実験体MM   作:柳月&独鴉

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2.入学試験

 15歳になるまで時が経ち、雄英高校の実技受験日。

 オールマイトに保護されたMk09と名乗った子は養育される中で魔神舞華と名前を貰い、オールマイトの要請に答えた引退したヒーロー達によって育てられた。歪められた子供を正すために多くの事を与え教え導き、それは英才教育でもあり厳しくも優しいものであった。

 魔神舞華の持つ複数の個性因子とはDNAの一部でもあり、複数の遺伝子によってその姿は本当の両親と似ても似つかない。幸いだったのは接続の個性の影響を受け、DNA同士の衝突を徐々に治めながらより良く混ざり合いを促した事であった。

 周りの目を惹く綺麗な橙色の長髪と勝気な性格を表す鋭い眼元に目鼻立ちが整った顔は美しく、年齢に合わないほど成長した胸部以外黄金律のスタイルを学生服に何とか納め実戦試験前の集団説明会に参加していた。

 

 TVやラジオでの出演もしているプレゼントマイクによるノリが良くDJのように盛り上げようとするも、世代が異なり学生ばかりとなると誰も乗り切れずになんとなく滑ったような説明が進められる。

 それでも必要な情報はしっかりと説明され詳細も書類に記載されていた。

 

「------を求めてこの場に座しているのです! ついでにそこの縮れ毛の君! さきほどからぼそぼそと、気が散る。 物見山のつもりなら即刻ここから去りたまえ!」

 

 メガネをかけた子は質疑で注目を受けたのち、何かを小声で再確認しながら話していた一人の学生を名指しで批判している。正義感があるのだろうけれどほめられた行為じゃない。舞華は手を大きく叩き、注目を集める。

 

「メガネ君。 注意するのは担当試験官の職務で君じゃねぇって。 それこそ越権行為であり独善的だと判れ。 注目を浴びている現在の君が言うのは過剰な、それこそいじめと同様のつるし上げ行為じゃねぇか? それと記念受験の物見山だろうが去るかどうかの判断も各自の判断だ、君は記念受験の奴ら全員に去れと命令できる立場にあるのか?」

 

「むっ、しかしだ!」

 

 舞華は判断はUA学校側が行う事であって、ただの受験生がすべきことではないとかなり遠巻きに注意をしたのだが、余り納得は出来なかったようであった。

 それでも何かを言おうとするも、軽く喉を調整するようなプレゼントマイクの声に彼は黙る。

 

「お~っとリスナー諸君、そう言うのは入学後にしてもらえるか。 こわ~い他の担当官が見たら君達は試験資格を失っちまうぞ」

 

 担当官であるプレゼントマイク先生により制止が入り、そのまま説明が終わり各自試験を受ける会場に移動するバスへと乗る為に各自分かれていく。

 

「あ……あの! さっきはありがとうございます!」

 

「いいっていいって。 それよりお互い頑張って入学式で会おうぜ」

 

 舞華はお礼を言ってくる先ほどの子に大したことではないと伝えバスへ乗り込む。

 

 

 

 試験会場

 

「よっしゃ! 気合入れていくか!!」

 

 舞華が気合を入れる為に両拳同士を軽くぶつけ合うことで大きな胸が揺れ、近くにいた試験生たちが思わず目を向け、そしてそっと目を背ける。

 

「そこのど派手系爆乳姉ちゃん」

 

 そんな中、舞華はおそらく自分だろうかけられた声の方を探す。中学校時代からど派手やギャルとかでかすぎとかクラスメイトから散々の言われようだったからだ。

 

「なんか用?」

 

 随分と小柄な、恐らく個性の影響だろう同じ受験生を見つけ、まだ試験開始までの時間的猶予もあることから意識を向ける。

 

「良かったらオイラと共闘しない?」

 

 大分背が低いけれど、そんなことはヒーローにとってどうでもよいこと。ただし、胸に視線が集中している事が嫌な感じがしていた。

 

「個性は何? オレは爆炎だけれど、さすがに何もなしと共闘はちょっと困る」

 

「頭にくっついてるこの球体、超くっつくもぎもぎをモギッて投げつけられる」

 

 なんとも戦闘向きではないものの、相手を怪我無く捕縛できる可能性が感じられる。試験ガイダンスにあったヴィランロボットの動きを止められる可能性が大きい。

 

「OK。 ただし、男だから見るのは仕方ないとして、もし触れたら」

 

 舞華は近くに転がっていた石ころの欠片を右手の上に載せ、掌から炎を噴き出させ溶かしていく。

 

「ヴィランになってもお前を骨も残さず焼き尽くす」

 

 声色を変え脅すと何度もうなずく姿に、舞華は性根は腐ってないのだろうと納得し左わきに抱える。

 

「じゃ緊急マッチアップだ。 合格まで突っ走るぜ!」

「うっひょぉぉ、絶対おれやるぜ!」

 

 左わきに抱えられた事で頭部に胸が当たった峰田は興奮しながらも、やる気だけはうなぎのぼりしていた。

 

「スタート!」

 

 突然の合図に困惑する受験生達、舞華の心構えは常に十分、引き取ってくれた八木さん(オールマイト)からも、ヒーローは常々の心構えとして即断即決即応が重要だと教えられていた。

 先頭を走り抜け最初の標的がビルの影から姿を現す。肩に1Pのマークを付けたミリタリーカラーのロボット、単眼レンズが輝きタイヤを回転させ舞華に迫る。

 

「標的発見。 ぶっ殺す!」

 

 物騒な発言と共に上半身は人型のために右腕を振り上げ舞華に迫る。

 舞華は右腕に爆炎の力を集め、前腕に大きな両刃の斧刃状の炎の塊を形成し振りかぶりながら踏み込む。

 

「フレアカッター!」

 

 ロボの振り抜かれた拳を避けながら前腕を叩きつけ真っ二つに斬り飛ばす。機能停止の音と合わせ、次々とロボットが近くのビルの影から出てきた。音や光、そして人間を発見し集まる設定でもされているのか、集まる様子が止まることがない。

 

「左の奴らを足止め!」

「お任せあれ!」

 

 その場に降ろされた峰田は頭からグレープのもぎもぎを引き千切り、3体の1ポイントと1体の2ポイントの足元に投げつけ動きを止める。

 舞華は両前腕に爆炎の刃を作り出し駆けながら一体ずつ胴体を真っ二つにするか、頭部へとその刃を叩きこみ破壊していく。

 

「他の場所に走るぞ!」

「おう! 頼むぜ!」

 

 その場に他の受験生が追い付きだした事でそれ以上は効率が悪いと判断。それから舞華は峰田を左わきに抱え直し、ひたすらに駆け抜けながらヴィランロボットを破壊し、時には峰田を1ポイントヴィランロボの頭部に向けぶん投げ彼に破壊させる。

 見た目よりもかなり脆いヴィランロボットであるため、それなりの速度で頭部に拳か蹴りを撃ち込めば峰田でも簡単に破壊する事が出来た。

 

「へへっ、おいらたち順調じゃね?」

「緊急マッチアップとしてはだがな。 そのもぎもぎ足止めには凄く有用だな」

 

「くっ、来るなぁ!」

 

 声の方を2人が向くと、瓦礫から拾ったのか鉄パイプのようなものを振り回しながら3ポンとヴィランロボに追い詰められ声を上げている学生がいた。すぐ助けようにも距離が20m近く離れ、何かをするにも遠すぎる。

 

「峰田! 連携技行くぞ!」

「はっ、え!? 一体なにすんだよ!?!?」

 

 突然両手で掴まれ、頭上に持ち上げられた峰田は混乱したままサッカーのスローインのように大きく振りかぶられる。

 

「連携必殺 爆炎!」

「みっ、峰田キック!!」

 

 投じると同時に極低温であるが爆炎で峰田を急加速させ、空中で体勢を何とか変えた峰田は両足からヴィランロボットに特攻、強烈な音と共にヴィランロボットに食い込み機能を停止させた。

 

「やべぇぇぇぇ! まじやべぇぇって! 死ぬかと思った!!」

 

 めり込んだまま動けない峰田に舞華は駆け寄ると腕を掴み引っ張り出す。

 

「何言ってんだ。 覚悟を決めたところ中々格好よかったぜ」

「へっへへ、そうかな!?」

 

 ほめたとたんに上機嫌になり、舞華に大人しく抱え直され次のヴィランロボを倒すために駆けだす。

 

『残り3分だぜ! リスナーたちはやる気入れていけ!』

 

 順調に倒し続ける中、プレゼントマイク教官から残り3分との放送が入る。それと共に大きな振動音が響き渡り見上げるほど巨大なロボットが姿を現した。

 しかし建物を壊しただけで襲ってくる様子はない。説明通りあくまで試験のお邪魔をするだけで、積極的に受験生を襲うわけではないらしい。

 

「え、なんでこっちに!? 逃げ道がないのに!」

 

 声からして誰かがおじゃまロボによって崩れた建物に巻き込まれ逃げ場を失った。しかしシステムに欠陥があったのか、認識していないらしく声がする方向に巨大な履帯を進めていく。

 

「おっおい! おいらたちじゃ無理だぜ!」

 

 峰田は逃げようと進言するも、魔神舞華は投げ捨てると足元を踏みしめ身構える。

 

「お前は他に巻き込まれる奴が出ないように退避誘導しな! それが出来なくてヒーローなんて言えるか!」

 

 舞華は両腕から小さな火球を50ほど作りだし、意識を自らに向けるため頭部に目掛け放つ。ヴィランロボにあたるとシステムが反応したのか足を止め、舞華の方へと移動方向を変え始めた。

 舞華は胸部の前に両腕を交差させ、爆炎を腕と胸部の間に集め蓄積させ収束させる。10mを超える巨大なヴィランロボット、並みの攻撃で止められる相手ではない為リスク有りの大技を放つ。

 それも、自らが見た古い作品の中で、自らが持つ爆炎との相性が良い技。

 

「こいつで止め! ブレストファイヤァァァ!」

 

 交差させた両腕を上に向けて曲げ、胸部から収束した爆炎を強力な熱戦として照射、拡散されるように広がりながら0ポイント巨大ロボットの上半身を4秒もかからず溶解させ機能を停止させた。

 舞華は完全に停止したのを確認し照射を止め大きく息を吐くと、腰に止めてあるウェストポーチから袖なしベストを引っ張り出し羽織る。

 爆炎の個性のおかげで爆発と炎と熱に対して高い耐性がある、でもそれはあくまで本人であって服には当てはまらず、強力な熱戦を放った胸の上部分の服が全て燃え尽きてしまうからだ。

 

『試験終了~~~!!!!』

 

 

 

 

 

 

 

 UA合格判定 評価

 教師たちが会議室に集まり、試験の映像を見ながら評価を下していた。

 

「ヴィランポイント77、レスキュー0、第1位は戦闘能力は輝いている」

「タフネスは素晴らしい。 他の受験生がばてていく中終わりまで疲れている様子はない」

「一方でレスキューのみの60ポイントながら、大型ヴィランロボットを一撃で吹っ飛ばしたのは素晴らしい献身性だ。 まぁ手足の損傷と最後の締めの悪さは今後と言ったところだろう」

 

 15歳では長時間の戦闘でありながらタフネスを発揮し続けるのは難しい。それなのに一切緩む事なく続けたのは自らに厳しい練習を課してきたことだろう。

 

「第3位の子はトータルに素晴らしい。 個性の反動を覚悟しつつ危うかった子を助けている。 精神的にヒーローとして十分に達しているだろう」

 

 1人1人合格者の評価を下し、今後の指導についての簡単な概要に向けた人物評価も行っていた。

 そんな評価も一通り終わり、最後の別案件の子へとかわる。

 

「判定外だが、ヴィランとレスキュー合わせて104ポイント。 久方ぶりの三桁!」

「その上、他の子とも即席でチームアップもしている。 中々に状況判断力も高い」

 

 赤髪の子は高く評価されていたが、しかし少々渋い表情をしている教師もいた。

 

「試験で使用した技はどれも殺傷力があり過ぎるのが問題でしょうな」

 

 ヴィランは捕縛する対象であり、余りにも暴れるのなら重症も仕方ないとしても、魔神舞華のフレアカッターもブレストファイアーも威力があり過ぎる点が問題視された。

 

「その辺りは指導の中で新たに見つけていくものでしょう。 彼女は別枠ですから」

 

 魔神舞華は推薦枠でも通常枠でもなく特待生枠。ヒーロー協会日本支部と公安から提出された書類と合わせ当人は知らぬがすでに合格はほぼ決まっていた。学科および実技試験は念のための協調性などの確認である。

 

「ヒーロー仮免許の入学前取得確率95%、雄英OB達からの推薦状の理由はわかりますね」

「書類上かなりの英才教育を受けてます。 それゆえでしょう」

「公安からの推薦状は、経歴からの危険性を加味し雄英に任せたいという事ですね」

「その点については大きく公安に条件を付けたのさ。 責任は全て公安かつ雄英に教育全般は任せるようにしたのさ」

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