都市だと思ったら冬木だった(現在凍結中)   作:森の翁

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 作者思いました...ハーメルン民がねじれたらどうなるんだろう?


第1章【貴方を思い出す】
素敵で楽しいお出かけでした


『記録05ーBー001R.A』

 

 きょうはおかあさんのおそうしきです。

 

 おかあさんはかえれませんでした。

 

 まっかなおふろでねむっていたのです。

 

 おふろでねむったままおきなくなったおかあさんをぼくがみつけました。

 

 おかあさんは、ぼくのせいでおかしくなりました。

 

 だから、ぼくがおかあさんのぶんまでみんなをえがおにしなくてはいけません。

 

 そしたらきっと、こんどはだれもいなくならないよね?

 

------------------------

 

「おっでかけ♪おっでかけ♪」

 

「どうしてこうなった」

 

 バスで揺られながら、雁夜はこうなった原因を追想する。

 

 

 

 

「CEO」

 

「な~に~?」

 

 ねじれた幻想体『止まることなき視線』を鎮圧したのは良いものの、雁夜は人格本『独りよがりの昆虫学者』を使用したことによる負担と、何よりそれまでに蓄積していたダメージが限界突破したことで、CEOの私室に戻ってすぐ寝込んでいたのだ。

 

 そして、しばらく後に目を覚ましたわけだが...

 

「どうして俺は膝枕をされているんだ?」

 

「暇!」

 

「暇だったのか...」

 

 間桐雁夜24歳、鍛えに鍛えた自制ステータス(ランクⅤ)を振り絞り全力で理性を保つ。

 

「何かやることはなかったのか?」

 

「ん~君が寝込んじゃう前のシャーデン君鎮圧の時にちょうど今日の業務ノルマ分のエネルギー抽出は達成したからね、施設内のチェックも終わったしシャーデン君は現在解析中、だからすんごい暇!」

 

「そうか、その...下ろしてくれないか?」

 

「どうして?」

 

 CEOはキョトンとした表情で首を傾げながらこちらの顔を覗き込むが、少ししての表情は悪戯気味な笑顔に変わった。

 

「冗談だよ、下ろしてあげる♪」

 

「おう、助かっ!?」

 

 俺の体をソファーベッドに下ろす直前、アンジェルCEOは俺の頬に何の前触れもなくキスをした。

 

「なっ、なっ!?」

 

「ふっふー、ビックリしたでしょ♪」

 

 うっすい胸を誇らしげに張りながらこちらを見下ろしてくるアンジェルCEOに、俺は少しだけイラつきを覚えた。

 

 なので、ちょっとした仕返しのつもりでとある罵倒を浴びせてみた。

 

「くそっ!この小悪魔系引きこもり娘め!」

 

「コフッ」

 

 あれ?思いのほか効いたぞ?

 

「もしやあんた、まじで一度も会社の外に出たことがないのか?」

 

「ゴフッ!?」

 

 あっ、これまじなやつだ。

 

「イイモン、ボクニハカワイイオトモダチガイッパイイルモン」

 

「そんなにいじけるなって、何だったら俺と一緒に買い物にでも繰り出すか?」

 

 この言葉がまずかったのである。

 

「(ガタッ!)」

 

「うおっ!?」

 

 俺の言葉を聞いた瞬間、CEOは凄まじい勢いで俺の肩を掴んで自分のほうへ引き寄せた。

 

「もう一度言って」

 

「へっ?」

 

「さっきのもう一度言って!」

 

 そう、このCEOずっと外に出ていなかった為、面白いことや変わったことに凄まじく飢えているのである。

 

「俺が連れていってやるから、一緒に買い物にでも行かないか?」

 

「行く!」

 

 まさかここまで喜ぶとは思わなかった。

 

 ...カシャン。

 

 その時、何処かで鎖が壊れるような音がした。

 

------------------------

 

「お出かけって言っても、隣町に行くだけだぞ?」

 

「だってお外に出るの初めてなんだもん」

 

「何で今までは外に出ようとしなかったんだ?」

 

「出たくても出られなかったから、僕は誰かに連れ出して貰わないとお外に出れないもん、今までうちの施設に来た人は僕の持ってる技術が欲しいだけで僕自身には微塵も興味がないか、凄く気持ち悪い変態かのどちらかしかいなかったからね!」

 

 苦虫を噛み潰したような顔をしていらっしゃる、これもう掘り下げないほうが良いな。

 

「まぁ、今までの分も楽しんだら良いんじゃないか?聖杯戦争が始まったらそんなことをする余裕もないだろうし」

 

「うん、そのつもりだよ」

 

 それは強烈であった。

 

 脳に押し寄せる凄まじい情報量、普段は何か企んでいるような悪戯気味な笑顔しか見せないアンジェルが一瞬見せたシンプルであどけない笑顔、それは破壊的であった。

 

 ...はっ!俺は何を考えた!?

 

 落ち着け間桐雁夜!相手は性別可変の良くわからん奇人変人そして現在の上司!一瞬でも可愛いとか思ったなんてバレたら後でどれだけからかわれることか!

 

「雁夜?バス止まったよ」

 

 ぐふぉ!?

 

「すまない、少し寝ていた」

 

「何かどこぞのドラゴンスレイヤーみたいになってるよ雁夜」

 

「(ドラゴンスレイヤーって誰だ?)それで、CEOは何処に行きたいんだ?」

 

「えっとねぇ、これ!」

 

 おもむろに懐から取り出されたのは、町の大劇場で開かれるコンサートのパンフレットだった。

 

「少し前に取引した相手がそれはもう嫌な奴でね、僕が気に入らないからって嫌がらせに特等席のチケットと一緒にこのパンフレットを寄越して来たんだ。

 でも残念、雁夜が僕を連れ出してくれたので嫌がらせ大失敗!」

 

「しかもペアチケットって、そいつどんだけあんたのこと嫌ってるんだよ...そのうち喧嘩売ってきたりしないよな?」

 

「もし雁夜に絡んで来たら殺しちゃって良いよ、もういらないし」

 

 さらっと言いやがった。




 雁夜ぁ、俺涙が出そうだよぉ(リア充描写を血反吐吐きながら執筆)

どれが好き?

  • 黒蟲
  • 虫籠
  • 昆虫学者
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