大ヒスイ時代へ
今日、僕はエンジンシティの博物館に来ていました。本当ならジムチャレンジャー同士のセミファイナルが始まるはずだったんだけど、ちょっとした事件が起きたみたいで少しの間お休みになったんだ。
「うわぁ見て、手書きでポケモン図鑑書いてるよ」
「ほみ〜」
暇になったので少し興味があった大ヒスイ展なるものを見に来たんだけど…これがまぁすごい。昔のシンオウ…ヒスイ地方に暮らしていた人たちの暮らしがいっぱい展示されている。昔のモンスターボールなんて木製だよ、すごいなぁ。
「そこの人!よければ当時の衣装を着てみませんか?」
「え、いいんですか?」
「もちろん!」
ご厚意に甘えて、昔の人が着ていた着物を着ることに。蘇芳色って言うのかな?ほんのりピンクでかわいい!それに草履も結構分厚いぞ。
「ぜひお写真でも!」
「ありがとうございます!」
フランを肩に乗せて、はいポーズ!
パシャッ
え、眩しっ……
僕が目を開けると、そこはどこかの浜辺だった。
「……え?何これ……」
「きゃあーー!誰かぁーー!!」
悲鳴が聞こえて、すぐに走っていくと、そこにはゴルバットの群れが人を襲っているのが見えた。
「フラン、ホットクリームいっぱい!」
「ほみーっ!!」
クリームを浴びたゴルバットたちは、一目散に逃げていった。
「あぁ、ありがとうございます!もしかしてあなたもヒスイにやってきたんですか?」
「? まあ、そうなるんですかね……?」
よく見ると、みんな着物を着ている。しかもスマホロトムを見てみると……圏外。え、これはいったい……
「皆さん!何やら悲鳴が聞こえましたが……」
「ああ、デンボクさん!さっきポケモンの群れに襲われて……でもこの子が助けてくれたんです!」
「そうでしたか、あなたは?」
「えっと…アマネって言います!」
「ほう、アマネどの……どこからおいでなさった?」
「が、ガラル地方から来ました……」
「ほう、ガラル!それはまた遠いところから!さあどうぞ、長旅でお疲れでしょう、皆さんムラへ!」
そう言って、デンボクさんは僕たちを案内する。あれ、でもこのデンボクさんの着てる着物、見覚えがあるような……?
そうして大きな門をくぐると、そこには大きな村があった。でも建物は全部木造だし、なんか変……
「さて、ここがコトブキムラでございます!皆さんの新しい住処ですぞ!」
……コトブキムラ?あれ、それってヒスイ時代の村の名前じゃ……
「母ちゃん、お腹すいた〜!」
「あらあら、どうしようね……」
「!! だったら、僕がおいしいカレーを作りますよ!」
「カレー!確かガラルで有名な料理ですな!よろしいのですか?」
「はい、得意料理ですから!」
色々気になることはあるけど、おなかが空いてる人がいるならまずはそっちを優先しないとね。と言うわけで大きい鍋でカレーを作る。今回は普通の甘口カレー。あとで僕のだけにフランの激辛クリームを入れます。
「できましたよ!みなさんどうぞ!」
「!! おいしい〜、ちょっと辛いけどそれがいい!」
「うむ、よく煮込まれている!これがガラルのカレーですか…」
「ふむう、イモモチにかけてみてもいいかもしれんな」
みんな喜んで食べてくれてるなあ。うんうん、ごはんを食べるときは笑顔がいいよね!
「Oh!何やら美味しそうな匂いがしますね!」
「おお、ラベン博士!テルに……ショウか」
門をくぐって、3人の人が歩いてきた。1人は優しそうな白衣のおじさん、1人は明るそうな男の子、そして1人は……浮かない表情の女の子だ。
「実はこのアマネどのがガラルからの人でな。カレーを振る舞っているのだ。よければ博士たちも食べていくか?」
「ワオ!いいんですか?ありがたくいただきましょう!」
「やったー、いただきます!さっきから腹へって仕方なかったんだ〜」
ラベンさんとテルさんはすぐにお皿を取るけど、ショウさんは動く気配がない。
「……わたしは、いいです。調査を進めないと……」
「…そうだな、まだ団員ランクも低い。しばらくは調査を…」
「ダメです!」
「……え?」
僕はショウさんに近づいて、無理やりカレーの乗ったお皿を渡す。ちょっと大盛りのね。
「ショウさん、ですよね?その顔はごはんが足りてない顔ですよ!食事は力の源!しっかり食べないとダメです!ほら!!」
「…ありがとう、ございます」
ショウさんは少し離れた場所に移動してカレーを食べ始めた。おいしく食べてくれればいいんだけど……
「……ふう、これでひとまずおしまいかな」
「いやあ、アマネどののおかげで皆笑顔です!ありがとうございました」
「いえ、僕が好きでやったことですから。ところでさっきのショウさん……なんだか元気がなかったように見えますけど」
「……仕方がありません。あれはどこからきたかも分からぬ余所者ですから。いきなり空から落ちてきたと聞くが……」
……いきなり空から落ちてきた?何それ、まるで流行りのタイムスリップものみたいだな……ん?タイムスリップ?もしかして……いやそんなまさか……
「あの、僕もちょっとおなかいっぱいなので歩いてきますね!!」
「おお、気をつけてくださいね」
足を早めて、ショウさんのところに歩いていく。
「あのぅ……ちょっといいですか?」
「ひゃっ!!あ、はい、なんでしょう……」
「あの……変なことを聞くかもしれないんですけど……」
「……なんですか?」
「タイムスリップって……どう思います?」
いや正直めっちゃ怖い。でもこの説が正しければ、ここは昔のシンオウ地方のはずだ。そしてショウさんも空から落ちてきたなら……いや違ったら怖いな。
「……もしかして、あなたも?」
「え?」
「……わたしは、よく分からないんです。ただアルセウスによって無理やりここに連れてこられて……覚えてるのはわたしがこの時代の存在じゃないってことと使命だけで……」
「…そう、なんですね」
なんてこった。と言うことは本当にタイムスリップしちゃったのか。どおりで色々古いしスマホロトムも電波が入らないわけだ。
「その、使命っていうのは?」
「……この時代のヒスイで、ポケモンへの理解を深めて、人とポケモンを繋ぐこと。……なんてすごくぼんやりした使命です。でもそれしか、わたしにはやることも帰るあても……」
「…なるほど、わかりました」
「………」
「僕も協力します!!」
「え?」
「僕がヒスイに連れてこられたのも、きっと理由があると思うんです!ですからショウさんの手伝いをします!助けになれるかはともかく……」
「………」
「…すいません、変なこと言って……」
「…いえ、嬉しいです!ありがとうございます、アマネさん!」
「はい、よろしくお願いします、ショウさん!」
僕とショウさんが握手を交わす。こうして、ヒスイでの旅が始まろうとしていました。
アマネ
ヒスイ展を見に行ったらヒスイに飛ばされた。ガラルから来たし当時の着物を着てたので怪しいもの扱いはされなかった。
ショウ
主人公。余所者扱いと業務で疲れてる。