本当はもっと早く投稿したかったのですが・・・。
朱紗丸君の暴れっぷりを綺麗に文章に出来ない筆者を許してください(´;ω;`)
ブルーロックモニタールーム
ブルーロック施設内の心臓部とも言えるこの部屋で、絵心はチームZ入寮テストを見ていた。
モニタールームの扉が開き、女性がため息と共に入って来る。
「遅かったねアンリちゃん。もう始まってるよ。」
モニターを見ながら話しかける。
「すみません。最後の子が鞠なんてものを持ち込もうとしてて・・・。」
「鞠?・・・ああ、こいつか。」
いくつもあるモニターのうち1つを大きく表示する。チームZの部屋では今まさに入寮テスト″鬼ごっこ″が行われていた。しかしチームZの”鬼ごっこ”は、ここだけが他とは明らかに様子が違っていた。
「今ボールを持ってる朱紗丸君ですよ!ていうか何が起きてるんですか!?1、2、3・・・5人も座り込んでる!?」
「しかもぶつけたらすぐまたボールを拾って別の奴を当てに行ってるね。始まる直前に彼が言ってたよ。『全員に当てる』ってね。」
「・・・意味がわかりません。」
最後にボールに触れた選手が失格なのだ。全員に当てようとする事に何の意味があるのか。
「そもそも136秒で全員に当てるとか可能なんですか?」
「1人につき平均12秒以内に当て続ければ可能だ。もし鞠を使って練習しているというのなら、あそこまで強く正確に当てられる事にも納得がいく。」
帝王アンリにはサッカーボールと鞠の違いがよく分からなかった。
「種類にもよるが、鞠はサッカーボールよりも硬くそして小さい。まぁ蹴る感覚も用途も違うからサッカーの練習に使う人なんていないけどね。」
「はぁ・・・。」
納得いくようないかないような微妙な返事をする帝王アンリ。モニターにはまた1人朱紗丸に当てられた選手が1人。
「しかしいくら上手くてもこんなに早く・・・あれ?今ぶつけられた久遠君、避けなかった?なんで・・・」
開始から50秒で既に6人目。約8秒に1人のペースで当てている朱紗丸だが、Zチームの選手達にアンリは違和感を覚えた。
「なんでボールを当てられた選手達は座り込んでるんですか?また当てられるかも知れないのに。」
「ああ、それはね・・・。」
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チームZ部屋
朱紗丸のボール当てが続く入寮テスト″鬼ごっこ″は
「一度ぶつけた奴はもう狙わん!またぶつけられたくなかったら倒れておれ!」
開始直後に朱紗丸が言い放ったこの一言で別の側面が出てきた。
(本当に狙われない。眼中にもないみたいだ・・・。)
開始5秒で299番の五十嵐の次にぶつけられた298番の潔世一は、早めにぶつけられたことで冷静さを取り戻していた。
(もう狙われないってことは、このままじっといていれば鬼にならずに済むってこと。いや、念の為に朱紗丸とボールは目で追って、いつでも立ち上がれるようにはしてるけど・・・。)
本当にこれでいいのか?
「大丈夫かい?潔君。」
「っ!?吉良君・・・。」
吉良君が朱紗丸に注意しつつ、声をかけてきた。彼はまだボールをぶつけられていない。
(そういえば朱紗丸はこれまで299番からランキング順に狙ってる!?じゃあ最後に当てられるのは・・・)
「バカげてるよこんなの・・・。こんな遊びがトップトレーニングとは思えない。」
「吉良君・・・。」
「この2分ちょっとのボール当て″鬼ごっこ″なんかでサッカー人生を決められるなんて・・・絶対間違ってる!」
「ほう、面白いことを言うのう!」
「っ!?」
振り向くとボールが吉良君の顔面めがけて迫っていた。
慌てて飛び避ける吉良君。ギリギリで躱したが、吉良君の顔があった場所をサッカーボールが通過し、壁に大きな音を立てて朱紗丸の元へ戻って行った。
「お主の顔は覚えておるぞ。会場で絵心に噛みついておった奴じゃろう。ならば何故お主はここにおる?」
「俺は絵心(あいつ)を否定するためにここに参加したんだ・・・。あんな奴(絵心)にも、お前にも、俺の人生潰されてたまるかよ!」
(確かに吉良君の言っていることは正しい。でも・・・)
本当にそうなのか?俺は今までの俺でいいのか?
「なるほどのう。つまらん意地で参加したのか。つまらん奴は意思もつまらんのう。」
「てめぇ・・・。っ!?」
突然朱紗丸が明後日の方向へボールを蹴り出した。
「ぐっ・・・!?」
「千切というのか。油断大敵じゃ。」
(ノールックで・・・!言動はめちゃくちゃだけどこいつ上手い!?本当に最下位なのか!?)
「292位撃破じゃ。次は・・・む?」
「俺だろ?」
291位 國神錬介
残り60秒
「ボールを拾ってなんの真似じゃ?」
「俺の座右の銘は正々堂々。ランキング順に狙ってるんなら、逆に俺がお前を倒す!」
「上等じゃ!」
朱紗丸が國神に向かって駆け出す。それを見て國上は朱紗丸に向かって弾丸シュートを放つが・・・
「がはっ!?」
逆に蹴り返され鳩尾にヒットする。
「なかなか強いシュートじゃったがまだまだじゃな!さて次は・・・」
「俺でしょ〜♪」
290位 蜂楽廻
残り50秒
「お主もボールを・・・、挑むか!」
「当然♪いっくよ〜かいぶつ君!」
「″鬼″じゃ!」
互いに向かって駆け出すが、蜂楽はすぐにボールを朱紗丸に向かって蹴り出す。
(殺す意思のないボール、本命は此奴自身か!)
またもやほぼノールックで蜂楽の蹴りを素手で掴む朱紗丸。
「うっそ!?」
「喧嘩は苦手じゃ・・・殺し合いは得意じゃがのう!」
「はぁ!?ぐほっ!」
蜂楽をそのまま床に放り投げる。壁から跳ね返ってきたボールを避けられない蜂楽にぶつけた。
転がったボールは朱紗丸とチームZのNo.1のちょうど間に転がり止まった。うずくまる2人に一瞥もくべず問う。
「楽しいのう、楽しいのう!お主はどうする吉良涼介?逃げるのかのう!?それとも此奴らのようにわしに挑むかのう!?どちらでもわしはかまわんぞ!」
苦悶を浮かべる吉良涼介を見つめる潔世一。
(このまま何もしなければ吉良君か朱紗丸が脱落する。でもそれでいいのか!?何もしなければ、いや・・・)
「違うな・・・。」
「むっ?」
「えっ、潔・・・君?」
立ち上がりボールのとこまで歩き、足でボールに触れる。
「・・・なんの真似じゃ?」
「人生変えに来てんだよ・・・。世界一になりに来てんだよ・・・俺は・・・!」
299位 潔世一
残り30秒
自分より強い奴に勝たなきゃ━━何も変われない!!!
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(なんじゃ、この既視感は・・・。)
目の前には朱紗丸が開始5秒でぶつけたやつがいた。そんなやつが今度は朱紗丸に挑もうとしている。
(この既視感は、あの時の・・・)
前世で朱紗丸が鬼として最後に相対した水の呼吸を使う少年。何故かこの時朱紗丸は彼と潔を重ねていた。
(面白い・・・!)
「あ・・・?」
「ん?」
身構える朱紗丸に潔は素っ頓狂な声をあげた。
ガシッ! ヒシッ!
「んなっ!?」
「やられたまま黙ってると思ったか!?」
「ちゃんすだよ〜ん♡」
國神と蜂楽が片足づつ両足を掴んでいた。
「なんじゃと!?」
「今だ、当てるんだ潔君!!」
「面白い!ちょうどよいハンデじゃ!来いっ!」
「1番・・・強い奴・・・!」
潔は全力で朱紗丸めがけてボールを蹴る!身動きが取れない朱紗丸は、下手に暴れず胸でトラップした。
300位 朱紗丸
残り15秒
「ええぃ、邪魔じゃ!」
「がふっ!?」
蜂楽を強引に蹴り放し。
「國神は蹴りとうない、離せ!」
「っ!?」
咄嗟に言われて放してしまう國上。
″鬼″の枷が外れる
残り10秒
「お主もじゃ潔世一!ここで落ちるには惜しい!」
「な!?」
(ヒールリフト!?)
潔の横を通り抜け、朱紗丸は目の前に落ちてきたボールを吉良に向かって蹴る。
「ちいっ!」
「また仰け反ったな!」
躱したが朱紗丸のことばに驚く吉良。しかもボールに気を取られる内に、朱紗丸がさらに近づいていた。
「これで・・・!」
「くそっ!?」
壁に当たり跳ね返ったボールを蹴る朱紗丸。今度は大きく横に跳んで躱そうとするが、
(蹴り込んでない!リフティングでフェイク!?)
「仕舞じゃ!!」
今度こそ蹴り込んだボールは、吉良に当たった。
289位 吉良涼介
残り3秒
「あ、あああああ!!」
奇声を上げつつもがむしゃらにボールを拾う吉良。
(誰でもいい!倒れてるやつでも!!)
ボールを蹴ろうとするが、
プァーン!
と、何処か気の抜けた音がzルームに鳴り響いた。
「あ・・・え・・・?」
吉良を含む全員がモニターを見た。
そこには《LOSE 吉良涼介》。さらに下のタイマーは0:03と表示されたまま止まっていた。
「な、なんで・・・。」
「お疲れ才能の原石どもよ。ここでは結果が全てだ。」
「敗れたものは出ていけ!吉良涼介、失格!」
ビクっと吉良が震えるが
「ふざけんなっ!?まだ3秒残ってんだろうが!」
「吉良よ、テストが始まる前にルールを絵心は言っておったじゃろう?」
「はぁ!?」
「″ハンド″禁止じゃ♪」
朱紗丸は左腕を右手で叩く。実は朱紗丸が吉良に最後にボールを当てた部位は左腕。当たってはならない場所だった。
「・・・・・・。」
無言で己の左腕を見つめる吉良。
「その通り、残り3秒でハンドの禁を犯したから入寮テストは終了した。ファックオフ野郎。」
ギリギリと歯を噛み締める吉良。
その後も『俺は日本サッカー界の宝』とか、『こんな″鬼″ごっこなんかで』とかを物凄い剣幕でモニターに写る絵心に叫ぶが、絵心はことごとく論破していく。
「こんなの・・・絶対間違ってる・・・!」
口から血が出るほど噛み締めながらも、絵心と朱紗丸を睨みつけ出ていこうとする。
「ああ、わしもそう思うぞ。」
「・・・えっ?」
「ほう?」
さっきまでの剣幕が嘘のように呆けた顔をして朱紗丸に振り向く吉良。
まぁ全てと言うわけではないが、と前置きしつつ。
「このボール当て″鬼ごっこ″は確かにトッププロのウォーミングアップでもされているのかも知れん。じゃがわし達はそのトッププロでもなければウォーミングアップをしていたわけでもない。」
「あ?どういう意味だ?」
如何にも短気っぽい奴が聞き返す。
「確か雷市じゃったか。この入寮テストでは、この狭い部屋に12人を押し込めて、脱落者は2度と代表になれないと言われて精神的に追い詰め行われたもの。残り3秒で鬼になった吉良を皆見ておったじゃろう?」
全員が吉良を見る。とうの本人は何を言われているのか理解出来ない。
「あの時・・・吉良はわし以上に″鬼″じゃったよ。そんな精神状態の者が、がむしゃらにサッカーボールを全力で蹴って心臓のある左胸に当たったらどうなっておった?最悪の場合、″即死″じゃ。」
全員が顔を青くする。人生どころか最悪命に直結するテストだったのだ。
「だったら!尚更こんなっ!!」
「だからわしが″鬼″(憎まれ役)を買って出た。」
再び絵心に激昂する吉良に、朱紗丸は真っ直ぐ言い放つ。
「わしがボールを持ち、″鬼″をやっておれば万が一のことは起こらない。まぁ挑んできた國神と蜂楽には多少本気でぶつけたがの♪」
ニカッと國神と蜂楽に向かって笑う朱紗丸。
「のう、吉良よ。」
戸惑う吉良に改めて声をかける。
「絵心が間違っているというのなら、ここではなくJリーグや海外のチームで"吉良涼介"を魅せれば良いのではないかの?例え代表には呼ばれずとも『何故吉良を呼ばないんだ!?』『吉良を代表に呼べ!』と世間に知らしめれば良いのではないかの?」
数秒の沈黙の後・・・
「・・・そういえば君の名前、まだ聞いてなかったね。もう知ってるけど、教えてくれないか?」
「そうじゃったな!わしは朱紗丸!
朱紗が苗字で名前が丸じゃ!皆は名前みたいに朱紗丸と呼ぶがの♪」
笑顔で自己紹介する朱紗丸に苦笑いする吉良。
「朱紗丸のおかげで少し頭が冷えたよ。確かに・・・『日本サッカー界の宝』なんて言われて浮かれていたのかもしれない。何より・・・」
両手を腰に当てて下を向く。
「僕を含め11人全員にボールを当てたんだ。その実力はここにいる皆が認めるざるを得ないものだろ?」
「まぁ、確かにな。」
「すげえよな、俺達全員にぶつけるとか。」
「・・・そうだね。」
五十嵐、伊右衛門、久遠が同意する。わざと避けなかった久遠は複雑な顔をしているが。
「絵心甚八」
「なんだ、脱落者。さっさと帰れ。」
モニターに写る絵心の言葉を吉良は無視した。
「あんたが言ってたこと、サッカーを続けながら考えてみるよ。じゃあね・・・。」
今度こそ吉良はZ部屋から出ていった。
「なぁ、なんで俺は蹴りたくなかったんだ?」
「むっ?あぁ、この部屋に入ったとき空いてるロッカーの場所教えてくれたじゃろ?そのお・れ・いじゃ♡」
つんつん國神の胸をつつく朱紗丸。國上は少し顔を赤らめ「そ、そうか」と俯いた。
面白くなってもう少し國神をいじろうと思った朱紗丸だが、その後絵心からブルーロックについて簡単な説明と予定を聞いてお開きとなった。
鞠とサッカーボールについて
絵心に軽く話をさせてますが、筆者も詳細はわかってないです。
そこまで深く考えないでくださると嬉しいです。
朱紗丸君が楽しければいいんです。
細かい矛盾点等は本作設定ということでご了承ください。
誤字脱字や明らかな矛盾点等があれば、感想にてご指摘いただけると幸いです。
感想・評価いただけると嬉しいです。
作者モチベアップに繋がります。