転生したらまた愛馬だった…って、今度は女の子ぉ?! 作:ミヤセ
遅筆な上に体調不良が重なって中々話を書けませんでした。
さて、私が所属するチーム・ヴィエラは大窪トレーナーを頂点に複数のメイントレーナーとその下で補佐しながら経験と知識を学ぶサブトレーナー、医療知識や栄養学、事務職としてのコンディショナーがいるトレセン学園有数の大型チームだ。
大窪トレーナーはチーム全体のレース申請やマスコミ対策を主に行い、またメイントレーナーやサブトレーナー、コンディショナー、所属するウマ娘に対する責任の全てを負います。
次にメイントレーナーは自身が担当するウマ娘のトレーニングやメンタルケアを、サブトレーナーはそれらの補佐とメイントレーナーのもとに入りたてのウマ娘の能力分析を、コンディショナーは自身が担当するメイントレーナーの担当ウマ娘の健康管理や食事のケアを主に取り扱います。
昔はうちみたいなチーム編成が多かった様ですが、事務処理やトレーナー間のトラブルなどから小規模チーム化が進んでいるみたいです。
さて、本日も来年に控えたデビュー戦に向けて、フィジカル中心にトレーニングです。
坂路3本に併走2本、プールで遠泳2本して締めにウォーキングでクールダウンと…中々にハードです。
併走相手は…本日は現役ジュニア級のナスノチカゲさんとシニア級のグファールテイストさん。
ナスノチカゲさんは先月行われた新潟2歳ステークスを5馬身で逃げた重賞ウマ娘で、次戦にサウジアラビアロイヤルカップを、その次に朝日杯フューチュリティステークスと出走予定に決めている方です。
大変気さくで色々と私の未熟なフォームとかで意見を頂きます。
お礼にこっそり、なんちゃって等速ストライドとコーナリングを伝えた所、逃げの切れ味が良くなったみたいで、デビュー戦と続くオープン戦での苦戦は何だったの…と愚痴られました。
因みにデビュー戦はクビ差で勝てたものの、オープン戦では勝った相手2人に2馬身差をつけられての3着でした。
その後、新潟2歳ステークス前にそれとなくなんちゃって等速ストライドを伝えた所、5馬身差での逆転勝利。
結果、私にアドバイスを求める子がチーム内で急増、急遽大窪トレーナーと的場トレーナーが介入する事になりました。
因みに、私の同期は牝馬しか居ないので、チーム内に牡馬のライバルは居ません。
グファールテイストさんはシニア級ウマ娘で長いスランプと傷病に苦しめられた方でした。
というのも、彼女は良家というかメジロの傍系のお嬢様で、デビュー前からクラシックウマ娘と切望される素質をお持ちでした。
そして迎えたデビュー戦は4馬身差で1着と好調な滑り出しでしたが、その直後に脚部不安を発症し、レースには出るも掲示板外が続き、迎えたクラシック春、共同通信杯にてレース中ほどで右足を骨折、全治三ヶ月となりました。
しかも、骨折明けのセントライト記念直前に屈腱炎を発症…。
復帰は絶望か?!と騒がれながらも、半年で復帰、復帰明けの格上挑戦の目黒記念を3馬身差で差し切り、周囲に素質ウマ娘の復活をアピールしました。
そんな彼女のオールカマーが控えており、チーム全体がかなりピリついています。
なお、チーム以外のレース関係者やファンからはよくて2着健闘が関の山との下馬評でした。
というのも、出走するウマ娘の半数が彼女の同期でクラシックウマ娘。
他にもシニア級の猛者が並び立っています。
なので、傍からみると厳しいレースになりそうだとなりますが、チームメイトから見ると…ねえ…。
まあ、練習場のターフの上の彼女を見て、同じ事言えるならどうぞ…って奴ですが…。
いえ、鬼宿る気迫とはこの事か!?というレベルで追い込んでます。
普段は周囲にのんびり系お嬢様オーラをばら撒いて居るほんわか系です。
因みに、ネタバラシすると、恐らくは史実で大窪厩舎所属の私の先輩の牝馬さんです。
メジロの血を引く国内的な良血牝馬で、このあとオールカマーを最後尾からの豪脚一気の追い込みでの2馬身差で制し、本番の天皇賞(秋)もブービー人気ながら6馬身差の圧勝で終え、『脚部の限界』を理由に引退しました。
府中の長い直線で二の足を使って必死に逃げ続ける先行勢を四コーナー前から大外にぶん回し、最後尾からのごぼう抜きであっという間に全馬をあっと言う間に抜き去り、府中の急坂で更に差を広げての圧勝でした。
そりゃ壊れるわ…。と当時は思いました。
なんで知っているかって?
前世の厩務員だった笹本さんの担当馬で、現地に行った彼女のかわりに同僚の方がレースを見せてくれたんですよ。
今回の彼女は渾身の出来だったよ!と言いつつ、みんなで応援していたのですが…四コーナーに差し掛かる直前あたりからの激走ぶりにその場にいた全員が見入ってしまい、休憩室が静かになりました。
そんな中、誰かが言ったんです、「これは魂を掛けた激走だ。」と…。
そうして一番手でゴール板を彼女が駆け抜けた瞬間、休憩室でその瞬間を見ていた人馬問わず皆が喜色を浮かべ、喝采を上げていました。
しかし、向正面まで流して、ウイニングランをしながら戻ってくる最中、四コーナーを曲がった直後に乱れた歩行を目にして皆さん、一気に喜びより心配が勝った様で、祈るかの様にしていました。
というか、自分以外にも笹本さんの担当馬がいたのにはびっくりしましたが…。
しかも、全頭おとなしくテレビ観戦してましたし…。
因みに彼女自身、他の馬に好かれる牝馬で、牡牝問わず厩舎所属の馬とは仲良しでした。姐さんタイプって奴ですね。
まあ、幸い骨や筋に異常はなく、限界以上に力を出した為の疲労からの歩行の乱れという診察結果に関係者一同、ヒヤリとさせられました。
…などとチームメイトの紹介を脳内でしながら現実逃避をしていたのですが、そろそろ仕掛け時なので現実に戻ってきたのですが…今、私は前にナスノチカゲさん、後ろからは鬼気迫る気迫のグファールテイストさんと実戦形式の併走してるんですが……めっちゃ怖いです。
…え、これで仕掛け処で全員ラストスパートして走り込むの?!
いや、後ろからくる貴婦人が怖いのよ!だめ!何か聞こえちゃいけない呪物が聞こえるの!ヒイエエエエェェ!
…何とか逃げ切りました。
も、もう二度とごめんだ!!
因みにこの二頭はウイポプレイ時によく使う種牡馬の血統をコネコネと混ぜた馬です。
ナスノチカゲは逃げ馬として結構強い馬でした。
大概の場合は、秋には燃え尽き症候群で、結局、3歳一杯で引退しています。
ただ、繁殖牝馬としては優秀なのか、ニックスとかないのに能力の高い馬をガンガン生んでくれたので助かりました。
グファールテイストは健康が低い事が殆どで、結構な形で同じ路線を歩み続けました。
時には3歳の休養中に引退させたりしましたが、その場合、繁殖馬としてはまあまあの成績でした。
しかし、4歳で天皇賞(秋)を獲って引退すると、繁殖成績が鰻登りになるワケワカラン牝馬でした。