「ということで、魔法授与の式典があるっぽいんだけど、来る?」
「いや……まず何が起きたのか説明してよ」
宿屋の中、ヘルファは汗を垂らした。
「何してるの? 何で戦ってんの? しかもゼーリエ様と?」
「いや、かたきとってあげたじゃん。あいつの顔一発ぶん殴ってあげたよ?」
「いや待って!? ゼーリエ様の顔ぶん殴ったの!?」
ヘルファはガタリとベットから立ち上がった。
五条悟は腕を指さす。
「いやこっちも腕吹き飛ばされてんだけど」
「あ、なんでそっちだけ半袖なのかと思ったら……いや着替えてよ」
「それはそうか」
すると五条悟はぬぎっと上着を脱いだ。
ヘルファはぱっと顔を逸らす。
プライベートゾーンがほぼない二人旅のため、無言の了解ができていた。
「あーあ、この世界服高いのにな。四級魔法使いって給料安いんだよ?」
「もう一級じゃん。てか早く着替えてよ……」
「ウブだねぇ」
五条悟は笑って、すぐに着替えを終わらせた。
(ダメだ、コイツにとって私は本当にガキなんだ……)
ヘルファは内心でため息をつく。
(この前なんて私のスカート履かれて遊ばれたことあったからな……いや、もしかしたらガキなのか……? どっちなんだこの最強)
「何その目」
ヘルファの微妙な顔に、五条悟は首をかしげた。
「いやあ、なんでサトルが最強なんだろうなって」
そう言うと、ぴたりと五条悟の動きが止まる。
「なんでだろうね」
曖昧に五条悟は笑った。
(……?)
違和感を覚え、ヘルファは首をひねる。
(いつもなら『僕だから』とか『最強だから』で返して来そうなのに)
そう思ったのも束の間、五条悟が話題を変えた。
「そんで、式典は来る? 嫌なら待っててもいいけど」
「いや、せっかくだから行くよ。どんなのなのか見てみたいし」
「そ」
ヘルファは服を軽く整えてから、ベッドから立ち上がった。
✕
「あ、フリーレンさん」
「あ、ヘルファ」
大陸魔法協会の建物の前、夕暮れ時にばったりと出会った。
フリーレンは見上げた。
「それとサトル。受かったんだ」
「お陰様で」
軽く五条悟は手を挙げた。
「ヘルファさま」
友達の姿を認めたフェルンが早足で寄ってくる。
ヘルファははぐらかすように笑った。
「ごめん、フェルン、わたし落ちちゃった」
「謝る必要なんかないですよ。大丈夫です。また次があります。ヘルファさまならきっと大丈夫です」
「フェルンに言われると心強いなぁ」
あはは、とヘルファ曖昧に笑う。
その隣では、五条悟とシュタルクが邂逅していた。
「…………」
「…………」
「二人ともどうしたの? そんなに見つめ合って」
両者は声を出さず、ただ互いに真顔で見つめ合っていた。
「おっさん、あんた、戦士か?」
「え? そう見える?」
「とんでもなく強えだろ」
「もちろん。最強だよ。魔法使い寄りだけどね」
そう言いながら五条悟は思考した。
(この子、自覚ないタイプかな?)
シュタルクは真剣な顔で聞く。
「おっさん、名前は?」
「五条悟」
「知らねえな……でも、魔法使いの中じゃかなり名のある奴なんじゃないのか?」
「まあこれから有名になってく予定だよ。それだと君の方はどうなの?」
「俺は戦士。戦士シュタルクだ」
その横から、フリーレンが口にした。
「魔王を倒した勇者パーティーの戦士アイゼン。その一番弟子だ。ドラゴンくらいは簡単に倒せるほどには強いよ」
「それくらいはありそうだね」
(でもあんま、戦いたくないな)
嫌な思い出が五条悟の脳裏にチラついた。
(斧に
それを見ると、五条悟は踵を返して歩いていく。
「あ、おいおっさん」
呼びかけを気にもとめず、五条悟は歩き続けた。
「ヘルファ、行くよ」
「あ、うん。じゃあねフェルン、また話そ」
「はい。また是非」
笑顔で手を振るフェルンをあとにして、宮殿へと入っていく。
「どしたのサトル? 珍しく急いでるみたいだったけど。あれっ」
近くに寄ったヘルファの手が、ぴたりと止まった。
「なんかいつもより無限の範囲広くない?」
「…………僕ってば用心深いタチでね」
五条悟は早足にカツカツと歩いた。
もし続きを書くとしたらどちらがいい?(2026/02/15より)
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五条悟が全てをねじ伏せバトルしまくる
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フリーレンぽく人の心を知りながら旅をする
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上二つをいい感じにバランス取った話
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好きにやっていいよ
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そんなことよりプリン食べたい