すみません、もっかい日常回になりました。
「あ」
(あの三人…………)
ヘルファはぱたりと足を止めた。
そこに、見覚えのある姿があった。
「フェルンさん?」
「あ、ヘルファさま」
「奇遇ですね」
その場にいたのは三人。
二人は見覚えがあるが、もう一人は初対面だった。
「フェルンさん、フリーレンさん。あと……」
「こっちはシュタルクさまです」
(シュタルク……背高いな。サトルほどじゃないけど)
「はじめまして。ヘルファといいます」
「あ、はじめまして」
挨拶を終わらせると、フェルンはヘルファに歩み寄った。
「その節は、お世話になりました」
ぺこりと、フェルンはヘルファに頭を下げる。
「えっ」
ヘルファはぱたぱたと手を横に振った。
「な、なんでそんな」
「私もフリーレンさまも、ヘルファさまのおかげで助かりました。ありがとうございます」
「いやいや、お二人がいなきゃ、私そもそもあそこまでいけなかったし……」
「いえ、こちらこそ、命の恩人です」
「そうですか…………」
(本当に回復以外に何もしてないんだけどな……)
そんなやり取りをする2人の側で、シュタルクがフリーレンに囁いた。
「なあ、知り合いなのか?」
「三級魔法使いのヘルファ。二次試験で仲良くなった人だよ」
「ああ。腹に土手っ腹空けられたのを治してくれたって人?」
「魔法使いには珍しく、結構な治癒魔法を使えるみたいでね」
「へぇ。すごい人なんだな」
そんな二人の前で、ヘルファとフェルンは会話を続けていた。
「あの、ヘルファさま。お礼と言ってはなんですが、一緒にご飯、食べにいきませんか」
「えっ? いいの? 悪いよ、そんな」
ヘルファは目を見開いて、より強く手をパタつかせた。
フェルンは微笑んで、そんなヘルファに優しく行った。
「いいんです。フリーレンさまも命を助けられていますし」
そう言って、フェルンはフリーレンを振り返った。
「いいですよね、フリーレンさま、シュタルクさま」
「俺は別に構わないぜ。仲いいんだろ?」
シュタルクは軽く答える。
「…………いいけど…………」
しかし、フリーレンは、しょぼんとした顔で言った。
「へそくりまだあるかな…………」
そんなフリーレンの事を傍目にして、フェルンはヘルファに向き直った。
「フリーレンさまの許可も出ましたし、行きましょう」
「え、うん。ありがとね」
「フリーレンさま、80年前に行ったっていうお店、案内してください」
「うん…………」
しょぼんとするフリーレンを先頭に、四人は歩き始めた。
「あの、ヘルファさま」
歩きながら、フェルンは話しかける。
(この子、こんな明るい感じだっけ……)
ヘルファはそう思いつつ、応対した。
「うん、なに?」
「第一次試験で、ヘルファさまたちはどうやってシュティレを捕まえたのですか?」
「あ、それはね、サトルがやってくれたんだけど」
二人が会話をする中で、前を歩くシュタルクはまたフリーレンに喋りかけた。
「なあ、なんかやけに仲良くなってないか?」
「同年代の女の子だからね。話し相手ができてうれしいんでしょ」
「ふーん。いいな。俺にもいたらいいのに」
「冒険者ギルドで戦士仲間でも探してみれば」
「同年代どころか荒くれものしかいねえよ」
シュタルクは呆れたように言った。
「それもそうか」
しばらく歩いた所で、フリーレンはぱたりと足を止めた。
「ここだね。ヒンメルたちと来た店だ」
「ここが、ですか」
フェルンはそのお店を見上げる。
「とてもおいしそうな匂いがしますね」
「八十年前からある店なのか。老舗だな」
シュタルクが楽しそうにそう言った。
三人が先に店に入ってから、ヘルファはその後ろに続く。緊張の面持ちで、店内を見回した。
(友達とこういうお店とか行くの初めてだな……)
店の中はちょうど良い広さで、他にも何人か客がいるようだった。
フェルンは一つの長机を見つけると、そこにそそくさと座る。
「ヘルファさま、ここ空いてますよ。隣に座ってください」
「あ、うん。ありがとう」
ヘルファが座ると、フェルンはすぐにメニュー表を取り出してみせる。
「なににしますか? 沢山ありますよ。80年前からあるお店ですし、きっと美味しいですよ。ほら」
「あ、へえ。こんなにたくさんあるんだ。さすがオイサースト」
「ですね。あ、このパフェとか……」
「なあ、フリーレン」
シュタルクが、再三フリーレンに話しかけた。
「すごいぞ。あのフェルンがべったりだ。一つも嫌な顔してないぞ」
「さすがにすごいね。ずっと一緒にいる私でもあれほど長い時間楽しそうなフェルンは初めてだ」
「僧侶の魔法も使えるし、ザインみてえだな……」
「……それは言わないほうがいいと思う」
「なんでだよ……?」
シュタルクは首を傾げた。
「とりあえず、シュタルクにデリカシーがないことはわかったかな」
「なんでだよ!?」
不憫な目に合うシュタルク。
それをよそに、対面のフェルンが手を上げた。
「すみません、このジャンボパフェ、二つお願いします」
「ジャンボって、食べきれるかな……?」
ヘルファが不安げに言うと、フェルンは口にする。
「大丈夫です。他のお店でも似たようなメニューを食べ切れました。ですので、ヘルファさまも食べ切れると思います」
自信満々の微笑み顔だった。
「そ、そうかな……? あんまりこういうの食べたことなくって」
「じゃあ、今日はたくさん楽しみましょう」
「そ、そうだねっ、頑張る」
(あんまりフェルンの基準に合わせないほうがいいと思うけどな…………)
口にすると断罪されかねないので、シュタルクは心の中だけにとどめておいた。
フリーレンとシュタルクも注文を済ませて、しばらくすると、料理が運ばれてきた。
「うわ、でっかい……!」
「すごくおいしそうですね……!」
「おお〜、おいしそうなオムライスだぁ!」
「よし、食い貯めるぞ」
ジャンボパフェ二つ、人並みのオムライスセットが一つ、巨大な皿いっぱいのステーキが運ばれてきた。
フリーレンのところに置かれたのステーキに、ヘルファは目を見開く。
「うわ、フリーレンさんの、私たちより大きい……! これ、食べ切れるんですか?」
「こういう時に食いためておかないとね。人間のお店はいつなくなるか分からないし」
そう言って、フリーレンはステーキを一切れ切って、口にした。
そして何がを小さくつぶやいたあと、何かを思い返したように優しく微笑む。
「とても美味しいです、こんなに幸せでいいんでしょうか」
パフェを口にしたフェルンは頬を綻ばせた。
それを見て、ヘルファもスプーンでパフェをとって口に運んだ。
「んっ……!? すっご、本当においしい……!」
その目がぱっと見開かれた。
思わず口に手を当てて、何口もパフェを続けて口にする。
「うん。あの時より、ずっとおいしい」
フリーレンはそう言って、黙々とステーキを口にしていた。
「めっちゃおいしいなこのオムライス……! こんなにうまいの初めて食べた!」
続いてシュタルクも笑みと共に舌鼓を打っていた。
「はあ……本当に、とても美味しいですね」
「フェルンさん、食べるのめっちゃ早いね。もう半分。私まだ表面なのに」
「いえ、ゆっくり食べてください」
そう言って、フェルンは椅子を引きなおして、ヘルファに向き直った。
「あの、よかったらもう少し、お話してもいいですか」
「いいよ。もちろん」
「ありがとうございます。あの、聖典についてのお話なんですけど、わかりますか」
「あ、うん。一通り読んでるから大丈夫だよ」
「そうですか……!」
ぱあ、とフェルンは顔を輝かせた。
「なあフリーレン、これが女の子同士の会話ってやつなんだな」
「…………何が言いたいの? シュタルク」
フリーレンは怪訝そうに目を細めた。
「ええ……なんで不機嫌になってるの……? 怖い……」
シュタルクは怯えたように肩を縮こめる。
対面では、二人の会話が途切れることなく続いていた。
「そうなんですか。ヘルファさま、そんなすごいところに」
「いやいや、努力で行ったわけじゃないし、そんなことないよ」
「いえ、すごいことですよ。そこで習得できたのは、ヘルファさまの努力だと思います」
「そ、そうかな。ありがとう」
「…………俺も友達できねぇかな」
「もぐもぐ。おいしい」
「聞いてくれよ……」
こうして、四人の食事は暫くの間続いた。
✕
すっかり日が暮れた所で…………。
「帰ってくるの遅くね?」
「ごめん。友達と遊んでた」
「一応ケーキ買ってきたんだけど」
「うっぷ。ゴメンもうムリ」
「ええ…………」
ずっと宿で待っていた五条悟は、悲痛な声を出した。
もし続きを書くとしたらどちらがいい?(2026/02/15より)
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