リッシ湖、エイチ湖、シンジ湖の3つを巡り、湖の中央にある洞穴で試練を受ける。と言っても試練を受けるのはショウさんで、僕とウォロさんは外で待機しているんだけどね。
「そういえばアマネさんはガラル地方から来られたとか。なぜここまでショウさんに肩入れするのですか?」
「うーん、特にこれといった理由はなにも。ただショウさんが困ってて、寂しそうだったので」
「……それだけ?特に見返りなどもなく?」
「はい、それだけですね」
本当は僕も帰りたいからなんだけど、まあ主な目的はショウさんを助けることだからいいか。そういえばウォロさんもどうしてショウさんを助けるんだろう。ウォロさんってシロナさんみたいなダメ人間感はないけど、なんというか本心が分からないんだよな。
「2人とも、終わりましたよ」
「ショウさん!どうでしたか?」
「はい、必要な材料はもらえました。あとはテンガン山の霧の遺跡に向かうようにと」
「霧の遺跡ですか、あそこはただ朽ちた遺跡だと思っていましたが……」
「とにかく行きましょう!」
テンガン山の霧の遺跡に向かうと、すでにコギトさんがいた。コギトさんのそばには……なんかすごいピンクのポケモン。
「こやつは妾の古い知り合いでな、風に乗せてもらって来たのじゃ」
「あぁ〜い」
「そうなんですね……って、うわ」
霧の遺跡の石板に近づくと、ショウさんの持っていた材料が輝き出して、湖のポケモンたちが現れた。3匹はどこかに祈りを捧げると……その材料は、あかいくさりに変わっていた。
「これが、あかいくさり……」
「これがあれば異変を解決できるのですね!さあ早速参りましょう!」
「おまえら!ここにいたか」
「セキさん?」
セキさんがなにやら焦った様子でやってくる。その側にはテルさんとラベン博士の姿もあった。
「無事だったのですね、ショウくん!あぁ、よかった……」
「それもそうだけど、もっと重要なことあるでしょ!大変だよショウ、デンボクさんがシンオウ神殿に勝手に行っちゃったんだ!このままじゃたくさんの人が死ぬ!」
「………そう、ですか。ちょうど私たちもシンオウ神殿に向かうところでした。行きましょう」
「ショウ」
凛とした声が響く。そこには、シマボシさんがいた。
「……シマボシさん」
「解決策を見つけたのだな、何よりだ。だが……まずはショウ、お前に謝罪させてほしい」
「謝罪?シマボシさんはなにも……」
その瞬間、シマボシさんは綺麗に頭を下げた。普段キリッと顔を上げているシマボシさんが頭を下げるもんだから、僕たちはみんなびっくりしてしまった。
「……お前を、守ってやることができなくてすまない。今まで身を粉にして調査やキングたちの沈静化に励んでくれたお前が追放されるのを、止めることができなかった。ひとえに上司であり団長の部下である私の責任だ。罵ってくれて構わない」
「……シマボシさんは、悪くありません。早く行きましょう、この異変を解決しないと」
「ああ……頼む」
「アマネさん、行きましょう」
ショウさんと一緒に、山頂まで登っていく。静かな時間が流れていた。
テンガン山を登る間、私は頭の中でテル先輩の言葉を反芻していた。
「デンボクさんがシンオウ神殿に勝手に行っちゃったんだ!このままじゃたくさんの人が死ぬ!」
それを聞いて、私が思ったのは。
そのまま死んでくれればいいのに、だった。
私はデンボクに何かをしてもらったことがない。ただ怪しまれて、余所者と言われ続けて、挙句の果てに追放された。それでも、今私はシンオウ神殿に向かっている。でもそれは決してデンボクや顔も知らないギンガ団の人間のためではない。
とっとと解決して、ポケモンを捕まえて。そうして、アマネさんと一緒に帰るんだ。
そのためだけ。デンボクの生き死にはどうでもいいけれど、ついでに助けてやってもまあいいだろう。
アマネ
ショウさんを助けたい、が1番の行動原理。だって寂しそうだったから。
ショウ
デンボクはどうでもいい。でもシマボシさんが言うならついでにね。