選定少女ノ救済裁判 作:野生の魔女
伏線らしきものは、基本後先考えてません。
キャラの口調変かも……オリキャラでキャラ崩壊起こしそうで草
あっ、初投稿です。
友達と一緒に少し遠出してからの帰り道。
相変わらず【都市伝説】とか、【地方伝承】だとかの【
私の【魔法】のことについて。今日の【魔法】は何かおかしい。
私の【魔法】は【選択肢】。
自身が認識している情報から、現実的にあり得る範囲の選択をある程度【引き出す】。そういった【魔法】。
【選択肢】は、その時存在しうる可能性がある限り、それを複数個提示する。だから、ありえなかった。
たった一つの選択肢、『家に帰る』以外の選択肢が出ないなんてことは。
しかし、【選択肢】は絶対である。
否応無しにそれを選択し、赤い靴を履いた私の脚は、勝手に帰路を歩み出す。
ふと、路地裏に目が移る。それは偶然ではなく、【必然】の行動だったらしい。この【魔法】を得た時から定められていたのだ。
ひとりの幼い【少女】が、謎の集団に連れ去られようとしている。それを目撃した私は……
→『その後を追った。』
『そのまま帰った。』
そして路地裏に入った瞬間に、背後から何者かに強い力で絞められ、意識を落としたのだった。
『起きる。』
『起きない。』
上の選択肢に決定をすると、世界が色付いていく。
知らない世界が視界に形成され、知らない【嫌な匂い】が鼻をつく。固いベッドに寝かされていたからか、身体が凝り固まっているのを感じた。
「……知らない天井だ。」
「おはよう。」
某有名アニメのセリフを言ってみれば、上から言葉を投げかけられる。このベッドは二段ベッドなのか。知らない天井も何も、天井ですらなかったようだ。
そんなくだらないことを考えながら、返事をする。
「おはよう。」
上から少女が降りてくる。その姿は意識を失う前に見た【少女】と同じで。
「さっきの子どもか。」
「我が齢は15。貴様とは同い年である。訂正して貰おう。」
かなりの低身長だったため、年齢を誤解してしまったようだ。すぐに、返答の選択肢が出てきた。
『ごめん。』
『なぜ、年齢を?』
謝罪をしようと思っていたが、年齢か。確かに。
私自身は疑問にも思いもしなかったことではあるが、なぜこの少女が私の年齢を知っているかが気になったので下の選択肢に決定をする。
「なぜ、私の年齢を知っている?」
だって、私と【少女】は、互いのことを知らないはずだ。
「……自身の服を漁れ。何処かにスマホが入っている。それに我々の情報が記載されている。」
確かに、私の服にはスマホが入っていて、魔女図鑑?というアプリに私の個人情報が記載してあった。
「暇だったから、周囲の諸々のことを確認していたんだ。そこの鉄格子は開かないしな。」
「なるほど。」
確かに鉄格子は開かず、出る手段のひとつも見えないため、私はそれに納得し、押し黙る。
……えーっと、何を話そうか。
話題が続かないと思った時にタイミングよく、【音声】が鳴り響いた。
「あ…もしもし…映像って見えてます?何せ古くて故障が多いので…やれやれ」
音の出る方向にはテレビがあり、その中には……フクロウ……?マスコットかなんかか?
「私、【ゴクチョー】と申します」
「詳しい説明がしたいので、ラウンジに集合して下さい」
「鍵は看守が開けてくれるので……」
「抵抗とかは自由なんですが…命とかなくなっちゃうので…はい…」
鉄格子の方からガチャンと音が鳴る。鍵が開いたのかと思い近づけば、【化け物】がこちらを覗き込んでいる。
「っ……!」
怖い。純粋にそう思う。明らかにそれは人ではない。佇まいから自我を感じない。
硬直している私の手を【少女】が引っ張り、
「行くぞ。」
歩み出した。
【少女】に手を引かれ、廊下へと歩み出せば、同じ年齢ぐらいの少女たちが、ひぃ、ふぅ、みぃ……11人、私たちを入れて13人の少女がひとつの方向へと歩いていく。
床も壁も、どこか小汚く、最低限度の清掃しかされていないことが伺えた。
片側の通路には、私が出てきたのと同じ鉄格子が、ひぃ、ふぅ、みぃ、7部屋ある。それぞれの部屋に2人ずついるらしい。
「そこ、“落ちて”くるぞ。」
?
その【少女】の言葉の内容を考える前に、答えが“降って”きた。
ぴちゃ
頬のところに冷たい何かが一滴落ちてきたのだ。
天井を見上げれば、パイプから水滴のようなものが落ち続けているではないか。
この施設は大分老朽化が進んでいると捉えていいだろう。
「ほら、ハンカチだ。さっさと拭え。」
「あぁ、ありがとう。」
そのハンカチを受け取り、顔を拭った。
それで液体を拭いながら【化け物】の方を見る。
二メートルはありそうな巨体と、ワンピースのような衣装は、都市伝説である【八尺様】を彷彿とさせる。
また、その顔どころか、腕などの肌であろう部位には一切の色は無く、ぬっぺらとした白さだった。
その異様に不気味で奇怪な目がたびたびこちらへと振り返ったかと思えば、またコッコッとその一本脚で歩き出す。【心ここに在らず】と言った感じで。
静止した状態を見れば、【カカシ】の様にも思えたであろうか。
まぁそんな【化け物】に監視された状態で、何か行動を起こせるわけもなく廊下を歩く。
階段を登り、しばらく歩き、私たちは、かなりの大きさの部屋【ラウンジ】へと集められたのだった。
そして、【ラウンジ】へと集められた。
見渡しても、【少女】以外には見知った顔はひとつもない。そういえば、【少女】の名前も知らない。なら……
『自己紹介をする。』のが吉か?……選択肢で出たんだ。いいのだろう。
「恐らくだが、みんな突然こんな所に連れてこられたのだろう?
誘拐された者同士、団結を深めるためにも、まずは【自己紹介】をしないか?」
「そうですね!良い考えだと思います!じゃあ言い出しっぺの貴方からどうぞ!」
提案をした私にそう言い放ったのは、カメラを携えた少女。言い分は確かだ。
「そうだな。私は【鬼塚イアラ】。よろしく。」
こんな感じでいいのだろうか?まぁ、文句も出てないし、いいか。
「さ、次は誰が?」
「はーい!私がやりまーす!」
先ほどのカメラの少女が元気よく声を上げた。
「【万堂カイル】ちゃんでーす!趣味でカメラウーマンやってまーす!はいっ、チーズ!」
名乗りを上げた後、カイルは私に向けてシャッターを押した。
「すまないが、急に撮るのはやめてくれ。」
「あっ、すみません!」
さ、次は誰が……
「えーっと、うちがやっても良い……かな?」
おずおずと、ギャルっぽい少女が話す。
「うちは【米住セリカ】って言います。仲良くしてくれると嬉しいかなーって。」
「せりちゃんがするなら……あたしも。」
セリカの自己紹介の後、そう切り出したのは、フリルのついた傘を持った少女。
「あたしは【芹沢ネス】。せりちゃんとは幼馴染で、【親友】。」
ネスはセリカに抱きつきながら、牽制するかのような視線で皆を睨みつける。
「もしせりちゃんを傷つけるようなことがあれば、【殺す】から。」
「ねっちゃん!敵を作るような言い方しないで!」
……な、なかなか親密な関係らしい。ちょっと和んでいた空気がまた張り詰め始めたのを感じた。
「つ、次は……」
空気を変えるためにも、他の子にバトンを回そう。
そうだな……選択肢、よろしく。
『テーブルの向かいの、昭和レトロ風の衣装の少女。』
『暖炉のそばにいる、吸血鬼風の衣装の少女。』
『部屋の隅の、怯えている少女。』
『モニターの前の、シスターらしき少女。』
ここらが今は安牌らしい。
とりあえず、この選択肢から選ぶとしよう。
「君に頼んでもいいかな!?」
「はいっ?!……わ、わかりました。」
私は部屋の隅にいた、怯えている少女へと、次の番を回す。
「じじ、自分はっ、【伏田ラク】っていいます……。そっその!よろしくお願い、します……。」
おどおどと自己紹介をするラク。自信のなさが伺える。
「ありがとう。それじゃ、次は誰が。」
「わ、私がやります!」
そう言い出したのは、シスターらしき衣装の少女。
……なんだか、ラクと雰囲気が似ているぞ。
「わわわ、私の名前は、ひっ、ひっ、ひ……【氷上メルル】、です……っ。」
自己紹介したメルルにカイルが近寄っていった。
「私、リアルシスターさんは初めて見ました!写真撮っても良いですか?」
「えっ……あ、あ、あのっ!」
メルルがカイルに絡まれているのを傍目に、自己紹介をしてくれる次の子を探す。
すると、一本の手が上に伸びた。
「ここいらでおれサマが次、やってやんよ!」
the 江戸っ子って感じの少女が、前までやってくる。
「おれサマは【土館サクラ】ァ、モノづくりの達人でい!なんか欲しいもんがあるならここに来い!なんでもつくったらぁ!」
なるほど。ものづくりの達人か。
……そういえば、ここ歯ブラシとかの日用品はどの程度あるのだろうか?なかったら作ってもらえるだろうか。
「なら、後々頼ませて貰おう。」
「まいど!」
そう約束を交わして、次は……
「次はわたくしがやらせてもらいますわ。」
吸血鬼のような服の少女が立候補した。
「わたくしは【鈴美ユウ】。【食べること】がだぁい好きな、普通の女の子ですわ。」
背が高いな……見上げてると首が痛くなってくる。それにしても、どっかで見たような……
「鈴美ユウって、あの……?」
そう声を上げたのは、昭和レトロな雰囲気を漂わせる少女。
「知っているのか?えっと……君は?」
「ぼかぁ【芥川ライネ】っていうんだ。よろしく願おうか。
それにしてもユウ君……有名大食いタレント兼アイドルと出会えるなんて、とても幸運なことだね。」
「あぁ、思い出した。某大食い番組で何回か見たことがある。
アイドルもやっていたのか。知らなかっ……あの食事量でこの体型だと!?」
過去に彼女が自分の身体の半分以上の量はある食事を、たったの十分程度で食べ切ったのを見たことを思い出した。
そんなに食べる上でアイドルをできるだけの美貌を保っているのか……全女子を敵に回しかねないぞ。
「そんなに褒めないでくださいまし。わたくしは人よりすこーしだけ多く食べているだけですわ。」
「あれが少しなら、ぼかぁは蚕にも満たない食事量だ。」
皮肉かただの軽口か。わからないが、彼女たちは仲良くやっていけそうだな。
「そんな有名人まで、ここにおらっしゃるのですか……。」
驚愕した様に、執事のような服を着た少女が言った。小さな少女と手を繋いでいるが、仲がいいのか?
どちらもまだ名前を聞いていなかったか。
「君たちの名前を教えてもらえるか?」
「はい、よろしいですよ。私めは【秋本レイナ】と申します。これから、宜しくお願いしますね。お嬢様方。」
「こちらこそ、よろしく。」
レイナはこちらへ礼儀正しくお辞儀をしてから、手を繋いでいる小さい子へと語りかける。
「それでは、アンネお嬢様。次の自己紹介をどうぞ。」
「指図するな、レイナ。」
不満げながらも、レイナと手を繋いだままの少女、アンネが口を開く。
「どうも、僕は【円谷アンネ】と言います。そうだ、カイルさん。ちょっといいですか?」
アンネはカイルを呼び出し、ひょこっとカイルが飛び出してくる。
「なんでしょうか!」
「後でカメラを貸してくれませんか。この施設の造形を撮影しておきたいのです。」
「なら後で一緒に撮りに行きましょうね!アンネさん!」
そう話し込むふたりに、ひとりの子が接近していく。
「あの……ここでは、あまり不用意にそこらかしこを撮らない方がいいと思われます。」
彼女は……巫女さんか?少々衣装が派手だが。
「そうなんですか!?えーっと、名前を教えてください!」
「えぇ、私は【風音スイ】です。よろしくお願いします。」
「はい!スイさん!ところでなんですが、なぜ写真を撮ってはいけないんでしょうか?」
「私は【霊媒】とか、【風水】だとかが趣味なんですけど、ここは異様に【嫌な気配】がするんです。もしかしたらですが、【心霊写真】とかが撮れちゃうかもしれません。」
「それはそれで、ひとつの【思い出】になりそうですね!」
嬉々として話すカイルに対して、アンネはその忠告に震えていた。
それはそれとして、風水か。前々から少し興味があったんだよな。後で聞いてみよう。
さ、最後だ。
「最後は、君に頼んで良いかな?」
【少女】に手を向ける。すると【少女】はため息を吐いたのち、自身のスマホを取り出して、周りの子たちに伝達した。
「貴様らの服の中に【スマートフォン】が配給されている。我のことは、その中にある【魔女図鑑】というアプリで各自確認しとけ。」
そしてこちらを見やり、言い放った。
「このことは貴様には言ったはずだぞ?スマホに各個人の情報が載っていると。それを初めに言っておけば、こんな茶番で時間を使わずに済んだ。」
そう言い放つと、【少女】……えっと、
スマホで魔女図鑑を確認する……【明智シグレ】ね。
「シグレ。確かに【知るだけ】なら、それでもいいだろう。
だが、それでも自らの口で自らのことを説明した方が、他人からの印象は良く持てるだろう?」
「そうか。
「こんな状況だ。仲を深めることは得策であると考えられるが?」
「……どうせ、これからみんなこr「あっ……人がいっぱい……。」
っ!?
会話の途中で、先ほど見たフクロウ……確か、“ハクチョー”?が、排気口から現れた。
「話の途中でしたかね?まぁ、良いでしょう。
えっと、改めまして……この【牢屋敷】で管理を任されているかわいいフクロウ、【ゴクチョー】と申します……。」
ゴクチョーだったか……。
「さっさと説明していきますね……。」
ゴクチョー曰く、私たちはやがて【魔女】になってしまう【魔女因子】を持っていること。
【魔女】はこの【国】に害であるため、隔離させてもらうとのこと。
全国検査で【魔女因子】の発現を確認された少女が【牢屋敷】に送られていること。
「つまり皆さん、この世界に害をなす【悪者】ってことで……ご納得ください。」
「皆さんにはこの春から【囚人】として生活してもらいます。」
(囚人……?)
なぜ、私が。昨日までは普通に暮らしてきていたはずだし、【魔法】にも心当たりが……あるが。
それにしても、【国】か……。文字通り考えるなら国家ぐるみでこの【誘拐】はなされている。
【魔女因子】?なんだ、それは?病のようなものだろうか?
わからない、わからない、わからない。
困惑でストレスが蓄積されていく。息が、詰まる。
なにか黒い感情が心を埋めていく最中に、選択肢が表示された。
『落ち着く。』
『殺す。』
迷わず、上を選んだ。
「はぁ……。」
一息つき、呼吸と精神を落ち着かせる。
【選択肢】は【絶対】である。一度決定したなら、私には覆すことができない。だから、決定は慎重に決めなければ。
……よし。落ち着いたし、話はしっかり最後まで聞こう。
「今回の方たちは大人しいようで、助かります。」
「あっ、そうそう忘れていました。【魔女因子】が発現した少女は、抑えきれない【殺意】や【妄想】によって、強い【殺人衝動】につかれてしまいます。」
「面倒なことに、いずれ囚人間で【殺人事件】が起こるんですよ。」
「毎度のことなんですが、さすがにそんな危険人物とは一緒に生活できませんよねぇ。」
「そこで、殺人事件が起こり次第、【魔女裁判】を開廷します。」
「【魔女】になった囚人は……あのー……【処刑】しますので。」
「詳しくは【魔女図鑑】をご覧ください。では私はこれにて……。」
言うだけ言って、ゴクチョーは来た排気口から出て行った。看守とやらもいつのまにかいなくなっている。
残されたのは13名の【魔法少女】と、夜になるまでの自由時間だけだった。
衝撃が抜けきらない私たちは、そのまま交流も特になく一通りのルールや牢屋敷の生活の時間割を確認し、地下牢へと戻り、就寝したのだった。