メザメ
戦艦棲姫 side
「……あの子はどう?」
「傷は治ったわ、今は寝ているわよ。」
「……そう、有難う。」
「みてくるー」
「私もついていくわ。」
「……行ってらっしゃい。」
提督 side
「……………………ん……ここは?」
目が覚めると仄暗い部屋で寝かされていた。簡単なベッドと包帯や薬品の入った棚が見えた。おそらく医務室のようなものだろう。
「………あぁそうか、負けちゃったんだね。」
あの日、私は何人もの艦娘に砲弾を浴びせられ、爆撃され、魚雷を撃ちこまれた。おそらく沈んだのだろう。その割にはあたりが綺麗すぎるが…………親切な誰かが拾ってくれたのかな?
「おきてるー?」
「あら、目が覚めたのね。」
「あなた達は………」
ドアの方から声がした。振り向くと一昨日話をした戦艦棲姫と北方ちゃんがいた。なるほど、ここは彼女たちの根城だったのね。
「あなたを見つけた時、ボロボロだったのだけれど怪我の方は平気かしら?」
「……大丈夫そうね、特に痛みはないわ。」
「そう、良かったわ。」
「だいじょうぶー?」
「平気よ、有難うね北方ちゃん。」
「んー♪」
「さて、落ち着いたのなら聞いておきたいのだけど…………あなた、これからどうする?」
……正直考えがあるかと言われればある、しかしそれを行えばもうあの鎮守府に戻れなくなる。それはできれば避けたい。そうするとアテはなくなるわね。
「…………………」
「はぁ………行くあてないならここに居なさい。」
「…………いいの?」
「少なくとも家がない子を追い出すほど私は薄情じゃないわ。」
それは有難い申し出だけど……
「他の子が許すのかしら?」
「だからお願いが一つ、ここに住むならその中途半端どうにかしなさい。」
「中途半端?」
「人なのか艦娘なのか深海棲艦なのかどれかにしなさい。」
「………………」
「あなたが人間なのは知ってる。でも、同時に艦娘でもあるし、今は深海棲艦なのよ?はっきり言って今決めておかないと後々面倒なことになるわよ。」
「………………」
「どれを選ぶかは自由だけど選ばないならここには居させられないわ。」
「………………私は人間よ。」
「そう。」
「でも、夕張に手伝ってもらって私だけの艤装を手に入れたし、妖精さんたちもいる。」
「そう。」
「それに、私は深海棲艦になって貴方達と会えることが出来た。全てが私を構成する大事な要素よ。」
「……………そう。」
「だから、どれかなんて選べないし選ばない。私は私。それだけで十分よ。」
「……………はぁ、分かった。あなたの思いは固まったみたいだし。でもここにいる間は深海棲艦としていてもらうわ。余計な混乱は招きたくないから。」
「わかったわ。」
私は私、それで十分。だから待ってて皆、必ず戻るから。