あ、今回もホラーかも描写あります
ホテルから離れたけど、道ゆく人も皆焦点の合っていない目でぼーっとしている。もしかしてアローラの人は全員こうなってるのか……?
「おーい!」
「ん?誰かの声?」
「あれは…ククイ博士?」
建物から、白衣の男の人が走ってくる。白衣と言っても、上半身には白衣以外着ていないんだけど。
「君たち、無事だったか!」
「アローラのククイ博士ですよね、無事かどうか確認してくるってことは…」
「ああ、今アローラは……危ない!!」
ククイ博士がいきなりアカマツくんに覆い被さる。その瞬間、ククイ博士に白い何かが突き刺さった。
「は、博士!?どうしたの!?」
「………」
「ククイさん……?」
ククイ博士は俯いたまま動かない。そしてようやく立ち上がったかと思うと。
ぐ る ん
「逃げろーー!!」
目の焦点が合っていなかった。そして全速力で追ってくる!!怖い怖い怖い!!!
「フラン、ホットクリームお願い!!」
「ほみー!!」
申し訳ないけどククイ博士の顔にクリームを発射した。悲惨なことになるかもだけど許してほしい。必死に逃げて、シェードジャングルに逃げ込んだ。
「ここなら大丈夫かな……」
「誰だ!」
茂みから誰かが飛び出してくる。そこにいたのは金髪のかっこいいお兄さん。
「お前たち……無事なのか!?」
「お兄さんこそ!正気を保ってるんですね!」
アローラに来てようやくまともな人に出会って一安心。僕たちも一息ついてお兄さんと話をすることにした。
「オレはグラジオ。お前たちは?」
「僕はアマネ、こちらがユウリさんとアオイちゃん、」
「わたしはタロで、こっちがアカマツくんです!」
「……お前たちはアローラの人間じゃないな?」
「はい、旅行で来ました」
「そうか…ずいぶん最悪なタイミングで来てしまったな、お前たちが体験した通り、今アローラは異常そのものだ」
「お兄さんはアローラの人なんですよね?何か知ってることとかありませんか?」
「知っていることか……お前たちは白い触手を見たか?」
白い触手……あ、もしかしてククイ博士に刺さったやつ!でもあれってどこから出てきたんだ?
「その様子だと見たようだな、アレに刺されると操り人形になるんだ」
「操り人形?誰かが触手を使ってるってこと?」
「おそらくな。だが目的がわからない……ある日突然空を割って現れて、アローラの人間を無差別に襲い始めたんだ」
「怖すぎる……」
……ルセちゃんか?いやでもいくらルセちゃんでもそんな芸当できないだろうし……
「だが触手を出現させられる場所にも限りがあるのか、ここのような木々に覆われた場所には襲って来ないんだ。とはいえ触手は突然現れる上素早い……オレも必死で逃げてきた」
「なんかゾンビパニックみたい……映画の分あれの方がマシだけど」
「あの、グラジオさん。もう少し知っていることを教えてもらえませんか?」
「む……そう言われてもな、オレの知っていることはこれぐらいで……」
「それならワタシたちが教えよう」
ジャングルに無機質な声が響く。そこには白い宇宙服みたいなのを着た2人組がいた。
「お前たちは……確か母さんの実験に協力していた」
「ああ。ワタシたちはウルトラ調査隊。この一件はウルトラビースト・ウツロイドによって起こされているものだ」
「ウルトラビースト?」
ウルトラ調査隊の2人…ダルスさんとアマモさんの言うところによると、異世界からやってきた強いポケモンたちをウルトラビーストと呼ぶらしく、そのうちの1体がウツロイドというポケモンなんだって。
「神経毒で人を襲い自我を喪失させる……だがウツロイドの寄生方法は覆い被さるような形だったはずだが?」
「ああ。今回の騒動はただのウツロイドが起こしたものではない。1匹のウツロイドにこんな広範囲のことはできない」
「…というと?やっぱり黒幕がいるってことですか?」
「その通り。ウツロイドたちを統率し、支配する存在。名付けてクイーンビーストが存在している……とワタシたちは考えている」
「クイーンビースト……」
特殊個体か何かか……でもなんのために?どうしてアローラの人たちを襲うんだ?
プルプルプル
スマホに電話がかかってくる。非通知。
「……もしもし」
『あ、アマネ?』
地を這うような、べったりとした甘い声。ルセちゃんだ。そういえば彼女もアローラにいるはず。電話をかけてきたってことは無事なのか……
「ルセちゃんは無事なんだね」
『……うふふ、わたしの心配してくれるんだぁ。嬉しい、嬉しいなぁ……』
「それで、何の用?」
『もう、冷たいんだから。もう少しお話してくれてもいいじゃん』
「今アローラが非常事態なの知ってるでしょ、早く話して」
『まあね、よく知ってる。ねえアマネ……会いたいな』
「……なにが言いたいの」
『でも今わたし動けないの。アマネも今迂闊に動けないでしょ?だから待ち合わせしましょ』
「……どこで」
『日輪の祭壇。そこで迎えに行くから』
『待っててね アマネ』
ぷつん。電話は切れた。