もしも五条悟がフリーレン世界に転生したら   作:ケンタ〜

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五条悟、そして一級魔法使い

 大陸魔法協会に激震が走った。

 一級魔法使い試験、その三次試験最後の一人の番になった時、ゼーリエの魔力反応が温室から消えた。

 続いて、オイサーストの湖の上で二つの強大な力が爆ぜた。

 

「ゼーリエ様っ」

 

 真っ先に動いたのはゼンゼ。

 温室に駆け入るも、すでにその姿はなかった。

 

 直後ゼーリエの魔法反応が見つかる。

 

 遅れて温室の中に入ってきた一級魔法使いたちは、温室の向こうで巨大な水しぶきが湖に生じたのを目にした。

 

「何が起こっている?」

 

 一級魔法使いゲナウが淡々とした口調で言う。

 

「ゴジョウサトルだ」

 

 ゼンゼが口にする。

 

「あの受験生め、やりやがった」

 

 蛋白ながらも崩れた口調に、場の全員が事の重大さを悟る。

 

 直後、全員の魔力探知からゼーリエの魔力反応が消えた。数瞬、視界の先の山に何かが衝突したのが見える。

 

 そこから、探知するまでもない強大な力の気配を全員が感じた。

 

「ゼーリエ様が戦っている?」

 

 そう言うのはファルシュだった。

 

 全員その事は言うまでもなく分かっていた。しかし明らかに異常事態だった。

 大陸魔法協会、最高峰の当人が剣を抜いた。そのことの重大さを。

 

 限界まで魔力探知を広げてギリギリ感知できる。

 

 見たことのない魔法の応酬。未知の理論によって動かされている戦闘の光景。

 

 結界の展開、未知の力の生成、音の速度まで超えた速さでの移動。

 

 図らずも立ち尽くしている全員の横を駆けていく人影があった。

 レルネンだった。

 

「ゼーリエ様、今度は一体何を」

 

 焦りの呟き。

 魔法杖を出し飛行魔法を行使して、窓に開いた穴へと飛び込んでゆく。

 

「俺たちも行くぞ」

 

 ゲナウもあとに続いた。

 駆けながらファルシュが質問する。

 

「ゼーリエ様、邪魔したら怒りませんか」

「言ってる場合か。山が吹き飛ぶぞ」

 

 そう言って、ゼンゼも飛行魔法を行使した。

 

 

 

 

 

 

「本当に山が吹き飛ぶとは」

 

 ファルシュは感嘆した。

 

 山が一つなくなっていた。まるで内側から強大な力で引っ剥がしたように。

 

 一級魔法使いの目の前に虹色の球体が浮かんでいた。

 

 それはゼーリエによって構築された、魔法の刻み込まれた領域(エルヴァイテ)

 

「レルネン、この魔法は」

 

 ゼンゼが尋ねる。

 

「初めて見ます」

 

 頬に汗を垂らしながらレルネンは答えた。

 

「中で何をしている?」

 

 ゲナウは言いながら、ゾルトラークの魔法陣を三門展開する。

 放たれた奔流たちが結界の外殻に直撃する。しかしびくともしなかった。

 

 零落の王墓での戦いを見ていたゼンゼは逡巡する。

 

(五条悟の領域の結界はゾルトラークで貫通できた。しかしこれは違う。おそらく、ゼーリエ様によって改良された領域の結界か。ゾルトラークに対抗する術式も含まれている)

 

 使われている結界は、一次試験で用いられたあの大結界と同じ。何をしようと意味はない。

 

 完全な隔絶を実現する結界のおかげで内部は伺い知れない。五条悟の膨大な気配、ゼーリエの魔力の一端すら知覚することができない。

 

 ゼンゼは思考する。

 

 これが、ゼーリエによってあえて(・・・)行われてい(・・・・・)るかもしれないと(・・・・・・・・)いうことを(・・・・・)

 

 ゼーリエによる領域が展開されてから数分。

 

 ピシリと領域にヒビが入る。

 

 領域が、崩壊した。

 

 全一級魔法使いは一斉に魔法を臨戦状態にした。

 

 姿を表した五条悟。

 

 黒い奔流が。自在に動く髪が。影の砲弾が。黒い翼が。

 

 一斉に直撃し、魔力の噴煙を巻き上げる。

 

 しかし五条悟。無限、そして鈍い蒼の結界。

 

「熱烈な歓迎な感じ?」

 

 無傷で、空に浮かんでいた。

 

「全員止まれ」

 

 ゼーリエの声が響いた。

 次なる魔法を繰り出しかけていた魔法使いたちは、ぴたりと止まる。

 

「ゼーリエ様。この男と一体何を」

 

 ゼンゼの動揺の声。

 

「面接だ。これは一級魔法使い選抜試験なのだからな」

「でも、こんな部外者の男と戦うとは」

「最早部外者ではない」

 

 ゼーリエが言うと、五条悟はニッと笑った。

 ぱっと手を挙げる。

 

「どうも。一級魔法使いの五条悟です」

「「「…………!!」」」

 

 場の一級魔法使いに衝撃が走った。

 

 ゼーリエが説明をする。

 

「この男を合格とし、私の弟子にした。仲良くするように」

 

 沈黙。

 

 そこにレルネンが口を開く。

 

「この男を合格させても良いのですか」

「どういうつもりだ? レルネン」

「大陸魔法協会に、制御できますか?」

 

 五条悟が答える。

 

「大丈夫。僕ってば高校教員だったからさ。上の仕組みに従うことには慣れてるよ」

「私がこの男を制御できないとでも?」

「…………」

 

 レルネンが重いため息をついた。

 

「……分かりました」

 

 そう言って、彼は背を向けオイサーストへ飛行した。

 

「全く、ゼーリエ様は……」

 

 そこに、ほとんどの魔法使いも後ろ髪を引かれながらもついて行く。

 

 ゼンゼは残り、しばらく五条悟とゼーリエの方を見た。

 五条悟はにっこりと微笑んだ。

 

「どしたの? ゼンゼちゃん」

「ちゃんって呼ぶな」

 

 擬音が飛び出そうなほどの冷ややかな目つきをして、ゼンゼは睨見つけた。

 踵を返し、オイサーストへ飛んでいく。

 

「手厳しいね」

 

 五条悟はゼーリエを向いた。

 

「団結力のない奴らでな」

「まあみんな個性があっていいでしょ。それで、これから僕はどうなんの?」

「このあと望む魔法を与える式典がある。同伴者を連れても構わんぞ。お前の弟子でもな」

「ああ。ヘルファね。不合格にしたくせに来ていいんだ」

「見どころがないわけではない」

 

 ゼーリエも魔法を行使し、帰路へつく。

 

 掌印を結びながら無下限呪術を行使し、五条悟もそれについて行った。

 

「あの件は頼んだぞ」

「結界の中でのこと? もちろん。約束は守るよ」

 

 五条悟は軽快に笑った。








いまのところの最後まで描き終わりましたので毎日投稿します。
次は今日(2026/03/10)の午後予定です。3話くらいの予定です

もし続きを書くとしたらどちらがいい?(2026/02/15より)

  • 五条悟が全てをねじ伏せバトルしまくる
  • フリーレンぽく人の心を知りながら旅をする
  • 上二つをいい感じにバランス取った話
  • 好きにやっていいよ
  • そんなことよりプリン食べたい
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