実験体MM   作:柳月&独鴉

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20.夏休み開始! 買い物!

 夏休み前の最終日

 最後の伝達と夏休み中の注意事項、8月にある合宿の概要説明などが行われる。しかし個性を使って訓練できるのは雄英の中だけ、夏休みと言ってもヒーロー科の生徒は訓練場の使用申請書を握り締め連日通う。そのため授業がないだけでほとんど連日学生が居るので食堂なども開いている。

 

 

 最後のホームルームも終わり、訓練場の申請書をもって職員室の相澤先生を訪ねた舞華がついでと渡されたのはI・アイランドの招待状、学校を通しての体育祭優秀者宛であり、相澤先生からの説明を受け教室に戻れば、訓練場の使用許可書や特別夏期講習の参加希望書類を書いている爆豪がまだ居た。

 

「爆豪」

 

「あぁ!? なんだ魔神!」

 

 体育祭から律儀に守っている爆豪はくそ女や爆炎女などとはいわず、ちゃんと魔神と呼び捨てであるが守っている。

 

「I・アイランドのエキスポプレオープン、体育祭優勝者へ招待状が届いたんだってさ。 雄英代表として可能なら行って来いって」

 

 爆豪とて雄英に入学しているだけあって頭も良い。I・アイランドが一般人に向けて開くエリアを設けようとしている事も知っているし、プレオープンとはつまり栄誉ある開会式への招待という事でもあった。

 

「ちっ、あとで考えといてやる」

 

 そう言いながらも招待状を開き内容をしっかりと読み込むところは、態度が悪いだけで性根や考え方にルールを順守する姿勢はある。乱暴で粗野なところはどうしようもないが。

 それよりも翌日から休みということで、まだクラスに残っている皆は合宿の準備などで話が盛り上がっていた。

 

「一週間の強化合宿か」

「合宿用のスーツケース買わなきゃ」

「新しい水着とかいろいろ買わないと」

「暗視ゴーグルって売ってるかな」

「それならみんなで買いにいこうよ」

 

 それぞれ合宿に合わせた買い物の話となり、みんなで一緒に階に行こうという話しになった。クラス全員というわけではなく、用事がある轟と集団行動は原則しない爆豪は別だ。

 

「あー それじゃ駅での集合にして欲しいんだけど」

 

 事情があるからと舞華が頼み、モールではなく少し早めに駅での集合となり当日皆はその理由を理解した。

 

 

 

 

 集合日、ショッピングモールに近い駅前。

 蛙吹はたまたま駅構内で砂糖と障子と合流し、駅を出て待ち合わせの所に行ったのだが。

 

「あれ、やばいな」

「まさか、舞華ちゃん?」

「魔神の声がするから間違いない」

 

 男が6人くらい魔神舞華の近くに屯し、囲うように声をかけていた。

 

「いいじゃん。 ちょっと遊びに行こうよ」

「美味しい店とかさ。 きっと楽しいからいこうぜ」

「良いアクセを置いてる店とか紹介するよ」

「RED QUEENの品ぞろえいい店知ってっから一緒に行こう」

 

「どっかいけよ。 邪魔だつってんだろ」

 

 蛙吹や砂糖達から見ても下心以外が全く見えない男連中に囲まれ、辟易している表情を浮かべてながら誘いを断り続けている魔神。

 

「ちょっと強めに行こう」

「そうだな。 早めに止めないと」

 

 レイヤード風スカパンで脚を大胆に露出し、足元はグレーのレースアップロングブーツと締め、ブラックのバッククロスメッシュトップスで肩と腰回り出していた。ホワイトのレースシアーシャツの前を開けて羽織り、どこかのモデルのようにも見える。

 当人は好きな服装をしているだけなのだが、スタイルと合わせて真紅のロングへアーのおかげで物凄く目を惹く。

 こちらに気付いたらしいけれど、睨みながら男達をけん制している。急ぎ足で3人で近付き大き目に声をかける。

 

「わりぃわりぃ待たせ過ぎた!」

「すまない。 少し遅かったようだ!」

「おまたせ! ケロ」

 

 筋肉質な男子2人に女子1人が声をかけて近付くと、護衛や厄介払いだろうと理解しながらも察した下心の連中が離れていく。

 

「舞華ちゃん 大丈夫?」

 

 気にしてくれているクラスメイトに舞華は苦笑しながらも軽く手を振る。

 

「大体いつもこんなんだからさ、ショッピングモールとか百貨店とか一人や女だけでいけねぇんだ。 3人とも面倒な事させて悪いな」

 

 ほぼ180cmの高身長女子の舞華よりも砂糖と障子は背が高く、一緒に居れば問題がある連中を遠ざけられるだけの威圧感がある。

 

「これぐらいはいいってことよ」

「気にしなくていい。 クラスメイトが困っているなら手を貸す」

 

 時間が近くなり少しずつクラスメイトが集まるとそのままモールへと移動。緑谷・魔神などは静岡住なので何度か家族と来たことはあるが、雄英に通うため他県から一人暮らしをしているクラスメイトは初めて訪れていた。

 

「やってきました! 県内最多店舗数を誇るナウでヤングな最先端! ショッピングモール!」

「ひゃっほー!」

 

 期末試験も終わり、若干ヤケクソ気味にテンションを上げている芦戸と上鳴、ショッピングモールについて詳細な情報を話し始める緑谷など、それぞれテンションが上がった状態で何を買おうかと話は盛り上げる。

 

「みんな目的ばらけってっし、時間決めて自由行動すっか」

「さんせ~い」

「舞華ちゃんは一人だと不味いから、男子は誰か付いていった方がいいと思うわ」

「確かに」

「一人はまた似たような事になりそうだよな」

 

 駅の集合の様子を見ていた3人は一人で居ない方がいいと提案。

 

「僕は買い物が決まってるから頑張ってみるよ」

「尾白、悪いな」

 

 一緒についていきたい峰田、しかし自分が他のちょっとやばい男避けになるかと言われれば、無理なのを分かっている為に何も言えず血涙のようなものを流している。

 

「それじゃ15時に集合ってことで」

「「意義な~し」」

 

 

 

 

 舞華が買うのは合宿中の着替えと普段の服類。

 

「ごめん。 いまクラスメイトと一緒に買い物してるから」

 

 尾白が舞華に声をかけようとしている男との間に入り止めるも。

 

「え~、こんなとっぽい奴より俺と一緒にいた方が楽しいし、気持ち良い事だって上手いよ。 ほら一緒に行こうよ」

 

 それでも何かを勘違いしている大学生だろうナンパ男は来る。主にR18なこと以外脳みそから欠けたような奴は、主に威圧感のある大人ではないと止まらない。鍛えている尾白もまったく威圧感がないわけではないのだが、服装が余りにも地味でそれが足を引っ張っていた。

 伸ばしてきた腕を舞華は掴み、睨みながら力を込めると骨がきしむ音が鳴る。

 

「失せろ。 脳みそまで下半身に支配されてんのかよ」

 

 個性を使わずに力で拒否を示す。余りにも馬鹿はこれでもダメなのだが、今回は手を離すと痛み部分を抑えながら店を出て行った。

 

「……ごめん。 止められなかった」

 

 落ち込んでいる尾白なのだが、どうしようもない奴はカップルだろうと声をかけてくる。別に問題があったわけではなかった。舞華は買い物を済ませ服の入った紙袋を持ちながら一緒に店を出る。

 

「いや、馬鹿は家族と来ても声をかけてきたから、あれはその類だから仕方ないよ。 でも、ちょっと服装を変えようか。 地味じゃない奴にさ」

 

 舞華は尾白の腕を掴み隣の店に引っ張っていく。

 

「少し服装を変えればもう少しは寄ってくる奴もへるさ。 面倒に付き合ってくれた礼はするよ」

 

 いくらか耳郎っぽいロックな服装をしているマネキンがすぐに目に入り、尾白と数度見比べて店員に声をかける。

 

「すみません。 この服のセットをこいつのサイズに合わせてください。 すぐ着るんでタグとか切っちゃってください」

 

「え、あの悪いし……あんまり動きにくい服は」

 

 すぐに店員が笑顔で服を用意し始め、突然の事に尾白は焦るも上手く断れずそのまま背中を押されて更衣室に入ってしまう。

 尾白が着替えている最中、買い物を終えた耳郎と八百万が店の前を通りかかり、こちらに気付き店に入ってきた。

 

「舞華も買い物おわった?」

「こちらは、男性物のお店ですし、尾白さんの買い物ですか?」

 

「いまは見張りを頑張ってくれた尾白にお礼中。 ちょっと待ってて」

 

 少しして着替えた尾白が出てくるとみんなで驚いた。普段から地味とか普通といった印象しかなかったのに、服装を変えただけで印象は大分変っていた。

 

「あのさ。 舞華も違った落ち着いた服装すれば少しは馬鹿が来るのも減るかもよ」

 

 着替えを終えた尾白、それから舞華の着こなしを見て、ギャル服から他の服装へ変えたらと提案するも舞華は首を振った。

 

「ん~、やっぱりさ。 誰かの言葉に振り回されず、潔く格好良くいきたいじゃん?」

「わかる」

 

 何度も頷く耳郎は流れで自分自身の胸に手を当てて一瞬停止し、舞華と見比べて突然落ち込み始める。

 

「そこで振り回されてどうすんのさ。 無い胸を張りなよ」

「ちょ、それを今言わなくてもいいじゃん」

 

 落ち込んだ姿をちょっとだけ弄りながら、舞華は苦笑しながら紙袋から買ったばかりの雪の結晶柄マリンキャップを取り出し耳郎に被せる。

 そのとき警報が鳴り響き、ショッピングモール内にヴィランが現れたと一時閉鎖と避難行動、そして区内を担当しているヒーローや警察が集まり大捜索となったことで買い物は終わった。

 

 

 

 談話室 オールマイトside

 期末試験も終わり、ショッピングモールでのUSJを襲撃したヴィランとの遭遇。全てを含め緑谷少年と夏休みに入った雄英の談話室で話をしていた。

 歴代OFAやその個性が産まれた理由であるAFO、今後のトレーニング方針などを話し終えたあと、そして緑谷少年はずっと気になっていたことを聞きたいと言ってきた。

 

「あの、魔神さんはオールマイトとどういった関係なのでしょうか。 それに、時折何か苦しそうな感じがしていて」

 

 緑谷少年は魔神がどこかオールマイトに似た行動が多いと見ていたらしい。最初は同じフォロワーなのかと思っていたそうだが、舞華少女の私と似たアメリカナイズなアクションコミュニケーションだけではなく、期末試験で見せた戦闘スタイルがもっとも深く疑問を持ったとのこと。

 舞華少女からは別に話しても良いとも言われている。安全についても私基準から判断しても、スーパーヴィランや高度な組織犯罪以外からは期末試験の結果から見ても自衛できると判断がようやくできている。

 

“緑谷が後継者だろ。 あんだけ似てたらOFAを良く知ってる人は気付くよ”

 

 舞華少女から完全に緑谷がOFA継承者とばれていた。隠すのももはやあれだろうと私も思っていたこと。

 

「舞華少女はね。 私の養子なんだ。 名字が違うのは八木性だと最悪の事態が起きた場合に巻き込まれないようにね」

 

 私の本名を一般には公表していない。もし八木俊典と知られた場合、同じ苗字を持つ人達に迷惑が掛かる上に、最悪ヴィランに命を狙われてしまう。その危険性を排除するために、齢90歳にもなる魔神瀬戸というヒーローの戸籍に入り魔神舞華となってもらっている。

 

「7歳の時に私が保護してね。 それからOFAについて話せるグラントリノ先生や他のヒーローと協力して育ててきたんだ」

 

 話せる内容は限られる。個性が人為的に与えられ、制御や精神的負担に苦しんでいる事は舞華少女が話す事であって私からは言えない。

 

「保護されるまでの苦しみをずっと抱え込んでいるけれど、舞華少女はその分誰かを救える人になろうとしている。 その努力は、痛々しく苦しいほど必死にね」

 

 私はいま悲しそうな顔をしているのだろう。緑谷少年が少し困惑している。

 

「緑谷少年。 ヒーローはお節介がお仕事だ。 だけれどね。 助かろうとしない人を助ける事は出来ないんだ」

 

 オールマイトではなく八木俊典として、何年も一緒に過ごす事でトラウマの恐怖に震える事も、強すぎる力に怯える事もなくなった。それでも舞華少女は一度たりとも最初に助けを求めた以上に助かろうとはしない。

 自分だけで足掻いて、自分だけで苦しんで、背負っている罪過に潰れそうになりながら、進むための力は借りても、背負ってしまっている苦しみと重荷を降ろそうとはしない。

 

「自傷する子の手を無理やり掴んで止めても、心のガス抜きになっている自傷を無理やり止めれば、今度は心が壊れてしまう。 救われたくない、助かりたくない、そうすることで自我を保っている舞華少女はまだ救えない。 まだまだ時間がかかるんだよ」

 

 恐らく悲しそうに笑いながら話しているだろう私の言葉に、緑谷少年は何かを必死に考えどうしたらいいのか考えているのだろう表情をしている。本当に優しい子だ。

 

「あの、僕はどうしたらいいのでしょうか」

 

 緑谷少年は優しくヒーローとして誰かを助けようとする献身性は十分にある。しかし八木俊典として、親としては舞華少女を信じ待ち続けたい。

 

「今はただ何も言わずに見守っていて欲しい。 舞華少女はきっと自らの判断で手を伸ばす事が来るだろうから」

 

 舞華少女は強い子ではなく、強過ぎる子だからこそ、さらに強くなることで助けを求めないように生きようとしてしまっている。

 それでもいつか、心を開き誰かに助けを求められるだろう。

 

前回のアンケート結果から、これから魔神が進むべきマジン道

  • 可能性と共に歩む始まりの魔神皇帝
  • オリジンのみを唯一至上とする終焉の魔神
  • マジンガー乙女・乙女大戦
  • 第四の道
  • 峰田を燃やせ(結果閲覧用)
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