僕はげきからマホイップと世界を巡る   作:三笠みくら

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あともう少し。


最後のひとかけら

 

祭りの日から少し経ち。

 

 

「なるほど、全てのポケモンと出会えと!そうしなければショウさんは元の時代に帰ることができないのですね!いやはや興味深い!」

 

「………」

 

「ジブンも協力いたしますとも!商人の情報網を侮ってはいけませんよ!」

 

「……なんで、ウォロさんがいるんです?」

 

「ごめんなさいショウさん、朝ごはんの材料を買いに行こうとしたら捕まって……そのまま着いて来ちゃいました」

 

「まあ、いいですけど」

 

 

アマネとショウの住処である宿舎に、さも当然のようにウォロが居座っている。ショウは今すぐにでも追い払いたかったが、いかんせんウォロには恩がある。それに協力してくれると言うなら利用するほかない。

 

 

「このヒスイの地には伝説が多数伝わっています。おそらく神はその伝説のポケモンすらも捕まえるよう言っているのではないでしょうか」

 

「うへえ、伝説のポケモン……捕まえるの大変そう」

 

「そう落ち込まないで!ショウさんは今や伝説のギンガ団員、きっと捕まえることができますとも!」

 

「だといいんですけど……無茶はしちゃだめですからね」

 

「そういえば、時空の裂け目が解決してからなんか妙な依頼が来てるってラベン博士が。それも調べた方がいいかもしれません」

 

「そういう事ならジブンにお任せを。こちらヒスイの伝説をまとめたレポートになります」

 

 

ウォロの差し出した手帳をショウはペラペラとめくる。1ページにかなりの情報が詰め込まれていて、ウォロの熱量が伺える。

 

 

「それでは早速参りましょう!あ、その前にジブンもついでに朝ごはんをいただいても?」

 

「それはダメ。自分で用意してください」

 

「僕はいいんですけど……」

 

 

それから、ショウはアマネとウォロを引き連れてヒスイを巡った。各地に現れた伝説や幻に伝わるポケモンを捕獲し、プレートなるものを集めていった。やがて、プレートは17枚集まった。

 

プレートは集まり、ポケモンもほぼ捕まえた。そのタイミングで、ショウとアマネはウォロにシンオウ神殿跡地に来るよう呼び出されたのだった。

 

 

「ウォロさん、何の用ですかねえ。最後のプレートについてお話があるって言ってましたけど」

 

「……嫌な予感がします、注意していきましょう」

 

 

ショウの顔は険しい。それにつられて、アマネも背筋が締まる。やがてシンオウ神殿跡地に辿り着くと、そこにはウォロが立っていた。

 

 

「シンオウ神殿……しかしこのような姿になってしまっては、もはや神殿とは呼べませんね。名付けるならやりのはしら……とでも言うべきでしょうか」

 

「……ウォロさん、何の用でしょう」

 

「よく来てくださいました、ショウさん。まずはお礼を。あなたのおかげでヒスイの地に散らばる伝説や幻のポケモンについて詳しく知ることができました、感謝します」

 

「……どうも」

 

「そしてプレートは集まり、図鑑もほとんど埋まった。けれど最後の1枚、最後の鍵は……」

 

 

「我が手にある!」

 

「「!!」」

 

 

ウォロが取り出したのは、紫色のもののけプレート。探せと言ったプレートを、ウォロ自身が持っている。もはや答えが出たようなものだが、それでもショウは問う。

 

 

「なぜ、あなたがそれを?」

 

「いやあ、苦労しましたよ。ヒスイの地に潜む闇と共に暗躍した日々……時空の裂け目を作れば神……アルセウスも降りてくると思いましたが、そう簡単にはいかないものですね」

 

「!! まさか、ウォロさん……」

 

「ええ、そのまさかですとも!!ジブン……いえワタクシは、アルセウスを追い求めている!!そのためならばなんでもしますとも、ええなんでも!!さあヒスイの英雄、選びなさい。ワタクシと……戦うか否か!!」

 

「!!」

 

 

ウォロが本性を表す。今までの胡散臭くも愛想のある笑顔はどこへやら、今彼が身につけているのは狂気の笑みと奇妙な装いだ。

 

 

「これこそが信仰の証、ワタクシの望みを叶えるため、いざ戦いを……ん?」

 

 

ウォロが言葉を止める。ウォロの視線の先には、俯くアマネがいた。

 

 

「どうしましたかアマネさん、まさか怖気付いたとでも?まあアナタは別になんとも……」

 

「………」

 

「アマネさん?大丈夫ですか!?」

 

 

アマネの肩が震えている。まさかウォロに裏切られたことに悲しんでいるのか。心配しながら、ショウがアマネの顔を覗き込む。すると。

 

 

も、もう無理……あーっはっはっは!!あっはは、面白すぎる!!

 

「な……!!」

 

「ダメだウォロさん動かないで……ブフォwww」

 

「………」

 

 

まさかの大爆笑であった。どうやらウォロの奇妙な髪型がツボに入ったらしかった。

 

 

「ヒッヒヒ、あっはは!!ごめんなさい、悪気はない、んですけどw、どうしてもw、面白くてww」

 

「こ、この……!!」

 

「まあ、気持ちはわかります。なんですかそのソフトクリームみたいな髪型は」

 

「失礼な!アルセウスを模した神聖な髪型ですよ!!」

 

「人間がやるにはちょっと面白すぎるというか……ッヒヒ」

 

「〜〜〜〜っっ、この!!どうやら自分たちの置かれた状況が分かっていないようですね、いいでしょう、出て来なさい!!ギラティナ!!

 

 

ウォロの背後から、闇がぽとりと生まれ落ちる。やがて闇は広がり、いびつな竜を形作った。

 

 

「ええ、負けませんとも。絶対に勝つ!!」

 

 

ショウとウォロが睨み合う間も、アマネは声を殺して笑っていた。

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