実験体MM   作:柳月&独鴉

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11.体育祭 トーナメント -3 対飯田・塩崎

『第二回戦 第二試合! 飯田バーサス魔神! 飯田の評価は第一回戦ではすこ~し難しいが、サポート道具でも動きの良さと速さ皆分かってるな!? 対する魔神は知っての通り技も外見もど派手だ!』

 

 ステージに二人とも上がるも、まだ個性のバランスを崩している舞華は力は余り使いたくはない。それでも試合を負けるつもりはなかった。

 

「申し訳ないが、女子とは言えど手加減はしない」

「むしろ手加減したら軽蔑するよ。 試合をなめんなって」

 

 ステージで対峙する飯田はエンジンの調子も良いらしく、足にあるマフラーから軽快に排気音が出ている。

 試合開始と共に個性を使用しステージの外周近くを駆け、マフラーから煙を噴き出し急激に増していく速度。50mを3速までと限定しても約3秒で駆ける速度で繰り出される拳や蹴りは凶器、そして飯田は徐々に速度を上げていくタイプ、ギアを変えるという表現と共に一段上がるごとにスピードが急激に増す。

 

「飯田! まだ速度あがるのか!?」

「まだまだ! さらにギアを上げていく!」

 

 高速状態のまま繰り出された拳を舞華は身体を捻り、伏せる事で避けるがカウンターを入れる隙など全くない。

 速度を上げながらの回し蹴りか拳による攻撃を時折仕掛けそして離れていく。カウンターなど入れさせないため腹部を主に狙い、大きく避ける必要性を与えながら飯田は徐々にステージ隅へと舞華を追い込んだ。

 ただ、飯田自身も気付いている。速度を上げるほど、ステージの広さの問題で円周運動の機動が限られ、攻撃を仕掛ける方向が限られる。しかしそれさえも圧倒的速度さえあれば。

 

「5速! 最大速度!」

 

 最大の推進力、飯田の意図は倒すのではなくあくまで場外狙い。正面から押す形で繰り出される回し蹴り、受け止める以外方法がない舞華は両腕に爆炎を発生させる。

 爆炎の衝撃と合わせて受け止め、ステージぎりぎりまで押されるも舞華の全身を覆う火柱が起ったことで飯田は距離を取った。最大速度による最大の攻撃、故に一旦ギアが落ちたようでマフラーから噴き出している煙の量が激減している。

 

「どうやら、最大速度は終わりみたいだね」

「確かに一度落ちたギアを上げるのには時間がかかる。 しかし!」

 

 急激に飯田の足のマフラーから排気量が増していく。さきほどの5速の時は薄っすらと青が混ざる白いものが異質に、黒煙が混ざる危ういものに変化していく。

 

「トルクオーバー・レシプロバースト!!」

 

 エンジンの個性、だからこそ無理をして最大の5速にギアを入れる緊急過負荷運転、突然の最高速度への加速にわかっていても本来は反応などできない。しかし先ほどまで順当にギアを上げながら攻撃を続けた飯田、舞華の眼も体も速度にやや慣れていた。

 ステージの隅まで追い詰められている舞華、ほんの一押しで場外となる。舞華をステージ外へと押し出すために飯田は正面から攻撃を仕掛けようとした。

 舞華の全身を爆炎が覆い姿が消えるも、その規模でもほんの一瞬なら熱いだけで火傷にはならないと理解し、火柱の中に舞華がいるはずの場所は炎の温度差で黒い人影に見える。飯田も構わず行った高速の体当たりは黒い人影にそのまま貫き場外へと身をステージ外へと飛び出してしまった。

 

「なっ!?」

 

 驚くも飯田にとっても限界速度、とっさに止まる事も出来ずそのままステージ外へと着地した。突き破られ消えた火柱の下部、伏せていた魔神がゆっくりと立ち上がる。

 

「幻影 陽炎の舞。 ちょっとズルかったかな」

 

「あれは!」

「手伝った技!」

 

 身を覆い隠すほどの火柱を舞華は作り、身を伏せながら炎の温度を調整して炎の中で立っているように見せかけていた。黒い人影はただの炎の温度差であり、切島と梅雨が外から何度も指摘して人に見せかけるようにした技。

 

「場外! 勝者魔神さん!」

 

 飯田は悔しそうに俯くと通路へと戻り、そして5分ほどの休憩を挟まみ、そのままシード選手との試合となる。

 

 

 

 

 

『シードだが優秀な成績により推薦入試の塩崎茨、騎馬戦では圧倒的防御技術を見せ鉢巻を守り続けたぞ! 対するは騎馬戦では同じチーム! 第一試合と第二試合ともに勝ち残ってきた魔神舞華!』

 

 髪の全てが細い茨であり、それを自由自在に動かせるよう鍛錬によって鍛え上げ、コンクリート程度の地面なら砕きながら攻撃に移れる強みがある。

 ステージ上で舞華の向かい側には、祈るように合わせた両手を胸の前に合わせる姿は聖職者などを思わせる。そして落ち着いた

 

「舞華さん、この試合に心遣いは不要ですよ」

「もちろん。 失礼な事はしないから大丈夫」

 

 お互いに少し話し協力した関係。ミッドナイト先生による試合開始の合図が行われ、後ろ髪以外の茨のツルを伸ばし、舞華に向かって大量のツルが迫る。

 

「フレアカッター!」

 

 掛け声と共に舞華の両腕から炎の刃が形成され、迫ってくる茨のツタを切り裂き続ける。迫るツタは炎の刃に触れると燃え上り、束ねられ強固になったツルさえも切裂く。それでも時には体を捻りながらツルを避け、舞華が徐々に切裂きながら迫っている中でも塩崎はその場から動かず、祈るように手を胸の前に合わせたまま後ろ髪は地面の中を伝い、舞華の周囲の地面から飛び出し捕縛しようと迫った。

 

「さすが! だけど騎馬戦でわかってる!」

 

 ほぼ全方位から迫る茨のツルだが見た目より茨のツルの攻勢層は厚くなく、視界にある程度頼る為に見えない場所は操作が甘い。舞華は後ろに下がりながら両腕を振るい無理やり突破してみせる。

 

「爆炎の危険性はわかってます!」

 

 しかし何度も切り裂き続けても太陽光に当たりしっかりと水さえ取ればいくらでも伸びる茨のツル。技術と物量で対応が可能な塩崎は舞華を近寄らせず、繰り返されるツルを焼き切りと避け続ける戦闘、埒が明かず舞華は両腕に炎を纏わせた。

 

「貫け! ロケットフレア!」

 

 両腕に炎を宿らせ大きく振りかぶるように両腕振るう。腕の形をした炎の拳が撃ち出され塩崎に迫る。

 しかしそっと舞華に背を向けると全てのツルが塩崎を守るように展開され、何重にも絡み合い分厚く強固な防壁を形成し頭髪から切り離される。

 

「いちじくの木」

 

 炎の拳は防壁に食い込み半分ほど焼き貫いたところで防がれてしまう。それでも防壁を作り出すために茨の攻撃は一旦止まった。

 その隙に舞華は両腕を胸の前に交差させ爆炎を集中・圧縮、使用中は反動を抑える為にその場を動けれないという欠点はあれど、圧倒的な範囲攻撃力を持つ舞華の技。

 

「灼熱の炎! ブレストファイヤァー!」

 

 舞華の胸部から指向性を持って放たれた熱線が迫ってくるツルの防壁を焼き払い、危険性に気付いた塩崎は茨の防壁を何重にも作り出すも焼き払う熱線炎だけではない。衝撃も収束されステージ地下を一度通してから反動を抑える塩崎の茨のツルは強固であるも、その衝撃にステージの一部ごと弾かれステージ外へと塩崎は吹き飛ばされた。

 

「場外! 勝者魔神さん!」

 

 ある程度の耐火性があるUA高校の体操服であるため、小さな穴がいくつも胸部上側に出来たものの耐え切り、色々察した八百万が予備のジャージの上着を作って投げ、舞華は受け取るとすぐに羽織りステージを離れた。

 

 

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