紫陽花は天使である。異論は認めない。 作:ロリコンではない。好きな子がロリなんだ。
あまり本文中に載せることもなさそうなのでプロフィール載せときます。暫定ですけど。
新谷凛 女
身長160cm
何がとは言わないがB
濃い青の髪を肩にかかるかどうか程度で切り揃えたボブ
ただし、毛先のくるくるとしたれな子とは異なるストレートの髪質
瞳の色はグレー
足は出さずにタイツを履いている
中学ではバスケ部だった
座ったままあまり動かず寝れる
よ、よし、今日はわたしから二人に挨拶するぞ。本当はスマホを見つめて適当にネットサーフィンしながら時間を潰していたいけど、そんなことしてたらわたしの目指した陽キャライフとはどんどんかけ離れていっちゃうもんね。
い、いつ来るのかな?始業ギリギリだったりして……いや、紫陽花さんと凛さんは時間ギリギリに来るような人じゃなさそうだったし、多分もう少しで来るはず。
「おはよう」
「おはよー」
ハッ!この声は紫陽花さんと凛さん!
入口の方から聞こえてきた声にバッと顔を向けると、昨日見た二人の姿があった。そして、二人の挨拶に挨拶を返す声がクラスの中からちらほらと聞こえてくる。
ま、まだ入学して二日目で人間関係も全然構築されてないのにクラスの人達と挨拶が成立している!?わたしが同じことしても絶対クラスがシーンとなって悲しくなるだけなのに!こ、これが人間力!?やはり顔か!?顔なのか!?
紫陽花さんと凛さんは二人とも方向性が違う美少女だからなぁ!ちくしょう!
「れなちゃんおはよう」
「れな子おはよ」
「あっ、おはよう!」
あぁっ、わたしから挨拶するって決めてたのに〜!わたしの馬鹿、しょうもないこと考えてるんじゃないよぅ!向こうから声をかけられないと話せない陰キャって思われちゃう!なんとか話題を作らないと!
「二人は一緒に登校してるの?」
「うん、凛ちゃんとは家がお隣さんなんだよ。毎朝待っててくれるの」
「えっ、毎朝!?すごっ!」
「まあ、昔からずっとこうだし。もう慣れたよ」
ん?ということは、昔からずっと一緒に登校してるってこと?な、なんて仲良し幼馴染なんだ……わたしには二人の関係が眩しい。こちとらそこまでわたしに寄り添ってくれる存在はゲームだけだというのに。
「そうだれな子、今日王塚真唯に声かけるんだったっけ」
「あ、うん。そのつもりだけど……」
「よし、それなら朝のうちに攻めよう。人がまだ集まり切っていない朝のうちにね」
「お昼休みは他のクラスの人とかも来ちゃうかもって、さっき話してたの」
「ふ、二人とも〜!」
昨日わたしが言ってたことを朝から話し合ってくれていたなんて、わたし感激!これが優しさ……これが生粋の陽キャ……もう人間としての差をひしひしと感じております。喜びと悲しみの波に揉まれてるよ。ここは大海原。
わたしが心の中で二人を拝んでいると、突然廊下の方が騒がしくなってきた。いったいなんだろう。
「噂をすればなんとやら、ってやつかな」
「え?」
凛さんの言葉に首を傾げているとガラガラと教室の扉が開き、あの王塚真唯さんが姿を現した。その後ろには野次馬というか、王塚真唯さんを目的にした人達の姿も見える。
「やあ、おはよう」
ウッ、眩しい!挨拶しただけなのにクラス中が王塚真唯さんに釘付けになってるのを感じる!これがカリスマ!?これがスター性とかいうやつ!?
「ほら、れな子行くよ」
「えっ!?」
あのみんなから注目されてる状態の王塚真唯さんに話しかけに行けと!?わたしに死ねと申すのですか!?
「ちょっ、ちょっと待った!今はムリ!注目度ヤバいって!」
「あの王塚真唯ならどうせいつ行っても注目されてるだろうし、まだ人が集まり切っていない今が一番マシだと思うけど」
そ、それはたしかに……。でも行きたくない!ついこの間まで陰の者だったわたしにそれはハードルが高すぎる!
「れなちゃん、私達も一緒に行くから頑張ろう?ね?」
ひ〜!純粋な優しさがわたしから退路を奪っていく!ここまでされて拒否したときの二人の反応が怖い!
『へえ、ここまで親身になってるのに行かないんだ』
『こんなやつのために無駄な時間使っちゃったなぁ』
とか言われちゃうよ!二人とも優しいけどその優しさを裏切った時の反応が未知数すぎる!進めば恐怖!戻れば恐怖!妹よ、わたしの骨は拾ってくれ!わたしは今から陽キャになってくるよ!
覚悟を決めて席を立つ。そして、王塚真唯さんに向けて歩みを進めていくと、わたしの存在に気付いた王塚真唯さんがこちらに視線を向けた。
「おや、君は……」
大丈夫、落ち着けわたし。わたしは陽キャになるって決めたんだ。ここで王塚真唯さんとお友達になるんだ。いけ、一生に一度の大勝負!
「は、初めまして!私甘織れな子って言うんだけど……えと、お友達になりませんか!」
「勿論だとも。こちらこそ話しかけて来てくれてありがとう。よろしく、れな子」
へ……?そ、そんなあっさり……?
こ、これ、夢じゃないよね?微笑みながらこちらに手を伸ばしている王塚真唯さんは幻じゃないよね?というかこの手は握り返していいやつなのかな?お、畏れ多いんだけども。
恐る恐る手を伸ばして王塚真唯さんの手を握ると、王塚真唯さんは優しく握り返してくれた。
わ、わあ!本当に、お友達になれたんだ!あの王塚真唯さんと!わたしが!こ、これは、完全に高校デビュー大成功!わたしはもう陽キャの一員だ!見てたか妹よ!私はここから華やかなスクールライフが始まるんだ!
『頑張ったねお姉ちゃん』
うん!イマジナリー遥奈がわたしに向かってグッドサインを送っている!世界はわたしを祝福してくれているんだ!
わたしの上昇し続ける自己肯定感と幸福感に伴ってイナジマリー遥奈が再度口を開こうとした瞬間、今度は現実の方から祝福の声が聞こえてきた。
「よかったな、れな子」
「頑張ったねれなちゃん」
イナジマリー遥奈が姿を消すと同時に、いつの間にかわたしの左右には紫陽花さんと凛さんがいた。二人とも今のわたしの現状を見て喜んでくれているみたい。うぅ、二人のおかげでわたしは陽キャになれたんだぁ!
「二人ともほんっとうにありがとう!二人がいなかったら勇気が出なかったよ〜!」
「君たち二人は……」
「私は瀬名紫陽花だよ。私もれなちゃんと一緒でお友達になりたいなぁって思ってるんだけど、いいかな?」
「勿論構わないさ」
「私は新谷凛、よろしく」
「ああ、よろしく」
ふ、二人とも距離を詰めるのがはや〜い!わたしなんてなけなしの勇気を振り絞ったのに!というか凛さんはそれでいいの!?それで友達になれるの!?名前とよろしくしか言ってないよ!?
わたしの知らない世界だぁ!理不尽だぁ!
「あのね、折角お友達になれたしお昼休みの時にみんなで一緒にご飯食べたいなぁって思ってるんだけど、どうかな?」
「紫陽花さん!それすっごいいいね!」
これでぼっち飯を回避しつつこのカースト上位勢の三人と陽キャグループとして距離を縮められそう!お友達になれて浮かれていたわたしと違って先のことをもう考えている紫陽花さんってすごいなぁ。
「ふむ、食事を通して親交を深めようということだね。構わないよ」
「私はなんでも」
「みんなありがとう。じゃあ、お昼休みにまた集まろうね」
そうして、クラスに人が増えてきてそろそろ先生も来る頃になったので、わたし達はその場を解散することになった。
王塚真唯さんをその場に残し、わたしと紫陽花さんは教室の左後ろに戻る。だけど、席が教室の右後ろのはずの凛さんがわたし達に着いてきていた。どうしたんだろう。
わたしが一番後ろの席に座ると、目の前に紫陽花さんも座る。すると、凛さんが紫陽花さんの頭にポンっと右手を乗せた。
「じゃ、また後で」
「うん、後でね凛ちゃん」
そうして、凛さんは自席へと向かっていった。
……んん?なんか、なんか距離感おかしくない?デキてる?デキてるの?それとも陽キャのスキンシップってこれくらい普通?紫陽花さんはいつも通りって感じだし、それが普通なのかな。
わたしにはよく分かんないけど二人とも自然体だし、まあいっか。二人は幼馴染だし仲良しみたいだし、別におかしいことじゃないよね。
紫陽花とれな子の真唯お友達大作戦も無事に完遂し、大天使アジサエルのふわふわな髪の毛を堪能させていただいてから席に向かう。うむ、この手の感触があれば授業も大丈夫だな。乗り越えられそう。
自席に戻ると、私の後ろの席で真面目ちゃんが本を読んでいた。ブックカバーがしてあって内容はよく分からないけど、座る時に上からチラッと見えたのは大量の活字だった。くっ、そこは漫画の方が面白かったのに。
まだ始業にはわずかに時間がある。よし、こちらとも仲良くなろう。
「おはよ」
「……おはよう」
お、挨拶返してくれた。無視されるものかと思ってたよ。
「無視はしないわ。出会って二日の相手を無視するほどの無礼者になった覚えはないもの」
「おお、テレパシー?」
「違うわ。考えていることが簡単に想像できただけ」
「なるほど」
どうやら昨日残念な物を見るような目で見られていたのはそこまで尾を引いていないらしい。案外会話はしてくれる。にしても真唯といいれな子といい、顔面偏差値高いなおい。世界最高峰は紫陽花だが。
「……なに?」
ありゃ、ジロジロ見てたら警戒されちゃった。気色悪がられてるのかもしれないけど。
「いや、君の名前を知らないなと思って。私は新谷凛」
「知っているわ。アイツに自己紹介していたのが聞こえたから」
アイツ、ってのは多分王塚真唯か?真唯にアイツ呼ばわりとは、もしかして知り合い?
「あんな顔だけの俺様野郎と仲良くしようだなんて、やめたほうがいいと思うわ」
「えぇ、めっちゃ言うじゃん。知り合い?」
「一応小学生からのね」
「へー」
「すこぶる興味が無さそうな返事ね」
「今の私は君の名前の方が気になってるからね」
「……」
そのなんだコイツみたいな目で見るのやめてね。私からすれば紫陽花以外は関心のレベルが等しいんだ。周りから真唯が持て囃されていようがそこまで惹かれない。むしろ目の前の真面目ちゃんの名前の方が知りたい。
「……はぁ、琴紗月よ」
「紗月ね、覚えた」
「別に覚えなくてもいいわ」
「なんでよ、前後の席なんだからこれから話をする機会もある。なんなら友達になろうか」
「……」
だからそのなんだコイツみたいな目で見るのやめてね。友達って知ってる?ゆーあーまいふれんど。
「ほら、連絡先交換しよう」
「少し急すぎないかしら」
「いいじゃんいいじゃん。友達が増えて損はないし」
「……あなたには何を言っても意味がなさそうね。よく強引って言われてないかしら」
なんか渋々って感じだけどスマホを差し出してくれた。これでミッションコンプリート!この学校で初めての連絡先交換だ。紗月め、面倒くさそうなのを隠さずに対応しやがって。これから構い倒してやるからな。
ふむ、あれから授業の合間合間で紗月に
最低限しかノートを取らない私が不真面目に映るからやめてほしい。
「凛はそもそも真面目じゃないじゃない」
「あれ、またテレパシー?それともただの悪口?」
「普通に声に出てたわよ。あとチラチラ振り返ってきて不快だからその腹いせ」
なん……だと……!?この私がそんな失態を……!?てか正直すぎる。不快とか面と向かって言うんじゃない。友達だろ。
「授業中に寝るわ起きててもペンをほとんど持たずに暇そうにしてるわで真面目に見えるわけがないでしょう。あそこにいるあなたの幼馴染を見倣ったらどう?」
「あー、紫陽花は真面目な天使だからなぁ。幼馴染として鼻が高い」
「天使……?というか、あなたがそれを見て頑張るという選択肢は無いのね」
「大丈夫、困ったら後で紫陽花に助けてもらうから」
「あなたね……」
およ?なんか昨日以上に残念な物を見るような目で見られているのだが。ふっ、紫陽花の良さを分かってないからそんな反応なんだよ紗月は。分からない所を隣から丁寧に優しく説明してくれる紫陽花の良さをな。
「まあいいわ、そんな適当であなたが将来どうなろうと知ったことではないもの」
そう言いながら紗月は席を立った。
「あれ、どこ行く感じ?」
「食堂よ」
「あー、もう昼休みか」
「あなたもさっさとお仲間の所に行ったらどう?」
「紗月も来る?」
「人の話を聞いていたのかしら。私は食堂に行くと言ったはずだけれど」
「じゃあ私達が着いていこうか?」
「迷惑だからやめて」
「うい」
迷惑て、そんな言わなくてもいいじゃん。いや、真唯のことか。なんか敵対心というかなんというか、少し棘があるしね。最低だぞ真唯、いったい紗月に何をしたんだ。
スタスタと遠ざかる紗月を見送り、紫陽花の元へ向かう。元から紫陽花の後ろの席とかいう神みたいな配置のれな子は言わずもがな、真唯も二人のところにやって来ていた。
「おまたせ」
「ううん、全然待ってないよ」
あ〜、数時間振りの紫陽花の摂取だぁ。授業の合間も紗月に構いすぎて紫陽花成分不足してたんだった。染み渡るぅ。
「凛さん、勝手に席決めちゃったけどいい?」
「別に床とかじゃなければどこでも大丈夫」
「いや友達を床で食べさせないよ!?」
「冗談冗談」
れな子は元気だな。やっぱ常に紫陽花成分を摂取できると元気が有り余るみたいだ、羨ましい。
席は紫陽花の机を後ろ向きに回転させてれな子の机とくっつけ、隣の席の人の机も借りて同じようにくっつけているらしい。紫陽花の隣には真唯が座っている。つまり私はれな子の隣かつ真唯の正面で、紫陽花と最も遠い配置。
くっ、たしかに教室の右前から来た真唯は自然と紫陽花の隣に座るか……許せん!私の大天使アジサエルだぞ!
「そういえば凛、君は紗月とも仲がいいみたいだね」
「まあ(一方的な)友達だしね」
「そうか。紗月は少し冷たいというか無愛想に見えるが、根はいい子なんだ。仲良くしてあげてくれ」
「当然。もう連絡先もゲットしてきた」
「なに……?昨日の今日で紗月から?君はすごいな」
いや、多分断るのも面倒くさいから交換してやるよ的な感じだと思うけど。まあいいや、私と紗月は仲良しという勘違いでもしてればなんか面白いこと起きそう。特に紗月の方で。
「そ、そうだ!みんなで連絡先交換しない?折角こうして友達になれたんだしさ!」
「ふむ、それはいい提案だね」
れな子の提案を元に、それぞれが自身のスマホを取り出して連絡先を交換していく。そして、紫陽花がグループを作成し、私達四人のグループができた。
「これでお家に帰ってもみんなでお話できるね」
はいかわいい。紫陽花の楽しそうな顔ってどうしてこんなに胸が満たされるのか。やはり時代は紫陽花、目の保養だね。れな子も真唯も紫陽花と同じグループになれたことを心から喜ぶといい。自分達はクラスで最も運が良かった、とな。
だがしかし!残念だったな、私はこんなトークアプリなんぞ使わずとも紫陽花と直接会って『お話』が出来るのだよ!この勝負私の勝ちだァ!
「凛さん?何かいいことでもあった?」
「れな子、私は今いい気分なんだよ」
「そう?わたしもみんなと仲良くなれて嬉しいからおんなじだね」
そうだね。おんなじだね。