目隠れ美少女女子高生ギャンブラー爆誕   作:王者スライム

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第八話 ハーフポーカー②

 凍先輩は先程二つに分けたトランプの束を、私とナロさんに一つずつ配る。私に配られたのはクラブとスペードの山。一応、同じ役同士になった際のスートの強さではスペードが一番強い事が多いが、流石にこの今回は参照したりはしないだろう。

 私がだいぶ有利になっちゃうからな。公平に娯楽(ファッション)賭博(ギャンブル)を取り締まる生徒会役員が、そう言う不公平なゲームを行うとは到底思えない。本音としては、参照して欲しいけど。私がだいぶ有利になるので。

 

「このゲームは数当てゲームです。それぞれに渡された二十六枚のトランプから一枚のカードを選んで頂き、自相手が選んだカードを当てれば勝ち。そんな単純なゲーム。しかし、そのままやれば二十六分の一を引き当てるだけの運が試されるだけのゲームになりますからね。大抵の場合、引き分けでゲームが終了するでしょう」

「だから、ポーカーと言う訳ですか」

「ええ、選んだ一枚を取り除いた二十五枚のカードから五枚五組のデッキを作って頂き、ポーカーで五回勝負して頂きます。その勝負で確認できたカードは、最後の一枚を当てるヒントになりますし、ポーカーの勝敗は二人共外した、もしくは二人共当てた場合の決着をつける要素になります」

「とは言え、そのまま全部使ってポーカー対決しちゃったら二十五枚のカードが分かっちゃうよねぇ?かと言って、数枚伏せられるようにしちゃったら、この配られたカードでも作れる数少ない役も成立しなくなちゃうし……そこら辺はどうするのかなぁ?」

 

 そのナロさんの指摘は私も気になっている所だった。

 ポーカーで五回勝負してしまえば二十五枚のカードが公開されてしまう。そうなれば、残った一枚のカードを当てるのはあまりにも容易だ。だから、勝負の際にいくつかカードを隠せるようにする──と言うのは、想像がつくが、それはそれで問題がある。

 私たちに渡された二十六枚のカードは一から十三が二枚ずつしかない。つまり、ペアの成立に同じ数字のカードが必要なスリーカード、フォーカード、フルハウスのいずれも作ることは出来ない。そうなると、四枚以下で成立する役はツーペアとペアのみだ。

 流石にその二つの役のみでポーカー対決と言うのは味気が無さすぎるだろう。

 

「ええ、ご指摘の通り普通にポーカーをやってしまえば最後の一枚なんて当てるまでもないでしょう。その為、ポーカー勝負の際は五枚全てではなく、好きな枚数を公開すると言うルールになっていますが……お二人が気になるのはその場合の役がどうなるか、ですよね?」

「そうそう!そこだよ、そこ!勿体ぶらずに早く教えて欲しいなぁ、凍先輩」

「それは失礼しました。さて、カードを五枚未満で公開した場合、公開したカードの枚数に応じて役に必要な枚数も変更します。例えば、四枚公開した場合にストレートの役を作る際は五、四、三、二のような四枚の連番で成立する、と言う訳です。ペアとツーペアにつきましては公開された枚数によらず、役の成立に必要な枚数は変わりません」

「ふむ、それだと二枚公開した場合はエースとキングだけでロイヤルストレートフラッシュが成立すると言うことですか?なんだか不思議な感じがしますね」

「ああ、言い忘れていましたが役の成立は三枚以上公開した場合のみとします。つまり、公開したカードの枚数が二枚以下の場合、例えキングが二枚とペアが成立していた場合でも役無しと判定します」

「ふぅん、成る程成る程ねぇ。だいたい分かったけど、二人が公開した枚数が違う場合の役の強さが気になる所だねぇ?三枚のロイヤルストレートフラッシュと四枚公開の一組ペアだったら、どっちが強いのかなぁ?」

「その場合は四枚公開の一組ペアの勝利となります。つまり、お互いに役が成立している場合は公開している枚数が多いプレイヤーが勝つと言う事です」

 

 どれだけポーカーの対決が白熱しようが、結局このゲームは数当てゲーム。

 ポーカー勝負で公開するカードが増えれば増える程、最後の最後に自分が選んだカードを当てられてしまう確率も高まる。そのリスクを考えれば納得のルールだろう。

 

「あと気になるのは役の強さが揃った場合かなぁ。普通のポーカーなら数字の大小とスートの強さも参照するけど、今回の場合は私が絶対出せないスートだってあるもんねぇ」

「そうですね。今回、役の強さが揃った場合は他には何も参照せず引き分けとして扱います」

「えー?それだと、場合によってはポーカー対決の勝敗は揃って、互いに数字を当てちゃうなんて事も起こり得るんじじゃないのぉ?引き分けはつまんないなぁ」

「右吾さんが先程仰った通り、このゲームは引き分けがございます。その場合ポイントの移動もありませんが──ごらランランキングトップツーの二人。この二人が戦って、何事もなく引き分けで終了、なんて起こり得ないでしょう?」

「……ふふふ、言ってくれるねぇ。凍先輩。仕方ないなぁ、そんな凍先輩には面白い勝負を約束してあげよう!」

「恐縮です」

 

 ナロさんだけ約束しても仕方ないのでは、と思いつつ、再度頭の中でルールを確認する。

 

 一つ、配られた二十六枚のカードから一枚を選ぶ。

 二つ、残った二十五枚で五枚五組を作り、それらでポーカー対決をする。

 三つ、勝負の際に勝負に選んだ一組から公開する枚数は自由。しかし、役の成立は三枚から。

 四つ、役は普通のポーカーと同じだが、作れない役もある。また、役の強さはカードを公開すればするほど強くなる。

 五つ、公開されたカードから相手が最初に選んだカードを予測して、当てれば勝ち。当てられれば負け。互いに当てたり、外したりした場合はポーカー対決の勝敗によって決まる。

 

 ふむ。だいたいルールは分かっていた気でいたけど、こうしてまとめるとまだ少し気になる所は残っている。聞かなきゃ。

 

「そう言えば、ポーカー対決の際に公開する枚数は自由との事でしたけど、相手の役を見ながら土壇場で公開する枚数を変更する、なんて事も出来ますよね?」

「あー!確かに確かに!普通のポーカーだと全部公開するから起こり得ないけど、今回の場合はそんな事も起こり得るんだねぇ……成る程ぉ。ねぇ、凍先輩。その対策はどうするつもりなのかなぁ?」

「今回のポーカー勝負では、一勝負につき三分間の時間が与えられます。どの組を勝負に使うかを選ぶ時間も必要ですからね。そして、その三分間の間、互いの手元は仕切りによって隠されます」 

「分かりました。つまり、三分間経ち、仕切りが取り外されたタイミングで公開されているカードで勝負すると言う訳ですね。そのやり方ならば私の懸念していたことも起こらなさそうです」

「うんうん……あれ?でもさぁ、手元が隠されている時間があるなら、最初に決めた五組をこっそり入れ替える!……なーんて、ことも出来ちゃうんじゃない?勿論、凍先輩の監視はあるだろうけどさぁ……一瞬の隙をついたりすれば一枚二枚ぐらいなら変えられそうだよねぇ?」

「ええ。ですので、こちらの紙に五枚五組と最後の一枚をどの様に決めたかを書いて頂きます」

 

 手渡された紙には、丁寧に『一つ目』との文字とその横に五つの枠が設けられている。そして、その下に『五つ目』まで全く同じ様に並んでいた。そして、隅っこには『選んだ一枚』の文字と一つだけの枠。この枠の中に、数字を書いていけば良いのだろう。

 だが、いくつか注意事項がある。書く際は右から数字の大きさ順に並べること。そして、ポーカー勝負の際はここに書いた通りに並べること。そして、勝負にカードを捲る際は右から捲ること。この三つだ。この情報もまた、最後の数字当てのヒントになるだろう。

 

「ふーん、いやぁいろいろ気になっちゃうけどさぁ……ポーカー対決の際はこの数字の順番に出さないといけないって訳ぇ?」

「いえ、好きな順序で出しても構いません。あくまでも、組のカウントとして横に数字が書かれているだけです。そして、実際の五組がどう作られていようと、こちらの紙に書かれてある組み合わせを優先します。場に出されているカードは表と裏の情報だけ参照します。まあ、順序が自由な以上、どの組み合わせが使われているのかを確認する指標は必要ですので、右から三枚は必ずこの紙に書かれてある通りに作ってください。もし、書かれた五組と実際の五組の組み合わせの右から三枚までもが違うものが確認出来次第、即座に敗北とさせて頂きます」

「……それってぇ、左から二枚は自由に入れ替えても良いってこと?」

「ええ、構いません。それぐらいの自由は必要でしょう?」

「おかげさまで面倒なことになりそうですけどね……」

 

 つまり、例え五枚公開されて左の二枚にスペードの六が見えて役無しだったとしても、九よロイヤルストレートはあり得ると言うことだ。仮にカードが公開されたとしても、左二枚の情報はポーカー対決にはあまり考慮しない方が良いのかもしれない。

 五枚五組に使われたカードが分かる以上、数当てには重要だけど。

 

「そして、最後のルール"特権"についてです」

「"特権"……?」

「ええ、"特権"です。選んだカードの隠し方。ポーカーに勝つための五枚五組の組み合わせの選択。その際のルール。そして、ポーカーの心理戦。このいずれもが、最後に選んだカードを当てるには、情報が少ないと言わざるをえないでしょう」

「ふむふむ、そこで"特権"が重要になるってことかなぁ?」

「ええ、その通りです。"特権"とはポーカー勝負が全て終了した際に使用でき、一つの"特権"につき一枚、相手のまだ捲られていないカードを追加で捲る事が出来ます」

 

 正直言って、あまりにも名前の通りの"特権"に私は言葉を失っていた。対照的に、ナロさんは凄い面白そうに笑っている。

 捲られていないカードを捲る。つまりそれは、相手が使ったカードの情報を増やせると言うことだ。更にいえば、相手の公開されていないカードが最後のカードを除いて五枚で"特権"が五つあれば、そのまま勝利が決まってしまう。こうなると、相手がどれだけ"特権"を得るかも考えて公開するカードの枚数を考えなければいけない。ふむ、面倒だ。

 

「"特権"はポーカー対決に敗北した場合に一つ。そして、その際にその勝負で捲られているカードの枚数が相手より自分の方が多い場合、その差の分だけ追加で与えられます」

「……あの、それって仮に私が三枚公開のワンペアで、ナロさんが五枚公開の役無しだった場合、ナロさんに一つと五と三の差となる二つ、合計三つの"特権"が与えられるって事ですか?」

「その通りです」

 

 ゲームに勝つためにポーカー対決には相手よりは勝った方が良いが、勝ちすぎれば相手に多くの"特権"が渡って、ゲームそのものが不利になってしまう。勝ちは拾いつつ、適度に引き分けも狙うとなると、このゲーム、考慮することが多くて本当に面倒じゃないか?

 

「ルール説明は以上となります。それでは、お二人共準備を始めてください」

 

 そう言うと、私とナロさんの間に仕切りが立てられ、お互いの手元が見えなくなる。このゲームに賭けられているポイントは三十。そうやすやすとは負けられないポイントだ。

 

「うふふ、実際にゲーム開始が近づくとワクワクしちゃうなぁ……うんうん。それじゃあ楽しもっか、歌八ハちゃん」

「……そうですね、出来るだけ楽しみますよ」

 

 最初と同じく全くの虚勢で、私はそう返した。

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