◇あらすじ
サワダが父から受け継いだカード【ドラゴン・オブ・ルイン】。
書斎に残された“次元の力”の記述が、その謎を呼び覚ます。
平凡だった日常が、静かに動き始めようとしていた──。
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父の書斎を整理した翌日。
サワダは学校の教室で、まだ胸の奥に残るざわめきを持て余していた。
朝のホームルーム。担任が今日の予定を淡々と読み上げていく──いつも通りのはずだった。
だが、最後にひとこと。
「では、転校生を紹介する」
その瞬間、教室がざわついた。
教壇の横のドアが開き、すらりとした体格の少年が入ってくる。黒髪を短く切り揃えたシャープな印象で、表情にはどこか生意気そうな光が宿っていた。
「えっと……俺の名前はアラキだ。まあ、デュエルの腕にはそこそこ自信があるんで、強い奴がいたら相手してくれよ。プロとかに比べたらまだまだ”たまご”かもしれないが、シロート高校生ぐらいだったらボコボコにできる自信はあるぜ」
にやり、と口元を歪めながら放ったその発言に、クラス中がざわめく。
“デュエルの腕にはそこそこ自信がある”……転校初日から何という挑戦的な自己紹介だろうか。
担任が少し困ったような表情を見せる中、教室後方で見ていたサワダユウジは、あくびまじりに興味を欠いた様子を装いながらも、心のどこかでひっかかるものを感じていた。
「すげえな、この転校生……最初っからデュエルアピールかよ」
「一体どこから来たんだろう。なんだか気が強そうだなあ」
クラスメイトたちがひそひそ声で話し合う。そんな中、例の友人ナカムラが声を上げた。
「おいアラキー! このクラスでデュエルが強いって言ったら、サワダってヤツがいるぞ!」
アラキはその言葉に反応するように視線を動かし、目つき鋭く教室を見渡す。ほどなくして、窓際の席で気だるそうに座っているサワダユウジに目が留まった。
一瞬だけ、アラキの瞳に“闘志”のような光が走る。
「お前がサワダか? 俺とデュエルしろ」
周囲が「うお……突然だな」とどよめく。もちろんサワダ本人も、「いきなり何なんだよ……」と戸惑いを隠せない。
アラキは背筋を伸ばし、サワダを正面から見据えて言葉を続ける。
「俺はこの学校に来たばかりで、誰がどれだけ強いのか知らない。だけど、どこに行っても一番強い奴とやるのが一番手っ取り早い。……それが俺のやり方だ」
その挑戦的なセリフに、教室は一気にヒートアップした。
正直、サワダとしては何も悪いことをした覚えがないのに、朝から派手に絡まれて面倒くさいという思いが先に立つ。それでも、アラキのまっすぐな視線を前にすると、何となく拒否しづらい空気がある。
すると、待っていましたとばかりにナカムラが手を叩いた。
「よーし、サワダVSアラキのデュエル、放課後の校庭でやろうぜ! これは絶対おもしろい展開になるぞ~」
クラスメイトたちは「いいね、それ!」「見たい見たい!」と口々に盛り上がる。
サワダは「おいおい、決めるの早すぎだろ……」と呆れながらも、すでに周囲のテンションは最高潮だ。
「お前、乗るのか?」
アラキが詰め寄るように問いかける。サワダは一瞬、やる気のなさげな表情を浮かべるが、心のどこかにふつふつと湧き上がるものを感じていた。
デュエルを強要される筋合いはないと思いつつも、“やるからには勝たなきゃな”という気持ちが頭をもたげる。
「ま、流されるままってのは好きじゃないが……仕方ねえな。お前がそこまで言うなら、やるだけやるさ」
そう言い放ちながらも、サワダは胸ポケットに忍ばせたカードにそっと手を触れる。【ドラゴン・オブ・ルイン】──父の形見。今までデュエルで使ったことはないが、妙に胸騒ぎがするのは何故だろう。
アラキはニヤリと満足そうに笑い、席へ戻っていく。クラス中がそのやり取りを見てワクワクするような雰囲気に包まれ、担任は大きくため息をついてから黒板に向き直った。
(……放課後、校庭でデュエルか。めんどくさいが、仕方ねえ)
サワダは内心ぼやきながらも、どこか楽しみでもある自分を感じていた。アラキの底知れぬ闘志に引き込まれるように、サワダの中にも闘争心が灯っていく。
──こうして、新入生アラキの転入早々の宣戦布告によって、サワダユウジは放課後、校庭にてデュエルをすることが決まってしまったのだった。
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ザッザッ、と靴音を響かせながら、アラキが校庭を見回す。放課後の校舎はすでに人影もまばらで、空は茜色に染まっている。気だるい風が彼の前髪を揺らした。
同じく校庭へと足を踏み入れたサワダユウジが、薄く笑う。アラキから挑まれた勝負を受け止めるために、ここまで連れ立ってきたのだ。
「……ふん。サワダ、お前がどれだけ強いか、確かめさせてもらうぜ」
アラキが鋭い目つきを向けると、周囲にいたクラスメイト数名が息を呑んだ。特に“実況役”を買って出たナカムラは、そういった空気を好むらしく、興奮気味に両者を眺めている。
「口だけは達者だが、しょっぱなでヘタれるんじゃねえぞ?」
サワダは挑発を返すように言い放ち、腕に装着したデュエルディスクを起動した。その瞬間、電子音とともに4000のライフゲージが点灯する。
「「デュエル!」」
高揚感のある声が校庭に響き、二人のデュエルが幕を開けた。
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◆次回予告
ついに火蓋が切られる、サワダvsアラキ。
アラキの戦術に、サワダはどう応えるのか──勝負の行方は!?
次回「VSアラキ──強いのは俺だ!」
デュエル、スタンバイ!