時のよすがに導かれて   作:そういう日もある

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47話

 

 帝国暦1181年、角弓の節

 遂にガルグ=マク大修道院へ向け、帝国が再侵攻を決断した。

 グロンダーズ平原にて過去最大規模の帝国軍が集結を開始する。

 フロリアヌスはセイロス騎士団に城下町の住民の避難を要請。

 自身は集結中の帝国軍を叩くため、王国軍を率いて出立した。

 これに対し、エーデルガルト率いる帝国軍は迎撃の構えを見せる。

 およそ一年前、鷲獅子戦が行われた平原。

 後世に、グロンダーズの悪夢と呼ばれる戦いが幕を開けようとしていた。

 

 

 帝国の台所と称される肥沃な大地。

 澄み渡る快晴の中、綿を二つに引き裂いたような薄い雲がゆっくり流れている。

 瑞々しく育った草原の草花がくるぶしの高さまで伸びて足を擽った。

 

 青と白の旗、赤と黒の旗が帝国と同盟にまたがるアミッド大河に沿うように並び立つ。

 離れた丘の上からフロルとリシテアが二人乗りをしながら見渡した。

 

「勝つのは無理だ」

「は、はあ!?

 大将のあなたがなに弱気なことを言ってるんですか!」

 

 リシテアの叱責にフロルはけらけらと笑った。

 

「いや、あの数は無理だろ」

 

 笑うしかない。

 

 王国軍は北部と西部にかなりの兵数が割かれている。

 しかし、果たして全軍が集まったところで勝てるかもわからない。

 まだ集結中だというのに、既に帝国軍は王国軍の二倍から三倍の数がいる。

 偵察兵の報告からは最終的に五倍近い兵力が集結すると考えられる。

 しかもそれで帝国軍の全軍でないというのだから、言葉もない。

 

 七節前、王都から大修道院へ強行した王国軍は一回の攻勢で限界を迎えた。

 ヒューベルトを殺すための奇襲のみで、帝国軍本隊を追撃できなかった。

 他に方法がなく、仕方なかったとはいえ、悔やんでも悔やみきれない。

 

「少しは西に行ってくれると思ったが、この様子じゃそれもなさそうだ。

 痛み分け狙いで、大修道院の防衛が出来るくらいまで削るしかない。

 まあ、それもこの数相手だとなかなか難しいんだけどな」

 

 帝国軍を誘引するため、ユーリスとバルタザールに西海岸で暴れて貰っているがこれでは意味がなさそうだ。

 ベルグリーズ伯のように独断専行する貴族はいなかった。

 この一節の間、エーデルガルトが軍権の掌握に手を砕いたのだろう。

 

「同期はエーデルガルト、フェルディナント、ドロテア。

 カスパルとリンハルトはまだか。

 とはいえ他にもそれなりに名の知れた将が何人かいる。

 闇に蠢く者の部隊が見えないのが気になるな」

 

 どこからでも目立つ全身黒ずくめの魔道士集団がいない。

 まさか、熱中症で倒れたわけではないだろうに。

 

「こんな平原じゃ隠しようがないですから。

 見えないならいないとして扱った方が良いでしょう」

「まあ、それもそうか。

 案外普通に着替えて兵に混じってる可能性もあるしな」

 

 自分で言ってみて、ないなとフロルは笑った。

 実際はエーデルガルトが干渉を嫌ったのかもしれない。

 

「ディミトリもクロードもいない一年ぶりの鷲獅子戦。

 と言っても俺にあんまり思い入れはないんだよな。

 早々に脱落したし。

 因縁で言えばディミトリの方が遥かに相応しいんだが」

 

 一年前の鷲獅子戦はベレスとディミトリが協力してエーデルガルトを倒した。

 それもあって、フロルはすっかりベレスがディミトリを選ぶと思い込んでいた。

 

「わたしなんてあなたのせいで、

 なにも出来ずに二番目に脱落したんですけど」

「文句なら先生に言ってくれ。

 あの作戦、俺は最後まで反対したんだからな」

 

 今回の作戦参謀はリシテアだ。

 責任感の強さから兵の命を背負ってしまう。

 緊張を解そうと軽口を交わしたが、どうも上手くいかない。

 白髪のつむじを眺めながら悩んだ末に後ろから抱きしめた。

 

「ちょっと!?」

「頼りにしてる。

 あの時の言葉は撤回するよ。

 俺を助けてくれ、リシテア」

「……仕方ないですね。

 今回もわたしがなんとかしてあげます」

 

 目を瞑ったリシテアがフロルの胸に頭を預けた。

 

 獅子の群れのように。

 天才たちがフロルを支え、不敗神話を築き上げてきた。

 

 

 待ち受ける立場の帝国は戦場を見渡せる丘を中心として有利な位置に布陣した。

 エーデルガルトは王国軍の陣中央に現れたフロルの姿をじっと見つめた。

 

 草原の緑が見えなくなるほどの帝国軍は両翼を広くとり陣を組んだ。

 目指すのは当然包囲だ。

 野戦を選択した王国軍をこの地で殲滅すれば容易に大修道院は陥落する。

 

 対する王国軍はエーデルガルトの想定通り攻撃的な陣形を組む。

 敵に向けられた矢の形をとる陣形は突破力に優れる。

 同時に先鋒に偏重するため、側面が脆く、包囲されやすい欠点を持つ。

 

 その最先端でベレスが歩兵を率いている。

 初めて見た時から光るものがあるのは解っていた。

 あの時、強く勧誘しておけばと思わずにはいられない。

 

 弓兵はアッシュが、天馬兵はイングリットが、騎兵はマリアンヌが其々率いる。

 陣の最奥にいるのはメルセデス率いる聖女隊だ。

 だがなにより、現在の王国軍最大の特徴は魔道士の層の厚さだろう。

 騎士道物語には、予言や導きを授ける魔道士がついてくるもの。

 それを象徴するかのようにフロルの周りには、魔道の天才たちが集まった。

 理論派のモニカと感覚派のハピが互いに補う形で王国軍の魔道士を率いる。

 

 エーデルガルトはフロルに、個人戦力でも指揮能力でも負けない自負がある。

 しかしただ一点。

 ヒューベルトが生きていれば、その才を思いつく限りの言葉で罵倒しただろう。

 フロルは兵の士気を際限なく上げ、死兵に変えるのが抜群に上手い。

 今までエーデルガルトが追い詰めることはあっても、勝ちきれなかった理由だ。

 包囲に成功したところで、殲滅するのにどれだけの犠牲が出るのか想像もつかない。

 

 エーデルガルトにフェルディナントが馬を寄せた。

 

「やはり包囲を考えず左翼を厚くするべきではないか?

 これでは左翼の兵を捨てるようなものだ」

 

 エーデルガルトが少し悩んでから答える。

 

「……それはもう散々話し合ったでしょう。

 勝つためにはどのような犠牲も払うと決めたはずよ」

 

 わかってはいるがフェルディナントは嫌な予感を消すことができない。

 同盟領での会話。思い返すとフロルの視座があまりにも高すぎた。

 

「ドロテア、君の意見はどうだ?」

 

 話を振られたドロテアが優雅に笑った。

 

「ふふっ、貴方が私に戦いの意見を求めるなんて珍しいわねえ。

 戦いは貴族様の仕事だって言っていたのに」

「また貴族様と、いや、今回はいつものような棘がないな」

「わかっちゃった?

 貴方がエーデルちゃんのために頑張っているって少しは認めたのよ」

「む、私はただ……」

 

 エーデルガルトが初めて二人に目を向けた。

 

「はぁ……貴方たち、漫才はそれくらいにして。

 これから大事な戦いだというのに気が抜けてしまうわ」

 

 戦場に銅鑼の音が響き渡り、王国軍が前進の気配を見せる。

 角笛と共にイングリット率いるペガサス騎兵が次々と飛び上がる。

 マリアンヌ率いる騎兵隊が一度大きく弧を描いて、動き出した。

 これ以上フェルディナントが言葉を交わす時間はない。

 

「こうなっては仕方ないか。手筈通りに」

 

 フェルディナントとドロテアが其々の配置へと向かう。

 残されたエーデルガルトが大きく息を吸って吐いた。

 心の中で二人に感謝する。

 黒鷲の絆はエーデルガルトの力になっている。

 声を張り上げた。

 

「アドラステアの勇士たちよ!

 今こそ帝国の威武を示し、雌雄を決する時!

 立ち塞がるものすべて、薙ぎ払いなさい!」

 

 両軍の魔道士集団から巨大な魔法陣が輝きを放つ。

 ドロテア率いる魔道士とモニカ率いる魔道士。

 ここまでの大規模開戦となれば使用する魔法は同じ。

 メティオ、隕石を招来する対軍攻撃魔法である。

 

 天が裂ける。

 橙と赤の紅蓮が星を包み込んで尾を引く。

 

 晴天の中、星の雨がグロンダーズの野に落ちてくる。

 合わせ鏡のように両軍の展開した障壁に衝突した。

 半球を描く障壁の上を滑り落ちた星が草原を焼いた。

 緑から赤へ、そして黒へと瑞々しい草花は灰に変わる。

 

 世界の終わりのような光景の中、帝国騎兵隊と王国天馬騎士団が衝突した。

 フェルディナントの突撃を止めるべく、イングリットが上空から襲いかかる。

 

 英雄戦争の時代、聖人キッホルと十傑ダフネルがこの地で戦ったように。

 

 英雄の遺産『ルーン』の震炎にフェルディナントが躊躇なく飛び込んだ。

 構えた神聖武器『オハンの盾』。

 英雄の遺産に対抗するため帝国の初代皇帝にインデッハが授けたもの。

 その防御力を遺憾なく発揮し、皮膚を焼かれながらも震炎を突き破った。 

 

「我が名を刻みつけるがいい!

 フェルディナント=フォン=エーギルと!」

 

 放たれた連撃がイングリットの金糸のような髪をすり抜ける。

 イングリットはペガサスの腹を蹴り、天地を逆さまにして避けた。

 

「皇帝の走狗。

 貴様らのような外道に名乗る騎士の名などない!」

「ならば名も遺さず倒れること、恨んでくれるな!」

 

 槍同士が衝突し、フェルディナントが顔を顰める。

 フェルディナントが握る槍は名工ゾルタンの傑作。

 だが、英雄の遺産に伍するほどではない。

 素早く槍を引いて盾を使ったカウンターに切り替えた。

 

 その間にも、王国軍が勢いを損なうことなく、一本の矢のように突き進む。

 アミッド大河を背にした帝国軍右翼に王国軍の先端が刺さった。

 盾と剣がぶつかり合い、血が流され、絶叫と怒声と悲鳴が交じり合う。

 天帝の剣が大蛇のように暴れまわった。

 

 エーデルガルトの眉がぴくりと動く。

 

 これは帝国軍にとって予想外の出来事であった。

 王国軍は大河に挟まれれば逃げ場がなくなる。

 帝国軍左翼を突き抜けることを狙うはず、

 前日の軍議でそう予想が立てられた。

 左翼前方に秘した火計の罠が空振りに終わる。

 

 ならばこのまま包囲して殲滅するだけだ。

 

「中央軍の弓兵前進なさい!左翼は包囲を開始!

 ここで一気に片をつける!」

 

 太鼓が打ち鳴らされて命令を伝達する。

 帝国軍は中央と左翼を同時に動かした。

 右翼を生贄にアミッド大河と挟んで包囲に動く。

 

 包囲されつつある王国軍最奥で光が膨れ上がる。

 深い信仰と高い魔道の才が必要な上級回復魔法。

 対軍回復魔法リザーブ。

 メルセデス率いる聖女隊の癒しの光が王国軍に降り注ぐ。

 力を取り戻した兵たちが包囲を食い破らんと暴れまわる。

 

 あれを止めなければ帝国軍の損害が許容範囲を超える。

 再度の回復を阻止するべく、エーデルガルトが動いた。

 

 魔斧『アイムール』を振るって王国兵をなぎ倒す。

 闇に蠢く者から齎された英雄の遺産に匹敵する兵器だ。

 精強な王国軍であろうとも凡百の兵では相手にならない。

 

 メルセデスに一直線に向かうエーデルガルトの前に、

 ヴァレリアに跨るフロルが立ち塞がった。

 

「エーデルガルト、君の理想は俺が砕く」

 

 深い翡翠色の瞳は戦場の中にあって、星の様に輝く。

 怒りも憎しみもなく、ただ悲しみだけを宿していた。

 

 それを振り払ってエーデルガルトは魔斧を振り上げた。

 

「貴方も所詮、人の上に立ってはならない者!

 たとえ貴方を排してでも、私は進む!」

 

 エーデルガルトの炎の紋章とセイロスの小紋章が輝く。

 アイムールに埋め込まれた獣の紋章石が悲鳴を上げた。

 

 アイムールとアラドヴァル。

 炎と紫雷が激突し、地面が割れ粉塵が舞う。

 

「このっ……!」

 

 エーデルガルトの身がのけぞる。

 わかりきった初撃だ。

 互いに双紋章を宿すとはいえ、

 紋章の格でエーデルガルトは負けている。

 

「こんなところで私は止まれない!」

 

 筋肉が千切れるような音に構わず、強引に魔斧を引き戻した。

 横薙ぎの魔斧が円を描き、再び赤い禍々しい光を宿す。

 アイムールの真価とは、無理矢理紋章石の力を引きずり出すことにある。

 すなわち、連続使用できないはずの奥義を紋章石が砕けるまで繰り出せる。

 光の消えたアラドヴァルに向けて、アイムールが振りぬかれた。

 

「させません!」

 

 奇襲したペトラがエーデルガルトの鎧に亀裂を入れた。

 空振りしたアイムールが大地を砕き土煙を噴き上げる。

 

「ペトラ!貴方まで私をっ!」

「ブリギットのため、です!」

 

 ペトラとエーデルガルトが刃を交わす。

 互いに手の内を知る者同士。

 まして、ペトラは黒鷲の学級最強の剣の使い手。

 手にするのは離反する際、帝国から奪った魔剣。

 神聖武器に匹敵する『メリクル』だ。

 容易には突破できない。

 

「悪いがそろそろ時間だ」

 

 その間にフロルが魔法を完成させた。

 掌の上に、空間がねじ切れるほどの光が収束する。

 光の上級攻撃魔法アプラクサス。

 避ける暇はない。

 エーデルガルトは光との間にアイムールを割り込ませた。

 目が眩む閃光。

 光の奔流を耐え凌ぐエーデルガルトの鎧が遂に砕ける。

 吹き飛んだエーデルガルトが、帝国兵をなぎ倒した。

 

 

 そして、戦場に船団が現れた。

 

「……まさか!」

 

 フェルディナントが気付くが、イングリットの猛攻を受けて防御で手一杯になる。

 全体の指揮を取れるエーデルガルトが居なくなったタイミングを王国軍に狙われた。

 

 船団が風の魔法によって加速し、アミッド大河を下る。

 掲げられるのは王国軍旗。

 ガルグ=マクとアリアンロッドの防衛に成功すれば、

 次の戦いはグロンダーズしかないのだ。

 だからフロルはクロードとの交渉の際、こう言った。

 

 対パルミラ戦に参加する。

 その代わり船を貸して貰うと。

 

「巻き込んだとしたら射線上に立ったままが悪いのです……」

 

 甲板に立つコンスタンツェ率いる魔道士たちが一斉に魔法陣を輝かせる。

 氷の魔法が河の表面を凍てつかせ、船と板で補強された巨大な橋が出来上がる。

 雷が振り注ぎ、帝国軍の足が止まった間に王国軍が対岸へと撤退を開始した。

 

 包囲できると思わせ、帝国軍右翼を切り捨てさせる。

 右翼を崩壊させた後、急造の橋で渡河して撤退する。

 それがリシテアが考え出した策だった。

 そのためにコンスタンツェと新しい魔法まで開発した。

 魔道に優れた天才たちの発想力が両軍の差に表れた。

 

 ドロテアが残った魔力を振り絞り船を焼き払おうとするが失敗する。

 既に騎兵隊を率いるマリアンヌが魔法封じの射程圏内にドロテアを捉えていた。

 

 フロルとエーデルガルトの視線が交差した。

 

 多少王国に有利な痛み分けとなったが、ここは緒戦。

 帝国軍もまだ再起不能になっていない。

 本番は第二次ガルグ=マク攻防戦だ。

 

「じゃあな。今度は大修道院で……」

 

 会おうと言いかけて、フロルは言葉を失った。

 

 薄い紫の瞳、その奥に宿った感情。

 

「……エーデルガルト、君は……」

 

 

「やはり、失敗作であった」

 

 

 男が一人、エーデルガルトの背後に立っていた。

 白い肌に虹彩を失った目、垂れ流される闇の気配。

 フロルがアラドヴァルに紫雷を纏って突貫する。

 エーデルガルトがアイムールを背後に向かって振るう。

 魔斧は男を裂く前に適合反応を失い闇の障壁に止まった。

 

 迫りくるフロルを前にして、

 闇に蠢く者の首魁タレスが忌々しげに睨む。

 

「高慢な女神の器。

 アガルタの詛を、その身に受けよ」

 

 タレスとエーデルガルトが転移するが、

 フロルにそれを気にしている暇はない。

 

 感知したことのない規模の魔力反応が上空に発生する。

 兵たちが武器を振るうのをやめ、呆然と空を見上げた。

 

「……やりやがった……帝国軍もいるんだぞ……」

 

 見上げた先にあるもの。

 連なる紫の輪が幾つも快晴の空に浮かび上がる。

 ティニス、マールス、セプテン、リウム。

 四の都市を破壊し、フォドラを海に沈めかけた超兵器。

 女神を殺すため生み出された光の杭が、

 グロンダーズ平原に降り注ごうとしていた。

 

 無駄だ、諦めろ。

 防御は無理だ。

 敵の策に嵌るな。

 全ては救えない。

 誰が生きて、誰が死ぬか。

 

 選んで切り捨てろ。

 

 加速した思考の中で一秒にも満たぬ逡巡。

 悲鳴を上げる心を殺してフロルが叫んだ。

 

「全魔道士で王国軍の将兵をできるだけ転移させる!

 将と魔道士が優先だ!自分自身を飛ばし忘れるな!」

 

 指示を受けたリシテア、コンスタンツェ、モニカ。

 三人の天才がひとつの巨大な魔法陣を組み上げる。

 魔道士たちが必死に魔力を注いだ。

 フロルがヴァレリアに跨って戦場を駆けた。

 通り過ぎていく、切り捨てた王国の兵たちの顔。

 中には開戦時からフロルに付き従い、

 王都と大修道院で共に戦った兵もいた。

 なにもわからないままに、彼らはこれから死ぬ。

 

「一体なにが……」

「時間がないんだ……!」

 

 フロルがフェルディナントの腕を掴んだ。

 直後。

 光の杭が着弾し、グロンダーズ平原が白く染まった。

 

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