ようこそ百合の花が咲く教室へ   作:わたなれ大好きオタク

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わたなれきっかけで百合にハマったのでよう実の二次創作で暴れようかなと思って投稿しました。

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胡桃坂朱莉は風と共に

 ふとこう思った事はないだろうか。

 

 物語の冒頭部分では誰かの名言を引用したり何か哲学的な事を言ったり自分語りをしたり、そんな誰が聞きたいねんってツッコミたくなるような事が書かれがち。

 

 かと言う自分は興味ないはずなのについ読んでしまう。だって読んだら内心「ほ〜」ってなるから、その「ほ〜」っていう感覚が結構クセになるからしょうがない。

 

 でも内容をよく考えてみると本当に意味分かんないしどうでもいい事ばっかり書いてある。

 

 でもでも、きっとその名言っていうのは誰かにとって救いの手になるかもしれないし、誰かにとって発明のきっかけになるかもしれない。一概に無意味な事だって決めつけるのはよくないよね。

 

 さっきからあなたは何言ってんの?って思うかもしれない。実は皆んなもう私の策略、というより誘いにハマってるんだよ。いや〜、皆んなはバカ正直に読んでるからしょうがないよね。私は私で楽しませてもらってますよ?

 

 ─────こんな無意味な事聞いてしまう、君達の愚かさにね。ぐへへぐへぐへへへ〜

 

 

 

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☆☆☆

 

 私の名前は胡桃坂(くるみざか)朱莉(あかり)。ピチピチの15歳。身長154センチ体重りんご三個分!クソ陰キャ!皆んなと同じだね!(死んでくれ)

 

 決して、全然、自慢する訳じゃないけど勉強がそこそこ得意な私は先生からのオススメで高度育成高等学校という難関校を受験し、見事進学することができた。

 

 超弟大好きブラコンな私にとって三年間という月日を他所で過ごすのはかなりハードルが高いが、両親が心配するほどのブラコンっぷりは確かにどうにかしなくちゃいけないし、これも弟離れの良い機会だもんね。耐えるんだ朱莉。耐えれなくなったら最悪弟似の彼氏を作ればいい!

 

 まぁ正直私みたいなブスに構ってくれる男なんて早々いないんですけどネー。やっぱりブラコンな女はモテないっすよ。

 

 こんな私でも誰かが必要としてくれたら嬉しいんだけどなー。私を頼ってくれる人がいたら私も生きてる実感湧くんだけどな──ー。

 

「ちょっと君!そこのお婆さんに席を譲ってあげようとは思わないの?」

 

 桜の花びらをぼーっと眺めていると、車内で大人のお姉さんが金髪のお兄さんに怒鳴っていた。いや、お兄さんじゃないなアレ。私と同じ学校の制服着てるし同級生かも。

 

「それはそれはcrazyな質問だねlady。この席は優先席だが席を譲るか譲らないかの決定権は私にある。君が決める事ではないよ」

 

 いや譲れよ。常識的に考えてそこは譲る場面でしょ。逆に今言い返したせいで車内の注目を変に集めちゃってるじゃん。恥ずかしくないの!?私だったら恥ずかしくて顔真っ赤にしながら「もう死にたい」ってZ(某SNS)に呟いちゃうな〜。

 

「お年寄りに席を譲るのは当然でしょう!」

 

「年寄りだから席を譲る?ハハッ!実にナンセンスだ」

 

 ハハッ!(ミッキー風) なんかもうお婆さんがマジで死にかけゾンビ状態だから私が席を譲ってあげればいいや!

 

あのよかったら……

「それが目上の人に対する態度なの!?」

 

あ、ありがとねぇ

「目上?君や老婆が私よりも長い人生を送っていることは一目瞭然だ。疑問の余地もない。だが──」

 

いえ全然大丈夫です、はい

「なっ!?あなたは高校生でしょう!?大人の言う事を素直に聞きなさい!」

 

 ヒートアップしていく車内にて私はディベート対決中の二人に絡まれる事なく静かにお婆さんに席を譲り、何事もなかったかのように手すりに掴まって外を眺める。

 

 ふっ、皆んなはこの動きを参考にした方がいいよ?この方法ならディベートに巻き込まれる事もないしお婆さんも救われる。まさにwinwin。いやwinwinの使い方間違ってるかも。

 

「も、もういいですから」

 

「……っ、すみませんお婆さん……ってえ?」

 

「おや?どうやら席に座れたようだねぇ」

 

 私のこの華麗な動きについてこれた者がこの車内にいるだろうか。否!いるはずがない。何故なら車内の人間は運転手含めてあの二人のディベートに夢中になっていた。(運転手は運転に集中しろよ)

 この中で私の動きを追えた者など存在しないのだよ。私のこの完璧なムーブ。これで私が巻き込まれる事もなく皆んなが平和に終われるね!

 

「ありがとねぇお嬢さん」

 

「ゔぉぇっふ!?」

 

 お婆ちゃん!!??誰に話しかけてるのぉ?そこには外を眺めてる平凡な女の子しかいないヨ〜??

 

「お嬢さんって、あなたが?」

 

「この子がねぇ、周りに迷惑をかけないように私に席を譲ってくれたのよぉ。本当に優しい子だねぇ」

 

「……………………ソンナコトナイデスヨ

 

「私からもお礼を言わせてください。お婆さんに席を譲ってあげてありがとう!」

 

 やめてぇ!今の私は空気!背景!エキストラなの!だから話しかけないで?乗客全員の目線が私に集中してる今この状況は陰キャにとって苦痛でしかないから!最終安置が崖上で敵が蔓延ってて崖下でチマチマ回復して耐えてる時くらい苦痛だから!

 

「…………イエベツニタイシタコトデハ

 

「ほぅ?優先席でもない一般席に座っていた君には私よりも遥かに理由など存在しないはずだが、何故老婆に席を譲ったのか興味が湧くねぇ。教えてくれるかな?プリティガール」

 

 話しかけんなっつってんだろ!もう無理!私今日で死ぬのかもしれない!ってか死ぬ!次回作なんてないからね!だって私もう死んでるもん!

 

 ひたすら早く学校に着いてくれと願う初登校でした。

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

☆☆☆

 

 バスが学校前のバス停に到着し、私は背景になりきってバスから降りた。車内で目立ってしまった分、できるだけ目立たないよう周りと歩調を合わせて歩き、校舎まで向かう。

 

 はぁ。やっぱり余計な事するんじゃなかったな。でも困ってる人がいたら放っておけないんだよなー……。

 あーゆー時ってどうするのが正解なんだろう。背景になりきるならやっぱり、外を眺め続けてた方が良かったのかも。でもそれだとお婆さんが席に座れたのか分からないし。

 もしかしたらタイミングの問題なのかもしれない。一通りディベートが終わってから席を譲ってたら、もしかしたらまた違う結果が待ってたかも……。

 

 あーもう!こんな事での過去の失敗を振り返っても今後の成長には繋がらないよ!考えるだけ無駄って事にして、気持ち切り替えていこう!

 

 それにしても綺麗な校舎だな。まだまだ遠いけど距離が離れてても分かる大きさだし、しかも校舎のすぐ近くに色々な施設が整ってるのもよく分かる。何か城下町みたいでワロタ。

 

 確か埋立地に学校とショッピングモールとかゲームセンターとか色々あるんだっけ。だから校門から校舎までこんなに距離が離れてるのか。

 面倒くさ。この距離歩かせるの鬼畜じゃない?運動苦手な私への当てつけ?なーんて、それは自意識過剰だよね。

 

「あのー!」

 

「…………」

 

 何か後ろから呼ばれた気がするけど、まぁ気のせいか。自意識過剰だよね。

 

「ねぇねぇ、君さっきのバスに乗ってたよね」

 

「…………」

 

 なんか隣まできて私に向かって話してるような気がするけど、き、きき、気のせいだよね?自意識過剰だよね。

 

「お婆さんに席を譲ってたの見てたよ!カッコよかった」

 

「……さ、サンキュー

 

 私だー!?めちゃめちゃ私に話しかけてたー!?ってかあの場で私が席を譲る瞬間見てた人いたの!?お婆さん以外見てないと思ってたのに。ってか反射的に変な返事しちゃった。

 

 ダメだ。せっかく話しかけてくれたのに緊張して目が見れない。女の子だよね?声高いし身長も私と同じくらいかな。綺麗なピンク髪で脚も長いな……あ、良い匂いすりゅ〜。

 

「私も席を譲ろうかなって思ったんだけど、口論がヒートアップしてて中々言うタイミングなくてさ。そんな中さりげなく席を譲ってあげてるのが見えて、凄いな!って思った!」

 

「どうも……」

 

「私、一之瀬帆波。名前なんて言うの?」

 

「くりゅみ坂……朱莉……」

 

「く、くりゅ?」

 

 噛んじゃったー。あーあ噛んじゃったー、大事な場面で噛んじゃったー。どうかーしましたかー?はい。まぁ私なんていつもこうですし別に気にしてませんけどね。自己紹介で噛んだ事なんて星の数ほどありますよ。舐めんなマジ。

 

「胡桃坂朱莉デス。15歳です」

 

「胡桃坂さんね!あははっ15歳って知ってるよ〜。私も15歳です!よろしくね」

 

「よ、よろしこ」

 

「よろし……こ?」

 

「じゃ、じゃなくて!よろしく、お願いします」

 

「うん!よろしくね!」

 

陽!圧倒的YOU!4Uすぎて酔うよ!マジで輝いてるよこの人!私とは真逆の人種だよ〜〜……。

 

「胡桃坂さんは一般受験なの?」

 

「そ、そうデスネ」

 

「そうなんだ〜。私は推薦なんだよね。学校でコツコツ頑張ってた感じ?」

 

「ほ、ほ〜……優秀デスネ」

 

「コツコツやるのは得意だよ!でもこの学校入ったら正直甘えちゃうかな〜。だって就職率100%なんだもん」

 

「そ、そすね〜……」

 

 陰キャあるある。受け答えの仕方下手すぎる。どうにかして会話を広げたいけど相手が陽キャすぎて多分こっちから出す話題じゃ盛り上がらないし、ウィングマンに何付ける派?私はアイアンサイトかな〜HCOGも捨てがたいけど、それはナイナイに付けるよデュフ、なんて言ったら絶対『は?何それキモイんですけど』って言われるし。

 

「…………ごめんね、ちょっとグイグイ話しかけすぎちゃったかな。私、相手との距離感たまに間違えちゃうから」

 

「あ……」

 

 一之瀬さんは私から少し距離を取った。さっきまでは濃厚接触範囲内だったのに、今はソーシャルディスタンスの距離感になってしまっている。

 

 違う。別に一之瀬さんが嫌とかじゃなくて、私なんかが話して良い人種じゃないから、迷惑かなって思っただけで、本当に一之瀬さんが嫌いなわけじゃないから。

 

「いえ……そんな事……は」

 

 あれ?

 

「ううん、ごめん。初対面なのに距離近すぎたもん。気をつけるね!」

 

 何で言葉に出来ないんだろう。さっき心の中で思ってた事を言葉にして、口に出すだけで良いのに。

 ネトゲやってる時はボイスチャットでキレ散らかしたりできるし、味方に指示出したり喜びあったり出来るのに、現実になった途端何も出来なくなる……。

 

 緊張で一之瀬さんの顔、一回も見れてないから分からないけど、多分今すっごく悲しい顔してるよね……。私今、ただの嫌なやつだ。

 

 バスで席譲った結果、お婆さんが喜ぶのは分かるけど、一之瀬さんが悲しい顔するのは分からない。誰のせい?そんなの私のせいに決まってるじゃん。

 

 じゃあ、何で一之瀬さんは自責してるの?分かんないよ。距離が近すぎたから自分が悪いなんて、意味わかんない。異性ならちょっとキモいかもしれないけど、同性の人に親しくされて嫌なわけがない。

 

 ──────それを伝えなきゃ。声に出して、言葉にしなきゃダメでしょ朱莉!!

 

「あ、あの、一之瀬さん!」

 

「ふぇっ!?」

 

 私は一之瀬さんとの距離を一気に縮めて彼女の両手を取り、できるだけ目を合わせて話そうとした。

 

「一之瀬さん!その、私っ……!」

 

『お前、人に嫌われてるってまだ分かんないの?』

 

「…………わた……し……」

 

 ふと嫌な思い出が脳裏をよぎる。あの日男友達に言われた言葉が魚の小骨のように喉に突き刺さり、その後の言葉が出なくなる。

 ここで俯いたらダメ……俯いたら……また振り出しに戻っちゃう。セーブ機能なんて、現実にはないんだから!!

 

「一之瀬さん!私はね?」

 

「う、うん!?」

 

 ────あ……可愛い。今初めて一之瀬さんと目が合ったけど、こんなに可愛い人だったんだ。あの日の事なんて、全然関係ないや。

 

「私は一之瀬さんに話しかけてもらえて嬉しいよ!」

 

「うえっ?そ、そうなの?」

 

「うん!すっごく嬉しい!別に一之瀬さんの距離の詰め方が嫌だったとか、気持ち悪いとか全然これっぽっちも微塵も思ってないし!なんなら良い匂いしてウハウハだったし!確かに緊張して声が小さくなっちゃってたかもしれないけど、初めての友達が一之瀬さんになりそうだなって思ったら、あの時バスでお婆さん助けてよかったーって思えたし!ちょっと緊張しちゃったのは一之瀬さんがすっごく可愛いしスタイル良いし陽キャだし声も可愛いしまだそんなに話してないけど優しそうだったから、私みたいな根暗陰キャが話して良い存在なのかなって自己肯定感下がってただけだから!あ!一之瀬さんは悪くないよ!私が悪いの!だから、ね?私は一之瀬さんの事、全然嫌いじゃないから!むしろもっとお話して仲良くなりたいと思ってるから!だから!だから────!」

 

 長々と話しながら私は勢いに乗りまくり、いつの間にか周りの目や我を忘れて一之瀬さんに抱きついてしまった。

 

「もっと近くにいて欲しいのー!」

 

「「「「………………」」」」

 

「…………ハ、ハヒッ!?」

 

 沈黙に包まれた校門付近。私は自分が何をしているのかようやく気づき、すぐに一之瀬さんから離れる。一之瀬さんはちょっと顔が赤くなっていて、目を見開きながら私を見つめている。登校中の周りの生徒からも注目を集めており、それはもう私にとっては地獄のような空間が出来上がっていた。

 

────そう、まるでボイスチャットで外国人同士が喧嘩して差別用語が飛び交っていたあの日のランクマッチのように。

 

「く、胡桃坂、さん……その〜」

 

「あ、あわ、あわわ、あ、あわわわわわ…………あわわわわわわわわわわわわ〜〜〜!!!」

 

「く、胡桃坂さん!?」

 

ファサァ〜〜………」

 

「あ〜!胡桃坂さんが〜〜!?」

 

その日、私は初めて風になる経験をした。人間は恥ずかしすぎて死にそうになると風になれるらしい。ありがとう。何だか気分が楽になった気がするよ。

 




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