「あのね、アマネくん」
「はい」
「別にその格好は悪くないの、とっても素敵だと思う」
「はい」
「でも態度とかそういうので人の気持ちとか……気付けるようにならないとね」
「……はい」
病室を追い出されたアマネは、ルチアに静かに説教を喰らっていた。もちろん当のアマネからすれば普通に接していただけなのだが……
「アマネさん、いやアマネくん!!」
「えっ、あっ、ユウキくん!?大丈夫なの!?」
病室から勢いよくユウキが飛び出してくる。まだ顔色は悪く、真っ青だ。
「いや、大丈夫じゃないよね!?ベッドで寝といた方が……」
「いや大丈夫!それよりどうしても伝えたいことがあるんだ!」
「伝えたいこと……?」
ユウキと一緒に、アマネは病院の屋上に行くことになった。道中でユウキは無言のままで、アマネはかなり気まずかった。
「着いた……それで、伝えたいことって?」
「…うん、まず俺は、アマネくんのことを女の子だと勘違いしてました」
「…そうだね」
「そして勝手に好きになりました」
「そうなんだ……」
「そして男の子だと知ってショックを受けました」
「うん、あの……ごめん」
「謝らないで!アマネくんは悪くないから!俺が勘違いしただけだし!それでなんだけど……」
ユウキが何かを差し出す。それは一輪の花だった。
「えっと、その……あれから考えたんだよ。アマネくんが男の子だって知って、どうやって接していこうかって。その時思ったのは、俺ってアマネくんが女の子だと思ってたから優しくしてたなってこと。」
「あー……そうなる、のかなぁ」
「そう思う!実際いいとこ見せようって思ってたし!だから、改めて……」
「俺と友達になってください!」
「………」
「……ダメかな?」
「…ううん、もちろんOKだよ!これからもよろしくね、ユウキくん!」
「よっしゃ!うん、改めてよろしく、アマネくん!」
2人が固く手を握る。こうして、ようやく友情が結ばれたのだった。そして病室に戻ると、椅子に座って項垂れているセンリがいた。
「……父さん……」
「ユウキ……俺はどうすればいい、ようやく息子がいい子を連れてきたと思ったのに、その子が男だなんて……」
「まだ言ってんのかよ!俺もそうだけど勝手に勘違いしただけだろ!しばらくそこで凹んどけば?」
「ユウキくんって結構センリさんにきついよね」
「だってさー?」
そう言って、ユウキとアマネは談笑を始める。その光景が余計仲睦まじい男女に見えて、センリはまたしてもダメージを負うのであった。
「あ、お母さんから電話。ちょっと出るね」
アマネのスマホロトムに着信が入る。電話をかけてきたのは母だった。
「もしもしお母さん?どうしたの?」
『もしもしアマネ?ごめんねいきなり電話して。そっちはどう?今ホウエンなんでしょ?』
「うん、大丈夫。それで何?様子聞きにきただけ?」
『それがね……うちにあのいじめっ子から手紙が来たのよ』
その言葉を聞いて、アマネの背筋が冷える。あのいじめっ子……つまりルセから手紙がアマネの実家宛に届いた。だが彼女はアローラに戻ったはず。今さら一体なんのつもりで……?
『手紙自体はなんていうか……不気味なくらい普通なの、ぜひアローラに来てくださいって。でもあの子のことだから絶対何かあると思って……』
「………」
電話先からでも、母の心配する気持ちが伝わってくる。それでも。
「……わかった、アローラに行くよ」
『え、でも……』
「正直あのルセちゃんが大人しく引き下がるとは思ってなかったから。僕だって強くなったんだよ、少しくらいあの子に反抗できる……と、思う」
『そう……アマネが決めたなら、お母さんは何も言わないわ。でもその前に1回くらいはガラルに帰ってきてくれてもいいんじゃない?アマネの旅先での話、色々聞きたいもの』
「うん、そうする」
こうしてアマネは、一度ガラルに帰ることになった。その先にある、乙女からの誘いを受けて立つためにも。
アマネ
ユウキくんとは友達。
ユウキ
アマネと友達になった。これからようやく仲良くなれるね!