ワールドトリガー 帰還者の凱旋 作:みるみるみるみ
その日は、いつも通り学校が終わり、一人で下校している途中だった。もうすぐ家に着くという所で、林から1匹のでかい『なにか』が出て来て、俺の記憶は途絶えた
今考えると、アレは『トリオン兵』だったんだな。確かに、『三門市』の
『起きたか』
体を起こす。辺りを見渡すが、壁しか見えない。天井付近に窓が設置されており、そこに人影が複数見える
『武器を取れ。今から敵と戦ってもらう。生き残れ』
「…………これ?」
目の前には黒い四角い物体と、白い丸の物体が置いてあった
『黒い方は【スパス】、近接武器。白い方は【スフィア】、遠距離武器だ』
「……どっちの方が強い? あと、僕は全くの素人だぞ。普通に死ぬぞ」
『死んだら死んだ、だ。強さならどっちも変わらん』
「そうっすか」
近接武器、原作のスコーピオンとなんだっけ、なら、こっちだな
「こっちにしようかな」
俺は白い物体を取る。黒い方は消えたが、同時に壁に扉が現れた。そこから『トリオン兵』が出て来た
大きさは小4の俺と大差は無さそうだが、動きは早そうだ
「トリガーオン」
俺の体が換装される。空閑遊真の戦闘体に似ているが、それを少しかっこよくして茶色くしたかんじだ
『ヤレ』
上から声がしたと同時にトリオン兵が向かってくる。俺は【スフィア】を展開する
なるほど、こんな感じ、か
ドドドドドッ!!
「…………なるほどね」
トリオン兵は穴まみれになり、目の前で倒れる
トリガーを展開してなんとなくこいつの使い方を理解する。すごいな、こんな感じで理解できるのか。頭に直接知識が入ってくる。不思議な感覚だ
『…………やるな。今回のテストは終わりだ』
上の人間の気配が消え、そして、【スフィア】も消える。俺は、下校時の服装に戻される
思ったよりもきちんと科学が進歩している所なのかもしれない。流石に、ボーダー並ではない。が、この訓練所みたいな所はそう易々と作れる訳では無いと思う
その場でパタリと寝転がり、考える
(もし、この場で行動して運良く『トリガー』を奪取出来て、運良く敵兵を倒して、運良く遠征艇まで行けたとしても、確実にそこで詰む
なら、ここで信頼を得るしか無い。この待遇を見る限り、良くはなさそうだが、悪くは無さそうだ。奴隷の様に扱われることは無いだろう)
腕を頭の後ろで組み、目を閉じる
緊張していた体の緊張が解け、眠気を誘う。この体はまだ、成長の途中だ。寝て、果報を待つしかない
無駄に考えても、嫌気がさすだけだ。寝よう
◇
「起きろ」
「…………、初めまして」
俺は手を付き、体を起こす。目の前にいるのは仏頂面をした30代後半の男性だ。それが、軍服に近い姿で腰に剣を刺していた
軽口を、恐怖を押し殺しながら叩く。俺は余裕だぜ、と、精一杯のアピールをする
「…………来い、1番」
「…………1番、ね? 俺は連れ去られた中でも1番成績が良かった、のかな? それとも、1番最初に連れてこられたのかな?」
「…………」
仏頂面の男は俺の言葉に応えない。チラリと俺のことを見ては、そのまま歩き出す。歩幅はさすがに合わせてくれるようだ
男の後ろを歩く。何も考えないようにと思うと、最も悪いことを考えてしまう。だから、余裕だと心で叫びながら、男に話しかける
「なぁ、あんたの名前は? オレは1番。だから、オンリーなんてのはどうだ? いや、安直すぎるか。ファースト、いや、ワンス。うーん、センス無いなぁ」
「…………ふっ」
「…………なんで笑うんだよ」
「怖いんだろ?」
「ッ!」
体が硬直する。その通り、この男は俺の心境を見破っていた。体が震え出す。心がありもしない事に思いを馳せる。今からどんなことをされるのか、想像出来ないからこそ、怖さが増す
怖い、怖い、怖い。けど、だから、なんだ。俺は震える体を隠さずにニヤリと笑う
「だからなに? 俺は諦めない。俺は家に帰る。まだまだやり残したことが沢山あるんだからな」
「…………ふっ。そうか、頑張れよ」
「は?」
そう言うと、男はさっきの歩幅より大きな歩幅で歩き出す。俺は慌てて少し早歩きで男の後ろを追いかけた
◇
「着いたぞ。この部屋に入れ」
「…………ここは?」
「いいから入れ。まぁ、上手く行けば痛い目は合わないだろうさ」
もう取り付く島もない様だ。男は腕を組み、俺を前に押し出す。俺は諦め、少し高めのドアノブを開く
そこには俺と同じ様な少年少女が7人いた。多分、1番大きくて俺と同じ小4、小さくて小1だろう
全員が部屋の隅に固まり、怯えていた。1番小さい子は酷く怯えており、顔面が蒼白になっている
ドタン
後ろで扉が閉まる。その音に俺以外がビクンと反応するのが少し面白かったが、未だに恐怖の方が勝っている
後ろを確認したら扉はなくなっていた
(なるほどね。ここでも試験が始まるのか)
『集まったな。では、テストを始める。最後まで生き残れ』
またも天井付近に窓が現れ、先程と同じ声が聞こえる。試験管みたいなやつは同じやつだ
体が勝手に換装される。トリガーもいつの間にか所有していた
『まずはさっきの奴だ』
先程のトリオン兵が8匹出てくる
「いやぁぁぁ!!」
「いやだ!?!? いやだよぉ!!」
「やめて!! やめてぇ!!」
「うわあああん!!」
俺以外の子が泣き叫び、さらに縮こまる
なるほどね。この子達は1度コイツらに殺されたのか
ドドドドドドドッ!!
俺の【スフィア】が8体のトリオン兵をまとめてなぎ倒す
『やるな、次だ』
今度は1体のトリオン兵が現れる。俺は、できる限り【スフィア】を展開し、撃ち込む
一瞬暴れようとしたが、俺の飽和攻撃でトリオン兵は跡形もなく壊れた。そう、壊れたのだ
「……本物、か?」
『やるな。やりすぎだと思ったが、やって正解だな。コレは大当たりだ。1番、この部屋を出ろ。次に進め』
「…………コイツらはどうなる?」
『まぁ、悪いようにはしない。大切な【資源】だ。安心しろ』
「…………分かった」
怯える子達をしり目に、俺は開放された扉から出ようとする
見なければよかった。振り向いたわけではない。扉を開ける時に横目で見てしまったのだ。声には出ていない、しかし、はっきりと書いてある
助けて
必死な顔で助けを求める。俺は、ソレを見捨てることしか出来なかった
◇
気分は最悪だ。部屋を出るとさっきの男が次の部屋に案内した。コレで最後らしい
今度部屋には先程よりはかなり成長した3人がいた
「大丈夫!?」
「早くこっちへ!」
その3人は俺を男から引き離し、男を睨みつける
「心配するな。俺は何もしてない」
「…………」
「分かった。退散するとしよう」
男は片手を上げ、降参のポーズを取りながら退出する
男が出て行くと3人は一息つく。そして自己紹介を始めた
「私は
眼鏡をかけたおさげの女子。身長は俺より頭一つ分程大きいが、彼女らの中では2番目。大人しそうな声で、1番に俺を庇ってくれた
「僕は
「私もよ。名前は
少年はこの中で一番背が大きく、少女は俺よりも少し高いぐらい。吊り目が勝気な印象を与える容姿をしている
「僕は、
『自己紹介も終わったようだな。これから最終試験に移る』
「「「っ!?」」」
『今から、お前たちを森の中へ転送する。それぞれ、塔を目指せ。それで試験は終了だ』
その言葉が終わると同時に、俺の視界はホワイトアウトする
◇
目を開けると、本当に森の中にポツンと置かれていた。森というか、林ぐらいの場所だが。そして、体もトリオン体となっていた
うっすらとだが、巨大な塔が遥か先に建っているのが見える。仕方なく、そっちの方向に向けて歩く
しばらくして、疲れない事に気付いた
「あれ? もう、30分以上歩いてるのに、全然疲れないし、痛くない」
ここは『道』が無い。だから、道無き道を行っているのにも関わらず、息も切れないし、疲労も来ない。まさか、この状態は疲れが無いのか?
確かに、この状態で食べると太るという描写はあった、と思う。今思い出した。じゃあ走ってくか
俺はスフィアで最短距離をぶち抜く。木々が倒れる轟音に少しビビりながらも、最短距離を走り抜ける
すると、俺の【
バギバギバギッ!!
俺もかなりの音を立てていたが、コイツも俺の負けじと轟音を立てながら俺の前に立つ
「わぁお。なんか見た事あるなぁ」
「…………」
「なるほどね。こいつを倒せって事ね。こりゃ、無理、ちゃうかなぁ」
そこには、『ラービット』と呼称されるトリオン兵。トリガー使いを
ラービットは俺が足を止めると、すぐさま襲いかかってくる
漂わせたスフィアをラービットの顔中心に叩き込む。ラービットはそれを腕でガードしながら突っ込んできた
俺が
それでもラービットはキチンと俺を補足し追いかけてくる。たまに飛びついてくるが、上手く木を使い躱す。舐めるなよ、俺の副作用はこういう時に便利なんだよ
「……おいおい。この試験、合格させる気はあるのかよ。とりあえず、その耳貰っていくか」
逃げながら俺はできる限りのスフィアを展開していた。そして、ソレを少しずつ隠しながら逃げて、隠した中心にコイツをおびき寄せる
素直に追ってきたから簡単だね
無数のスフィアがラービットに殺到する
ドガガガガガッッ!!
「…………、ありゃ? まさか、やれた?」
ぶおんっ
ラービットが土煙を勢い良く払い、俺を睨みつけてくる。片腕の装甲が剥がれ、バチバチと音を鳴らし、耳も右側は破壊に成功。そして、頭の装甲もボロボロだ
後は、もう一度同じことをやれば勝てる
「…………」クル
タッタッタッター
「…………えぇ?」
ラービットは、背を向けて逃げていった。それはもう脱兎のごとく。半分壊れかけでも、かなりの速度でラービットをすぐに見失ってしまう
困惑しながらも、仕方なく塔を目指すことにする
流石に、さっきみたいに最短距離をぶち抜くのは止めておく。さっきはたまたま上手くいっただけで、次も上手くいく保証は無い。見つからない事に越したことはない
少し回り道だが、薮に入らないぐらいで小走りに塔を目指す。もう既にかなりの距離を最短距離でぶち抜いた後だ。そこまで時間はかからないと思う
◇
「ふぅ、着いたー」
小走りで1時間もしないぐらいで着く。遠くから見たら結構細く見えたが、かなりでかい
「あ、皆さん」
「無事でよかった!」
「蓮くん!?」
「どうやってここに!?」
「えっと、走ってきました」
俺以外のさっきのメンバーがそこにはいた。みんな擦り傷だらけで、ほんの少しずつトリオンが漏れているが、元気そう
「そっちの方向、すごい音だったけど、大丈夫だったの?」
「あー、ソレ僕ですね。最短距離ぶち抜こうとして、木とか薙ぎ倒してました」
「わぁお。コイツ、大物になるわね」
「す、すごいなぁ。敵は? こっちも何体かみんなで倒したんだけど、結構危なかったんだよね」
「1匹でしたよ」
「はぁ、良かった。流石に、こんな小さな子だからね」
まぁ、めちゃんこ強いやつだからなぁ。俺も本当に運が良かったと思う。俺に不意打ちとかは、俺の副作用の射程外からの狙撃以外効かないからな
「とりあえず、試験は終わったのかな?」
『良くたどり着いた。まさか、全員生き残るとはな。しかも、ラービットを半壊させるとは、かなりの当たりだな』
「な、なにか知らないけど! 私達をどうする気!?」
「ち、千秋さん、落ち着いて」
仁郎が千秋を宥めるが勝気な少女は、睨みつける目を尖らせるばかりだ
『ソレはまた説明するとして、とりあえずはおめでとう。コレで君達はキチンとした生活を送れる権利を得た』
「ど、どういう事よ!?」
「……私達は試されていたのよ。使えるか使えないか。まだ使えるから、反乱されない様な生活を与えてる、と思う」
詩音が呟く。彼女は頭がいいのだろう。この状況をきちんと理解している。だから、元気が一番無いんだろうな
『概ねその通りだ。では、シュミレーションを解除する』
「「「「っ!?」」」」
視界がホワイトアウトする。そこは、森に飛ばされる前の部屋だった
「やあ! お疲れ様! 君達が新しい戦力だね! 案内するよ!」
「案内はしない。王の所に連れていく」
そして、俺たち意外に2人の人物。青年と少年の中間、歳で言えば高校卒業ぐらいと、20代半ばの色黒の女性。少年はジン、女性はディアドラと名乗った
そして、俺たちは縛られている。それはもうギャンギャン。締め付けられてるところが痛い。それはもうめちゃくちゃ痛い。千秋が喚く位には痛い
長い廊下をぐるぐると歩き回されて、ようやく豪華な部屋に着く
「コレから王との謁見だ。くれぐれも失礼の無いように」
「大丈夫ですよ! 王様優しいから!」
「…………優しい人はこんなに締め付けないわよ」
「私達は優しくないからな」
「ほらほら! 入りますよ! 王様ー! 入りまーす!」
豪華な扉がジンのふざけた掛け声と共に開かれる
そこには、大きくて豪華な椅子に初老の男性。その隣の椅子に初老の女性、そして、少し小さめの椅子にジンと同じぐらいの女性がいた
「ふむ。お主ら、が」
「この者達が今回の成果です」
「この人、達がですか」
「はい! 皆さん、優秀な人材ですよ! 特にレン君! 彼は単独でラービットを撃破していますからね!」
「……劣化版だがな」
「分かった。その縄を解いてやりなさい」
「分かりました!」
「いいのですか?」
「よい。お主らが居るだろう」
「了解致しました」
しゅるしゅると縄が解かれる。うわぁ、めっちゃ痣になってるよ
「……私達をどうするんですか?」
手首の字を擦りながら詩音が聞く
「お主たちには、この国を守ってもらう。その為に、攫ってきたのだ」
「守るぅ!? 攫われたのに、犯罪者の国をなんで守らないといけないのよ!」
「わぁあ!? 落ち着いて落ち着いて!?」
仁郎が千秋を抑え込む。それでももがもがしてる千秋はかなりの大物になるに違いない。うん。それか馬鹿だ
仕方なし、俺が聞くか
「僕たちへのメリットは?」
「お主たちに、ある程度の自由と権利を与える」
「僕たちが元の場所に帰れる保証は?」
「無い」
わぁお。言い切りますねぇ。コレは信用してもいいのか悪いのか、わかんないよ。俺は1回死んでるし、ズバッと聞いちゃうか。拷問はされたくないけどね
「んーと、権利って?」
「まずは衣食住。それと、成果に応じてじゃな」
「ふーん? 成果って?」
「この国の防衛、それと、他国からのトリガーの押収、トリオン兵の鹵獲、トリガー使いの鹵獲、撃破又は殺害じゃな」
「ソレは、なんと言うか、殺伐としてるなー」
そうだよな。戦争みたいなもんだよな。よく考えたら、ボーダーのランク戦も戦争の縮小版みたいな感じだよな。多分
「他にはあるかな?」
「…………僕が1番聞きたいのは、僕たち以外はどうなるの? 明らかに『使えない』って判断された子達は」
「「「っ!」」」
「殺しはしない。しかし、トリオン供給機関として生きながらえてもらう」
「…………ふーん。よく分からないなぁ」
「こちらからの教育を施し、使えそうになるまではだいたい監禁生活じゃな」
「なるほどねー。僕からは、もう無いかな。とりあえずは」
「…………アンタ、何も思わない訳!?」
怒鳴り声。そして、首が締まり体が少し浮く
ああ、襟首を持たれて恫喝される時って、こんな感じなんだ。苦しいけど、そんなに、かな。少し締まってるぐらい。ぐぇ
「え? いやぁ、僕からは何も出来ないし、最悪ではない、かなぁって思ってますけど」
「最悪じゃない!? 本当にそう思ってるんだったら最低!! 牢獄とかに監禁されて、洗脳されちゃうのよ!?」
んまぁ、その通りなんだけど、俺達に交渉の余地は無い。少しでもカードを集めないと
「確かに、気持ちはわかりますよ?でも、奴隷として働かされるよりはマシなんじゃない?」
「……信じらんない」
千秋が冷めた目で見下ろしてくる。ま、マジかよ。俺悪く無くね? だってどうしようも無いじゃん
突き放され、少しよろめく。でも、俺はきちんと襟元を直して服を正す。この服はもう、替えが効かない俺達にとっての唯一の地球の品だからね
「…………衣食住の内容は? 私達の部屋とかどうなるんですか?」
詩音が冷静に聞いてくれる。ありがたい
「うむ。部屋については個室を与える。ディアドラ、ソニアを連れ案内しなさい」
「承りました。ディアドラ、案内をお願いします」
「ハッ。ついて来い、お前らの部屋に案内する」
俺は何も言わずに、かぶりを振ってからディアドラの後ろを歩く。次に詩音、仁郎、少し後に千秋、ソニアと呼ばれた女性が歩く
部屋を出ると、最初にあった男が居た。その男はソニアと呼ばれた女性に一礼すると王の部屋に入って行った
またぐるぐると歩き回され、たどり着いた部屋は質素だが、普通に綺麗な部屋だった。ベットは硬いけど、寝れないほどでは無い。机もあるし、トイレもシャワーもある。ホテルかな?
各人が案内され、俺は最後だったので王女だと思われるソニアに説明を受ける
「この部屋は好きに使って下さい。要望があればディアドラに申し付ければ大抵のことなら許可致します」
「コレって、電気とかガスとかってどうしてるんですか?」
「? 電気、やガスは分かりませんが、これ等の原動力の事ならトリオンを原動力としています。基本的にシャワーや光をつける時はこの部分に触れて、好きな量のトリオンを蓄えれば使えるようになります」
このように、と言いながら、ソニアは入口の近くに置いてある半円球の物体に触れる。そうすると、それが少し光って隣にあるゲージが上昇していく
俺も興味本位で触ってみる。ゲージは上昇していくが、何かが吸われている感覚は無い。強いて言えば、少しくすぐったいぐらいかな
「それでは、何かあればこのボタンを押して下さい。そうすれば、使用人が要件を伺います」
「分かりました。あ、今でも大丈夫ですか?」
「はい。何かご要望が? 私から伝えておきましょう」
「はい。確認なんですけど、俺たち以外の子って、食事とかきちんと与えられますか? 風呂とか」
「......最低限ですが、与えられるはずです。物資は有限です。役に立つ者に多く与えられますから」
「その最低限、底上げできませんか?」
「…………どういうことでしょうか?」
「俺に与えられる権利と給料、自由はいらない。なんなら、あんたらの言うことを聞く奴隷にでもなる。だから、彼らに少しでもいい生活を送って欲しい」
「っ!?」
「まぁ、全てが叶うとは思っていないよ。けど、俺に出来ることならなんでもやるよ。最終的には、俺が、■■■■■■■■になってもいい。だから、できないか?」
「な、なぜそれを?
「いいじゃないですか。そんなこと、俺はあんたらの奴隷になる。だから、俺たち以外の子に酷いことをしない。それでいいんだ」
あの目を見てから、俺はあいつらを必ず救うと決めた。あいつらに不自由ない生活をおくらせる。ただの自己満だ
まぁ、2回目の人生だしな。前回は好きに生きた。今回は誰かのために生きてもいいだろう
「出来るんですか?」
「………あなたからの提案を、伝えておきましょう。また、連絡が来ると思います」
「ありがとうございます。……あ、あの3人には内緒で。恥ずかしいんで」
「……分かりました」
よし。コレで気も楽になった。俺に出来ることはやった。これ以上は思いつかん。まぁ、前世も20代半ばで死んだから、そんなに考えれんのよね
がんばるかー
お手柔らかにー