もしも五条悟がフリーレン世界に転生したら   作:ケンタ〜

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初の魔族戦③

 おびただしいほどの魔力の応酬が起きていた。

 

 空気を吹き飛ばし、触れたものを蒸発させる魔力の熱線。

 対するのは絶え間なく続く貫通魔法の猛攻。

 

「ふっ、ふっ」

 

 鋭く息を吐きながらヘルファは戦っていた。頬に汗が垂れ、熱線の高温で蒸発する。

 

(見える……攻撃を捉えれる!)

 

 自分でも驚くほど、魔族との戦いができている。

 

 敵が撃ち放つ分散型の魔力の塊。的確に防御魔法を展開して防ぐ事ができている。

 

(当たればきっと即死。でも当たらなければ……!)

 

 ヘルファは杖を前に突き出した。

 

 十つの魔法陣が描かれ魔族を殺す魔法(ゾルトラーク)が飛び出す。

 

 魔族は飛行魔法をよじって避ける。

 その予想軌道へ更に魔法(ゾルトラーク)を放つ。

 

「ッ」

 

 煩わしそうに眉を寄せる。

 

 魔法のインターバルが終われば、魔族の周りに三つの赤いの球が現れた。

 

(分散型の熱線)

 

 ヘルファはそれを凝視した。

 

 球の魔力の『爆ぜ』の瞬間に、前に防御魔法を出す。

 灼熱が青い障壁に阻まれ空に散る。

 それだけで、魔法を防ぐことができた。

 

 魔族は歯を食いしばった。

 

「人間の小娘が、私の魔法を……!」

 

 魔族の魔法術式に一際大きな魔力が込められる。

 

「攻略した気になるなよ!!」

 

 おぞましい音を立てて、二人分の直径ほどもある赤い球が形成された。魔族がその両側に手をやると、押しつぶされるように圧縮されていく。

 

(防げない)

 

 ヘルファは直感する。これはおそらく防御魔法を破られる。

 

魔力の熱線を放つ魔法(ヴァルムシュトハール)!!」

魔族を殺す魔法(ゾルトラーク)

 

 代わりに繰り出したのは攻撃魔法。

 

 全てを焼き尽くす熱線と全てを貫く魔法。交差した両者は魔力の爆風を生み出す。

 空がバリバリと裂けるような音。プラズマ化した空気によるものだとは、この場にいる者が知る由もなかった。

 

「なぜ対抗できる!?」

 

 魔族は目を見開いた。

 

 それは半ば反射のようなものだった。

 目の前の魔族の行動を真似するように、ヘルファは展開した魔法陣を強く圧縮するように魔力を込めていた。

 

 魔族を殺す魔法(ゾルトラーク)。それは、他ならぬ『魔族の魔力』で構築された熱線を、効果的に殺していく魔法。

 

(術式としての完成度。それが圧倒的に違う)

 

 やけに冷静な頭でヘルファは考える。

 

(でも、これ、魔力切れになるな。魔力をこめすぎちゃった)

 

 しかし、そうしないと死ぬという直感があった。

 防御魔法の時のように、魔力が面白いくらいに削れていく。

 

 魔族の熱線とヘルファの魔法が解けるのは同時だった。

 ぐらりとヘルファの飛行魔法が制御を失う。

 

(やばっ)

 

 ほぼ魔力切れ。

 

 対して敵は息を切らしていた。しかし魔力は残っている。

 その杖に極小の赤い球が創り出された。

 

(インターバルがまだなのに)

 

 バチン、とヘルファの杖が弾かれた。

 ごく細い魔力の熱線。

 攻撃力度外視の手数を奪うための攻撃。掠った手がズキンと火傷を起こす。

 

「終わりだ、人間の魔法使い」

 

 今度こそ、攻撃のための大きな球が生成される。

 

(防げない――――)

 

 空気を焼き尽くす音。

 

「――――――」

 

 腹部から感覚が消える。

 ヘルファの腹部に、大きな風穴が空いていた。

 

(これは――――)

 

 しかし頭が追いついていないのか、痛みがやってこない。

 遠くでヒルフトらしき叫び声が響いた気がしたが、認識できなかった。

 目の前で、魔族は勝利の笑みをあげていた。

 

(はやく治さないと――――)

 

 ほぼ反射的に、手元に聖典がでていた。

 

 ヘルファは気がつく。

 とっさに手元に出した聖典(それ)

 ほぼ無意識に小数点以下で発動しかけた治癒の魔法。

 

(これ、発動するやつちょっと変えれば――――)

 

 魔族は気がついていない。

 それとも、圧縮された体感時間のおかげで、自らの思考が異常に速くなっているのか。笑ったままほぼ止まっている。

 

「―――――女神の三槍」

「え」

 

 轟音。

 生物の体を貫く音。

 

 魔族の頭を、三つの穿孔が貫いていた。口だけ笑みを残したままに。

 最後の魔力で出したのは、女神の魔法だった。

 

(これ以上の魔族特攻の技はないなぁ)

 

 ヘルファは面白そうに微笑んで、落下していく感覚に身を委ねた。

 

 

 

 

 

 

 

「ヘルファ!!」

 

 どさりと音がして、ヒルフトの腕がそれを受け止めた。

 腕にした少女に意識はすでにない。それどころか、腹部から致命的な血が噴き出そうとしていた。

 

「まずい……!」

 

 ヒルフトはほぼアドリブで、ヘルファの身体に対し自分の魔力を流す。

 自分の体にやったように、傷口に魔力を込めて止血をする試みだった。

 図らずもヘルファの身体が魔力切れであるおかげでそれは上手くいく。ほんの数秒で、傷口を抑え終わった。

 

「ッ……!」

 

 ぐらりとフラつく。

 しかし、ヒルフトも限界だった。先の戦闘で、すでに魔力がギリギリまで消耗している。

 

(確か、この村には教会が……!)

 

 神父の女神の魔法なら、傷を直してもらえる。腹に開いた穴が塞がるかについては、そこまで頭がまわらなかった。

 何度も打った身体に更に鞭を打ち、村の方へと脚を進めていく。

 

「はっ、はあっ……!」

 

 腕と身体がブルブル震える。もうすでに限界が近い。

 

「くっ、そっ……」

 

 魔族には勝った。しかし、ほぼ相打ちに近い形。これでは、自分たちの命はもう風前の灯に近い。

 

「だ、誰か…………」

「ごめん遅れた!」

 

 耳元で聞こえた声に、ヒルフトは疲労が嘘のように顔を上げた。

 横に長身の見慣れた影が立っていた。

 

「サトル!!」

 

 その名前を、ほぼ無意識に上がった口角と共に叫んだ。

 

「二人ともよくやった。止血は任せて」

 

 五条悟はヘルファの身体に手をやり、身体から噴き出そうと暴れている血を無限でぴたりと止める。

 

「教会にいけばいいんだよね?」

「あ、ああ。いけば、女神様の魔法で……」

 

 ヒルフトが言い終わらないうちに、すでに三人はその建物の目の前に立っていた。蒼による瞬間移動だった。

 

「すみませーーーん神父さーーーん!」

 

 呼ぶと、大急ぎで扉を空けて神父が飛び出してくる。

 

「ま、魔法使い様がた……!!」

 

 もうその神父は暫くの滞在で顔見知りだった。

 慌てて二人に駆け寄って、聖典を取り出す。

 大急ぎで魔法を発動し、二人の体を癒していく。

 

「この村を助けた英雄二人だ。しっかり治してよ」

「もちろんです……!」

「ははっ、英雄か」

 

 それを聞いてヒルフトは微笑み、身体から力を抜いた。がくりと崩れそうになったところを、五条悟がしっかりと受け止める。

 

「おつかれ二人とも」

 

 五条悟は静かにそう言った。

 

「おかげで色々分かった」

「な、なにがだ……?」

 

 残った力で、ヒルフトは辛うじて口を動かした。

 

「元凶だよ。悪いけど、しばらくまた忙しくなるかな。でもまあ、今は休んでよ」

「ああ……」

 

 ヒルフトはすっと意識の手綱を手放した。










二人ともよく頑張ってくれた……

もし続きを書くとしたらどちらがいい?(2026/02/15より)

  • 五条悟が全てをねじ伏せバトルしまくる
  • フリーレンぽく人の心を知りながら旅をする
  • 上二つをいい感じにバランス取った話
  • 好きにやっていいよ
  • そんなことよりプリン食べたい
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