種付け奴隷剣闘士として売られた僕が貞操逆転世界で地位を得るには   作:恋狸

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剣闘士フィルナの憂鬱

Side フィルナ

 

 ──男なんて軟弱でエロいだけの生物だ。

 

 女を目の前にしただけでビービー泣き喚いて、反抗する力すら無いくせに一丁前に暴れ回る。

 普通はそんな奴らのことなんて忌み嫌うはずだ。

 

 だが残念ながら男という生物はオレたち女にとってあまりにも魅力的に映った。

 

 ──エロい。それに尽きる。

 

 生まれながら性欲を抑える術を知らないオレたちにとって男は甘露そのもので、見るだけでも興奮が止まらないし、触った日なんて……もう、すんごい。

 

 だからオレは()()()()の男娼であるヌルシアムの剣闘士になった。全ては男とエロいことをするために。

 

 特に……亜人族なんていう男からしたら恐怖でしかない種族に生まれたオレにとって、ヌルシアムは唯一エロいことができる場所だった。

 

 当然、ヌルシアムは女にとって夢の場所。

 剣闘士としての採用基準はかなり高い。

 

 当初は亜人族に難色を示したヌルシアムのオーナーだが、突如として何かを閃いたかのように下半身をイジりながら叫んだ。

 

「亜人×ショタ──イィ!! 悪くないィ!!」

 

 そんな閃きによってオレは、ヌルシアムで初めての亜人剣闘士として採用された。

 

 

「ひぃぃいい!! 亜人……!! いやだ!! いやだぁぁあ!!! ちかよるな!!! ぼくにちかよるなぁぁあ!!! うわぁぁぁ!!! いやだぁあ!!!」

 

 オレは分かってはいたものの、男娼のあまりにも酷すぎる拒絶反応に心の中で少し泣いた。

 オレは見た目でドSと思われがちだが、可愛くてエロい少年に恐怖の視線を向けられるのは、普通に堪えた。

 

 だがしかし、性欲はオレの感情なんて関係ない。

 圧倒的な力で競技に勝利し、ひたすらエロいことをする瞬間は何よりの快楽でしかなかった。

 

 ──()()()()()()()()()()()から、挿入して処女を脱するなんて夢のまた夢だが、それでもほとんどの女は男に触れずに死んでいく運命にある。

 

 そう考えれば、どれだけ恐怖されて忌み嫌われて拒絶されても、男という存在にエロいことをできる環境に身を置いているのは幸福なんだ、と。

 

 オレはそう思うことにした。

 こんなオレを受け入れてくれる男なんて存在しないと確信しながら。

 

 

☆☆☆

 

「あぇ……はぇ……にゃ、にゃにをした!」

 

 のうがぽかぽかで、くちびるにふしぎなかんかくがあって……あうあうあー!!

 これが……これがしあわせ……?

 

 お、おとこにくちづけされるひがくるなんて。

 

 

 ──ハッ!! 落ち着け!!!

 これは夢だ。夢に違いねぇんだ。

 

 ロマンス物語でも、男にされたいランキング2位に位置している幻想夢境の行為──キスなんて男からされるわけねぇんだ!!!

 

 大概は女側が無理やり男にして嫌がられる行為!

 目の前で吐かれたりわざとらしく口を拭われたり、しても幸せが訪れない行為のはず!!!

 

 しかも、オレみたいな人間離れした亜人族にキスをする物好きなんてこの世にいるわけが……!!

 

 

「ふふ、フィルナさん。かわいいですね」

 

「は、はぁぁぁ!?!? オレが!? かわいい!? そ、そんなわけあるか!! 可愛いのはお前だろうが!!!」

 

 オレは思わずニコニコと目の前で笑う黒髪黒目の少年……ユウタに慌ててそんなことを言った。

 きゅ、急に何を言ってやがるんだコイツは!!

 オレが? かわいい? そもそも女に言うセリフじゃねぇだろうが!!!

 

 お、オレを舐めてるんだろ。

 な、なのに……どうしてオレは喜んでるんだ!?

 

 胸がポカポカする。

 癒されないはずの傷ついた心が、たった一瞬で解きほぐされるような……いや! 嘘だ!!

 

 オレは注意深くユウタを観察する。

 

 黒髪黒目が珍しいという以外では、よくよくヌルシアムにいる平凡な男娼でしかない。

 特別顔が整っているわけでもない……まあ、ちょっと可愛い感じでオレは好みだが……。

 

 くっ……なんだなんだ。

 なんだその慈愛に満ちた瞳は!!

 

 

 お、男なんてオレの顔を見ただけでも泣くし、目の前に立っただけで暴れて逃げようとするんだ。

 そんなオレにキスするなんてあり得るわけが……!

 

 オレは改めて自分の唇に手を当てる。

 すると、しっかりとそこにはキスされた感触が鮮明に残っていた。

 

 その瞬間、ぼっ! と火を噴いたように顔が赤くなっていくのが自分でも分かった。

 

「フィルナさん、顔真っ赤ですよ」

「だ、だれが!! わ、わかったぞ、そうやって油断させて試合に勝とうとしてるんだろ。本当は嫌がってるのが見え見えだ! ふ、ふん、そんな身の切り方をするなんて大したやつじゃねーの」

 

 変に回った頭が先ほどの行為の理由を、あくまで試合に勝つために嫌々やった、というように断じた。

 もしも、これに違うなんて言われたあかつきには……。

 

 

「はい、そうですよ。試合に勝つためです」

 

 ……そーだよな。当たり前じゃねーか。

 オレは一気に冷水を浴びせられたような気分になった。

 ……はん、まあ男からキスをされるなんて経験は貴重だったよ。

 

 ガッカリなんて、してない。

 

「はっ、そりゃそうだ。……まったく、肝の据わったやつ──」

 

「でもフィルナさんがあまりにも可愛かったので……本当は頬にキスするつもりだったんですけどね。……我慢できませんでした」

 

「〜〜〜〜っっ!!!!!」

 

 

 な………!!! んだこいつ!!!!!!!

 

 

 

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