都市だと思ったら冬木だった(現在凍結中)   作:森の翁

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 最近どうすれば読者の皆様により楽しんでいただけるのかわからなくなってきました。

 いわゆるスランプというやつです。


変態にはご用心

 舞台に上がるやいなや幕が開き、来客たちの歓声が僕に届く。

 

「ご来場の皆様こんにちは、本日急遽代役として舞台に上がらせていただくことになりました...アンジェル・狭間です」

 

 歓声が益々強くなるのを感じながら劇場内の人々を見渡すと、やはり儀式の影響が多少なりとも出ているのか魂が穢されかけている人たちが幾人か存在する。

 

 中にはもう死徒になりかけている人までいるようだ。

 

 もし、この後一滴でも血を啜ればその瞬間目覚めてしまう、それ程までに危うい状態へ来客たちが置かれている。

 

 全くもって腹立たしい、僕の楽しいお出かけをどうしてくれる!

 

 しかし、今は来客たちが怪物として羽化することのないようにするのが先決だろう。

 

「それでは皆さん、お歌のほう始めさせていただきますね」

 

 今から歌うのはお母さんが教えてくれた歌、人々が心のままにあるべき姿でいられますようにという祈りが込められた歌。

 

「ーーー♪」

 

 僕の歌声が劇場の隅々まで届くよう、目一杯大きな声で歌うとしましょう。

 

 雁夜はちゃんと見てくれているかな?寝ちゃってたりしないよね?

 

 一方、間桐雁夜の方はというと。

 

「なんか周り中から妙な気配がするし、おまけに皆姿がぶれてたりずれてたりするんだがこれ本当に聞いてて大丈夫なやつなのか!?」

 

 魂の穢れを落としてあるべき形に戻す過程のやっべぇ絵面を直で見せられて盛大にびびり散らかしていた。

 

 なおその様子は当然アンジェルにも見えているので...

 

「ーーー♪(むぅ、雁夜は後でおしおき!)」

 

 歌いながら内心わりと切れていた。

 

 

 

 

 アンジェルの歌が終わりいよいよ閉幕の時間となったが、この劇場を乗っ取っていたジェスターはもういないため締めの挨拶をする者が誰もいない。

 

 が、この直後にそんな問題はどうでも良くなるほどの事が起きてしまった。

 

 聖堂教会のガサ入れである。

 

「ジェスター・カルトゥーレを探せ!絶対に逃がすな!!!」

 

「「「Yes.Sir!!!」」」

 

「いやそれ軍隊式!」

 

 そんなアンジェルの力の抜けたような呟きは聖堂教会執行部隊たちの怒号の中に消えていった。

 

「ご協力感謝しますアンジェル殿!」

 

「相変わらず元気そうだねニムロッド」

 

 聖堂教会異端審問局第一機甲猟兵団隊長ニムロッド、ワープ列車ブートキャンプの常連で年に数十回以上チャレンジしてる。

 

 何故か記憶処理してないのに正気保ってて流石に心配になったから検査したら全く異常が見つからなくて逆にヤバさが補強されちゃったヤバい人。

 

 こいつらの部隊大体ワープ列車ブートキャンプ経験者だからもう極まっちゃって精神攻撃とか食らった瞬間レジストするからもうすっごく怖いの。

 

「まさかアンジェル殿が此処におられるとは夢にも思いませんでした!どうでしょう?この後一緒にお茶でも...」

 

「あははっ、僕この後用事があるからまた今度ね~」

 

 さぁ退散退散!雁夜連れてさっさと帰ろう!

 

「隊長がまたアンジェルさん口説いてる」

 

「あの人顔は良いけど過激だし変態なのがねぇ」

 

 うん、わかってるならこの変態引き取ってさっさと何処かにやってくれないかなぁ!?

 

 ちなみにこのニムロッド、軟派野郎でどうしようもない変態だが、替えが効かないレベルで有能な為、聖堂教会との橋渡し役として必要不可欠なのである。

 

 その為、アンジェルはニムロッドをガチて苦手な相手として認定こそしているが、無下には出来ないのである。

 

 社会人って辛いね!

 

「そういえば用事を思い出しましたぞ、埋葬機関と聖堂教会上層部からそれぞれ書簡を預かっております、勿論アンジェル殿に宛てられたものです」

 

「うげっ、なんでよりにもよってその2つなの?...うわぁ、最悪なんだけど」

 

 渡された書簡を開いた瞬間、アンジェルは本日何度目かわからない嫌そうな顔をした。

 

「中華魔術連の暗躍にアトラス院にて活発化の兆しあり、なんでこう面倒な案件ばかり立て続けに来るかなぁ?」

 

「あぁそういえば」

 

「待って、まだあるの?」

 

「いえ、これはあくまで個人的な懸念なのですが、最近我々聖堂教会から分離し新たに活動を始めた人差し指という組織か活発化しておりまして、どうもこの辺りにも来ているようなのです」

 

 あぁ、そういやなんかいたね。

 

「ちょっと前に2人ほど殺してるよそいつら、この劇場に来る前路地裏で2つほど命が消える気配がした、その近くに僕が廃棄したはずの欠陥品と同じ気配も感じたから間違いないと思う」

 

 通称『因果律調整織機』欠陥が多すぎて廃棄が確定してたのに、聖堂教会の上層部がやたら熱烈なラブコールをしてきてしょうがなく譲ってあげたら、何か一部変な思想持ってた派閥がそれを持ったまま聖堂教会を離脱して、以来行方不明になってた産廃。

 

 何の因果か、その聖堂教会を離脱した派閥は人差し指と名乗り出した。

 

 元が代行者上がりやワープ列車ブートキャンプ経験者なんかで構成されてるせいで無駄に戦闘能力も高くて、聖堂教会上層部からしても下手に手を出せない目の上のたんこぶみたいなやつら。

 

 だからあれほどワープ列車ブートキャンプは程々にしろと忠告したのに、あれの経験者が離反したら手がつけられなくなるのはわかりきっていたはずなんだもの。

 

「まぁアンジェル殿に危害を加えるようなバカはやらんでしょうが、どうかお気をつけて」

 

 やめて、今すんごいフラグが立った気がする!何か『立ちました!』って声がした気がする!

 

「CEO、この後はどうする?もしお出かけタイムを続行したいならちゃんとエスコートするが」

 

「雁夜!丁度良かった!早く行こう今すぐ行こう!」

 

「おっおう、どうしたんだ?そんなに慌てて...ん?」

 

「おや?」

 

 やっばい!絶対にかち合っちゃいけないやつとかち合わせちゃった!

 

「えっと、もしかして聖堂教会の人か?」

 

「えぇ、わたくし聖堂教会異端審問局第一機甲猟兵団隊長ニムロッドと申します、以後お見知りおきを...ところでアンジェル殿とはどういう関係性で?」

 

 雁夜!絶対ダメだぞ!僕が君に膝枕とかしたのバラしたら絶対にダメだからな!

 

「魔術世界に詳しい人材が欲しいからって雇われただけだよ、まぁ色々と刺激的な体験はさせて貰ったが」

 

「雁夜!此処のことはこの人たちに任せて早く行こう!」

 

「おいっ、いきなりどうしたんだ!?」

 

 こうして一つの事件が解決した。

 

 新たなる問題こそ浮上してはいるが、それはまた別のお話、今回はひとまず一安心と言ったところか。

 

 とはいえ、問題は山積みだ。

 

 特に、中華魔術連が誇る最高戦力。

 

 

 

 

 

黒獣が牙を研いでいる。




・今回の登場人物紹介

『ニムロッド』

・モデルは旧約聖書に出てくるくっそ過激な狩人、都市基準の英雄の名前を持ってるやつは大体強いの法則にも当てはまっており、大体某経歴詐称9級フィクサーの七割くらいの実力。

 ちなみにアンジェル曰くすんげぇ変態。

『作者のひそひそ話』

 最近はギャグに振り切ったほうが良いのか?と思い始めている。

 でも作者はどれだけハッピーに書いても最後の最後で必ず不穏にしてしまう性を持っているので多分無理である。

どれが好き?

  • 黒蟲
  • 虫籠
  • 昆虫学者
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