◇あらすじ
激闘の余韻さめやらぬ校舎裏に現れた、謎の男“次元帝”イシイ。
彼は語る。「ドラゴン・オブ・ルインは世界の均衡を乱す」──
父の形見を守るため、闇霧の中でデュエルが始まる。
──────────
!!DUEL!!
サワダ[LP 4000]vs[LP 4000]イシイ
イシイはデッキに手をかけ、静かに口を開く。
「私のターン……ドロー」
TURN 1:イシイ[LP 4000/手札 5→6]
引き当てたカードを確かめると、彼はすぐさまフィールドにカードを置いた。
「永続魔法【次元の扉】を発動する」
▶設置
永続魔法【次元の扉】
その宣言と同時に、空中に異様な光の紋様が走り、空間が歪むような気配が起きる。どこか見えない領域へ通じているかのような扉がうっすらと開かれ、底知れない闇が覗き込んだ。
サワダはその異様な雰囲気を持つ“扉”を前に顔をしかめる。
「なんだ……その気味の悪い扉は」
しかしイシイは気に留める様子もなく、淡々と次のカードを示した。
「この扉の真価はいずれ分かる……。──次元の守護者、守備表示で召喚だ」
▶召喚(守備)
【次元の守護者】(DEF 2300/★4)
岩石の巨体が姿を現す。ごつごつとした岩肌を持ち、両腕を重々しく組んだそのモンスターは、守備力が2300にも及ぶ難攻不落の盾のようだ。
アラキは思わず小さくうめく。「いきなり2300……あんな数値、下級モンスターじゃ突破できねぇぞ」
イシイはさらにカードを伏せながら、口元を歪める。
「更にカードを1枚伏せ……ターンエンド」
▶リバースカードセット×1
淡々と告げられる言葉に、サワダは得体の知れない不安を募らせた。手札を握りしめ、静かに息を整える。
──────
サワダはわざと強い調子で声を上げ、デッキからカードを引いた。
「俺のターン、ドロー!」
TURN 2:サワダ[LP 4000/手札 5→6]
先ほどのアラキ戦でも見せたアグレッシブなスタイルは健在だ。サワダはすぐさま魔法カードをかざす。
「まずは【ドラゴンズ・アセンション】を発動! 手札のレベル4以下のドラゴン族を特殊召喚できる!手札からフレイム・ドラゴンを特殊召喚する!」
▶特殊召喚
【フレイム・ドラゴン】(ATK 1900/★4)
炎をまとったドラゴンが燃え盛るような咆哮とともに舞い降りた。
サワダはさらにもう一枚、手札からカードを繰り出す。
「続けて……フィールドにドラゴン族がいるとき、このカードは手札から特殊召喚できる!さあ来い!シャドウ・ワイバーン!」
▶特殊召喚
【シャドウ・ワイバーン】(ATK 1300/★3)
闇のオーラをまといながら、漆黒のワイバーンがフィールドを疾駆する。わずか1ターンでサワダの場にはドラゴンが2体。アラキは目を丸くした。
サワダが高らかに宣言する。
「フレイム・ドラゴンとシャドウ・ワイバーン、2体を生け贄に捧げ……!」
▶生贄(2)
【フレイム・ドラゴン】
【シャドウ・ワイバーン】
その瞬間、校舎裏の暗がりが一層濃くなったような錯覚がサワダを襲った。
「生贄召喚……出でよ!ドラゴン・オブ・ルイン!」
▶▶生贄召喚!
【ドラゴン・オブ・ルイン】(ATK 2800/★8)
現れたのは夜闇を思わせる漆黒の翼を持つドラゴン。ギラリと赤い瞳が光を放ち、威圧感と力強さをにじませている。サワダはその姿を見つめ、勢いづくでモンスター効果を叫んだ。
「ドラゴン・オブ・ルインの力、見せてやる! ──《
▶《
⇒【次元の守護者】(ATK 1900)
ドラゴンの口から放たれる漆黒の火炎が、次元の守護者を呑み込もうとする。しかし、イシイはわずかに笑みをこぼした。
「【次元の扉】が開いている限り、次元モンスターはいつでも自らを除外できる。……破壊はさせんよ」
▶次元の扉:自己除外
【次元の守護者】⇒除外
──〔《
そう言うと、次元の守護者はうっすらと虚空に消え去ってしまった。
サワダが舌打ちをする。
「くそっ……逃げられるのか……」
しかしイシイのフィールドは今、がら空き。アラキが小さく声を上げる。
「いまだ、サワダ……行けるぞ!」
「わかってる! ドラゴン・オブ・ルインでダイレクトアタックだ!〈滅翼衝破〉ッ……!」
▶攻撃
【ドラゴン・オブ・ルイン】(ATK 2800)
→ イシイへ直接攻撃!
サワダは思い切り手をかざし、ドラゴンを突撃させる。凄まじい漆黒の巨体がイシイへと迫った──が、そこで伏せられていたカードが作動した。
「永続罠【衝撃相殺空間】発動……【次元の扉】が存在するとき、1ターンに1度だけ攻撃を無効にすることができる」
▶発動:衝撃相殺空間
→【ドラゴン・オブ・ルイン】(ATK 2800)
──〔攻撃無効〕
イシイの淡々とした声とともに、空間が逆流するかのような衝撃波がドラゴンの猛攻をかき消す。サワダは苛立ちを隠せない様子で拳を握り、ターンエンドを宣言した。すると、イシイが自分の場にある【次元の扉】の効果を発動させる。
「さて、“次元”の力を少しだけ見せてやろう──【次元の扉】があるとき、除外状態の次元モンスターはエンドフェイズに帰還する」
▶次元の扉:帰還
【次元の守護者】(DEF 2300/★4)
先ほど除外されていた次元の守護者(DEF2300)が、再び扉をくぐって戻ってくる。その様子をアラキは呆然と見つめた。
「除外されてたやつが何事もなかったみたいに……」
イシイはさらに手札を示す。
「そしてこの次元の巡礼者は“次元モンスター”が除外から戻ってきたとき、手札から特殊召喚できる」
▶特殊召喚
【次元の巡礼者】(ATK 1500/★3)
白いローブをまとった魔法使い系のモンスターがふわりと浮遊しながらイシイのフィールドに加わった。これで二体が揃う。サワダは嫌な予感に身を強張らせる。
──────
イシイは静かに呼吸を整え、落ち着いた動作でデッキからカードを引く。
「私のターン、ドロー……」
TURN 3:イシイ[LP 4000 / 手札 3→4]
「さて、2体のモンスターを生け贄に捧げよう。──次元の支配者ゼロディウス、姿を現せ」
▶生贄(2)
【次元の守護者】
【次元の巡礼者】
▶▶生贄召喚……!!
【次元の支配者ゼロディウス】(ATK 3500/★10)
何かが弾けたような眩い光。その中から、神々しい天使の姿をした巨大モンスターが舞い降りる。見上げると、そこには表情がなく不気味さと底知れなさを伺わせる。攻撃力3500──サワダがごくりと唾を飲んだ。
イシイは冷淡なまなざしをサワダへ向ける。
「ゼロディウスの効果発動……《
▶《
→【ドラゴン・オブ・ルイン】
──〔除外&効果吸収……〕
ゼロディウスが軽く腕をかざすと、凄まじい光がドラゴン・オブ・ルインを包み込む。除外されれば完全に消滅……サワダは息を詰めた。
「何だと……こんなあっさり……父さんのカードが消える……くそ、そんなの、たまるかよ……!」
そのとき、ドラゴン・オブ・ルインの瞳に深い漆黒の炎が宿り、不思議な輝きが溢れる。一瞬の閃光が交錯し、ゼロディウスの光を弾き飛ばすような衝撃が校舎裏に響く。
▶謎の光
→【ドラゴン・オブ・ルイン】
──〔除外無効!!〕
イシイは驚いたように目を見開く。
「これは……まさか“ケイスケ”が遺した加護なのか」
ケイスケ──その名を聞いたサワダはハッとする。自分の父と同じ名前。なぜこの男が知っているのか、疑問が頭を巡った。
しかしイシイは、今の出来事にわずかばかりの動揺を見せながらも、不気味な笑みを浮かべる。
「フッ……なるほど、厄介だな。お前がその加護に守られているうちは、私が次元の力を全開にしても無駄というわけか」
そう言い捨てると、イシイはデュエルディスクに登録されたライフゲージを無視するかのように動きを止める。アラキが「まさか、これで終わりなのか」と呟いた矢先、イシイの周りを闇の霧が覆い始めた。
──────
深い霧が周囲を覆いはじめ、まるで夜の帳が一気に落ちたかのように光が遮られる。イシイはデュエルディスクを下ろすと、サワダのほうに視線だけを向けた。その瞳には、先ほどとは違う冷ややかな興味がうかがえる。
「貴様の父・ケイスケが、このカードに“加護”を残していたとはな……。面倒だが、今はそれを破る手段がない以上、私も退くしかない」
イシイは静かに言い放つ。聞きなれない名に、アラキは「ケイスケ……?サワダ、お前の父ちゃんのことか?」と小声で尋ねるが、サワダ本人は心の動揺を押さえられなかった。
父の名が、こんな謎の男の口から出てくること自体、何かしらの因縁を感じさせる。
「おい、あんた……父さんを知ってるのか? ケイスケって、俺の父親だ。なんで……なんでその名前を……!」
サワダは父の形見のカードを握りしめながら、一歩前に踏み込む。けれどイシイは薄く笑い、軽く首を振った。
「貴様はまだ、その男が何をしていたのかさえ理解していない。いずれ全てを知るだろうさ。今の貴様が聞いても無駄に戸惑うだけだ」
サワダの胸に、一気に怒りや不安が混ざった感情が渦巻く。もし父がイシイと関わりがあったのなら、なぜ何も教えてくれなかったのか──。問い詰めたい気持ちが強まるが、イシイはまるで構わない様子で言葉を続ける。
「“次元の破滅”が訪れるまで、貴様がその加護に守られてどこまで持ちこたえられるか……見極めてやろう。だがいずれ、そのカードと共に滅びの運命を味わうことになるかもしれん」
「ふざけるな……ちょっと待てよ、父さんは何を──」
サワダがさらに問いただそうとするが、イシイの周囲に霧がさらに濃密に集まり始める。アラキが「サワダ、危ない!」と声を上げた瞬間、霧の塊が黒い渦となってイシイの姿を飲み込むように広がっていく。
「話はそれだけだ。今日はただの挨拶に過ぎん。次に会う時まで、せいぜい生き延びてみせろ──ケイスケの息子よ」
揺らめく靄の中、イシイの不気味な笑みだけが際立ち、やがてそれも溶けるように消えていく。何かの幻影だったかのように、イシイの気配は一瞬で霧散した。
突然の静寂に包まれ、サワダはその場で硬直していた。校舎裏に漂っていた霧も、まるでさっきまで存在しなかったかのように晴れ始める。アラキが慌てて駆け寄り、サワダの肩を揺さぶった。
「サワダ……大丈夫か!? 一体、何だったんだよ、あの男……」
けれどサワダは無言のまま、父の名を口にした謎の人物を追いかけられなかった悔しさと、不可解な言葉の数々に胸をかき乱されていた。今はただ、イシイの消えた闇を睨むように視線を向けるしかできない。
先ほどまで燃え上がっていたデュエルの闘志は、イシイの圧倒的な存在感の前でかき消され、今では静かな恐怖と混乱だけが残っていた。
こうして、サワダは何もわからないまま、父の名を知る“次元帝”イシイとの遭遇を終え──そして一人、立ち尽くすしかなかった。
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イシイ[LP 4000/手札 3]
【次元の支配者ゼロディウス】(ATK 3500)
【次元の扉】(永続魔法)
【衝撃相殺空間】(永続罠)
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サワダ[LP 4000/手札 2]
【ドラゴン・オブ・ルイン】(ATK 2800)
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◆次回予告
中断された決闘で残されたのは次元帝への恐怖と──父の名。
心が揺らぐ中、少年は覚悟を固める。
次回「サワダの決意」
デュエル、スタンバイ!
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※この後にカード情報の自動脚注が長く続くため、先に次話リンクを置きます。
次元モンスターは任意のタイミングで自身を除外できる。
除外状態の次元モンスターはエンドフェイズに場へ帰還する。
効果なし(通常モンスター)
手札のレベル4以下のドラゴン族1体を特殊召喚する。
効果なし(通常モンスター)
星3/闇属性/ドラゴン族/ATK1300/DEF1200
ドラゴン族が場にいるとき、手札から特殊召喚可能。
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「次元の扉」が存在するとき、1ターンに1度相手の攻撃を無効にする。
星3/光属性/魔法使い族/ATK1500/DEF1200
次元モンスターが除外から帰還した時、手札から特殊召喚可能。
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