推しと推しが脳内で悪魔合体しているぅ!!!
あっ、ねじれそう。
...アンジェラぁ、君のその大空のように美しい蒼白の髪をキャンバスにしたら、どれだけ美しい色ができるのでしょう
ここは聖堂教会日本支部、飾りっけの全くない建造様式の一応は普通の教会ということになっている。
が、その実は聖堂教会が日本で活動する際に使うメインの拠点の一つであり内部の構造は極めて複雑である。
そのうえ三大機構が日本で会議を行う際にも必ず〝通る〝場所の為、建物内の扉や一部の通路が魔術によって特定の手順でしか通れなくなっているのである。
特に会議室への繋がる回廊への入り方は極めて面倒なものであり、たった今も凄まじく嫌そうなしわくちゃ顔になったアンジェルがその手順を踏もうとしていた。
「毎回開ける時の手順が面倒なんだよねこの扉」
指定の書簡を持った状態で、入って一番奥から四番目の古びた装飾の少ない扉までの扉全てを4回叩きドアノブを4回捻る。
これが会議室への入り方なのだから面倒極まりないのだ。
「よろこそおいでくださいましたアンジェル様」
「様なんかつけなくて良いよ、僕は敬称あんまり好きじゃないし」
そう、建物はあくまでフェイク、会議室はそこから繋がる異界のようなもの。
そして会議室内は、繋がっている建物の外観とは異なりかなり派手だ。
おそらく結界の起点であろうよくわからない文言の彫られた彫像や宝石の数々。
世界中から寄せられた報告書の山。
そして中央に位置する煌びやかな装飾の施された巨大な六角形の卓。
そして、この場にはそれぞれの組織から集まった代表たちが勢揃いしている。
聖堂教会、魔術協会、LLLコーポレーションが一堂に会する三大機構会議が今まさに始まらんとしていた。
「早速議題に入りましょう、進行役は私アルカ・セントリウスが務めさせていただきます、今回皆様をお呼び立てしたのはアトラス院ならびに中華魔術連の暗躍と活発化について至急話し合う必要性があると聖堂教会上層部が判断した為です」
アルカ・セントリウス、聖堂教会異端審問局の局長。
CEOに見せて貰った資料によれば尋常ならざる格闘術を使い、死徒を素手で葬ったことすらあるかなりの武闘派、神父服のところどころに入ったそのスリットはなんなんだ?
「アトラス院はともかく中華魔術連か、貴公らも大変だなアンジェル女史」
「うーん多分大丈夫だと思うけどね、アトラス院は前にぶちのめしたから僕の会社を襲うなんてバカやらかさないだろうし」
「確かにアトラス院のほうは大丈夫であろう、しかし中華魔術連の連中は油断ならんぞ、連中は面子を非常に重んじる傾向がある故な、我々魔術協会も一度痛い目を見た」
魔術協会の代表、グレゴリオ・メンディル。
事前に目を通した資料によれば、植物科の曲位にして表では遺伝関連の権威、相当な曲者らしいが今のところ礼儀正しい好好爺のように見えるな。
まぁ本当のところはわからないが。
しかしまぁ、凄い格好だな。
おそらく魔術礼装なのだろうが、明らかに年代物であろう凝った装飾のついた肩掛けにビクトリア朝時代のものらしきコートを見に纏った姿は凄く様になっている。
ここだけ違う時代に迷いこんだみたいだ。
「聖堂教会も彼らの行動を長らく監視していますが、ここ最近は特に横暴さが目立ちます...またアンジェル様が不快感を覚えると思いこれまで黙っておりましたが、中華魔術連が保有する例の最高戦力〝黒獣〝が活動を開始しているという報告が上がってきています」
黒獣、その名を聖堂教会代表が出した瞬間CEOの顔があからさまに不機嫌そうな表情に変わった。
「アンジェル女史、殺気を抑えては貰えぬか?皆が震えておる」
「...ごめんね」
「ふむ、同伴者殿も少しばかり肩の力を抜いたほうが良いのではないか?緊張が顔に出ておるぞ」
あっバレてます?CEOからいつでもEGOを使えるように準備しておけって言われたんだが、これ以上近づくと適正距離からずれてしまうな。
CEOのほうに視線を向けると苦笑しながら手招きをしてきた。
成る程、バレてるからもうこっちに来いということか。
「お初にお目にかかります、私はアンジェルCEOの護衛を務めている間桐雁夜と申します」
「成る程、成る程成る程、君がアンジェル女史が最近雇ったという青年か...ふむ、中々に良い目をしておる、これならばおそらく大丈夫であろう」
なんだなんだ?今一瞬物凄い寒気と体の中を弄くり回されているような嫌な感覚が走ったんだが!?
「グレゴリオ、雁夜を脅かすのはやめてあげてよ、未だにメンタルは一般人側なんだから」
「メンディル様、あまりこの会場での魔術の使用はお控えいただきたく...」
「すまぬな、アンジェル女史の影響力は凄まじい物であるが故に、その側にいるとなれば相応の者でなければ務まらん...故に少しばかり探らせて貰った」
この数秒の間で俺に魔術を行使したのか、やはり魔術協会の曲位は凄まじいな、事実上のトップは色位だが次点の曲位も一般魔術師にとっては雲上人だという話は本当だったな。
「取り敢えずメインの議題に戻ろうよ、脱線して話が進まなくなっちゃってる」
「では続きになりますが、現在動いているのは黒獣のうち丑、寅、未の三派閥を除く全ての黒獣が動いているとのこと。
それともう一つ、黒獣の件とは別に中華魔術連がある要求を送りつけて来ています」
「それは如何に?」
「LLLコーポレーションが保有するH社の全権委譲及び完成された黒獣丸の製法を寄越せと。
そして、指定するR社のメンバーの引き渡しも要求に入っています」
「実に図々しい要求だな、あれらは相変わらず身の程がわかっておらぬらしい」
「そう...」
再びアンジェルから剣呑な空気が流れ始めた。
今度はただの殺気じゃない?どうしてか、むせかえるような花の香りまでする。
「まずい、同伴者殿は少し下がりなされ」
えっ?
「アンジェル様、お願いですからお鎮まりください、ここで貴女の力をお放ちになられると大変凄惨な事になりますのでどうか!」
会議室内に無数の青い花が咲き乱れ、その花びらが散った軌跡上が全て両断され始めている。
何となくCEOがこの会議を嫌がっていた理由がわかってきた。
怒りを抑えられなくなるからだこれ。
「同伴者殿、なんとかアンジェル女史を止めらぬか?何か強い刺激があれば正気に戻ると思うが」
強い刺激か...そうだ!
「CEO、すまん!」
俺は暴走し、狂笑をあげながら血の涙を流すCEOの頬に、優しくキスをした。
「?※※※!!!!?」
「暴走が止まりましたね、だから彼女に中華魔術連絡みのことは聞かせたくなかったんです。
前回彼女の所有するR社が襲撃された時は既に会社から出られないよう契約を終えた後でしたのでね、彼女...怒りのままに光の雨を降らせたんですよ」
「アンジェル女史はあの事件で、我が子のように可愛がっていたR社の社員たちを大勢失ったからな、それはもう怒りは深かろうて」
「あのすいません、もし会議は終わりならCEO連れて退出しても良いでしょうか?なんかもう色々と無理そうなんで」
「なら最後に一つ、今回の件において我々聖堂教会は不干渉を貫くことにしました」
「ほおっ、奇遇だな...実のところ我々魔術協会も今回の件には関わらないように上のほうから通達されている、全く...この場は組織間のしがらみなく協力し合う場所であろうにな、結局上からの介入は避けられようだ」
アルカ・セントリウス、グレゴリオ・メンディル、両名ともにそれぞれの組織へ帰還。
残されたのはパニックを起こしながら目をぐるぐるさせて俺に抱きつくCEOだけである。
「こりゃどうしたら良いんだろうな」
・アンジェル情報New
アンジェルを怒らせると物騒な花畑で空間を侵食し始める。
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