「制限時間は日没まで。それまでに、このカゴに
かくして、ゲナウの凛とした声が響いた。
ざわざわと、それぞれのパーティが会話をする声が聞こえる。
そして、一つ、また一つと、踵を返して歩いていく。
「じゃ、サトル、行こ」
「ん」
同じパーティになったヘルファが、その横から声をかけた。
「なんだ、二人は知り合いなのか?」
その隣りにいた男性の魔法使い。
これまた同じパーティの彼が声をかける。
それに目を向けて、五条悟は言葉を返す。
「えっと、ヒルフトだっけ?」
「ああ。二級魔法使いのヒルフト。改めてよろしく頼む」
「うん。よろしく」
そして、その横のヘルファが口を開く。
「あ、わたし、三級魔法使いのヘルファです。よろしくお願いします、ヒルフトさん」
「そちらもよろしく頼む、ヘルファ」
挨拶を交わした三人は、そのまま林の中へと歩を進めた。
ちょうど、他のパーティとの距離を少しずつ取るように。
「なあ、あんた、相当強いだろ」
その途中で、ヒルフトは五条悟に聞いた。
「ん、そう思う?」
「見りゃわかる。膨大な魔力だ。一体いくつの研鑽を積んだ? あんたのその若さじゃ、天性の才能でもなきゃたどり着けないほどの高みだ」
五条悟は思わず笑った。
ははっ、と込み上げたものが空に出る。
「何がおかしい?」
(そうか、僕を知らないのか。この世界の人は)
当たり前。でも、改めて実感するそれに、五条悟は新鮮な気分になる。
だが、この世界では。
自分を知るものなど、皆無に等しいのだ。
五条悟は振り返って、ヒルフトに向かい合う。
「五条悟。四級魔法使い」
「…………? それは知っているが……」
「僕と同じ班になったんだから、どーんと大船に乗ったつもりでいてよ」
「それはもちろん……実力的には、頼りにしているが。しかし、この試験は実力だけでは突破できないぞ。その隕石鳥というのは……」
「だから、大丈夫だって」
にやり、と五条悟は口端を吊り上げた。
「なんてったって、僕――――――」
それを口にしようとして。
――――フラッシュバックする、一つの記憶。
腹部に感じた鮮烈な感触。
横転する視界。
仰ぎ見た灰の振る白い空。
薄れゆく意識のなかで耳にした、笑う黒髪の男の声。
そして確かな満足感と、少しの喪失感。
圧倒的な自信と実力とともに挑み、そして打ち砕かれた――――
一瞬の迷い。一瞬の陰り。
それらを、五条悟は飲み込んで。
しかし、強く、口にした。
「僕、最強だから」