転生したらまた愛馬だった…って、今度は女の子ぉ?!   作:ミヤセ

9 / 12
遅くなりました。
デビュー戦です。


メイクデビュー!デビューします。

入学して三年が過ぎました。

来週は待ちに待ったデビューです。

本格化も先月から少しずつ始まり、日々続く成長痛や日々分厚くなる2種の装甲に悩まされています。

本音を言うと重いのと足元への視覚的な問題で前後が塞がれるのは困るのだ。

贅沢な悩みなのは重々理解しているのだ。願わくばメジロマッk…ハッ!これ以上は危険だ!

実はグファールテイストさんのメジロ一族のウマ娘お嬢様方への偏愛が異常にヤバい。

 

どれほどヤバいかというと、先日、グファールテイストさんが天皇賞(秋)を制した翌日に行われたチームと関係者の限定の祝勝会の折に出会ったお嬢さん方への偏愛が…実にヤバいのだ…。

恐らくはメジロラモーヌさんやメジロアルダンさん、メジロマックイーンさん、メジロライアンさん、メジロパーマーさんだと思われるメジロのウマ娘キッズ集団がグファールテイストさんへ駆け寄って、抱きついては口々に祝福の言葉を述べていたのだが、その時のグファールテイストさんは表情はもう作画崩壊するレベルでデロッデロなのだ。

だが、実に恐ろしい濃度とレベルの殺気をお嬢さん方には勘付かれないように周囲へと垂れ流し、独占欲を全開にしていた。

因みにチームメイトで大の子供好きの重賞ウマ娘のソフトウインドさんがうっかりアルダンさんへテーブルのケーキを渡しつつ愛でようと保護欲を出した瞬間、グファールテイストさんの親指がわずかに動いたと思った途端、『ビシッ!!』っと何かがガラスに刺さるような音がし、次の瞬間、白眼を剥いて倒れるソフトウインドさんの額から煙が…。

 

因みにこの様な出来事があっても誰も騒がなかった。

正確にはジュニア級やデビュー前の祝勝会への参加経験が少ないメンバーは驚いていたが、周囲から「いつものことだ」と言われてそう理解せざるを得なかった。

 

さて、本日のトレーニングは…別チームとの合同並走ですか~。相手は…テンポイントさんか。美人過ぎて直視するの辛いけど眼福なので練習が苦でもないんですよね。

よしっ!そうと決まったら、さっさと準備して練習場へっ!!

 

「ほら、疲れでフォームが崩れてますよ。きちんと手をあげなさい。膝も意識してみなさい。」

「はいっ!」

「そうそう、そうやって…それとまた少し頭が上がってきてますよ。苦しい時こそ頭を低くしなさい。」

「はいっ!」

「基礎とトレーニングは裏切りません。苦しい時こそそれらを思い出しなさい。」

「はいっ!」

「返事が良いのは元気が余ってる証拠だ!よしっ!あと30周!」

「はい~!」

 

あー、厳しいけど本当にわかりやすいアドバイスで助かるわ~。セクレタリアトさんの指導は本当に馴染む~。

でもテンポイントさんが居て下さったので、眼福眼福。いやぁ、少し息の荒い美人さんがほのかに汗をかきながら走る姿は本当に美しい。

 

そうしてトレーニングが終わり、クールダウンしているとグリーングラス先輩が声をかけてきた。

「お疲れ様。カルディナリスさんは来週デビューよね。テンちゃんと応援に行きますよ~。」

「はい、ありがとうございます!私、チームの一員として恥ずかしくないレースをしたいです!」

「ふふ、なら応援席の最前列で見届けさせていただきますね。」

「そうだな。5バ身以上差をつけて勝てたのなら、カフェテリアの特製ジャンボストロベリーサンデーパフェを奢ってやろう。」

「あら、テンちゃんも興味あるんです?」

「グリーングラス、この子は私も目をかけているんだ。応援してもバチは当たるまい。」

「そうですね~、じゃあもしテンちゃんの出した条件を満たせたら私からは煎茶セットを奢りますよ~。」

…テンポイント先輩の特製ジャンボストロベリーサンデーパフェは個数限定であまり食べれないので有名ですし、グリーングラス先輩の煎茶セットなんて絶妙な煎茶の渋みとお団子やお饅頭などの茶菓子の甘さが堪らない逸品です。

これは…負けられないですね!!

「なんだかすごい気合が入っているな。」

「ふふふ、凄い気迫ですね。これは期待大ですね~。」

「はい!お二人の期待に添えられるよう、頑張ります!」

 

そして迎えたデビュー戦の日、新潟競バ場開催で最初の土曜日の第1レースという事もあり、芝状態は良かった。

芝2000m、馬場状態は良。8人立ての8番。

ライバルは…うん、先行ウマ娘はいるけど逃げウマ娘はいないみたい。

とりあえず、大外からそのまま6割のペースで行ってみよう。

ゲートインは順調。ゲートに入った瞬間、すべての聴覚をゲートへと集中する。

ついでにクラウチングスタートをとる。

……ガコン!

音が響くと同時にクラウチングスタート特有のロケットダッシュでハナを奪う。

 

『…スタートしました!おおっと、カルディナリスが素晴らしいスタート!いきなり1バ身半のリードを奪った!あまりの美しい出だしに場内が少しどよめいています!』

…よしよし、ハナを奪えた。ここから少しずつ進路妨害しないようにじわじわとうちへと切り込んでっと…。

『ハナを奪ったカルディナリスはじわじわとうちへ切り込みながらも先頭を完全にキープ!1番シンボリリーチと4番メジロフィアンは好位をキープしつつ、全体を伺うようです。3番マイナメイショウと6番ダイナグラスが捲っていきます。5番ブラッククローバー、ちょっとペースが速い!7番エンディシンプソンは最後尾から様子を見ているようです。全体的にゆっくりとしたペースで最初の1000mは…56.4?!いえ、これはかなり速いペースです!』

『うまい具合に幻惑していますね。これは先行組には辛いレースとなりそうです。カルディナリスもこのままのペースを維持できるのでしょうか?』

 

あー…解説に等速ストライドをうまく使ってペースを誤魔化していたのがバレちゃったか~。

…なら、このまま勝たせていただきますよぉ!!

 

『3コーナーを曲がり、先頭はカルディナリス!ペースはそのままで4コーナーへ!…いえ、ペースを上げた?!』

『なんとっ!ここまで平均1ハロン11.3で抜けていたのを更に上げますか!もし、このまま駆け抜けるととんでもないウマ娘の誕生を目の当たりにできますよ!』

 

新潟特有の長い直線が目の前に広がる…。凄い!綺麗なターフがどこまでも続いている!この景色を独占したい!後ろから必死に追いつこうとするライバルの足音が徐々に消えていく。スタンドからの歓声も消えていく…。

ただただ前へ…。ひたむきに、実直に…。ゴール板を超えた先の何かへ向かって…。

行くよっ!!

 

その時、新潟競バ場に詰めかけた観衆は垣間見た。怪物が世に生まれた瞬間を…。その誕生の雄叫びとも言えるターフを踏み切る爆音を…。

 

ドゴンッ!!

 

『こ、ここでスパート!長い新潟の直線に入った瞬間、カルディナリスがスパートに入った!そして凄まじい爆音が競バ場に響きました!』

『凄まじい脚力です、芝が吹き飛びましたよ?!うわ!何ですか他のウマ娘が止まって見えますよ!』

 

ハハハハハハハハ!楽しい!風を切って走るのが楽しい!緑のターフを走るのが楽しい!誰もいない!私だけの世界!私だけが見られる景色だ!!ハハハハハハハ!やっぱり走るのは楽しい!だめだ、笑いが止められない!!

「…あは、あははは、あははははははははははははははは!!」

 

『わ、笑っています、カルディナリス!物凄い末脚で先頭を駆けます、カルディナリスが笑っています!』

『す、凄まじいですね、彼女は…。いや、普通はもう肺が一杯一杯になっているはずなのですが、あんな大声で…しかも綺麗に笑えるんですね。とんでもない肺活量です。』

『残り200を切って後続も必死に詰めますが、これはもうセーフティーリード!』

『凄まじい身体能力ですね。未だにペースが落ちていません。むしろ少しずつ上がっていますよ!』

『ここでエンディシンプソンとブラッククローバーが必死に上がってきましたが、差を詰めるので手一杯!他のウマ娘も必死に足を動かしますが、これは苦しい!』

 

肺が苦しい!空気が無くなってきてるからだ。……でも楽しい!それ以上に走るのが楽しい!先頭の景色を独占するのが楽しい!余計な雑音のない緑の世界を独占できるのが楽しい!笑いが止まらない!あぁ、笑うのを止められない。だって…だってだって『先頭を一人だけで走る』のがこんなに楽しいんだなんて知らなかったもん!馬時代には感じられなかった昂揚感から私は大声で笑い続けた。

「アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!」

気付けばゴール板を大声で笑いながら先頭で走り抜けていた。

 

『強い、カルディナリス!先頭で今、ゴーーーーールッ!新しい綺羅星が今ここに誕生!2着ブラッククローバーとの着差はなんと!9バ身差の圧勝でした。そしてタイムは1.58.9?!記録はレコードです、コースレコードを新バ戦で叩き出しました!2着ブラッククローバー、3着エンディシンプソンも従来なら圧勝タイムでした。これは次のレースが楽しみです』

『いやぁ、強いですね~、彼女は…。チームでも注目されているウマ娘だったそうですが、このタイムがその期待の大きさを物語っていますね。他のウマ娘も従来なら勝ちウマ娘のタイムだったので次のレースでの活躍が今から楽しみです。』

 

ふへー、疲れました。

2着のブラッククローバーさんとお疲れ様っとハイタッチをかわし、3着のエンディシンプソンさんには「お前、速すぎだよ!あと笑い声、綺麗なのが逆に怖すぎるぅ!!」と怒られました。

解せぬ…。

 

でも、先輩方のパフェと煎茶セットは美味でした。……ふへへへへへ。




この頃はまだウイニングライブはありません。
ウイニングランが少し観客席に近いところを走り、そこで即興でダンスや歌唱などのパフォーマンスをして、下がる感じでした。
一応、下地はあったとしています。
本格化したのはハイセイコー以降ですが、完全に定着したのはミスターシービー位からと設定しています。
あと、レースの距離はカルディナリスのデビュー年から変わってます
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