種付け奴隷剣闘士として売られた僕が貞操逆転世界で地位を得るには   作:恋狸

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反撃の狼煙

 ──ヌルシアム。

 

 娯楽の少ないこの世界で性欲を持て余した女性たちが、唯一心の底から()()()ことができる夢の場所。

 

 それこそが世界最大規模の都市──《ローシヨン》のど真ん中にある円型の男娼闘技場……ヌルシアムである。

 

 転移を果たしたばかりのショタ顔(17歳)のユウタは知らないが、思ったよりも女性というのは男性にありつくことができていない。

 

 男女比1:100というのも関係はしているものの、《ローシヨン》を有している《アクンメ王国》の第218代国王──エリベス・アクンメ・ショジョビッチーノが大の男好きというのが一番の問題だった。

 

 彼女は己の欲望のため、王国中の男を奴隷と化して占有した。今や若い男のほとんどはエリベスの手によって奴隷にされており、余程の高位貴族でなければ男を手に入れることができなくなっていた。

 

 幸いなことに人口に関しては、数百年前の大魔法使いが発明した人工受精魔法によって減少は食い止められていたが、致命的なことに人工受精魔法によって生まれた男は性欲というのが極端に希薄だった。

 

 

 

 ──要するに、今の男は半EDなのが普通であり、自力で勃起できる人類などここ数十年現れていなかった。

 

 ましてや女性に迫られて勃起する男など、ロマンス物語で語られる程度には幻想とされていた。

 

☆☆☆

 

ローション相撲のルール説明。

 

・競技は半径2mほどの円型ステージの上で行われ、ステージのすべてはローションまみれである。

・競技者は下着になり、顔面を除いた全身にローションを塗りたくらなければならない。

・合図とともに取っ組み合い、相手を土俵の外に押し出せば勝ち(転ぶのはアリ)。

・魔法の使用はできる。ただし、女剣闘士が必要以上に種付け奴隷剣闘士を傷つけるのはアウト。

 

☆☆☆

 

「ルールはエセ相撲ってね。了解了解」

 

 そんなわけで僕は勢いよくボロキレ同然の衣類を脱ぎ去り、堂々とパンイチになる。

 

 

『『『うおおおおおおおおおおおっ!!!!』』』

 

 その瞬間、闘技場いっぱいに響き渡るほどの歓声が僕を包み込む。……なんで??

 

「お、お前、さ、サラシも無しに上裸になるなんて……やっぱりお前は他の男娼とどこか違うんだな」

 

 なるほどね?

 どうやら普通の男はサラシをしているらしい。

 貞操逆転世界ってことは男のB地区にも需要があるってことか。確かによくよく考えればそうだ。

 

 まあ最も、前の世界での生活が根付いているから僕個人としては上裸になるのとに抵抗は無いのだけれど。

 

 それよりも「ちょ、隠せよ!」みたいな感じで顔を赤くしたフィルナさんが可愛い。

 あんなにオラオラ系だったのに自分から行くのと相手からアクションを起こされるのは違うのかな?

 

 ……ん?

 ってことはフィルナさんはサラシ無しで上裸なのでは!?!? ……と期待した僕であったが、残念ながらフィルナさんはサラシをしていた。

 下着もえっちい感じではなく簡素な布製。

 

 ……それはそれでエロいけども。

 

 そんな僕の目線を感じ取ったのか、フィルナさんは僕のB地区辺りをチラチラと見ながら言った。

 

「お、オレの場合は胸がデカいからな。サラシをしねぇと揺れて戦いになんかならねぇんだよ。第一、観客の誰もが女の上裸なんか見ても何とも思わねぇし」

「へぇ、そうなんですねぇ」

「そうなんですね、って……オレを前にしてなんで冷静なんだコイツは……訳がわからねぇ……普通は脱ぐのが嫌すぎて暴れる男娼もいるってのによぉ……」

 

 何やらずっと困惑しているフィルナさん。

 しかしながら、僕は下着になったフィルナさんの美しい肢体を観察するのに夢中だった。

 

 ……なんてエロいんだ!!!

 最早体の大きさがメリットでしかない。

 太ももはムチムチで顔を挟んで欲しいし、おっぱいはデカすぎて揉みしだきたいし、腹筋はバキバキだけど違和感なく美女として機能している。

 

 

 ……いや待て、勝ち目なくない? ぼく。

 取っ組み合いになった時点ですっ転がって負ける気がする。何かしらのアクションを起こさないと秒で負ける気がする。

 

 い、いや……負ける想像なんてするな!!

 弱気になってどうするんだ。

 

 どんな手を使ってでも勝つ!!!

 武器の持ち込みがダメな代わりに魔法は使えるみたいだし、土俵外にさえ出してしまえば勝ちなら僕にだってチャンスはある!!!

 

『さぁ!! いよいよスタートです!! 両者位置についてください!!』

 

 僕とフィルナさんはステージ……いやこれまんま土俵か──土俵に立って構える。

 フィルナさんは相変わらず僕のB地区に視線がいっているが、これからのことを想像してなのかニヤニヤと楽しそうである。

 

 対する僕は負けたらアウトな……それこそ土俵際の状況。

 僕の二倍の体躯差があるフィルナさんにもここで勝たなければいけない。

 

 

『それでは試合──開始ッ!!!!』

 

「うおおおおお!!!!!! あ痛ァッ!!!」

 

 僕は思いっきり駆け出すやいなや、土俵に撒かれたローションでスっ転んで頭を打った。いってぇ!

 

 ──そんな!! 体幹には自信があったのに!!

 終わった!!!

 

『おおっと! いきなり転んだユウタ選手!! にしても昨今男娼から攻めるのは珍しい!! 観客も息を荒くして興奮しております!! 後始末大変だからシコりすぎるんじゃないぞー!!』

 

 まるでAVみたいな実況を聞きながら、打った頭を擦りながら僕は涙目でフィルナさんを見る。

 彼女はそんな僕を硬直したまま見ていた。

 

「っ、くっ、可愛い。なんだなんだ……? 自分から攻めてくる男娼なんて見たことねぇぞ……」

 

 よ、よかった。

 痛がってる隙に押されたら普通に土俵外だった。

 

「ふっ、やりますね。まさかこの僕を転ばせるなんて」

「何もしてねーよ」

 

 自分から息巻いて転んだのが恥ずかしいから誤魔化す僕に、フィルナさんは呆れた視線を飛ばす。

 そしてヌルヌルに耐えながら何とか立ち上がると──目の前には悠然と歩いてきたフィルナさんがいた。

 

「…………」

「…………」

 

 見下される形になる僕。

 間近で見たフィルナさんのおっぱいは最早爆弾と言っても差し支えなかった。……いやそんな場合じゃなくて。

 

「さあ、組み合うぞ」

「……どうやって?」

 

 身長差がすごすぎて組み合えるわけがなくて。

 するとフィルナさんは僕の肩に手を置いたので、僕はフィルナさんの腕をきゅっと握った。

 

 ……うん、このまま押されたら負けるけど。

 

「うわぁっ!! っとと、あぶない」

「ふん、ようやく可愛い声を出すようになってきたじゃねーか……♡」

 

 ぐぐっと歩みを進めたフィルナさんによって後退した僕は、土俵のローションでまた転びそうになったが、なぜかフィルナさんが肩をぐっと掴むことで阻止される。

 ……そのまま転ばせておけば勝てたのに。

 

 疑問を込めてフィルナさんを真っ直ぐ見つめると、微かに気圧されたようにぷいっと顔を背けた。

 

「な、なんでこんな瞳でオレを…………ふぅ、オレ様としたことがドキドキする……くっ……」

 

 何やらブツブツ呟いているのを無視して僕は問いかける。

 

「どうしてそのまま押さなかったんですか? 勝てるはずなのに」

「あん? あー、教えてなかったか。……観客を喜ばせるために女剣闘士側は早期決着をしちゃいけねーんだ。どうせ勝てるからな。男の痴態を少しでも見たいってことだろ。オレもまあ……怯えてるオスを見るのは好きだけどなぁ♡」

 

 そう言ってグッと顔を寄せてきた。

 最早屈むような姿勢だが、これは明確な煽りだ。

 

 負けるわけがないと確信した煽り。

 

 だからこそ僕は──

 

 

 

「っ!? んんぅ……!? んちゅ、はぇ……♡」

 

 

 ──フィルナさんの唇を強引に奪ってやった。

 

 

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