僕はげきからマホイップと世界を巡る   作:三笠みくら

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長いです。


明日は晴れの日

 

テンガン山を登ると、そこにはギンガ団の警備隊、調査隊の人たち……そして、鎧に身を包んだデンボクさんがいた。

 

 

「……ショウ、お前か」

 

「そこ、退いてくれます」

 

「ここに来たと言うことは、何か解決策があるのだろう。だが……私もギンガ団を背負う身。得体の知れぬお前に、ヒスイの未来を簡単に任せるわけにはいかない!」

 

「………」

 

「おい!まだそんなこと言ってんのかデンボク殿!!」

 

「そうだよ、ここまできて強がりはよして!」

 

「ショウ……ここから先は、より強い者が対処することにしよう。構えろ!」

 

 

そう言ってデンボクさんが取り出したのは、モンスターボール。デンボクさん、ポケモン持ってたのか。

 

 

「……わかりましたよ、やればいいんでしょ」

 

「ああ。それでいい」

 

 

こうして、デンボクさんとショウさんのバトルが始まった……のだけど。

 

 

決着はすぐついた。ショウさんが強すぎたのか、デンボクさんが弱かったのか。デンボクさんのポケモンは、ショウさんのポケモンたちに蹂躙されて終わった。

 

 

「もういいですか?私行くので」

 

「……待ってくれ。お前を余所者として扱い、不当に追放などの扱いをしたことは謝る。だが……私たちの生活を、安寧を脅かすならば、たとえ人間だろうがポケモンだろうが、排除せねばいかんのだ!!」

 

「デンボク殿……」

 

「私は、あなたのことを知らない。知ろうとも思わない。でも、その思いには共感できる」

 

 

ショウさんが、デンボクさんに歩み寄る。けれど顔は険しいままだ。

 

 

「私だって、安寧が欲しい。人並みの幸せが欲しい。それを邪魔するなら、なんだって排除する。たとえあなたであっても」

 

「……すまない、身勝手なことは分かっている……だが、ショウ!!どうか、ヒスイを救ってはくれまいか!!」

 

 

デンボクさんがしたのは、まさかの土下座。なんだろう、今までのデンボクさんへのイライラとかそういうのが、びっくりしすぎてどこかに行っちゃった。でもそれほどまでに、デンボクさんは必死なんだ。

 

 

「いいですよ。私の求めるもの、それを追うついでに(・・・・)救ってあげますよ。それでいいでしょう、分かったならこれ以上……」

 

 

 

「私の邪魔、しないで」

 

 

 

「……ああ」

 

 

ショウさんが、神殿に歩みを進める。あかいくさりを、天に捧げる。すると空の裂け目から、何かが……

 

 

ガギャギャア!!!

 

 

あれは……シンジュ団の集落に行った時に見せてもらった、シンオウさま……?

 

 

「うっ!」

 

「カイ、どうした!」

 

「頭に、語りかけてくる……我ヲ捕らえ、時を打ち倒セ! シンオウさま……シンオウさまなの!?」

 

「あれが、シンオウさま。なるほど……」

 

 

ショウさんが、凛と立つ。そこに、恐れは一切ない。

 

 

「邪魔、すんな!!」

 

 

ショウさんがヌメルゴンを繰り出す。巨大なシンオウさまにも負けないほどの巨体は、ショウさんへの信頼を示している。

 

 

「ヌメルゴン、アイアンヘッド!!」

 

「ガギャアオ!!」

 

「まだまだ、りゅうのはどう!!」

 

「ガギャ……ギャアアオ!!」

 

 

その瞬間、シンオウさまが激しい光を放った。次の瞬間、ぐにゃりと空間が歪んだ気がして。

 

 

「……ショウさんっ!!」

 

「え……」

 

 

僕は、ショウさんを突き飛ばした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シンオウさまだろうがなんだろうが、邪魔するなら叩きのめすだけ。そう思っていたけれど。やっぱりポケモンというのは、人智の及ばないもので。

 

一瞬放たれた、激しい光。その眩しさに目を閉じると、比喩なんかじゃなく、“死”が目の前にあるのを感じた。けれど。

 

 

「ショウさんっ!!」

 

 

その声と衝撃で、私は意識を取り戻した。振り向くと、地面が抉れている。あれが、直撃するところだったんだ。でも。

 

 

「よ、よかったぁ……」

 

 

アマネさんが、助けてくれた。いや、もしかすると。

 

 

「………」

 

 

シンオウさまが、そう仕向けたのかもしれない。知っているのかな。私の原動力が、全てが、アマネさんへの想いだってことを。

 

 

「アマネさん……助けてくれて、ありがとう」

 

「いいえ、大丈夫です。ねえシンオウさま、僕も……ショウさんと一緒に戦っていいですか」

 

「……ガギャ」

 

 

静かに頷く。それは「許す」ということなのだろう。命の懸かった勝負なのに、ひどくドキドキする。きっと、アマネさんと一緒に戦えるから。肩を、並べられるから。

 

 

「やるよ、フラン!!」

 

「行って、ヌメルゴン!!」

 

 

負けない。勝って、解決して。アマネさんと一緒に帰るの。そのためなら、なんだって____!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……すげえな」

 

 

セキは、ぽつりとそう呟いた。今目の前で、ショウとアマネが伝説そのものと戦っている。それももちろんのことながら、最もセキが感嘆したのは2人の戦いであった。

 

ショウのヌメルゴンは、とにかく強い。頑健でたくましい。アマネのマホイップは……なんだあれ。真っ赤なクリームを打ち出して、体を溶かして。

 

以前ショウの戦いを、アマネは舞のようだと言っていたが。

 

 

「お前らが揃ったら、完全に舞台じゃねえか!」

 

 

そう、セキは確信した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これで止め……だ!!」

 

 

ショウさんのヌメルゴンが、「ラスターカノン」を放つ。その瞬間、シンオウさまはぐらつく。

 

 

「ショウさん、今がチャンスです!!」

 

「行け____!!」

 

 

ショウさんがぶん投げたのは、ギガトンボール。何やら恨みがこもっていた気がしないでもないが、まあ捕まえやすいしね。

 

数回揺れて、カチッ。無事シンオウさまをゲットだ!!

 

 

「やった!やったよショウさん!」

 

「いや……まだです。言ってましたよね、時を打ち倒せって。つまりまだ何か……」

 

 

グギュグバァ!!!

 

 

時空の裂け目から、また何かが落ちてくる。あれは__コンゴウ団の本で見た、シンオウさま?でも少し形が違うような。

 

 

「おい、あれはシンオウさまじゃねえか!どういうことだ、シンオウさまが2体!?」

 

「どっちもシンオウさまなんじゃないの!?ショウさん、シンオウさまを……ううん、パルキアさまを!!」

 

 

カイさんの言葉で、ギガトンボールからパルキアが出てくる。パルキアは僕たちに目配せをする。どうやら、戦わなきゃいけないみたいだ。

 

 

「……アマネさん、大丈夫ですか」

 

「ううん、僕も戦いますよ。バトルなら自信が__ぎゃあ!!」

 

 

次の瞬間、隕石っぽいのが降り注いできた。待って、それは違うじゃん。バトルならともかく、それは無理だって!!

 

 

「こうなったら……ごめんなさい、アマネさん!」

 

「え?あ、くすぐったい……あっはは!!」

 

「あった、激辛玉!!これをシズメダマ代わりに使いましょう!シンオウさまだから大丈夫だと思います!!」

 

「なるほど、やりましょう!!」

 

 

作っててよかった激辛玉!!激辛玉は辛いきのみや植物の汁、粉を混ぜ合わせたもので生物には威力抜群なんだけど……ちょっとまずい気がするのは僕だけでしょうか。

 

 

「行け、激辛玉!!」

 

 

ショウさんが次々に激辛玉を投げていく。僕も離れたところから必死で投げるけど……届いてるのかなぁこれ、自信ない!!そうしたら、シンオウさま(青い方)がこっちを向いた。まずい!!

 

 

「な、なんとかなれーーっっ!!」

 

 

苦し紛れに投げた激辛玉。それがシンオウさま(青)の顔面に当たり……

 

 

「ギャアアアア!!!」

 

 

……倒れた。しかもめっちゃむせてる。あと泣いてる。一応効くんだ激辛玉……あ、これフランのクリームとサビナの3種ハバネロエキス組み合わせたやつだわ。そりゃ効くはずだ。

 

 

「えっと……えいっ」

 

 

ショウさんがギガトンボールをぶつける。そして、数回揺れてカチッ。なんか申し訳ないけど……シンオウさま(青)、ゲットだ!

 

すると、空がみるみるうちに晴れていった。青くて、明るい空。異変は解決できたんだ……!!

 

 

「うん……お前ら、すげえぜ!!シンオウさまを両方とも打ち倒して捕まえちまうなんてな!」

 

「ほんと!でもコンゴウ団の方のシンオウさまは、激辛玉を顔に投げられたくらいでなんて……ねえ?」

 

「あぁ?やるかお前?」

 

「ふふんだ、負けないよ」

 

「やめんか!……これで、平和が戻ったのだな」

 

「うわ、デンボク殿泣いてら」

 

「うるさい!」

 

「ぎゃあ!!」

 

 

僕たちは、コトブキムラへと帰った。みんな疲れていた。でもおめでたいことだからと、ムラ全体でお祭りをすることになった。もちろん僕たちも参加OK。

 

 

「ショウさん、ここにいたんですか」

 

「アマネさん」

 

 

僕がお祭りごはんを満喫している間に、ショウさんはムラの高台に1人で座っていた。浴衣は白色でよく似合ってる。

 

 

「時空の裂け目……消えちゃいましたね」

 

「はい、でも時空の裂け目からじゃないと帰れないってわけじゃないでしょ?」

 

「そうですね……」

 

 

ショウさんが、アルセウスフォンの画面を見せてくる。そこには相変わらず

 

 

『全てのポケモンと出会え』

 

 

とあった。相変わらず無機質だ。

 

 

「でも、これで異変はもう起きないですよね」

 

「そうですね、おかげでポケモンの調査に集中できます」

 

「よかったぁ……」

 

「アマネさん、食べかすついてます」

 

「え、ほんとに?どこですか?」

 

 

僕の頬に、ショウさんの手が触れる。マメもできてるし、切り傷だってある。こういう時、僕も運動神経よかったらと思うな。

 

 

「はい、取れました」

 

「ありがとうございます、ショウさんもりんご飴食べます?」

 

「いいえ、大丈夫です。……ねえ、アマネさん」

 

「はい?」

 

 

ドオォォーーン

 

 

……ショウさんが何かを言うのと同時に、花火が上がった。おかげでショウさんが何を言ったのか分からなかった。口を動かしてるのはわかったのだけど。

 

 

「ショウさん、今なんて言いました?」

 

「……ふふ、内緒」

 

「えぇ?教えてくださいよ〜」

 

「内緒です、それより屋台見に行きましょ!」

 

 

ショウさんに手を引かれて、僕はまた屋台に走っていく。りんご飴や焼きそばを見て目を輝かせるショウさんを、僕はただ見つめていた。

 




アマネ
やっぱり激辛玉は生物兵器だった。ちなみにフランのクリーム&サビナのハバネロエキス全部盛りのやつはとんでもない相手が出てきた時の最終兵器用。

ショウ
アマネが1番大切で唯一大切。神だろうが人だろうが邪魔するなら退かす。なんて言ったのかって?まあ愛の言葉をね。

ディアルガ
ラスボスとして出てきたのに激辛玉ファイナルを顔面に喰らいKOされた。悲しいね。
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