(さて、どうしたものかな。)
月明かりが村を包み込むように辺りを照らすなか、一人家路についていたセシルは考えごとをしていた。
(シェリーと最後に会ったのはドンドルマに行く前だから、4年前になるのか。)
セシルは久しぶりに会う幼なじみに対しての第一声を、村長の家からずっと悩んでいたのだ。
(やぁ!久しぶり!・・・・は軽すぎるし、かといって重い感じでいってもなぁ・・・・)
本来なら村長の家からセシルの家までは僅かに10分程度の距離だがセシルはわざと遠回りをしながら帰っていた。
(まぁあまり気を張っても仕方無いか。普段通りに接しよう。)
結局悩む事に疲れたのか、セシルはさっさと家に戻る事に決めた。
セシルの家はエルジス村の北東部に位置しており周囲より少し小高い位置に建てられている。
一人で住むには広すぎる家だが、ハンターにとって必要な倉庫も完備されている。他のハンターが訪れた際に部屋などを提供できるのであまり気にならなくなっている。
「ただいまー。」
誰も居ないリビングのソファーに荷物を置き、椅子に座ってくつろぐ
(あれから4年経ったっていうのに、全然変わってないな)
家の中はまるで清掃業者が清掃を行ったかという程に隅々
掃除が行き届いている
「あら?誰かいらっしゃるの?」
部屋の中を眺めていると突如声がした
セシルは背後からの突然の掛け声に一瞬心臓が止まりそうになった
「??。あぁー!!もしかしてセシル君?」
そういって声の主は荷物を放り投げてセシルに近寄った
「や・・・やぁ、久しぶりだねシェリー。」
セシルは声の主であるシェリーに向き合った。
「本当だよ〜。何年ぶりかなぁ?随分カッコよくなったねセシル君」
シェリーは4年前より大人になっていたセシルに感激しているようだった
「あの・・・シェリー?」
「ん?なぁに?」
「その・・・怒ってないのか?」
「誰に?」
「僕に」
「どうして?」
「だって、一回も顔見せとかしなかったし、手紙も送ったりとかしなかったから。」
そう、セシルは訓練生時代にエルジス村へ帰って来たのはたったの一回だけ。それも荷物を取りに帰って来ただけなのだ
村長には顔を見せたがその他の人には軽く会釈する程度だけに終わっていたのだ
「なぁんだそんな事じゃ私は怒らないよ。むしろしっかりとした生活が送れているか気が気じゃなかったよ」
そういうとシェリーは持って来た荷物を拾い上げてぱたぱたとキッチンへ向かった
「うん?どうしたんだシェリー?」
するとキッチンの奥からエプロンを着けたシェリーがリビングへ戻ってきて
「えへへ。せっかくセシル君が戻って来たんだから、卒業祝いとして手料理を振る舞おうと思っていたのですよ。」
いたずらっぽい笑みを浮かべながらシェリーは再びキッチンへと戻っていった。
「相変わらず忙しい奴だな。」
そうぼやくセシルは久しぶりの幼なじみの手料理を密かに楽しみにしながらゆっくりと待つ事にした