もしも五条悟がフリーレン世界に転生したら   作:ケンタ〜

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最強としての決断

 五条悟に地獄の業火は届かない。

 

 しかしその熱波はゆっくりと確実に空間を蝕もうとしている。

 

(術式規模が尋常じゃない)

 

 自らも地獄の業火に飲まれる中で、状態を確認する。

 

 目に見える範囲全ての岩壁が溶け落ちている。

 

 赤く、そして少しずつ白く。

 

 天井からボドリと一塊の溶岩が溶け、五条悟の上に落ちた。

 それは無限に阻まれて、代わりに周囲の地面に溶けていく。

 

 一つの大きな塊が、また石の雫となって垂れた。

 

人を殺す魔法(ゾルトラーク)

 

 展開される十門もの人を殺す魔法。

 

 それは溶け落ちようとしていた全ての溶岩を貫き吹き飛ばした。

 

 一斉射撃されたそれは、曲射直射交えて放たれ、あらゆる角度から五条悟(複製体)へと向かう。

 

 複製体は加速する。

 

 自分に当たるよりも前に、前へ。そうすることで斉射《ゾルトラーク》の中を突っ切る。

 

 ――――赫

 

 赫の虚空が放たれる。

 

 それを察知していたかのように、フリーレンの前には青色の障壁が展開されていた。

 

 赫はそこで爆ぜ、フリーレンには一つの傷もなかった。

 

災禍の暴風を起こす魔法(ルイネズトルム)

 

 災禍の暴風が巻き起こる。

 

 フリーレンの純白の髪が舞った。

 

 一風ごとに破壊の魔力が込められた魔法。

 

 瓦礫は巻き上げられ、岩壁は引っ剥がされ、まだ乾ききっていない溶岩が吹き荒れる。

 

 人の生み出す攻撃としては度の過ぎた石礫。

 

 破滅の風と共に、一斉に複製体へと向かう。

 

人を殺す魔法(ゾルトラーク)

 

 それと同時に人を殺す魔法を放った。

 

 それにより、複製体は無限での防御を中断し移動を強制される。

 

 吹き荒れる石礫は全て五条悟の直前でピタリと止まった。

 

 そのフリーレンとの直線距離上の視界が、瓦礫により一瞬目隠しされる。

 

 回避、移動、術式の行使、それに重なる視界の制御。

 視界を呪力探知に切り替えるための思考。

 

 それらの並列処理が生み出す、ほんの一瞬の、隙とも言えないような思考のブレ。

 

魔族を殺す魔法(ゾルトラーク)

 

 術式を削り取る音。

 

 フリーレンよりもいささか高い声が、その魔法が着弾したのちに発された。

 

 複製体は沈黙する。

 

 その肩口が、すべてを貫通する魔力に飲み込まれていた。

 

 複製体は自らの一部を吹き飛ばした魔法の主を反射的に探る。

 しかし、それはすぐに探知から姿を消した。

 

 ダンジョン壁内に空いた幾重もの穴。

 そのどこかからの攻撃。

 それを特定するのは、この魔力吹き荒れる攻撃の嵐のなかでは困難だった。

 

「はぁ……なんだよ」

 

 後方の五条悟はため息をつく。

 心底からの落胆だった。

 

「僕を殺せる存在が、この世にはありふれてるっつーのかよ」

 

 ボリボリと、五条悟は頭を掻いた。

 

 最強のプライド。

 

 それに見合う強者。

 

 それと出会い、やり合うことを夢見てきた。

 

 しかしそんな存在が、自らに目もくれず、その上違う誰かとやり始めてしまうとなると。

 

 そしてそれが、自分など確実に殺せるぞ、と高々と宣言までしたとなると。

 

「心外だね。ムカムカしてきた」

 

 ――本当に僕よりも強いのか?

 

 五条悟は思案する。

 

 しかし実際に、目の前のそれ、そして隠れている何かは自分の体の一部を、不意に吹き飛ばしてみせた。

 

 なら、確かめてみなければならない。

 

 ――そう、戦って、自分の目で。

 

 今まで自分の四肢を一部でももぎ取った存在はたったの一人。

 死の淵まで追い詰めてきたのはたったの二人。

 

 だとすれば、目の前の実力者は、今まで()った超越者と遜色はなく。

 

 ――だから、その『僕に勝てる』って発言を信じて、ここは引いてあげようか

 

 ――そう、僕は教師なのだから

 

 ――生徒(ひと)に譲ることは、慣れてるさ

 

 目の前で、やりあっているフリーレンと複製体。

 

 最後に一度、拳に蒼をみなぎらせて。

 

 ――でも、最後に一発。

 

 まだ収まらぬ、戦いの妨害への怒りを込めて。

 

 フリーレンに接近しようとしている複製体。

 

 そこへめがけて、ぶん殴った。

 

 ゴッ

 

 蒼の拳が頬にめり込む。

 複製体の完全な不意。

 轟音を立てて、複製体は吹き飛んだ。

 

「強いんだな、オマエは!?」

 

 胎動する最強の肉体。

 

 背後のフリーレン向けて、五条悟は叫ぶ。

 フリーレンは静かに答えた。

 

「ここにいる魔法使いでは、誰よりも」

「そうか! クソババア! 免じて譲ってやる!」

 

 素で、五条悟は言い放った。

 

「クソっ……!?」

 

 信じられないというように、フリーレンは目を見開いた。そして抗議の口を開こうとする。

 

「あっ」

 

 もうその前に、五条悟はもう姿を消していて。

 残ったのは、蒼の残穢のみ。

 

「……あのクソガキ。あとで精一杯なじってやろうかな」

 

 フリーレンは彼女の薄い感情を精一杯に表に出して、正面に杖を構えた。

 

 そして、五条悟への静かな怒りを、代わりに目の前の複製体(五条悟)へ向けて。

 

空間の主導権を操る魔法(シュテューアルング)

 

 本気の魔法を、行使した。

もし続きを書くとしたらどちらがいい?(2026/02/15より)

  • 五条悟が全てをねじ伏せバトルしまくる
  • フリーレンぽく人の心を知りながら旅をする
  • 上二つをいい感じにバランス取った話
  • 好きにやっていいよ
  • そんなことよりプリン食べたい
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