけた。
ユウキ
アマネさん大好き。
マナフィ
アマネ大好き。