大きな鍋を使ってカレーを作っていると、匂いに誘われたのかコンゴウ団の人たちが家から出て集まってきた。
「なんだ?いい匂いだなぁ」
「なんだかお腹が空く〜」
やっぱりカレーの匂いは今昔関係なくお腹が空く匂いなんだなあ。分かりますとも!具は贅沢にじゃがいもをゴロゴロさせちゃおう!味付けは……まあ大衆向けに中辛にしましょうか!ちゃんと混ぜて……かんせーい!
「できました、カレーです!さあみなさんどうぞ!配りますから並んでくださーい!」
「やったぁ、美味しそう!」
「待ってました!」
こうしてじゃがいもカレーが出来上がって、みんなに配る。みんな美味しそうに食べてくれてるなぁ、セキさんもどうかな?
「あっ、結構辛いんだな……でも、うん、美味い!」
「よかったぁ、もっと食べてください!」
「うんうん、美味い!これならみんな喜ぶよね!」
「………」
いやぁ良かった、ちなみに僕のは別でサビナのハバネロエキスを3種入れてるよ。これぐらいしたほうが美味しいからね。
「ねえ、アマネさん」
「え?えーっときみは…」
「あたしワサビ!ねえ、あたしもその辛口食べたいな」
「えぇ?でも本当に辛いよ?大丈夫?」
「大丈夫、あたし辛いの得意だもの」
「そういうことなら任せて!いきなりハバネロエキス3種盛りは危ないから、まずは一種ね!」
ワサビちゃん、かわいい顔して辛いの得意なんだ、意外だなあ。おや、ショウさんが近づいてきたぞ。
「……ねえアマネさん、ちょっとわがまま言っていいですか」
「? まあ内容によりますけど……」
そう言って、ショウさんは僕に寄りかかってくる。なんだかいい匂いがするぞ。
「……私、アマネさんにあんまり他の人と仲良くなってほしくない、です」
「へ?」
「私にはアマネさんしかいないのに、アマネさんは他の人と仲良くなるの、嫌で……ごめんなさい、こんなこと言って困らせるだけなのは分かってるんです。でも……」
「………」
ショウさんには僕しかいない?そんなことないと思うけどなぁ。でも確かにショウさんも1人で寂しいのかなあ。かといって他の人と仲良くなっちゃダメっていうのも、う〜〜ん……
「…ごめんなさい、変なこと言って…」
「だったら、これどうぞ!」
「ん?」
ショウさんに手渡したのは、紅色の綺麗な櫛。こないだショウさんがポケモンのお世話をしている間にイチョウ商会さんで見つけて買ったんだよね。
「それ、ショウさんに似合うかなと思って。これを見て僕のこと思い出してくれれば寂しくない……はずだと思うんですけど、どうですかね……?」
「……ありがとうございます、嬉しいです。」
「ほんとは何かのお祝いの時に渡したかったんですけどね……」
「おーいアマネどの!カレーのおかわりがしたいってよ!」
「あ、はーい!ショウさん、またあとで!」
ショウさんに手を振って、カレーを配りに戻る。こういう忙しさなら大歓迎なんだけどな。
「………」
ショウはアマネから贈られた櫛を眺めていた。花の模様が描かれた可愛らしいデザインのものだ。紅色が輝いていて美しい。
「あれ〜?それ、誰にもらったの?」
「ヒナツさん。アマネさんから、貰いました」
「そうなんだ!あの子かわいい顔して意外とやるねえ!」
ちなみにヒナツはアマネが男であると知っている。先日彼女がコトブキムラを訪れた際に少し会話をしていたのだ。
「櫛を送るってことは……そういうこと、だよねえ?」
「……普通は、そうだと思いますけど」
きっとアマネは、櫛を贈ることの意味を知らない。ただ単純に、ショウに似合いそうだからという善意で選んだのだろう。そういうことでないのは、分かっている。それでも。
「すごく……嬉しいですね。大切にします」
ショウにとっては、かけがえのない宝物になった。
アマネ
ご存知クソボケ。櫛を女性に贈る意味?こいつが知ってると思うかい?
ショウ
独占欲〜〜!!