転生したらまた愛馬だった…って、今度は女の子ぉ?!   作:ミヤセ

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これにて競走馬時代の終わりです。
次話からウマ娘編になります。

まだ白紙ですがね…導入部分。


一つの馬生の終わり

 俺が敬愛する和泉オーナーが亡くなった。

ああ、悲しいなぁ…。

オーナーの息子さんや娘さん、お孫さん達は俺にオーナーの遺言通り1日でも長く生きて欲しいと願ってくれているらしい。

でも、自分の身は自分が一番よくわかる。

多分、来年は2月を迎える前に逝くな、こりゃ…。

 

さて、俺の専用放牧地からはイズミファームの放牧地の様子がよく眺められる。

あ、ツインターボの奴、今日も幼駒を引き連れて、俺について来い!と引っ張り回してる。

スズカとグルーヴは俺の寝てる丘の反対にある放牧地の木の下でゆっくり、孫やひ孫のかけっこを見守りながらイチャイチャしてる。

ライスとホイザは今年の俺の子孫にどっちの孫が種付けするか議論してる。

 

ああ…平和だな。息子や娘らは無事に次の世代にバトンを渡せているみたいだし、ハヤヒデやブライアンも何とか世代へとバトンが受け継がれている。

オグリやクリーク、イナリもうちの牝系が繋ぎ止めれてる。

良かった良かった。

 

デビューした日にオーナーに言われた「俺はお前と一緒に見たい夢があるんだ。だから、頑張ろうな!」という激励が俺の原点だった。

最近、身体が言う事を聞かない。

自立するのも億劫な日もある。

ああ…和泉オーナー、俺頑張ったよ。少し早いけど労ってくれるかな、あっちでも…。

 

そういえば、孫娘と仲のいいステイゴールドの奴、香港で遂に決めやがったな。

長かった黄金へ至る旅程の半ばってところか…。

 

あれから少し経った。…もうすぐ俺の命の灯が消える。持ってあと2日かな?

…あ、この足音は…的場さんだな。こりゃ少し良いとこ見せるか。大好きな相棒が久しぶりに会いに来てくれたんだ…、持ち堪えろよ、俺の身体…。俺の魂…。

 

…どうも、久しぶり。

そうだね、俺と的場さん、大窪のおやっさん、笹本の嬢ちゃんの四人五脚(?)で走り抜けたから今があるんだな。

ははは、老けたな。

デビューしたての若手が芝ダート六冠馬とか叩かれた日が懐かしい?

…そうだな、そんなこともあったな。

惜しむらくは欧州で勝てなかったことかな。

的場さんや大窪のおやっさんが俺を大事にしてくれて、笹本の嬢ちゃんが馬場との相性の悪さに気付いてくれてなかったら、俺もあそこで予後不良になってたかもな…。

そう考えると、俺も恵まれていたんだな。

…そっか、また良い馬に恵まれたな。頑張れよ、相棒。

あと俺の系統ならお前に調教師としてもG1勝利の栄誉与えられると思うからさ。

ああ、気を付けて帰ってくれよ。

ははは、あばよ、相棒。

 

…最期に会えて嬉しかったよ。

 

 

……ああ、そろそろか…。

寝たまま死ぬのも良いが…俺らしくないな…。どうせなら立ったままで死ぬか…。

よっこいしょっと…。

あ、ライス、ホイザ。

おはよう。良い朝だな。

…そうだな…。泣くな、馬鹿野郎。スズカもグルーヴもだ。

案ずるな、一時の別れだ。

多分、また会えるよ。

…ん?ああ、もう足に力が入らないか…。

…そろそろか…。視界も黒くなってきた。

 

…ははは、俺のお迎えは和泉オーナーか。

自慢の愛馬のお迎えは天使なんかに任せられないみたいだなぁ…。

じゃあな、みんな。

長く生きろよ。

 

その日、1頭の伝説的名馬が世を去った。

いつもの様に担当者が馬房に向かうと、入り口で立った状態で亡くなっているのを発見。

すぐに馬主の和泉家や牧場関係者並びに競馬関係者へと知らせが飛んだ。

その訃報は、朝一番のニュースとなり、競馬関係者のみならず多くの競馬ファンがその死を悼んだ。

彼の葬儀にはローマカトリック教会より名前の由来ともなった枢機卿で日本地区担当で日本人初の枢機卿である山木枢機卿が1人の競馬ファンとして、またローマカトリック教会の競馬ファン代表として参列している。

更に、各国の大物競馬ファンからも多くの弔文が贈られ、英国のある王室関係者からは「彼は偉大な英雄であり、憧れでした。私は見ました。無謀とも言われた彼の挑戦の数々を…。決して相性が良くない欧州への遠征の数々を、米国や豪州、香港、中東での活躍の数々を…。彼は世界に示し続けました、日本競馬の素晴らしさを…。彼の子孫は今も欧州を始め、世界各国で活躍を続けています。そして今、彼にも漸く休める時が来ました。…去り行く貴方へ…。私はその偉大なる功績と貴方が見せ、繋いでくれた縁へのお礼として『サー』の称号と勲爵士の位を追贈致します。」

これを受け、皇室からも『従三位下散位』が追贈された。

なお、皇室関係者も王室関係者も『彼が成した日本競馬史上初の海外レースでの勝利と多くの連覇を成したその偉業とその膨大な貢献へのせめてもの労いである。特に政治的な意味合いなどない。』とコメントしている。

彼の墓はイズミファームの彼専用の放牧地の真ん中にある小高い丘にあり、今もそこから子孫や後輩を見守り続けている。

墓標には馬名と生没年月日と『月の女神に愛されし馬、ここに眠る』とだけ記されている。




因みに彼に与えられた勲爵士は騎士爵の下に当たります。
サーの称号も貰えますが、そこまで権威ありません。
散位も同じです。
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