目隠れ美少女女子高生ギャンブラー爆誕   作:王者スライム

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第十一話 ハーフポーカー⑤

「それじゃあ、次は四列目の真ん中を開けちゃおうかなぁ~」

「四列目の真ん中ですね……はい、"特権"にて公開されたカードはスペードの8でした。右吾様の"特権"は残り三つとなります」

 

 確実に選んだ一枚がないであろう真ん中を捲り、次はどこを捲るか考える。さっき、開けた所の更に左側を確定させていく必要はない。歌八ハちゃんはポーカーでの勝利を狙っていた。少なくとも四組は役を作っている事だろう。つまり、完全な役なしが一組公開されている現状、四列目は役がある組み合わせって事で……その役ってのがストレートフラッシュなのは言うまでもない。

 つまり、四列目の左から四枚がスペードの10-9-8-7であるって事が簡単に推測出来るって訳だ。とは言え、左から二枚は変えている可能性が高いだろうから捲るべきはあと五つ。そして、捲った結果スペードの7が出たり、選んだ一枚が出たらハズレ。僕はなんの情報も増えず、"特権"を無駄にするだけになってしまう。

 現在の歌八ハちゃんが選んだであろうカードの候補はスペードの3-2とクローバーの3-2。僕の"特権"は残り二つだから、二回も外せば三分の一。当てられてもおかしくないけど、外すのも十分あり得る可能性。それを考えると、わりとこちらも油断は出来ないだろう。

 ()()()()()()()()()()()()()()

 

「そうだねぇ……凍先輩!次は一気に開けちゃうよ!一列目と二列目、そして五列目の左端。そこをお願いね!」

「承知しました。それでは一列目のは……クローバーの3。二列目はクローバーの2。五列目はスペードの2です。これにて右吾様の"特権"はなくなりました。続いて、柊様の番です」

 

 僕はそれを聞いて勝ちを確信した。

 僕の公開されていないカードと歌八ハちゃんが持つ"特権"の数からして、歌八ハちゃんが数を当てられる事はないだろう。もし、当てられたとした運が良すぎる。その時は笑い飛ばすとして、僕は"特権"を使う歌八ハちゃんから目を逸らし、自分の世界に入り込んだ。自分がまさか顔に出すとは思わないけど、相手はあっち向かずホイで僕より稼いでいる相手だ。警戒しておくに越したことはない。

 歌八ハちゃんは賢い人間だ。それは凍先輩から聞いた話から。そして、実際に対面して、ルールを聞く態度や質問の内容から分かる。それに、対戦中の歌八ハちゃんはずっと落ち着いている。カードを出す姿勢、タイミング、呼吸の数に声の抑揚。目が隠れていて目の動きが見えないのもあるけれど、それを除いても彼女の手を態度から読むのは不可能だろう。

 けれど、歌八ハちゃんの賢さは異次元じゃない、地の足がついた賢さだ。僕の頭の中で想定出来る賢さだ。私が歌八ハちゃんならどう動くか。それが想定出来る賢さ。だから、()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 彼女が勝つためには僕の"特権"を無駄使いさせる事が大前提だ。だから、選んだ一枚、もしくはスペードの7をボクに踏ませる必要がある。まっ、スペードの7は公開情報じゃないけど、ボク視点で四列目の真ん中を開けない理由はないからね。ほぼ公開情報みたいになるのは誰でも分かるだろう。

 それで、ボクにその二枚を、もしくはどちらかをどう捲らせるか。それは、左から二枚は自由に入れ替えても良いというルールを逆手に取る。まあ、逆手に取るなんて程の事でもないけど。

 

♤A♤K♤Q♤J
♧A♧K♧Q♧J
♧10♤5♤4♧9♤6
♤10♤9♤8
♧8♧7♧6♧5
♧4

 

 こんな状況、歌八ハちゃんが選んだ一枚はともかくとして、スペードの7を回避するためにはどこを捲れば良いか。そこで、左から二枚は自由に入れ換えられていると考えれば、四列目の左から二枚。当然、そこにはスペードの7はないと考えられる。だって、そこにあったであろうスペードの7は入れ換えられているのだから。だが別に、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 そのままスペードの7は残して良いし、もう一枚の方は自分が選んだ一枚を入れれば、入れ換えを前提で考えていた相手の"特権"を二つも無駄に出来る。それが、歌八ハちゃんが作った罠。当然、僕も同じような罠を仕掛けている。だから、僕は簡単にそれを踏み越えられたって訳だ。

 歌八ハちゃんより僕が賢く、そして強い。それが示されたことに僕はニンマリと笑った。

 

「……けど、分かんないのは三回目の勝負だな。なんで、歌八ハちゃんは全部公開したんだろう」

 

 歌八ハちゃんにも、凍先輩にも聞こえないような声で、僕はそう小さく呟いた。

 ポーカー対決の三回戦目。歌八ハちゃんは役無しの全公開だった。勿論、彼女がどうしてその一手を出したのか、と言う理由は分かる。歌八ハちゃんは最初の二戦でロイヤルストレートフラッシュを使いきり、こちらにはロイヤルストレートフラッシュが二つ残っている状態。もし、僕の二つのロイヤルストレートフラッシュが四枚組ならば、結果論として残り手札の二つが四枚組のストレートフラッシュ、もう一つは役無し。

 つまり最悪、僕の四枚組のロイヤルストレートフラッシュを二回ストレートフラッシュに当てられたら、ポーカー対決に勝てなくなる。殆んど、"特権"を持っていなかった歌八ハちゃんにとって、勝ちの目がなくなる可能性がなくなるのは見逃せなかったのだろう。だから、彼女は"特権"を取りに行った。あそこから、僕が三勝すれば公開されるカードも多い。そこを"特権"で更に情報を増やし、数当てでの勝利に切り替える。実際、僕があそこから三勝出来たとすれば、その時の状況は僕と歌八ハちゃんの立場をそっくりそのまま入れ換えた物になる。その考え自体は理解出来るのだ。ただ、だからって三回目で五枚公開に振り切るだろうか?

 だって、歌八ハちゃんが想定した敗北には僕は一つも外さずに歌八ハちゃんのストレートフラッシュにロイヤルストレートフラッシュをぶつける必要があるのだ。それに、二回当てる必要がある以上、一回は余裕があるのだ。切り替える事を考えたとしても、三回戦目は役あり全伏せで様子を見ると言うのもありな筈だ。だって、それで僕の三回目の出した手札がロイヤルストレートフラッシュならまだ勝負は続き、三枚のストレートフラッシュなら歌八ハちゃんの勝ちが確定するのだから。なのに、いきなり三回戦目から勝負を仕掛けてきたのは疑問が残る。

 

「……それにあの質問だよね。最初に聞いたときは『これが歌八ハちゃんかぁ~』と細かい質問に感激を受けてたけど、あれって聞く意味あったのかなぁ?」

 

 ゲーム開始前の『……あと、一応聞いておきますが"特権"で選んだ一枚を公開する事は不可能ですよね?』と言う質問。"特権"で選んだ一枚が公開出来ればあまりにも終わっているゲームなので、本当に一応レベルの確認だ。確かに、言葉としてしっかり言って貰うのは大事だけど、あまりにも当然過ぎて実際にカードを捲るタイミングになれば凍先輩も言うだろう。別にあの質問がなくたって、選んだ一枚を組み合わせてる左から二枚のどれかと入れ換える。その程度の小細工には僕だってたどり着いていた。けど、仮にボクが気付いてなかったらあれは自分がこれからする小細工のヒントを教える行為になるのだ。そんなリスクを背負ってまで確認することだったか?

 だから、あのタイミングで聞いた意味があるとすればただ一つ。

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。でも、他に何が確認でき──と、考えた所でようやく気づいた。歌八ハちゃんが本当に確認したかった内容に。

 ただ、その内容がルール内なのかまでは分からない。僕はそれを確認するために凍先輩に設問を投げる。

 

ねぇ、凍先輩。仮に、仮にさ。五枚組の左から二枚のどちらかと選んだ一枚を入れ換えてたとしてだ。それを()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

「ふむ、そうですね。ルール上は問題ありません。選んだ一枚は"特権"で捲れないだけですから」

……マジかよ、歌八ハちゃん。いや、本当にマジか

 

 歌八ハちゃんが確認したかった内容。それは、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。ポーカー対決と言う公開出来るタイミングがあった以上──全てがひっくり返る。

 歌八ハちゃんが選んだ一枚はスペードの3。それしかあり得ないと思っていた。だが、そこにスペードの9とクローバーの6が増えた。しかも、仮に後者二つのどちらかだった場合、そこから先は絞れないと言うオマケ付きで。

 壁は乗り越えたと思っていた。ごらラン一位。歌八ハちゃんは賢くとも、その結果は相手がバカ過ぎた結果だと思っていた。思い込んでいた。だが、違っていた。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 腑抜けた心を締め直す。僕はまだ勝てていない。

 

9か6、どっち?

「……9と6とは?」

 

 少しは情報を引き出す為に殆んど強引にそう質問した。けれど、歌八ハちゃんのポーカーフェイスはこの程度では揺さぶられないらしい。トンでもない白の切りようだが、

 

「質問の内容は分かりませんでしたが……いくら、これが数当てゲームとはいえ対戦相手に直接聞くと言うのはどうなのでしょうか。選んだ一枚を当てるのに必要な情報はポーカー対決と"特権"のみに絞られるべきですよね?」

「確かに柊様の指摘はごもっとですね。とは言え、ルールとして禁止とは言え言えませんし……柊様も一度だけ、右吾様に質問ができ、その後はルールとして禁止といった形でどうでしょうか」

「……まっ、それぐらい仕方ないよねぇ~。良かったじゃん、歌八ハちゃん。僕の選ん──」

「うーん、もうナロさんが選んだカードは分かっているので無駄にはなりますが、まあそれが対等ですよね」

──はぁ?

 

 ハッタリだ。

 そう断言する僕の思考の裏で、僕の頭は今日一番の働きを見せる。

 選んだカードが分かっている?そんな筈はない。僕の公開されていないカードは十三枚。そこから三枚捲ったとしても、確定まで持っていける程僕は甘い配置をしていない。それに、罠だって仕掛けてある。だから、歌八ハちゃんの発言はハッタリその筈──でも、本当にそうだろうか?

 カードへのマーキング?

 それはない、今回使われたのは新品のトランプでずっと凍先輩が持ってたし、二つの山に分けられてからも私が選んだハートとダイヤの山に歌八ハちゃんが触れる隙はなかった。そもそもマーキングが出来ていたとして、僕が選んだ一枚を特定する事はできないのだ。

 デッキの組み合わせと選んだ一枚を書いた紙を盗み見られた?

 いや、それもない。凍先輩に紙を渡すときは何十にも畳んで透けて見えないようにしたし、そもそもとして凍先輩もそこは気遣って受け取っていた。書いているときの盗み見もあり得ない。真ん中の仕切りを乗り越えて見れば、そんなの明らかにバレるし、教室の窓の反射だってそこまで細かく見えないだろう。

 自分が望むカードを選ぶように僕への思考を誘導した?

 多分、それもない。デッキを作る際に歌八ハちゃんとは会話をしたけど、その中に僕の思考を誘導した言動はなかった筈だ。それに、そう簡単に思考を誘導される程僕も甘くない。

 そんな僕の濁流とも言える思考は、歌八ハちゃんの質問でぶったぎられた。

 

「だって、ナロさんが選んだ一枚は4でしょう?」

 

 その質問に答える前に、僕は安心していた。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()4()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 きっと、この安心を見逃すほど歌八ハちゃんも甘くないだろう。その証拠に、歌八ハちゃんは僕の返答を急かしたりしない。そして、数秒後凍先輩は時間を告げる。

 

「それでは、そろそろ本題と行きましょうか。それでは仕切りを置かせていただき、一枚の紙を渡します。そこに相手が選んだであろうスート付きで相手が選んだ数字をお書き下さい」

 

 僕と歌八ハちゃんの間に仕切りが置かれ、一枚の紙が渡される。なんてことのない普通の紙。僕はこれに、歌八ハちゃんが選んだ一枚を予測し、書かねばならない。

 恐らく、スペードの3はない。歌八ハちゃんは自分の仕掛けた罠に僕が気づくように誘導した様子はなかった。選んだ一枚を先んじて公開しておくという、罠をブラフで設置していたとしても僕が気づかなければそのままスペードの3を選んでしまうのだから。

 だから、二択。スペードの9とクローバーの6、歌八ハちゃんが選んだのはそのどちらか。そしてこの二択はこれ以上減らしようがない。だって、既にこの二枚は公開されているのだから。思考をどれだけ巡らせても、答えは出ない。メタ推理が出来る程、僕は歌八ハちゃんを知らないのだ。

 

「残り一分です」

 

 そんな言葉に急かされて、とは言えどちらが選ばれてるかなんて理由は何も見当たらず、そして運で選ぶのも嫌だった僕は──なんともしょうもない理由で決断した。根拠も何もない、願望のような理由。そんなものに勝負の命運を託す。けれど、それしか僕の中にカードを選ぶ理由はなかったのだ。

 スペードの9と紙に書いて、凍先輩に手渡す。どうやら、歌八ハちゃんはもう書き終えて、渡しているらしい。僕たちの数当ての結果はすぐに公表された。

 

「それでは、結果を言いましょうか。まずはポーカー対決では敗北している右吾様ですが……スペードの9。見事的中です」

 

 凍先輩のその言葉に僕は勢い良く立ち上がり、ガッツポーズをした。見事、壁を乗り気ってみせた。その喜びが僕の頭と胸に溢れる。その喜びを隠すこともなく、口にして僕は歌八ハちゃんの方を見る。

 

ヨッッッシャァァァァァァァ!!ははは!!正直言って運での勝ちみたいなものだけど、勝ちは勝ちだ!!いやぁ、惜しかったね歌八ハちゃん。もし君がもう一組五枚公開して四分の一の運ゲーにしていれば勝敗は分からなかっ──

「そして、柊様。ダイヤの9。見事、的中です」

──えっ?

 

 そして、その喜びは一瞬で消え去った。

 歌八ハちゃんも数字を当てた。それは僕の敗北を表している。けど、そんな筈はない。だって、歌八ハちゃんが僕の数字を当てられる筈もない。だって、非公開のカードは十三枚。それに対して、"特権"は三つ。何度も考えた様に、それで数字を当てられる筈がない。いや、確かに先程の質問で二枚消えて、"特権"を合わせてもまだ選択肢は八枚。

 なのに、なのに歌八ハちゃんは当てた。僕が選んだ一枚を当ててみせた。ならば、いったいどうやって?

 僕のそんな疑問は口に出てしまっていたらしい。勝敗が決し、勝利が決定した歌八ハちゃんがゆっくりと口を開く。

 

「それじゃあ、軽く説明しましょうか。まず、A-K-Qの三枚は除外出来ます。これらはロイヤルストレートフラッシュを作れる唯一の組み合わせ。ポーカーで勝つ気がなくても一勝から二勝はしたいでしょうから作らない理由はありません。もしここから、一枚を選んでしまえば勝負にロイヤルストレートフラッシュを一組は使えない訳で──」

「簡単に候補を三つまで絞られてしまうって訳だね」

「そうです。更に言えば、これらは大きい数字ですから異常な組み合わせをしない限り右から三つのどこかに入ってしまいます。"特権"も使われれば簡単にバレるでしょうね。次にJ-10が除外出来ます。これも同じように、ロイヤルストレートフラッシュを二組作れば、この二つが時点で大きい数字になります。右から三つに見つからなければ怪しまれる数字。選ぶにはリスクが高い」

……それで、"特権"の結果は

「捲った場所は一列目の真ん中。四列目の真ん中、四列目の左端です。数字はそれぞれ3-7-9でした。真ん中が3と言うのは本来あり得ませんが、それがナロさんが用意した罠ですよね?情報を求め、真ん中を開いたのに3だったせいで他には何も得られない……まあ、一応2がどちらも選ばれた一枚でないことは分かりますが、2は左端にあることが確定しているカードですからね。一応、左端は入れ換えられるルールの事を省みても選びにくいのは確かです。とは言え、J-10を二つとも公開しなかったのは失策でしたね。おかげで、右二つを気にする必要はありませんでした」

 

僕はもう返す言葉もなかった。無言で歌八ハちゃんの話を聞く。僕に勝利した歌八ハちゃんの話を、一言一句聞き逃さないように。

 

「さっき除外したカードを除けば、最初に公開されていたカードはハートが8-7-6-5。ダイヤが6-5-3。つまり、残った候補はハートが4、ダイヤが9と8と4。しかし、私の質問で安堵したことから4は選んでいない……つまり、残りはダイヤの9と8。二択まで絞れましたね」

……そうだ、そこまでやってもまだ二択だ!半分は外れる二択!そこまで来て、最後は運なんて言うつもりじゃないだろうな!?

 

 それがただの負け惜しみなのは僕自身分かっていた。歌八ハちゃんはポーカー対決で勝ちに来ていた。それでいて、数当てでも二択まで迫った。仮に最後が運でもそこまで絞れれば十分なのだ。それに、僕だって結局は運だ。歌八ハちゃんを責められはしない。

 

「そうですね……考えがなかった訳ではありませんが、ちゃんとした考えではありませんね」

じゃあ、なんだよ!その考えは!君を勝ちへと導いたその考えはなんだ!!

「別に対した物ではありませんよ。もしも、ナロさんが選んだ数字が9ならば、私と同じ数字を偶然選んだことになる。そうだとしたら、面白いな……と思っただけです」

……

 

 今度こそ僕は言葉を失っていた。だって、その理由は。その理由は。()()()()()()()()()()()9()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 それが分かって、僕の頭から負け惜しみを言いたくなる程の屈辱も嫉妬も消えていく。

 

「……あーあ、完敗だよ歌八ハちゃん。流石だね、ごらラン一位は」

「ナロさんも強かったですよ。読み勝てたかどうかで言えば微妙ですから」

「何言ってんだかって感じだけど……まあ、いいや。凍先輩よろしく頼むよ。もう、終わっちゃったからね」

「それでは僭越ながら──ハーフポーカー、勝者は柊様。三十ポイントの獲得となります」

 

 僕はゲームに負けた。歌八ハちゃんは僕より強かった。そこは読み間違えたけど、一つだけ合っていた事がある。歌八ハちゃんのとは仲良くなれる、それだけは間違いなさそうだった。 

 

 

 


 

 

 

 青い髪のボサボサな髪をした男だった。

 制服は真面目に来ているけれど管理が雑なのか所々に埃がついていて、本人もそれを気にしていない。ピアスやイヤリング等のアクセサリーは身に付けていないが、大量のキーホルダーや缶バッチが彼のバッグに付けられている。開いている純文学には目を向けず、窓の外をぼんやりと見ていた。

 

「おい見ろよ、一年のごらラン」

「柊歌八ハ、百十九ポイント?二位がごっそり減ってるから、ここで雌雄を決したのか」

「良いなぁ、もう百点って。()()()()獲得じゃん」

「まっ、チケットだけ手にしても意味ないけどな」

「あるだろ、あれ五十ポイントとして賭けられるし」

 

 そんなクラスメイトの会話がふと耳に入ったのか、彼は慌ててごらランを確認する。一年生、柊歌八ハ。入学三日目(ゲームをしたのは二日目だが)にして百ポイント越えを達成し、ポイントの横に×1とチケットの枚数が書かれている。

 それを見て、男は一言だけ呟いた。

 

「……こいつ、使えるな」

 

 本を閉じ、紙を取り出して何かを書き始める。その内容は呼び出しの手紙だった。先程知った、柊歌八ハを呼び出す為の手紙。パパっとその手紙を書き終えると、ゆっくり立ち上がった。

 

「一年生にしては優秀みたいだが……まっ、ルールにないイカサマに対してはどう出るのかな?いやはや、ほんの少し期待してやろうかね。なんせ、()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

 

二年三組十五番 佐渡(さわたり)イナエ 所有ポイント──百二十六
 




前話の表をめちゃくちゃわりと書き換えてることをここに懺悔しておきます。皆がやるときは頭の中じゃなくて、本物のカード使った方が良いよ
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