そこに集中する魔力を五条の六眼は捉える。
しかしそれだけではどんな魔法かはわからない。
肉体に刻まれた術式とは違い、それは体外で構築される魔法だからだ。
そして、そもそも初見の魔法。
――
フリーレンの声を発さぬ口元が動いた。
その瞬間、その手の先の空間が一瞬にして歪む。
そしてすぐ直後、それは真っ黒に染まった。
とても小さな事象の地平面。
しかしそれは光を無限の空間の向こうに閉じ込めて離さない。
ゾルトラークと防御魔法以外に、『無限』に対抗しうる、『空間を無限に歪ませる』ことで生み出される『マイナス方向の無限』。
五条悟はそれを理解する。
そして、手を前に出した。
その口角が、楽しそうに釣り上がる。
そして唱える。
「出力全開――――〈
フリーレンの『無限の歪』、五条悟の『蒼の無限』。
それがぶつかりあった。
バリバリと空間が悲鳴を起こす。
光すら飲み込み、黒い空間を創る。
それを覆い尽くすように、
同時。
互いの術式が制御を外れ、消失した。
空間は一瞬にして平生を取り戻し、一つになった。
空間は波打ち、張られ直す。
(一体どんだけ術式持ってんだ?)
五条悟は思考した。
(ほとんどの術式が、外付けにして初見の術式。一次試験のときの魔法使いたちのような、一人につき一つの術式じゃない)
五条悟の右腕が、新たな術式構築に動く。
(この世界の魔法使いは、術師のように身体に刻まれた魔法を使うんじゃない。一人につき一人の魔法を使っているように見えたのは、単純にそれしか実戦レベルで使えるほどに鍛えた魔法がなかったからか。ならこいつのレベルはケタ違いだな)
高速に巡る思考。
しかし五条悟のそれをしても、思考は中断せざるを得ない。
フリーレン、その強者が新たな攻撃を構築している。
五条悟は頭の中で呪力を掛け合わせ、それを右腕に流し込んだ。
そして、術式に変換する。
――――術式反転
「
――――
紫の閃光が六眼を支配した。
そのほんの一瞬、五条悟はフリーレンを見失う。
――――瞬間的に短距離を移動する魔法
黒色の奔流が流れた。
五条悟は右腕に違和感を覚える。
そこにあったはずの、構築された赫。
それは、黒い魔力の波に飲み込まれて消し飛んでいた。
腕、もろとも。
フリーレンは止まらない。
二発目の杖の先が、五条悟には既に向けられていた。
五条悟は蒼により、空間を圧縮する。
死の光線が発される直前、五条悟はその場から逃れた。
ゾルトラークは空を切り、地面に風穴を開ける。
(さすがにままならないね)
その口角がさらに歪む。
右腕は吹き飛ばされていた。
幾度も感じたことのあるその感触。それを思い出し、五条悟の脳裏にあの映像がフラッシュバックする。
頭上に浮かぶ法陣。剣を振り切る巨大な式神。
(魔虚羅よりも厄介だ)
五条悟は内心でほくそえんだ。
(更にこっちは向こうの術式の底が見えない。もし本当に千年生きてたとして、その間にため込んだ術式がいくらあるとも分からない。その組み合わせも考えれば…………果てがないね)
五条悟の笑みはさらに深まる。
思考をすればするほど、その一つの結論に近づいていく。
(相手の術式が分からない。どんな運用をしてくるのかも分からない。ミスれば一撃でドタマを吹き飛ばされる。蒼も防御魔法で散らされる。ってことはね)
かつて、前の世界には存在し、すべての頂点とされた技。
無限の術式と豊富な魔法使いが存在するこの世界。しかしそれでも、五条悟の其の極み、その技は、誰も知らない。
フリーレンが杖に魔力をみなぎらせている。
あと一秒もあれば、次のゾルトラークが放たれるだろう。
しかし、五条悟がそれをするには、そのたったの十分の一だけあれば十分だった。
「――――
呪力の奔流が、その空間を包み込む。
気づく間もない。
フリーレンは、それに飲まれていた。
「――――
最強の最高が、そこに顕現した。
第一話に戻ってきました。ここに結びつけたかった……やっと来れました。
もし続きを書くとしたらどちらがいい?(2026/02/15より)
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五条悟が全てをねじ伏せバトルしまくる
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フリーレンぽく人の心を知りながら旅をする
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上二つをいい感じにバランス取った話
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好きにやっていいよ
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そんなことよりプリン食べたい