もしも五条悟がフリーレン世界に転生したら   作:ケンタ〜

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複製体五条悟vsフリーレン

 時少し遡り。

 フリーレン、そのオリジナル。

 五条悟との戦い。

 

事象の地平面を創る魔法(ジングラリテート)

 

 フリーレンは無限の虚空を作り出す。

 そして同時に、防御魔法の全面展開をしていた。

 

 それを常に二層に展開し、破損したものはすぐに修復する。

 

空間の主導権を操る魔法(シュテューアルング)

 

 そして更に、空間の手綱を均一化。

 

 全てを、全開にする。

 

 戦いが繰り返されたダンジョンの内壁は、最早その原型をとどめておらず、何十メートルもの広さの球形の空間を作り出していた。

 

 その戦い方は、最深部で行われているそれとは異なる。

 

 フリーレンは常に空間を抑え込み、事象の地平線を制御し、いついかなる攻撃が襲いきても一撃死を避けるように、守りに魔法を行使していた。

 

 その空間を飛ぶフリーレンの目の先に、五条悟の複製体が立っていた。

 

 限りない暴力の気配を身に纏っている死の化身。力の体現。

 一瞬でも油断すれば、すべてを奪われるという確信。

 

(あの年で一体どれだけの鍛錬と才能があれば、この境地にたどり着けるんだ)

 

 三つの全力の魔法の行使。

 並列制御に脳がチリつく。

 

 千年間常に高めてきた魔力が心もとなくなるほどに、放出している魔力が激しい。

 しかしそうしなければ、この均衡状態は保てない。

 

 フリーレンは小さな事象の地平面を、五条悟(複製体)へと向けた。

 

 制御された黒い虚空が空間をむさぼり食いながら、五条悟(複製体)へ向かい飲み込もうとする。

 

 五条悟(複製体)の右手に呪力が込められた。

 

 極大の収縮の具現化。蒼色の球が生成される。

 

 それは黒色の事象の地平面と衝突し、互いに食い荒らし合い、消滅した。

 

(これでも、やっぱり決定打にはならないか)

 

 フリーレンは静かに分析する。

 

(決定打にはならなくとも、こちらも空間制御で瞬間移動を封じる。もしされても、防御魔法で防御をする。向こうの決定打、一撃死だけは避ける……)

 

 そしてフリーレンは人を殺す魔法(ゾルトラーク)を十門放つ。

 

(瞬間移動は封じたけど…………)

 

 地面に突き刺さる白い刃を正確に縫うように、五条悟は駆ける。

 

 当然のように、五条悟はそれを避けている。

 身に纏う呪力の基礎的な操作による移動。それだけで。

 

(もう、完全に慣れられたな)

 

 五条悟の速度に、もう何十発目のゾルトラークは通用しない。

 

(だからといって、他の地獄の業火を出す魔法(ヴォルザンベル)みたいな攻撃魔法も無意味……)

 

 フリーレンは黒い虚空を再生成する。

 

 今度は三つ。フリーレンの周囲に展開され、五条悟へ向けて放った。

 

「ッ…………」

 

 ギシギシと頭痛がする。

 

(並列制御のせいじゃない)

 

 空間に、大きな蒼が生成された。

 

 大きな質量を放つ黒い地平面は、それに吸い寄せられるように動いてしまう。

 

 蒼は大きな体積でそれを飲み込み、小さく収縮する。

 出力が増強され、そして相殺し、事象の地平面は消滅した。

 

(威力不足。流石にこれだけ魔法を全開にして、決定打となりうるほどの威力は出せない。しかも、これだけやっても)

 

 ぽたりと、自分の服の裾に垂れるものがあった。

 

 白い無垢の色のそこに、鈍い赤色がじんわりと広がっていく。

 痛みの正体。

 

(こっちも、結構ダメージを与えたはずなんだけどな)

 

 頭から垂れるそれを裾で拭って、フリーレンは目の先の存在に目を向けた。

 

 何度も攻撃を当てた。

 魔力を消したフェルンによる不意打ち。

 五度、攻撃は当たった。

 

 その度に、腕や肩、腹部などの重要器官を吹き飛ばした。

 

 普通ならそれが決定打となるはずのものを。

 

 しかし、その度に回復する。

 まるで新たな器官を再生成しているように。

 女神様の回復魔法ではない。

 もっと違う、異質な何か。

 

(どこまで異質なんだ。まるで何かが間違ってこの世界に産まれ落ちたみたいに)

 

 この世界の均衡とその内包の外側にいるような。

 

(バケモノめ)

 

 これだけのやりとりをして、フリーレンは思う。

 

(しかも、こいつ、まだ本気を出していない)

 

 今まで、凄まじいまでの戦いの応酬をした。

 勝負ができているようにみえた。

 

(しかしそれは、こいつが戦いを楽しんでいたからだ)

 

 初めから本気を出さない、戦いを楽しむ、異常者の思考。

 それで自らの四肢が吹き飛んだとしてもまだ、戦いを楽しもうとする。

 

 おそらく五条悟の本体もそうなのだろう。きっと本気を出さず、戦いを楽しんで、様子見をしながら戦っているに違いない。

 

 四肢の欠損すら致命的にならないバケモノ。フリーレンという実力者相手にすら遊ぶ余裕がある。

 

 しかも、まだ奥の手がある。

 高みに上り詰めた者同士だからこそ、フリーレンにはわかる。

 

 必ずある。この五条悟という男には。

 この場を一気にひっくり返すことのできるほどのものが。

 フリーレンは直感していた。

 この戦いにおいて、この男からそれを引き出さねばならない。

 

(…………やっぱり、やるしかないか)

 

 フリーレンは内心嘆息する。

 

 これだけの全力の魔法の行使を、ずっと続けてはいられない。

 

 五条悟の身に纏う魔力のような何か。その総量が、戦いを始めてから今に至るまでほとんど僅かにしか減っていない。

 

 おそらくずっと続けていれば、千年鍛え上げてきた自らの魔力の方が、先に潰える。

 

(これだから嫌なんだ。強いの相手との戦闘は)

 

 四肢をいくらか吹き飛ばせば、もう奥の手を出すものかと思っていた。というか、自分ならば出す。

 しかしまだ。もっと必要なのだ。この四肢を吹き飛ばしても死なないバケモノには。

 これでは足りない。

 

 もっと、それ以上のものが居る。

 

 自分も本気で追い詰めるしかない。

 

 その奥の手を、出させるしかない。

 

 目の前の複製体が奥の手を出すに足る状況を、作らなければならない。

 

(私は死ぬ気は毛頭ないけど、サトル(本体)の方は違うんだろうな)

 

 ゾルトラーク、牽制射撃を行いながらフリーレンは思考する。

 

(きっと死んでもいいと考えながら戦っている。いや、自分の命なんて、はなから採算のうちにないはずだ。戦いだけ楽しめるのなら)

 

 これだけの実力者が、一体今までどこに隠れていたのか。

 

(オリジナルの方のサトルは多分、この目の前の複製体とは違う戦い方をするはずだ。そして私自身の複製体も、均衡なんて気にせず、きっともっと直接的にこいつを追い詰める。でもこの複製体(五条悟)が直接的にやってこず、奥の手を出してこないのは、おそらくフェルンがいるから)

 

 恐らく複製体(五条悟)は、外部からの、実力の定かではないイレギュラーを警戒している。

 

 まだ、奥の手は出してこない。

 

(でも、そろそろだ)

 

 また、フリーレンは直感する。

 

 五条悟(複製体)は飽きている。

 この消耗戦に何か退屈なものを感じている。

 あの戦闘狂と同じ思考回路ならばきっと。

 きっと、向こうから何かを仕掛けてくる。

 

 自分が何か、動きを見せたのならば。

 

(やるか――――)

 

 フリーレンは、今行使している魔法の全てを解除した。

 

 散っていた光のガラスは霧散し、空間を歪めていた事象の地平面は消え、防御魔法は形を失う。

 

 その瞬間。

 視界が、振動する。

 

「――――――がはっ!」

 

 どこかを貫かれた。

 

 思考が巡る。

 

 定かではない。

 

 脳をいっぱいの危険信号(痛み)が支配する。

 

 視野が狭窄して、痛みに耳鳴りがした。

 

 致命的なダメージ。

 

 ぼやける五条悟の顔が見える。

 

(これは)

 

 辛うじて魔力を集中させた心臓を避けて、手刀がフリーレンの腹部を貫通していた。

 

(まずい――――――)

 

 体内で術式が構築されている。

 

 蒼い引力。

 

 内部から体を引き裂く魂胆。

 

「かはっ」

 

 吐いた血が舞って、五条悟の目の前で停止した。

 

「フリーレンさま!!」

 

 それが聞こえる。

 

 フェルンの悲鳴。

 

 弟子の魔力が、幾重にも爆ぜるのを感じた。

 

 五条悟に、ゾルトラークが向かう。

 

(フェルンらしくない。このままじゃ私も一緒に貫かれる)

 

 しかし冷静に、フリーレンは思考する。

 

(でも、悪くない)

 

 不測の事態に、フリーレンは僅かに見た。

 

 五条悟の意識が幾分か自分以外に反れる。

 

(それでいい)

 

 この、感知できない奥の手を使えるから。

 

 フリーレンは80年ぶりのそれを、起動した。

 

 ――――!!

 

 複製体(五条悟)が目を見開く。

 

 その腕が、五条悟の体ごと抜け、飛んだ。

 

「がはっ」

 

 痛みが刺激され、血が漏れ出る。

 

 しかし防御魔法で、フェルンが放ったゾルトラークは防いだ。

 

(いそがないと)

 

 今のでフェルンは複製体(五条悟)に捕捉された。一撃で首を落とされてもおかしくない。だから早く。

 

 魔法制御に集中する。

 床に墜落した五条悟へ。

 それを自らの『奥の手』で、全力で抑え込む。

 

「っ…………!」

 

 叩きつけられたクレーターの中心。

 そこいる五条悟は、なお動こうとしていた。

 80年ぶりの奥の手ですらも。

 

「バケモノめ」

 

 全力をそこに込めている。

 なのに、しかしまだ。

 ギギギ、とまるで機械のように、五条悟は体を起こそうとする。

 

(足りない)

 

 ここまでやっても。

 

 まだ。

 

 この、世界の理をもねじ伏せるような存在はまだ足りない。

 

 自分がこれだけやっても。

 

 フリーレンは集中する。

 自分の奥の手すら攻略せんとする最強へ向けて、注視する。

 

 奥の手だけは繰り出させる。

 

 魔法と術式の性能だけは互角。

 

 最奥の技を繰り出させ、フェルンにて均衡を打ち破る。

 

 その算段を頭のなかに思い描く。

 

(勝たないといけない)

 

 五条悟の高みに上り詰めた強者の思考。

 戦うために研ぎ澄ましてきた技。

 それへの誇り。

 言い換えてしまえば傲慢。

 

 分かる。フリーレンは、すべて分かっていた。

 

 ――――なんで真正面から戦いたがるんだろうな

 

 今まで自分が高めてきた魔法への、くだらない驕り。

 

 自ら率先して戦いたいわけではないという事を除けば、フリーレンはそれを全て理解できる。

 

 ただ五条悟と自分とは、戦いにおいてその誇りを得るかどうかで違うだけ。

 

 そんな彼の戦いを邪魔したこと。

 どれだけ五条悟の誇りを傷つけたか。

 

 フリーレンは、それを誰よりも深く理解していた。

 

 だから。故に、勝たなければなれない。

 

 何をしても。

 

(私が勝たなきゃいけない)

 

 少しでもこの強者を抑え、楽しませなければ。

 そうしなければ、五条悟を裏切ることになる。

 

「――――なんだ」

 

 フリーレンは口にした。

 

 違和感。

 

 複製体(五条悟)が、動いていた。

 ただほんの小さく。

 その右腕だけを動かしている。

 

 指で、何かを、形作って――――

 

「――――――――」

 

 フリーレンの視界全てを、全てを与える宇宙が支配した。

 

 

 

 

 

 

 ――――――無量空処

 

 

 

 

 

 

「あ――――――――――」

 

 奥義。

 

 奥の手。

 

 五条悟の全て。最も深いところ。

 

 その、一番奥。

 

 全てを覆うように、全てを与え、全てを強要する、最強の中。

 

 ここに入った者はこの瞬間全てを手に入れる。

 そして、全てを失う。

 

「――――――――――――」

 

 精神防御が一斉に押しつぶされる。

 

(――――まずい――――――)

 

 術式の行使が上手くいかない。

 

 意識の手綱が握れない。

 

 複雑な魔法を行使するほどの余裕がない。

 

 千年を生きてきた脳をもってしても情報量が圧倒的に。

 

 数秒にして、数十年分の情報量が流れ込んでくる。

 

(まいったな――――――――――――――)

 

 思考が暗転しそうになる。

 

 少しでも精神防御の残りを保とうとする。

 しかしそれは洪水の前で板一枚で耐え忍ぼうとするも同じだった。

 

 無量空処。圧倒的な情報の洪水。

 

 数秒。たった数秒。

 

 それで、フリーレンの精神防御は押しつぶされた。

 

(あとは――――――――――)

 

 フリーレンの思考は、断ち切られた。

 

 

 

 

 

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 一筋の魔法が領域を貫いた。

 

 

 

「フリーレンさま!!」

 

 悲痛な叫び。

 

 ゾルトラークが結界に穴を開けた。

 

 そして、綻びが生まれた。

 

 ほんの少し。人間にとってはほんの少しの思考の隙。

 

 暗闇にほんの一筋の光が差す。

 

「――――――――よくやった、フェルン」

 

 ほんの一筋。

 

 フリーレンの行使する全力の精神防御。

 

 残っていた意識のか細い糸を絡め取る。

 

 ぼたぼたと、目と鼻と耳から垂れる血液を無視して。

 口にした。

 

事象の地平面を創る魔法(ジングラリテート)

 

 空間の中心に、すべてを飲み込むための虚空が出現した。

 

 全てを取り潰す虚空。

 

「かはっ」

 

 口から血が噴き出る。

 

 しかし全意識、全出力を集中させる。

 

 どこまでも再現なく成長する黒い穴。

 

 空間の全てを吸い込んで。

 

 領域が、軋む。

 

 フェルンの開けた小さな穴から、大きな綻びを生み出した。

 

「仕切り直しだ、サトル」

 

 領域が、間もなく崩壊する。

 

 ――――しかし、違和感。

 

(なんだ)

 

 フリーレンは感じる。

 

 サトルが領域を展開した直後からの違和感。

 

(なんで追撃をしてこない)

 

 領域を展開したにも関わらず、五条悟は動かなかない。

 蒼による無量空処の相殺もしてこない。

 

(奥の手を出したときは動けないのか。それとも)

 

 フリーレンは知る由もない。

 

 ほぼ同時刻。

 

 複製体のフリーレンが、無量空処を受けていた。

 

 五条悟本人が流し込んだ情報の濁流。

 シュピーゲルが判断した、他の複製体への肩代わり。

 

 そのほんの一端が、五条悟の複製体にも襲い来ていた。

 

 五条悟の無量空処、フリーレンの奥の手、フェルンの援護、意識の回復。

 

 あらゆる偶然、必然が重なって生じた、その致命的な隙。

 

 領域が、終に崩壊する。

 

(今しかない)

 

「みんな」

 

 魔力探知の範囲内。

 

 二つの魔力が壁から飛び出す。

 

 ヘルファ、ヒルフト。

 

 作戦通りに。

 

「わかってる!!」

 

 全方位から人を殺す魔法が放たれる。

 

 無限の防御なく、蒼による回避もない、術式の焼き切れた五条悟に。

 

 ゾルトラークが襲いかかる。

 

「フリーレンさま……!」

 

 ゾルトラークの奔流が襲いかかる中、フェルンの悲鳴にも似た声が響く。

 

「なにっ!」

 

 何門もゾルトラークを展開し撃ち放つフリーレン。

 轟音の中で声を張り上げる。

 

「あれはまさか…………」

 

 そう言われて、五条悟(複製体)へ意識を向けた。

 

 フリーレンは一瞬目を見開いた。

 

 そして、すぐに目を細める。

 

 この世で最悪なものを見たというような目で。

 

「……防御魔法……か…………」

 

 フリーレンは精一杯の悪辣を込めた口調で口にした。

 

 五条悟の周りに、鈍く青い障壁が構築されている。

 

「再現したのか」

 

 魔法ではない。呪いによって再現されたそれ。

 

 ――――――バケモノ。いったい、どこまで。

 

 腐敗の賢老クヴァール。ゾルトラークを開発した張本人は、一度見ただけで防御魔法を再現してみせた。

 しかしあれは、人知を超えた長い時間を生きたことによる賢老の所業。

 

 目の前にいるのは、ほんの少ししか生きていないはずの人間。

 

 ――――天才。

 

 ただそれしか思い浮かばない。

 魔力でも術式でもない。

 ただ呪力による結界術の操作で、それ(防御魔法)を実現している。

 

「………………」

 

 ゾルトラークを放つフリーレンの鼓動が強くなる。

 防御術式の構築はほぼ完璧だ。

 

(このままだと…………)

 

 そして一つの決断を下す。

 

「みんな下がって」

 

 そして、前方に巨大な魔法陣を形成した。

 黒い、原初のゾルトラーク。

 

(習得したばかりならば、まだ)

 

 深い魔力の放たれる音。

 五条悟に到達したそれは、構築された防御結界を剥がしバリバリと音を立てる。

 

(ダメだ)

 

 桁違いだった。

 

 散った防御結界の修復が恐ろしく早い。

 

 習得したばかりの魔法をこれほどまでに。

 

 人類の80年の研鑽を嘲笑うかのように。

 

 それを、この一人の人間が。

 

(………………)

 

 フリーレンは息をついた。

 

「逃げて」

「えっ……」

 

 フェルンが悲鳴のように声を上げる。

 

「フリーレン!?」

「何を言っているんだ!」

 

 ヘルファとヒルフトが声を上げた。

 しかしフリーレンは声色を変えずに言う。

 

「早くみんな瓶を割るんだ。抑え込んでるから、早く」

「フリーレンさま、そんな」

「こいつは最早大魔族と同等以上だ。はやく」

 

 フリーレンの動きが止まった。

 

(もうか)

 

 目の先の天才の異変。

 彼女の思考は空間の主導権を操る魔法(シュテューアルング)を繰り出そうとする。

 

 しかしもう既に、フリーレンの首に五条悟の手がかかっていた。

 ぴたりと、全身を動かすことができなくなった。

 

 五条悟(複製体)の術式は、既に回復していた。

 

 全身が無限によって抑え込まれる。

 

(やっぱりこいつ、さっきまではずっと手加減してたか)

 

 楽しむことをやめた、純粋な最強。

 

「…………ここまでか」

 

 自らの首を掴む存在を、フリーレンは目にする。

 

(いけると思ったんだけどな)

 

 ただ何も言わず、複製体は鈍色の瞳で自分を見つめてくる。

 

(サトルに謝れればいいんだけどな。啖呵切っちゃったのに)

 

 出血がひどい。

 次第に思考が回らなくなる。

 

(でも、これでサトルが(複製体)には勝てるってことは証明された)

 

 それならばいい。

 

(ここまで削れば、サトルならこいつを殺せる)

 

 目の前の複製体は消耗している。

 

 いくらバケモノでも、消耗していると言えるほどには削ることができた。

 

 魔力は最初に戦ったときに比べて数割も減っている。

 

 最も消耗させたのは、防御魔法の展開。

 言い換えれば、そこまでやって初めて削ることができた。

 いくら五条悟の効率が良いとしても、そもそもが消耗の激しい術式構造。

 それが示すことは、そうでもしなければ、その圧倒的な効率の良さで勝ることはできないこと。

 

(不意打ちで卑怯で最低の戦い方をしても、これほどか)

 

 フリーレンは、最後の魔法を行使した。

 

 自らの意識が遠のいていく。

 体中が、硬く固まっていく感触がする。

 

「フリーレン、さま」

「早く逃げて」

 

 その言葉を最後に、彼女の思考は消滅した。

もし続きを書くとしたらどちらがいい?(2026/02/15より)

  • 五条悟が全てをねじ伏せバトルしまくる
  • フリーレンぽく人の心を知りながら旅をする
  • 上二つをいい感じにバランス取った話
  • 好きにやっていいよ
  • そんなことよりプリン食べたい
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