海賊王兼天司長 緑谷出久のヒーローアカデミア 作:ジャック・オー・ワンタン
ワンフォーオールを継承してから僕は雄英高校に入学する為そしてワンフォーオールを使いこなす為、学校が終わってからはオールマイトと会って海浜公園で特訓を始めた。
「SMASH!!」
武装色を纏ったデトロイト・スマッシュを繰り出すと辺りに爆風が飛び、ゴミが塵となって消滅する。
「・・・ふむ。」
飛び散った塵を払いながらオールマイトは神妙な顔をして口を開いた。
「ヘドロヴィランの一件を見るに君は拳よりも刀・・・剣術が向いていると見えるな。」
「は、はい。」
前世のロジャーもルシフェルも刀を使っていたこともあってか拳での殴り合いはそこまで得意ではない。対してワンフォーオールは拳技をメインとする超パワーの個性だ。継承出来る器ではあったものの明らかに僕の戦闘スタイルとワンフォーオールは噛み合っていない。
「武器を使うのも悪くはないがヒーローの大半は個性を生かした肉弾戦を得意としている。そう考えると剣術だけでなく己の拳でも戦えるようにせねばな。」
「拳で戦えるように・・・やってみます!」
アドバイスを受けて僕は何度もデトロイト・スマッシュを放つ。吹き荒れる爆風、吹き飛ぶゴミの山々・・・ワンフォーオールを使う代償か僕の体力はどんどん消耗していった。
「はぁ、はぁ、はぁ・・・」
「流石に限界か?休むか?」
「いいえ!」
その言葉に笑みを浮かべると赤みがかった黒い稲妻を纏い、覇王色を発する。強者の面構えとも言える佇まいにオールマイトは目を見開いていた。
(なんという力だ!本当に中学生なのか!?いや、前世があれなら確かに・・・)
「どうしました?」
「いいや、続けたまえ。」
やや焦る彼を他所に特訓を続け、拳で戦うことに慣れていく。気がつけば夜になり空には満天の星空が広がっていた。今日はこのくらいだろう。
「よし、今日はここまでにしよう。」
「はい!ありがとうございました。」
特訓を終え、深々と一礼すると僕は帰る準備を始める。
「少年。」
刹那、オールマイトが呼び止めると彼は真剣な顔をしていた。練度の高い見聞色の覇気を使える僕には何を考えているのかお見通しだった。
「自分はヒーローとしてもう長くない・・・と仰りたいんですよね?」
「君はエスパーか何かか?まあ、そういう事だ。私に残っているワンフォーオールは残り火に過ぎない。恐らくこれを使えば消えるのも時間の問題だ。」
自身の拳を見つめるオールマイトを僕はじっと見つめる。嘘はつかない・・・いや、僕の前で思考は無意味。貴方はまだ思っている筈だ。身体が疼いていると。
「オールマイト。もし、僕の能力を他人でも使える・・・と言ったらどうしますか?」
「少年の力を!?」
「要領が分かれば直ぐに使えます。これさえ使えれば仮にワンフォーオールが無くなっても少しは戦える。悪い話では無いですよね?」
「し、しかし・・・」
水臭いなこの人。ワンフォーオールを譲って貰ったのにオールマイトに何も無いのはフェアじゃない。オールマイトがその気じゃなくても僕はそうする。
余計なお世話はヒーローの本質だから!
「オールマイト、貴方にも伝授しますよ。」
キョトンとする彼に拳を握り締めて言った。
「僕の能力の一つ。『覇気』を!」
◇◇◇
翌日、僕はいつものようにオールマイトと公園に集合すると早速、覇気について伝授することにした。
「それで覇気とはどんなものなのだ?」
「覇気は全ての人間に滞在する力です。気配、気合、威圧・・・それら人の感覚として当たり前の感覚と何ら違いはありません。」
この世界の人間でもやり方さえ分かれば覇気を使える。事実、ロジャーの時に覇気を使っていた者達はごまんといた。オールマイト・・・他のヒーロー達でも使えるのは間違いない。
「でしたら先ず・・・」
僕は武装色、見聞色の覇気をオールマイトに教える。威圧の力・・・覇王色は使える人が限られる代物。幾らオールマイトでもその資質が無ければ教えられない。
「ふむ、こうかな?SMASH!!!」
何度も練習を重ね、オールマイトが拳を振るうと彼の腕が黒く染まり、周辺のゴミを塵に変えた。
「・・・!」
その練度の高さに僕は思わず目を見開く。驚いた!!普通の人なら何日もかけないと習得できない武装色の覇気をたった一日で・・・しかもこんな練度の高いものを生み出すなんて。
流石は平和の象徴だ!!!
「よく分からんが出来たぞ少年。」
「流石、オールマイト!」
武装色の覇気を会得したオールマイトに拍手を送る。お見事です。
「しかし如何せん見聞色といったか?それがイマイチ会得が難しい。」
「見聞色の覇気は擬似敵がいた方が分かりやすいですが・・・そうだ!」
すると僕はスポーツチャンバラと目隠しを用意する。
「オールマイト。失礼ですが目隠しをしてください。」
「えっ!?もしかして叩かれる!?」
「僕も本当はやりたくないです。」
焦るオールマイトに対して冷静にツッコみを返す。
「まあ、やってみるか。」
目隠しをしてその場に胡座をかいて座ったオールマイトの背中に僕は立つとスポーツチャンバラを思い切り振り上げた。ご、ごめんなさい!オールマイト!
「避けてみてくださいよ!ハイッ!」
「いったぁぁっ!」
スポーツチャンバラはオールマイトの頭に思い切りぶつかると彼は目を飛び出しながら吐血してトゥルーフォームに戻ってしまった。
「うわあああ!ごめんなさい!オールマイト死なないで!」
「人を勝手に殺すな!少年!ビックリしただけだ!」
涙目になった僕にオールマイトはそう返すと口元に付いた血を拭って立ち上がる。
「とりあえず要領は分かった。だが、夜も更けてきたし今日はここまでにしよう。」
「はい!ありがとうございました!」
◇◇◇
オールマイトとの特訓を追え、帰路についた僕はいつもの帰り道を進む。オールマイトが残り火を使い切ってもヒーローを続けるには彼に覇気を習得してもらうしかない。それが僕が彼に出来る唯一の恩返しだ。
「遅くなったなぁ。お母さん心配するしそろそろ・・・ん?」
ふと、何かが目に入り足を止める。
「ちょ!来んな!来んなって!」
「ふへへ!いいからオレとイイコトしよーぜぇ?」
僕と同じくらいの少女が敵らしき男にちょっかいを出されていた。あれ、ヤバいだろ!
「待ちな!」
ロジャーの口調で2人の前に現れ、白い六枚羽を広げた。
「んだテメェ?」
「女の子にちょっかい出すなよ敵!」
「けっ!ヒーロー気取りか?テメェ!」
敵の男はそう言うと指先から弾丸を放ってくる。
「うわっ!危ないって!」
「セヴン」
少女の心配の声を杞憂に終わらせるかのように僕は翼で自分の身を包むと覇気を使わずに弾丸を弾いてみせた。
「んなっ!?」
「その子を離せ。」
「ぐわっ!」
瞬間移動した僕は素の力で敵を蹴り飛ばすと少女の救出に成功する。
「んにゃろぉ!皆で慰めモノにしようとしたのにコイツ!」
「ね、ねえ!ヤバいって!ヒーロー呼んだ方がいいって!」
怒る敵を見て少女は必死に訴えかけてくる。その肩にはエレキギターと思しきものが入っているケースを大事そうに担いでいた。震えている。怖かったんだろう。
でも・・・
「大丈夫!僕が来たから!」
「ッ!?」
その言葉に少女は目を見開くと頬を少し赤くする。
「何、気取ってんだ!おい!お前ら!」
敵は仲間を呼ぶと鉄棒や雷、炎を纏った敵達が続々と路地裏から現れた。ざっと10人か・・・
「やばっ!本当にヤバいって!」
「死ねっ!」
敵達は一斉に僕目掛けて襲いかかる。余り騒ぎを起こしたくないけど・・・あの技、使ってみるか?
「捕まって!」
「えっ?うわっ!」
少女を抱き抱えた僕はそのまま空を飛ぶと上空で空いている右腕を掲げ、光のサークルを展開する。
「僕に捕まっててよ!」
もう一度彼女に呼び掛けると見上げる敵達へ技を放った。
「パラダイス・ロスト!」
サークルから無数の光のレーザーが放たれ、地上にいる敵達に降り掛かっていく。
「「うわぁぁぁぁぁぁっ!!」」
パラダイス・ロストを受けた敵達は文字通り楽園を失ったかのように地へ伏せ、気を失うと辺りに微かな黒煙が広がる。これでも抑えたつもりだけどやり過ぎたかな?まあいいや。このまま降りると騒ぎになるし別の場所へ行こう。
「ねぇ、そろそろ降ろして欲しいんだけど。」
「ごめん、別の場所で降ろすから待ってて。」
「そう言われても・・・ッ!」
こちらに顔を合わせた少女は僕を見るや否や更に顔を赤くする。まるで恋をした乙女のように。そんな彼女を他所に僕は飛行すると人気のない駅の裏口へ降り立った。
「怪我がなくて良かったよ。」
「あ・・・うん。」
「大丈夫?帰れる?」
「ふえっ!?あ、大丈夫!たまたまウチのよく使ってる駅だから。」
「そっか!それじゃ!」
「あ、待っ・・・」
少女を降ろした僕もまた空を飛び、家に帰る。そういえば・・・あの子、名前聞いてなかったな。まあいいか。また会えそうな気がするから!
原作ではワンフォーオールに継承できる器作りの特訓でしたが本作ではワンフォーオールの戦闘スタイルに慣れる為の特訓となっております。それと同時にオールマイトの覇気習得というアツい展開に。早速、武装色の覇気を習得した模様ですが見聞色はイマイチの様です。
そして終盤、何気にパラダイス・ロスト初使用でしたがデク君が助けた少女・・・皆さんは誰か分かったでしょうか?エレキギターを持っていたとなるとあの子しか居なさそうですね。未来のクラスメイトとなる人物を助け、更に落とすという罪深い男になりそうですが果たして・・・